不動産系の国家資格は三冠、あるいは四冠とも呼ばれ、業界内でも非常に需要の高い資格となっています。

この記事では不動産資格の三冠・四冠について、仕事内容や平均年収、全取得する際の順番などについても解説しています。

不動産業界で活躍したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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不動産資格の三冠・四冠とは?

不動産資格のうち3つの不動産系国家資格

  • 宅地建物取引士(宅建士)
  • マンション管理士(マン管)
  • 管理業務主任者(管業)

は、不動産三冠資格(トリプルクラウン)と呼ばれています。

また、2021年4月21日に発表された国土交通省令にて国家資格となった、賃貸不動産経営管理士を加えて不動産四冠資格と呼ぶことも。

※参考:賃貸不動産経営管理士の国家資格について

ここからはそれぞれの資格について、詳しく解説していきます。

※関連コラム:不動産業界で役立つおすすめ資格9選を一覧で紹介!

宅建:広く不動産業かで重宝される国家資格

宅建は正式には宅地建物取引士といい、公正な不動産取引を行うために必要となる国家資格です。

通常、賃貸物件の契約や土地建物の売買に関して、一般の消費者である我々は多くの知識を持っているわけではありません。

そのため一般消費者と不動産会社の間には、大きな情報格差が生まれてしまっています。

やりようによっては、不動産会社が一方的に自社に有利な形で契約を行うことも。

そこで不当な取引がなされないように、不動産会社にはさまざまな形で規制が設けられています。

そのうちの一つが、物件の状態や権利関係など一般の消費者が知っておくべき事項を、不動産会社は必ず伝えなければならないというもの。

そしてこの役目こそ宅建士の仕事であり、この業務は宅建士にしかできない「独占業務」となっています。

実は宅建士の独占業務はこれだけではありません。具体的には次の3点が宅建士の独占業務です。

  • 不動産に関して重要事項を説明する「重要事項の説明」
  • 重要事項説明書への記名、押印
  • 契約書への記名、押印

さらに宅地建物取引を行う企業には、宅建士の資格を持っている人物を5人に1人の割合で雇わなければならないという設置義務もあります。

不動産業界における宅建士の重要性が理解していただけたでしょうか?

令和2年度の宅地建物取引士資格試験の結果を見ると、申込者の職業は不動産業が33.7%。

他にも建設業が14.9%と、不動産及び建設関係の受験者が5割近くを占めていました。宅建は不動産業界では広く重宝される資格なのです。

また宅建士の年収についてですが、宅建士の平均年収を記載している公的なデータはありません。

ただし不動産業界の平均から宅建士の年収を推測することは可能です。

厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると不動産業・物品賃貸業の平均年収は500.6万円となっています。

宅建士には資格手当が設定されていることが多く、相場はおよそ毎月2~3万円。つまり宅建士の平均年収は530万年あたりになるのではないでしょうか。

そして宅建の合格に必要な勉強時間は一般的に300~400時間くらいと言われています。

宅建で出題される科目の中には民法を扱うものもあるので、法律の知識がある方はもう少し短い時間で合格を目指すことができるかもしれません。

※関連コラム:宅建士とは?主な仕事内容と求められる能力について

管理業務主任者:管理組合で必要になるマンション資格

分譲マンションでは住民が管理組合を設置することが一般的となっています。

しかし、不動産の知識を持たない住民が自分たちで管理組合を運営することはかなり困難でしょう。

そこで多くのマンションでは運営を管理会社に委託しています。

その際、マンション管理会社の立場から

  • 契約内容に関する重要事項の説明
  • 管理業務のチェックや報告

など、マンション管理に関する業務を行うのが管理業務主任者

マンション管理者は、管理業務主任者を30管理組合につき1名設置しなければならないという設置業務があります。

また管理業務主任者にも独占業務が複数存在します。管理業務主任者の独占業務は次の通りです。

  • 管理受託契約に際しての重要事項を説明すること
  • 管理受託契約に関する重要事項説明書に記名、押印すること
  • 管理受託契約書に記名、押印すること
  • 管理組合に対して、管理事務についての報告をすること

ちなみにマンション管理業における平均年収は約458万円となっています。

平均的なサラリーマンと同等程度の金額ではありますが、会社によっては資格手当が出ることもあるでしょう。

そして管理業務主任者の合格までに必要な勉強時間ですが、約300時間と言われています。

ただし宅建やマンション管理士など関連資格をすでに保有しているのであれば、勉強時間は初学者より少なくても問題ありません。

※関連コラム:管理業務主任者とは?仕事はきつい?平均年収は?意味ない資格って本当?

マンション管理士:目指せ管業とのダブルライセンス

マンション管理士とは、マンションの維持管理に関するコンサルティングを行う国家資格です。

具体的な仕事内容は、大きく分けると以下の4つとなります。

  • 相談業務
  • マンションの修繕工事の計画
  • 管理規約や使用細則に関する業務
  • 区分所有者間のトラブル解決

ちなみに、公益財団法人マンション管理センターが実施したマンション管理士の業務についてのアンケート調査によると、85%以上がダブルライセンスとして管理業務主任者を取得しています。

このように管理業務主任者とのダブルライセンスを目指すのもおすすめです。

そしてマンション管理士の年収についてですが、平均年収は400万円前後と言われています。

場合によっては独立開業することによって、実力次第で500~1000万円ほどの収入を実現できることもあるでしょう。

マンション管理士試験に合格するのに必要な勉強時間は、個人差もあるのですが大体500時間程度と言われています。

ただし初学者が独学する場合は500~700時間程度と見繕っておいた方が無難かもしれません。

※関連コラム:マンション管理士資格とは?仕事内容は?役に立たないって本当?

賃貸不動産経営管理士:新たに国家資格に!四冠の新顔

賃貸不動産経営管理士は2021年4月21日に発表された国土交通省令にて国家資格となり、「不動産資格四冠」の一つと呼ばれるようになりました。

アパートやマンションといった賃貸不動産管理に関するエキスパートであり、賃貸住宅の管理業務に関する唯一の資格となります。

そんな賃貸不動産経営管理士の仕事は、大きく分けて以下の3つです。

  • 大家さんから管理業務を受託する(管理業務受託契約)
  • 入居者を探す(入居者募集から契約まで)
  • 賃貸住宅の管理(管理業務)

賃貸住宅管理業務を行うには業務管理者の設置が義務付けられています。

その業務管理者になるには、賃貸不動産経営管理士であることが要件の一つです。

つまり賃貸住宅管理業務においては賃貸不動産経営管理士を雇うことが必要となるため、事実上の設置義務となっています。

また賃貸不動産経営管理士の年収は、実際の求人データをもとに推測すると400~800万円ほどです。

賃貸不動産経営管理士の歴史はまだ浅いです。

しかし、2021年に国家資格となるなど知名度は上昇しており、今後はベース年収や資格手当が上がっていく可能性も考えられます。

ちなみに賃貸不動産経営管理士に合格するために必要とされる勉強時間の目安は、大体100時間とされています。

1日2時間ほどの勉強時間でも2ヶ月くらいで試験勉強が完了する計算となるため、忙しい社会人の方にもおすすめです。

※関連コラム:賃貸不動産経営管理士とは?なり方・仕事内容・意味ない資格なのかも解説

不動産資格四冠の順番は?いくつかのパターンを紹介!

ここまで不動産資格四冠と呼ばれる資格についてご紹介してきました。

では、以上の資格について全て取得しようとした場合、どの順番に学習を進めていけばいいのでしょうか?

ここではいくつかのパターンに分けて不動産資格四冠を取得する順番について見てみます。

なお、この中でも宅建は最も汎用性・知名度が高いため、どのような場合であっても一番最初に受験することをおすすめしています。

試験日順に受験することで最短で全取得を目指すパターン

4つの資格を取得するとなると、まず最初に「試験日順に受けることで最短期間で全取得を目指す」パターンが考えられます。

不動産四冠資格の試験日は、例年以下のとおりとなっています。

試験種試験日
宅建10月の第3日曜日
賃貸不動産経営管理士11月第3日曜日
マンション管理士11月の最終日曜日
管理業務主任者12月上旬の日曜日

※こちらはあくまで例年の傾向であり、変動する可能性があることに注意してください。

例年通りの場合、最短で全ての資格を取得しようとなると、

宅建→賃貸不動産経営管理士→マンション管理士→管理業務主任者

の順に取得することになりますね。

なお受験申込期間などは各試験によって異なります。

遅い日程の試験でより早く申込受付が終了する場合もありますので気をつけてください。

詳しい情報は各資格HPや弊社コラムなどで確認することをおすすめします。

マンション管理士の5問免除を用いるパターン

マンション管理士試験は全50問が出題されますが、特定の条件を満たすとその内5問が免除される仕組みになっています。

そしてその条件の一つとしては「管理業務主任者試験に合格すること」というのがあります。

マンション管理士試験は四冠資格の中でも合格に要する時間が最も長いとされるなど、特に難易度が高いとされる試験です。

しかしこうした免除制度を利用することで、少しでも合格の可能性を高めることができるでしょう。

この場合は不動産関係の資格で最も汎用性や知名度が高いとされる宅建を最初とした上で、

①次に比較的難易度が低く簡単に取得できると考えられる賃貸不動産経営管理士を目指し、その次に管理業務主任者とマンション管理士の合格を狙うパターン

宅建→賃貸不動産経営管理士→管理業務主任者→マンション管理士

②もしくは比較的難易度が低く国家資格としての歴史も浅い賃貸不動産経営管理士を最後にするパターン

宅建→管理業務主任者→マンション管理士→賃貸不動産経営管理士

などの順番が考えられるでしょう。

不動産管理業務を行う実務者向けのパターン

すでに実務として不動産管理業務などを行なっている場合、より直接的に役立つ資格は「管理業務主任者」だと考えられます。

一方で、いずれにしても宅建は不動産関係の資格の中で汎用性・知名度が高いので「まず宅建を取得するのがおすすめ」ということに変わりはありません。

そのため宅建を最優先、次点で管理業務主任者だと考える場合、

宅建→管理業務主任者→マンション管理士もしくは賃貸不動産経営管理士

といった順番もおすすめです。

不動産資格四冠の難易度は?:勉強時間を元に検討

不動産資格四冠は、どれが最も難易度が高いのでしょうか?

一概にこれが一番とは決められないので、今回は勉強時間を元にして検討してみたいと思います。

1位 マンション管理士:500時間以上

マンション管理士試験は合格までに必要な勉強時間が大体500時間以上と、他と比べて頭一つ抜けています。

勉強時間から考えても、この中で最も難易度が高いといえるでしょう。

2位 宅建:300~400時間

次に勉強時間が多いのが宅建で300~400時間ほど。管理業務主任者と比べると少し難易度は高いかもしれません。

3位 管理業務主任者:約300時間

管理業務主任者は合格までに300時間が必要とされています。

ただし宅建やマンション管理士など、関連資格をすでに保有しているのであれば勉強時間はさらに少なくなりそうです。

4位 賃貸不動産経営管理士:100時間

賃貸不動産経営管理士はこの中で最も合格までに必要な勉強時間が短く、大体100時間程度だとされています。

四冠の中では一番難易度が低い資格だといえそうです。

独学が難しければ予備校の検討も!

四冠の中で最も難易度が高いとされるマンション管理士試験は合格までに必要な勉強時間が500時間以上と、かなり長期にわたって学習を続ける必要があります

ただ忙しい方は、なかなか学習時間が取れないということもあるかと思います。

毎日2時間程度の試験勉強を続けた場合、学習期間は8ヶ月以上にわたるでしょう。

独学だと効率も上がらず、学習を続けることが難しい場面もあるのではないでしょうか。

勉強中に独学での合格が難しいと感じたら、予備校の講座を活用するのも一つの手です。

アガルートでは今回ご紹介した不動産四冠資格

に関して、講座を提供しています。

オンライン講座で場所や時間を選ばないため、忙しい社会人の方にもおすすめの講座です。

不動産四冠資格の取得を目指すのなら、まずはアガルートでの受講を検討してみてはいかがでしょうか?

また、今回紹介した四冠資格以外にも不動産に関連する資格は多数存在します。

そうした資格については以下のコラムでまとめていますのであわせてご覧ください!

※関連コラム:不動産業界で役立つおすすめ資格9選を一覧で紹介!

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