【国家総合職】教養区分とは?試験内容・難易度・試験対策
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「教養区分という名前は聞いたことあるけど、どんな試験なの?」
「他の公務員試験とはどう違うの?」
そんな疑問をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
公務員試験は種類がたくさんあって複雑で、どれを受験すると良いのか分かりづらいですよね。
今回は、国家総合職教養区分とはどんな試験なのか、受験することでどういうメリットがあるのかなど、国家総合職教養区分の概要についてわかりやすく解説していきます。
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公務員試験総合職の教養区分とは?
国家公務員総合職の教養区分とは、専攻分野にとらわれない広範な見識を有する学生や外国の大学の卒業者など多様な有為の人材確保に資するよう、企画立案に係る基礎的な能力の検証を重視した試験区分です。
※引用:総合職試験(大卒程度試験)教養区分|国家公務員試験採用情報NAVI
国家総合職の試験区分は、主に院卒者向けの「院卒者区分」と大卒者向け「大卒程度区分」の大きく2つに分けられます。
教養区分は大卒程度区分の1つですが、大学院生の方も受験することができます。
教養区分を他の大卒程度区分と比較したとき、
- 受験できるタイミング
- 試験内容
の2つの点があります。
それぞれ説明していきましょう。
※関連コラム:国家公務員総合職とは?春試験・秋試験の内容と気になる疑問を講師が解説!
令和6年度(2024年度)国家総合職(院卒者・大卒程度)試験日程
概要 | 日程 |
---|---|
申込受付期間 | 2024年2月5日(月)~2024年2月26日(月) |
第1次試験日 | 2024年3月17日(日) |
第1次試験合格者発表日 | 2024年4月1日(月)9:00 |
第2次試験日 筆記 | 2024年4月14日(日) |
第2次試験日 政策課題討議・人物 | 院卒者:4月30日(火)~5月15日(水) 大卒程度:4月22日(月)~5月15日(水) |
最終合格者発表日 | 2024年5月28日(火)16:00 |
「教養区分」の受験ができるタイミング
教養区分の特徴1つ目、受験できるタイミングが教養区分と他の大卒程度区分では大きく異なります。
まず、試験の実施時期が教養区分は秋(9月末〜11月ごろ)なのに対し、他の大卒程度区分は春(令和5年度より4月上旬、6年度より3月下旬に前倒し予定)です。
次に、受験資格が、教養区分は20歳(令和5年度より19歳に引き下げ予定)から受験できるのに対し、他の大卒程度区分は21歳からになっています。
すなわち、教養区分の方が他の大卒程度区分よりも早いタイミングで受験できるのです。
具体的なケースで考えてみましょう。
大学3年生の秋から受験が可能
大学在学中の場合だと、他の区分では4年生の春まで受験できない場合でも、教養区分は3年生の秋受験することが可能です。
浪人や留年休学をしている場合は2年生の秋でも可能。
令和5年度からは、現役入学した学生でも2年生から受験可能。
さらに、秋の教養区分と春の他の区分は併願可能なので、仮に教養区分に挑戦し不合格になってしまっても、翌年の春に他の区分で再チャレンジすることが可能になります。
このように、先に教養区分を受験することで、国家総合職試験に合格するチャンスを増やすことができるのです。
また、3年生の秋の時点で試験に合格しておくことで、4年時の官庁訪問開始までの間は、試験のことを気にせず民間就活に注力することができます。
国家公務員だけでなく民間企業を併願したいという方には魅力的ですよね。
民間企業との併願の点で、就活を控える大学3年生以下の方にとって教養区分の受験が大きなメリットになることがわかりました。
大学4年生の秋からでも受験が可能
では、大学4年生の方はどうでしょうか?
実は教養区分は、大学4年生の方にとってもメリットがあるんです。
教養区分を4年生の秋に受験し合格した場合、その直後に教養区分合格者のみを対象に実施される「官庁訪問」で内定獲得をすることで、翌年の春から国家公務員として働き始めることができます。
つまり、4年生の夏までの就職活動を通じて「やっぱり国家公務員に興味が出てきた」という場合でも、秋に教養区分を受験することで、就職時期を遅らせることなく国家公務員として働くことができます(もちろん、夏の官庁訪問に比べ、採用枠はかなり狭いですが…)。
このように、教養区分は他の大卒程度区分と受験できるタイミングが異なることによって様々なメリットがあります。
教養区分の試験内容
教養区分の特徴2つ目、試験内容が教養区分と他の大卒程度区分では異なります。
他の区分では、「法律」「経済」など、試験区分ごとに専門的な知識が必要とされます。
一方、教養区分の場合、詳しい試験内容は後ほど詳しく説明しますが、受験する上で専門的な知識は必要とされていません。
他の区分で必要とされる専門的な知識については、予備校等を利用することで学習することができますが、専門性ゆえに習得までそれなりの時間が必要です。
教養区分ではそうした専門的な知識は必要無く、文字通り「教養」としての知識で十分なため、大学入試時に相応の勉強量をこなし共通テストで高得点を得てきた人ならば、短い準備期間でも十分に合格を目指すことができるというメリットがあります(ただし、問題の難易度は春試験と変わらない上に、専門科目が試験に課されていない分、合格レベルは春試験に比べ当然高くなります)。
以上をまとめると、教養区分を受験することで、
- 国家総合職試験に合格するチャンスを増やせる
- 民間企業と併願しやすくなる
- 4年生は就職の時期を遅らせずに済む
- 短い準備期間でも合格を目指せる
というメリットがあることがわかりました。
教養区分の難易度・倍率
令和5年度の国家公務員総合職(教養区分)の倍率は、9.5倍でした。教養区分の難易度は、他の試験結果と比較すると、難易度が高いことが分かります。
年度 | 受験者数 | 一次合格者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
令和5年度 | 2,531 | 621 | 423 | 9.5倍 |
令和4年度 | 1,884 | 416 | 255 | 7.4倍 |
令和3年度 | 1,973 | 315 | 214 | 9.4倍 |
区分 | 受験者数 | 一次合格者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
政治・国際 | 993 | 415 | 320 | 6.2倍 |
法律 | 6,363 | 825 | 352 | 22.3倍 |
経済 | 1,071 | 813 | 142 | 7.5倍 |
教養区分とはどんな試験?
教養区分は、既に述べたように、専門科目がないためにとっつきやすい一方、難関とされる試験です。
2023年度の国家公務員総合職(教養区分)の結果は、申込者数2,531人に対し最終合格者数423人の倍率9.5倍と非常に競争率が高くなっています。
では、教養区分はどのような試験内容になっているのでしょうか?
一次試験と二次試験に分かれています。
一次試験は「基礎能力試験Ⅰ部」「基礎能力試験Ⅱ部」「総合論文試験」
二次試験は「企画提案試験」「政策課題討議試験」「人物試験」
から成ります。
一次試験に合格しなければ二次試験に進むことができませんが、総合論文試験は一次試験の合否判定に用いられず、合否判定は基礎能力試験Ⅰ部とⅡ部の得点のみで行われます。
総合論文試験の得点は、二次試験に進んで初めて合否判定に用いられるのです。
といっても、配点比率は全試験科目中最も高いので、準備不足で試験に臨むと、いくら2次試験対策をしっかりやっても、最終合格できなくなりますので、注意してくださいね。
また、これらの試験とは別に、TOEICやTOEFLなど外部英語試験の結果に応じて別途15点〜25点の加点を受け、合否判定に用いることができます。
一次試験の内容と対策
基礎能力試験Ⅰ部とⅡ部は、どちらのマークシート式の試験です。
Ⅰ部では「文章理解」分野から8題、「判断・数的推理(資料解釈を含む。)」分野から16題を、試験時間2時間で解きます。
Ⅱ部では「自然科学」「人文科学」「社会科学(時事を含む。)」の分野から各10題の計30題を、試験時間1時間30分で解きます。
総合論文試験は、与えられた課題に従い、試験時間4時間で小論文を作成する試験です。
課題は2問出題され、1つは「政策の企画立案の基礎となる教養・哲学的な考え方に関するもの」、もう1つは「具体的な政策課題に関するもの」となります。
既に述べたように、一次試験は、2つの基礎能力試験の合計点で決まります。
※ただし、Ⅰ部の方が傾斜配点が高くなります
年によって変動はありますが、一次試験合格の目安としては最低でも6割強、安心して2次試験対策に臨むためにも、できれば6割5分を目標にしましょう。
二次試験の内容と対策
二次試験は「企画提案試験」「政策課題討議試験」「人物試験」の3つから構成されますが、このうち、企画提案試験については、令和4年度試験から内容が一部変更となりました。
一次試験合格者が受験できる二次試験は、2022年度は二次試験受験者数391人に対して最終合格者数255人の倍率1.5倍と、表面上の倍率はさほど高くありません。
もっとも、過酷な一次試験を通過した人ですので、我が国を代表する大学の学生ばかりです。
それに、二次試験受験者数315人というのは、あくまで全ての試験科目を受験した人数ですので、途中で諦めた学生も含めた一次試験合格者数329人を分母として考えるべきでしょう。
そうした精鋭ばかりの集団の中で、3人に1人は不合格となってしまうのですから、相当な準備をして臨まないといけない試験であることは確かです。
企画提案試験
企画提案試験は、従来は、小論文作成とプレゼンテーション・質疑応答を組み合わせた試験でしたが、令和4年度から、小論文作成がプレゼンテーションシート作成へと変更されることになりました。
まず、与えられた課題と資料に基づき、課題の解決策となる政策を企画し、A4両面1枚に1時間30分以内で箇条書きや図表など自由な形式で、政策の内容をわかりやすくまとめます。
その後、個室で試験官に対し企画した政策を5分間でプレゼンし、試験官と20分程度の質疑応答を行います。
関連記事:【公務員試験】国家総合職の企画提案試験とは?内容や対策法を解説!
政策課題討議試験
政策課題討議試験は、グループディスカッションが中心となる試験です。
まず、与えられた政策課題について、自身の考えをまとめたレジュメを20分で作成します。
その後、6人以内のグループでレジュメに基づきグループディスカッションを行います。
グループディスカッションの時間は、個々のレジュメ報告時間等も含め、概ね1時間30分程度です。
関連記事:【公務員試験】国家総合職の政策課題討議とは?内容や対策法を講師が解説!
人物試験
人物試験は、面接試験です。
事前に「面接カード」というエントリーシートのようなものを作成しておき、当日は面接カードに基づき20分程度の面接を行います。
関連記事:国家総合職の人物試験(人事院面接)とは?内容、質問例、評価等を解説!
合格から採用まで
教養区分に合格すると、直ちに国家公務員になれるのでしょうか?
実はそうではありません。
冒頭でも少し述べましたが、国家公務員試験の場合、試験合格後に別途実施される「官庁訪問」を行い、そこで省庁に採用されることで、はじめて国家公務員になることができるのです。
官庁訪問とは、例年6〜7月頃に行われる、国家公務員試験合格者を対象として省庁が行う採用活動です(教養区分合格者のみを対象に、12月にも官庁訪問が行われるが、採用数はかなり少ない)。
合格者は期間中に志望省庁を訪問し面接を繰り返し、採用内定を得ます。
採用にあたっては、省庁によって試験区分ごとの採用予定人数を設けています。
教養区分は殆どの省庁で採用予定があるだけでなく、現在では法律区分と並び最大の採用数を誇る試験区分となっており、多様な選択肢の中から希望省庁を選ぶことができます。
省庁に採用された後は、いよいよ国家総合職の公務員として働き始めることになります。
採用後の配属等は各省庁によって異なりますが、基本的には特定の職務に従事するのでは無く、様々な部局間を異動しつつ経験を積みながら、国の政策の企画立案に携わることになります。
関連記事:【公務員】国家総合職の官庁訪問とは?面接内容・スケジュール・対策法を解説
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