【公務員試験】国家総合職の政策課題討議とは?内容や対策法を講師が解説!
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近年、公務員試験は人物重視に転換しています。
国家公務員総合職も例外ではないのですが、多くの受験生は、筆記試験に比べ、コミュニケーション能力を軽視する傾向にあります。
特に、集団コミュニケーション能力の有無をみる政策課題討議試験については、体験する機会が少ないこともあり、ほぼ無対策で臨む受験生が多いようです。
しかし、官庁訪問において、政策課題討議によく似たグループディスカッションを課す省庁もあるので、今のうちにしっかり準備をしておきましょう。
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政策課題討議とは?

政策課題討議試験とは「課題に対するグループ討議によるプレゼンテーション能力やコミュニケーション力などについての試験」(受験案内)であり、院卒区分および教養区分の2次試験の1科目であります。
特に、院卒区分の場合、「課題に関する資料の中に英文によるものを含む」と明記されています。
配点は、院卒区分が2/15、教養区分が4/24と、どちらも、試験全体に占める配点比重はあまり高くありません。
しかし、民間就活もそうですが現在の官庁訪問において、グループディスカッション(集団討論)を導入している省庁が増加しているため、配点比重とは関係なく、政策課題討議対策の重要性は高まっているといえます。
政策課題討議は集団討論(グループディスカッション)とどう違う?
政策課題討議はグループディスカッション(集団討論)の一種です。
厳密な定義があるわけではありませんが、政策課題討議試験は参加者全員がレジュメを作成したうえで討議に臨むのに対し、グループディスカッションは、お題目が与えられ(例えば、2026年の官庁訪問において、某省では「消費税を増税すべきか」というテーマでグループディスカッションが行われました)、少し考える時間を設けた後に討議を行うのが一般的なスタイルです。
いわば、グループディスカッションよりも、さまざまな視点から参加者の評価を行うのが政策課題討議だと思ってください。
それゆえ、討議のみならず全員のレジュメの内容にも注意を払わないといけない分、政策課題討議の方が疲労度が大きなものとなります。
政策課題討議の内容
政策課題討議は試験である以上、グループディスカッションよりもきちんとルール化されていますが、教養区分と院卒区分で若干やり方が異なっています。
<教養区分>6人1組のグループを基本として実施
レジュメ作成(20分)→個別発表(1人当たり3分)→グループ討議(45分)→討議を踏まえて考えたことを個別発表(1人当たり2分)(おおよそ2時間)
<院卒区分>6人1組のグループを基本として実施
レジュメ作成(25分)→個別発表(1人当たり3分)→グループ討議(30分)→討議を踏まえて考えたことを個別発表(1人当たり2分)(おおよそ1.5時間)
時間配分および配点比重の違いから、教養区分の方が相対的に政策課題討議を重視しているように思われます。
当日の流れ
試験当日の流れは下記の通りです。
①60人ほどの受験生が一度に集められ、課題についてレジュメを作成する。
②時間になったら、問題・資料含めすべて回収される。
~休憩(10分間)~
※近年は休憩なしですぐに討議が開始されることが多いので、トイレ休憩等が必要な方は、近くの試験官にすぐに言いましょう。
③筆記用具のみをもって(その他の荷物は控室に置いたまま)、討議会場へ移動。座席が三角形の形に配置され、各辺に2名、計6名1グループがつくられ(下図参照)、6人分のレジュメコピーが全員に配布される。

④先に作成したレジュメ内容に従い、個別発表。他メンバーは発表者のレジュメを見ながら話を聞く。
⑤発表後、ホチキス留めされた他の人のレジュメを読む(5分間)。
⑥グループ討議開始(評価者は、三角形の各頂点に1名の計3名、他に監督官、時計係各1名。)
<注>討議中は、メンバー同士は番号(例えば、61番さん、というように)で呼称し合う
⑦討議終了後、各自で考えをまとめる(5分間)。
⑧討議を踏まえて、最終の個別発表
結構面倒だなと思った方も多いかと思いますが、この後に人事院面接(15~20分程度)があるので、当日はかなりのハードスケジュールになります。
ちなみに、教養区分の場合、前日に企画提案試験があるので、院卒区分に比べかなりきついです!
政策課題討議のテーマと傾向
政策課題討議試験は、他の試験科目とは異なり、課題用紙、資料等の持ち帰りは一切できません。
そのため、これから紹介する過去の出題テーマは、すべて受験者からの情報提供に基づくものであるため、100%正確とは限りません。
また、試験会場に召集される日によっても、テーマは異なります。
過去の出題テーマ例
2025年度の院卒区分、教養区分における出題テーマは下記の通りです。
| 院卒 | 青少年のSNS利用の是非について A:青少年のSNSを法律で禁止すべきだ B:青少年のSNSを法律で禁止すべきでない |
| ・資料1:こども家庭庁のホームページか白書か何かで政府の方針をまとめたもの。 家庭でのSNS教育について親が子供のSNSに対してどう対応していくのが良いか、フィルタリング機能等の記載あり。 ・資料2:『青少年ネット保護、日本も議論開始 SNS対応に各国苦慮』(日本経済新聞 2024年11月25日) ・資料3:SNSを青少年がすると視力低下や睡眠不足などにつながるのでは? ・資料4:SNSは子供のコミュニケーション不足や教育力の低下につながるのではみたいな記事 またSNSの禁止は教育力の低下につながるとの記載も それと禁止するよりも学校でのSNSの危険性教育の方が大事なのではとの専門家の記載 ・資料5:オーストラリアで青少年のSNSが禁止された記事 教育ツールのユーチューブのみ撤廃しなかった また年齢制限をどう処理するか疑問であるについても記載あり |
| 教養前半組 | 登山で救助した方に対して、救助費用を負担させるべきか、負担させないべきか |
| ・資料1:救助を呼んだ数の推移(20年程度) ・資料2:負担をさせる場合の公平性についての資料(海難事故は無償であり、警察によるヘリの要請等から、山岳救助に費用を課すのはどうか。外国では山岳救助は有料である等) ・資料3:負担に対する各々の意見(埼玉県は一部救助を有料化している、そもそも救助は自業自得である、なんでも無償化にしては税源圧迫、救助費用を負担させることで、事故の抑止になる、税金は払っているし行政サービスなんだから無償であるべき等) ・資料4:法的な観点から、税負担への合理性があるかについての資料(条例及び法律レベルで制定しないと合理性に欠ける、税金の用途や負担額等の基準を予め設定すべき等) | |
| 教養後半組 | 現在の就学義務制度は、学校教育法1条校を対象としている。 インターナショナルスクールやフリースクールは認められないが、一部の地方自治体では認められている例もある。 不登校などで学校に行かない児童も増加しており、現行制度が形骸化しているとの指摘もある。 そのような状況を踏まえ、以下の立場に近いものを選びなさい。レジュメ作成にあたってはその理由を述べなさい。 A: 就学義務制度の廃止も視野に入れて見直す B: 現行制度を維持する なお、討議では児童の学びの保障をどのように確保していくのかについても触れなさい。 |
| ・資料1:学校教育法の一部(第1条「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」、18条 「病気などで保護者が罰則を受けない」など) ・資料2:大学教授の指摘 教育や安全面その他の質を担保するために現行法は非常に重要である。 文科省はフリースクールの増設?認定?の支援をしているが根本的な改善が必要である。 ・資料3:ドイツは教育について厳しい。WW2の反省から全体主義を防ぐ教育を徹底。 そのため、ドイツからは日本の教育は「リベラル」であるという評価を受けている ・資料4:インターナショナルスクールの人気の高まり + 通わせている保護者の声「英語をどんどん学ばせたい」 ・資料5:不登校生徒数の増加(30万人)およびフリースクールの事例・講師へのインタビュー 授業をやるだけではなく個性を伸ばすための指導をしている |
政策課題討議テーマの傾向
政策課題討議試験は、学部生・院生あるいは文系・理系問わず全ての1次試験合格者が受験するものなので、専攻の違いによって有利・不利が生じないよう、誰もが考えることができ、かつ発言することができるようなテーマがほとんどです。
テーマ自体はシンプルですが、複数の資料が必ず用意されています。また、討議がメインの試験なので、いずれのテーマに対しても賛成・反対いずれの立場にあるかはっきり明示させる必要があります。
さらに、討議開始に際しては、次のことを試験官より口頭で必ず強調されます。
『討議においてはある程度一定のグループの方針が出るように努めなさい。ただし、必ずしも意見の一致を求めるものではありません』『司会役をたてる等、議論方法は自由ですが、他者に役割を課すことは禁じます』
2025年教養区分を受験したある受講生(前半組)は次のような体験談を寄せてくれました。
「私のチームは5名で、(救助費用を)負担すべきが3名、負担すべきではないが2名だった。心がけたことは、予備校の模擬討議で行ったように、「まず政策について疑問点出しませんか」と一番最初に発言した。この発言が功を奏して、全体の発言量と取りまとめ、喋れてない人にうまく発言機会を回すことができた。(チームの発言力によってかなり評価が変わると感じた。)予備校の模擬討議と同様の運営を行なった。立場の違いは置いといて、施策や意見に共通点、一定の方向性を見出し、具体的に落とし込んでいった。チームに恵まれたこともあったが、みんな評価が高そうだと感じた。」
それゆえ、出題傾向を分析することは確かに大事ですが、詳細な分析に拘るよりも、終始滞りなく討議ができ、そして一定の方向性を持った結論が導き出せることが、この科目では求められています。
その際、オリジナリティ溢れる意見が要求されているわけではないので、自分だけ目立とうとか、変な欲は出さず、全体に目配せできるようにしましょう。
討議で評価されやすいレジュメの作り方
資料の分量に対して、レジュメの作成時間が短いので、簡潔かつわかりやすくまとめる必要があります(他のメンバーも見るものなので、レジュメ作成力が評価の大きなウェイトを占めると考えたほうがいい)。
他のメンバーからも参照されるレジュメを目指す
政策課題討議試験は、資料の分量に比して、レジュメの作成時間が短いので、どうしても急いで作成しがちになりますが、他のメンバーも見るものなので、ビジュアル(といっても凝ったものにする必要はない)にも注力しましょう。
少なくとも、次の3点は意識してください。
- 濃い鉛筆を使う。既に述べたように、討議に際して、コピーが全員にわたります。薄いと当然読みにくくなるので、それだけでレジュメの印象が悪くなります。
- 長文は避け、大見出し、小見出しを活用することで、見やすさを重視する。その際、詳細については口頭での説明にする習慣を身に付けましょう。
- 冒頭で、自分の立場を明確にする。政策課題討議は二者択一を迫る設定になっており、中間的立場は認められていません。
レジュメに書く内容の型
政策課題討議試験は資料を熟読するだけでレジュメ作成時間を全て使い果たしかねないので、テーマが何であっても通用するレジュメの雛型を自分で決めて、そのスタイルを習得するために、予備校等の模擬討議の場で、雛型を繰り返し踏襲してみましょう。
例えば、こういう雛型はどうでしょうか。
- テーマに対する自分の立場(賛成・反対またはA・Bなど)
- 現状
- 現状から見えてくる課題
- 自分の立場を推進するための施策
こうした雛型を前以て決めておけば、当日は資料読解とレジュメ作成が同時並行でできるかと思います。
政策課題討議の対策法
レジュメについては既に述べましたので、ここではⅡ部(プレゼン+討議)対策について説明します。
- 決められた時間いっぱい討議をおこない、一定の方向性をもった結論を導く
- 全体を俯瞰的に見た上での発言を心掛ける
- 同じ人間とばかり討議をしない
- 賛成・反対の自分の立場をはっきりさせる
決められた時間いっぱい討議をおこない、一定の方向性をもった結論を導く
特に教養区分の場合、討議時間は45分ありますので、いろいろな引出しを持っていないと時間が余ってしまいます。
私ならば、討議前の5分間で各メンバーのレジュメに対する質問をなるべく多く用意します。
また、ディベートではないので、無理にグループの見解を統一しないかわりに、双方の立場への理解を深めることを目標にしましょう。
全体を俯瞰的に見た上での発言を心掛ける
試験である以上、どうしても印象に残る発言をしたがる人が出てきますが、討議は決して、オリジナリティあふれる意見を要求しているわけではありません。
それゆえ、自分だけ目立とうとか、変な欲は出さず、むしろ全体に目配せできることが大事といえます。
同じ人間とばかり討議をしない
模擬討議を体験すれば分かりますが、気が付いたら同じ人とばかり討議をしていて、討議から脱落してしまう人もいます。
脱落した人の評価は当然芳しいものではなくなりますが、では脱落者を置いてきぼりにした皆さんはどうでしょうか。
そんな討議を熟議とよぶことは到底できないでしょう。「脱落者を出さない」ことを目標にすることを私は奨めます。
賛成・反対の自分の立場をはっきりさせる
政策課題討議は、毎年、テーマについて賛成・反対(またはAかBか)いずれの立場にあるかを受験生に要求します。
ところが、毎年、模擬討議をやると「総論賛成、各論反対」「AよりのB」というように、どっちつかずの立場を表明する人が出てきます。
でも、試験である以上、それでは評価はされませんので、中間みたいな立場になるのはやめましょう。
政策課題討議の対策には「国家総合職の政策課題討議対策講座」がおすすめ!
本講座では、25年以上国家総合職を指導してきた池田講師が過去の政策課題討議のテーマや高評価を受けた受講生の体験談を分析し、試験の実態を明らかにします。
本番と同じ流れで模擬討議を実施し、終了後には講師から個別に講評とアドバイスを受けられる実践的な構成です。
レジュメ作成・個別発表・グループ討議それぞれの局面で必要な思考力と実践力が身につき、本番での高評価獲得を目指せるでしょう。
まとめ
- 政策課題討議試験とは「課題に対するグループ討議によるプレゼンテーション能力やコミュニケーション力などについての試験」(受験案内)であり、試験全体に占める配点比重はあまり高くないものの、現在の官庁訪問において、グループディスカッション(集団討論)を導入している省庁が増加しているため、十分な対策が求められる。
- 試験とはいえ、レジュメ作成のみならず討議全体が評価対象なので、決められた時間いっぱい討議をおこない、グループ全体で一定の方向性をもった結論を導くことに努める。
このコラムでは、受験生の皆さんが知りたい情報を余すところなく提供しましたが、政策課題討議は他の受験生も一緒に行いますので、何よりも実践が大事です。
くれぐれも、コラムを読んだだけで、理解したつもりにはならないでくださいね。
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この記事の著者
池田 俊明講師 (講師紹介はこちら)
金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
CIMAアカデミー・シニアパートナー
(兼)東洋大学経済学部,昭和女子大学全学共通教育センター非常勤講師
1992年 金沢大学 経済学部卒業
1994年 金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了
2001年 金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
2001年 大手資格試験予備校専任講師として国家一種経済職(現・国家公務員総合職経済区分)試験向け講座およびゼミを担当。
在職中、公認会計士、不動産鑑定士、証券アナリスト、中小企業診断士試験向け講座の講義も担当(いずれも経済学)
2013年 国家公務員総合職試験対策に特化したCIMAアカデミーを立ち上げ,官僚志望者への受験指導を開始
2016年 アガルートアカデミー公務員試験対策講座を担当。
25年以上にわたり、数多くの受験生をキャリア官僚として、霞ケ関へ送り込んだ国家公務員総合職のエキスパート。
また、現職の大学の経済学教員でもあり、試験科目として経済学が課される全ての資格試験の出題傾向に精通している。
国家公務員総合職経済区分試験向け講座の講師を担当。
ごあいさつ
このコラムでは、国家公務員総合職を目指す人々に正しく、そして役立つ情報を提供します。
夢の実現に向けて頑張るみなさんには、出所不明な噂に惑わされることなく、最も信頼できる心の拠り所として、このコラムを活用していただければ幸いです。
池田 俊明講師の紹介はこちら