【公務員試験】国家総合職の政策論文・総合論文とは?試験内容・答案の作成法を解説
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院卒者を除く国家総合職試験では、資料読解および文章作成能力を問う論文試験が課されています(大卒者試験では「政策論文」、教養区分試験では「総合論文」と呼称されています)。
配点がそれほど高くないこともあってか、多くの受験生は他の筆記試験と異なり、政策論文・総合論文に対してはほとんど準備もせず臨んでいるようです。
しかし、総合職試験は、1つでも基準点を下回る科目があればその時点で不合格となりますし、教養区分受験者の場合、総合論文の対策を怠ると最重要科目である企画提案試験に大きく響きますので手を抜くことは許されません。
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国家総合職の政策論文・総合論文とはどのような試験?

政策論文試験とは「政策の企画立案に必要な能力その他総合的な判断力及び思考力についての筆記試験」で、大卒者試験の2次試験で課されます。
一方、総合論文試験とは「幅広い教養や専門的知識を土台とした総合的な判断力、思考力についての筆記試験」で、教養区分の1次試験で課されます(ただし、得点は1次試験ではなく、最終合格時に加算される)。
表現には微妙な違いがありますが、どちらの試験も、6~7ページにも及ぶ複数の資料(英文も含む)を読んだ上で、文系・理系の枠に囚われない複合的なテーマに関する行政官の役割について、自分の見解を論じさせることに違いはありません。
試験時間は2時間(総合論文は2.5時間)で、答案用紙1枚(両面)に1,500~1,600字程度の論文を作成しますので、論文作成能力に加え、資料読解能力も要求される相当難易度の高い試験です。
また、試験委員は毎年3名で、政策論文・総合論文ともに共通です。専門試験に比べ、試験委員の変更が試験問題に大きく影響することはありませんが、毎年2月最初の官報で国家公務員試験委員が公表されるので、時期が来たら確認しましょう。
政策論文・総合論文が出題されるタイミング
既に述べたように、政策論文試験は大卒者試験の2次試験、一方、総合論文試験は教養区分の1次試験で課されます。
ただし、教養区分の場合、論文の得点は1次試験の合否には用いられず、最終合格時に加算されます。
政策論文が出題されるタイミング
政策論文は2次試験の1科目であるため、大卒者試験受験者は政策論文対策を後回しにしがちですが、そもそも論文は短期間でモノになる代物ではないので、教養区分同様、早期から対策を立てておくことをおススメします。
ちなみに、院卒者試験では、政策論文の代わりに、政策課題討議試験が課されます。
総合論文が出題されるタイミング
総合論文試験は教養区分の1次試験で課されますが、論文の得点は1次試験の合否には用いられず、最終合格時に加算されます。
すなわち、基礎能力試験の出来が悪いと、せっかく書いた論文も採点されることすらなくなってしまいますので、1次試験対策のバランスに注意してください。
政策論文・総合論文の配点と足切りライン
政策論文・総合論文は、モノになるまでにかなりの期間を要する割に、全体の配点比率としてはいずれもそれほど大きくありません(特に政策論文)。
しかし、他の試験科目と同様、基準点(10点満点の4点)を下回ると不合格になりますので、本気で総合職最終合格を目指すのならば、早めの対策が欠かせません。
政策論文の配点
政策論文の配点比率は2/15と、それほど大きくありません。
しかし、他の試験科目と同様、基準点(10点満点の4点)が設けられており、これを下回ると不合格になります。
ちなみに、例年の平均点をみると6点前後、標準偏差は1.5前後ですので、受験者間の点差は比較的小さいといえます。
総合論文の配点
総合論文の配点比率は6/24と、企画提案試験と並んで教養区分の試験科目中最も大きなものとなっています。
しかし、1次試験の合否に全く反映されないことから、同じ配点比率である企画提案試験に比べ、十分な試験対策をする受験生は少ないのが現状です。
ちなみに、2026年春試験の平均点をみると6点前後、標準偏差は1.5前後ですので、受験者間の点差は比較的小さいといえます。
配点が低くても対策を早める理由
政策論文・総合論文は、モノになるまでにかなりの期間を要する割に、全体の配点比率としてはいずれもそれほど大きくありません(実は、総合論文も試験軽量化に伴い、2025年までと比較すると、配点比率が低下しています)。
加えて、既に述べたように、総合論文は1次試験の合否には一切影響しないことから、多くの受験生は論文試験をさほど重要視していないのが現状です。
しかし、他の試験科目と同様、基準点(いわゆる「足切り」で、10点満点の4点)を下回ると不合格になりますので、本気で総合職最終合格を目指すのならば、配点比重とは関係なく早めの対策が欠かせません。
むしろ、戦略的に試験対策をしたいのならば、1次試験で課せられる基礎能力試験のほうが適しています。
6割強の得点率があれば確実に1次試験は通過でき、しかも配点比重の関係上、高得点者との点差は大幅圧縮されるだけでなく、2次試験の出来次第でいくらでも逆転できます。
国家総合職論文の出題傾向と過去問
国家総合職の論文試験は出題テーマこそ毎年変わるものの、「6~7ページにも及ぶ複数の資料(英文も含む)を読んだ上で、出題テーマに関する行政官の役割について、自分の見解を論じる」という出題形式は変わりありません。
それゆえ、過去問演習及び充実した添削こそが合格のための最短経路となります。
出題傾向の特徴
政策論文・総合論文の試験委員(3名)は共通です。
毎年一部交代していますが、⑴科学技術社会論、⑵日本政治・官僚制、⑶経営・ビジネス分野に纏わる諸課題、を専門分野とする研究者が試験委員に就任する構図は昔から変わらず、これら3分野が参考資料の内容に多少なりとも反映されます。
とはいえ、試験委員の著作が参考資料に用いられることはありませんので、専門試験に比べ、試験委員の専門分野の違いが試験問題に大きく影響することはありません。
試験委員が気になる方は、毎年2月最初の「官報」であらゆる国家公務員の試験委員が公表されるので、時期が来たら各自確認しましょう。
なお、近年の出題傾向としては、「政策形成のあり方」「デジタル・AI」「多様性社会」「少子化」など社会・時事的問題の中でも注目を浴びるテーマから出題され、そのテーマに関連する複数の長文参考資料の要約ならびにそれらに基づく行政のあり方が頻出パターンです。
過去の出題例
論文試験で使用される参考資料については、著作権の都合上、ここでは割愛しますが、設問をみることで、この試験における作法が自ずと見えてきます。
最近2年間の本試験の設問部分を紹介します。
(政策論文)
『地球温暖化への対応は地球規模で取り組むべき喫緊の課題であるが、日常生活ではその危機感を持ちにくく国民の行動変容が起こりにくいと考えられる。次の資料1 と2 の内容をそれぞれ簡潔にまとめた上で、資料3 の内容を参照しつつ、地球温暖化に対する政策を効果的に進めるために、行政は国民の行動変容をどのように促していくべきか、あなたの考えを論じなさい。』(2025年)
『政策の決定において科学的な根拠は欠かせないものの、そこには一定の不確実性が伴う。政策決定に影響を及ぼす要因は多次元的・複合的であることから、根拠自体を評価し、政策としての合理性を判断する必要がある。我が国でエビデンスに基づく政策立案(Evidence-Based Policy Making:EBPM)が推進されてから約10 年が経過し、これまでのEBPM を振り返るとともに、今後の展開に向けての議論がなされている。次の資料1 ~ 3(資料3 の表を除く)を簡潔にまとめた上で、政策の企画と実施のプロセスにおいて、行政官はどのような役割を果たすべきか、具体的な政策を例に挙げて、あなたの考えを論じなさい。』 (2026年)
(総合論文)
『古今東西、技術革新(テクノロジーの発達)は人類に利益をもたらしてきた。しかし、同時に格差の拡大等の逆説的な帰結も指摘されている。資料1~3の内容をそれぞれ簡潔にまとめた上で、技術革新によって社会全体の幸福度を高めるために行政はどのような政策を進めるべきか、あなたの考えを述べなさい。』(2025年)
『コロナ禍の日本において「自粛警察」「マスク警察」の存在が報道され、「同調圧力」が我が国でも注目された。しかし、「同調圧力」は日本社会に限った現象ではなく、個人間、国家間においても広く生起し得るものの、一定の条件が揃えば抑制されることもある。次の資料1 ~ 3 を簡潔にまとめた上で、「同調圧力」の受け手である社会や個人にそのメカニズムが生じる可能性を考慮しつつ、行政官はどのように政策を進めていくべきか、あなたの考えを論じなさい。』(2026年春 総合論文)
※下線は、いずれも池田によるもの。
いずれの設問も2か所ずつ下線が引かれていますが、論文試験において重要なのが下線部分です。
2か所ある下線のうち、後半部分、すなわち「行政官の役割について、あなたの考えを論じなさい」については、基本的に昔から変わっていませんが、前半部分は4~5年前までは「資料を読んだ上で~」もしくは資料の扱いについて何も言及はされていませんでした。
しかし、参考資料は、昔から3つ用意されています。推測の域は出ませんが、これまでの添削経験から、おそらく自分の考えのみを延々と主張し、参考資料を完全無視した論文(特に英文資料)が毎年相当数出てくるようになったことが影響しているものと私は考えています。
自分の考えについて論じるといえ、試験である以上、採点基準は必ずあるはずであり、毎年必ず添付されている膨大な参考資料は、いわば自分の考えを論じる上での制約条件です。
それゆえ、自分の考えについてはっきり示された論文であっても、参考資料を無視した内容ならば、評価は自ずと低くなると考えた方が無難です。
過去問の活用方法
設問に加え、6~7ページに及ぶ英文を含めた参考資料を、2時間(総合論文は2.5時間)で、答案用紙1枚(両面)に1,500~1,600字程度の論文を作成しますので、論文作成能力に加え、資料読解能力も要求されます。
ただし、すでに説明したように、テーマこそ毎年違えど、設問にはきちんとした型がありますので、過去問を使って何度も答案を作成し、信頼できる人に厳しく添削してもらうことが最善の試験対策となります。
とはいえ、はじめのうちは、資料を読み、要約するだけでも2時間近く経過してしまうことでしょう。
それゆえ、慣れるまでは、時間よりも、①各資料を2~300字以内に要約する、②3つの資料を踏まえた上で、設問に対する自分の考えを文章にする、これらの作業を優先することを奨めます。
政策論文書き方|答案作成の基本と手順
政策論文・総合論文の答案は、設問で要求されていることをしっかり網羅した上で論理的に一貫した構成で最後まで書き切ることが高評価につながります。
小説や随筆執筆ではないので、文章表現に拘る必要はありません。読みやすさを意識してください。
答案を書くうえで大切なこと
既に述べたように、政策論文・総合論文の答案は、設問で要求されていることをしっかり網羅することが最低条件です。
いくら「あなたの考えを論じなさい」と書いてあっても、参考資料についてまともに言及せず、ただ自分の意見だけを書いた論文では、基準点にすら達しないと認識しておいた方が無難です。
大きな減点につながるポイント
誤字・脱字が減点になるのは総合職志望者ならば説明の必要もないでしょう。
それ以外に意識してほしいのは、「論文試験は、出題者との活字を通じたコミュニケーションである」ということです。
設問では例年「○○に関する行政の役割について、あなたの考えを論じなさい」で締め括られます。
仮に、これが面接であったとすれば、皆さんはどう答えますか。
そう考えると、論文の冒頭は、設問に対する「受け」であることが望ましいでしょう。
採点者は多くの答案を短期間で採点する必要があります。短い採点時間で高評価を得る論文にするためには、文章表現に拘るよりも、読みやすさを重視した文章構成が求められます。
答案作成の5つの手順
政策論文は専門記述試験対策と異なり、試験委員の代表的著作を読む必要はありません。それよりは、纏まった文章を書く訓練(XやThreadsじゃダメです!)をしてください。
その際、次の順番で論文執筆を行うとよいでしょう。
①問題文と資料を読み込み各資料の内容を数行程度に要約する
はじめのうちは、資料を読み、要約するだけでも2時間近く経過してしまうことでしょう。それゆえ、慣れるまでは、時間を気にせず、各資料を2~300字以内に要約することを優先しましょう。
②結論と大まかな構成を考える
3つの資料を踏まえた上で、設問に対する自分の考えを文章にするとともに、「論文試験は、出題者との活字を通じたコミュニケーション」ですので、論文の冒頭には、「受け」として、自分の考えを簡略化した内容を書きましょう。
③考えた構成に論理の飛躍や矛盾がないかを確認する
この段階においても、まだ答案には何も書かず、課題用紙の余白を使って論文の設計図を作成してください。この作業をしっかりやれば、途中で方向転換をしなければならないという致命的なミスを防ぐことができます。
④構成に沿って答案を書き進める
設計図が出来上がったら、30分くらいで一気に書き上げましょう。論文は、小説や随筆執筆ではないので、文章表現に拘る必要はありません。採点者が短時間で内容を把握できるよう、読みやすさを意識してください。当然のことながら、文字には十分すぎるくらい拘り、筆圧の薄い人はなるべく濃いめの鉛筆を持参しましょう。
⑤書き終えたら誤字脱字を確認する
支離滅裂な日本語の使い方や、誤字脱字は減点の対象となりますので、意識して確認しましょう。
政策論文対策に役立つ講座・教材・添削の活用法
一般的に、大学でゼミ論は4年次に作成することから、公務員試験受験段階ではまとまった論文執筆機会に乏しく、論文に対して苦手意識を持っている受験生が多いことと思います。
それゆえ、予備校あるいは知人の協力を素直に仰ぐことが論文対策として最も有効です。
その際、(1)1通書き上げる度に答案添削を依頼する、(2)添削で指摘されたことは、次の論文作成において必ず反映させる、の2点を必ず徹底するようにしてください。
特に、予備校の講座を利用している人は、試験直前にまとめて何通もの答案をまとめて添削依頼してくるケースが極めて多いです。
しかし、これは論文執筆の進歩を採点者が全く確認できないだけでなく、受験側も改善点を踏まえ次の答案を作成する機会を失うことから逆効果です。
また、文章には各人の長年にわたる習慣が反映されていることから、論文対策は、択一対策以上に時間がかかります。
それゆえ、文字の読みやすさや濃さなど初歩的な指摘こそ、改善を意識してください。
ここを怠ると、コミュニケーション能力の欠如と見なされかねません。大学入試や資格試験と異なり、公務員試験は就職試験です。そのことは絶対忘れないでください。
政策論文・総合論文の対策には「国家総合職の政策(総合)論文対策講座」がおすすめ!
本講座では、池田講師が過去問を用いて資料の読み取り方から論理的な意見構成までを具体的に指導します。
講義を担当する講師自身が添削も行うため一貫した指導が受けられ、最大10通の答案を通じて正しい論文作成方法を習得することが可能です。
受講を通じて知識ではなく「考える力」に基づいた安定した得点獲得力が身につき、政策論文・総合論文への不安を解消できるでしょう。
まとめ
以上、論文対策について、試験の内容・傾向から書き方まで幅広く説明してきました。最後に、これまでの多くの添削経験から気付いたことについてお話しします。
アガルートのコラムの読者には、司法試験を念頭に置いている方も多いかと思います。
司法試験受験経験者は、論文執筆に際して、前提や定義づけを冒頭にかなりのスペースを割く傾向にあります。(私は経済の人間なので全くの門外漢なのですが、司法試験とはそういうものなのでしょうか?)
このコラムの最初の方にも書きましたが、論文試験は、答案用紙1枚(両面)に1,500~1,600字程度に過ぎません。前提に紙幅を割く余裕なんかありません。
また、設問には要求項目がしっかり明記されているのですから、問題を受ける形で書き始めましょう。
かなりの長文コラムになりましたが、いずれにせよ、実際に答案を作成し、厳しい答案添削を何度も繰り返し受けることが、論文作成力向上の最短ルートです。
くれぐれもコラムを読んだだけで、対策が完了した気になることだけは絶対にやめましょう。
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この記事の著者
池田 俊明講師 (講師紹介はこちら)
金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
CIMAアカデミー・シニアパートナー
(兼)東洋大学経済学部,昭和女子大学全学共通教育センター非常勤講師
1992年 金沢大学 経済学部卒業
1994年 金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了
2001年 金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
2001年 大手資格試験予備校専任講師として国家一種経済職(現・国家公務員総合職経済区分)試験向け講座およびゼミを担当。
在職中、公認会計士、不動産鑑定士、証券アナリスト、中小企業診断士試験向け講座の講義も担当(いずれも経済学)
2013年 国家公務員総合職試験対策に特化したCIMAアカデミーを立ち上げ,官僚志望者への受験指導を開始
2016年 アガルートアカデミー公務員試験対策講座を担当。
25年以上にわたり、数多くの受験生をキャリア官僚として、霞ケ関へ送り込んだ国家公務員総合職のエキスパート。
また、現職の大学の経済学教員でもあり、試験科目として経済学が課される全ての資格試験の出題傾向に精通している。
国家公務員総合職経済区分試験向け講座の講師を担当。
ごあいさつ
このコラムでは、国家公務員総合職を目指す人々に正しく、そして役立つ情報を提供します。
夢の実現に向けて頑張るみなさんには、出所不明な噂に惑わされることなく、最も信頼できる心の拠り所として、このコラムを活用していただければ幸いです。
池田 俊明講師の紹介はこちら