国家総合職の人物試験(人事院面接)とは?内容、質問例、評価等を解説!
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現在の国家総合職試験は人物重視の傾向が強いと言われていますが、その象徴が人物試験(人事院面接)です。
面接時間は僅か15~20分程度と短いにもかかわらず、配点は3/15(教養区分は4/24)を占め、専門択一試験と全く同等です。
加えて、コロナ禍以降、キャンパスライフが大きく変化したせいか(私は都内マンモス私大の経済学教員でもあります)、いわゆるガクチカに不安を抱え、面接に苦手意識を持つ大学生が増加しています。
残念ながら、独学で面接対策はできません。このコラムを読んで、すぐ行動に移しましょう。
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国家総合職の人物試験とは?

国家総合職試験の人物試験(人事院面接)は、春試験・秋試験を問わず、第2次試験の1科目として実施される『人柄、対人的能力などについての個別面接』(募集要項より)です。
時間は僅か15~20分程度で、事前に提出した面接カードに従って、3名の面接官が順次質問する形式で行われます。
コラム冒頭でも述べたように、配点は3/15(教養区分は4/24)を占め、専門択一試験と全く同等の扱いにもかかわらず、教養区分以外の多くの受験生は準備不足のまま本番を迎えることになります。
教養区分の場合は、1次合格発表日直後に2次試験日の通知が届きますので比較的準備時間が取れますが、それ以外の大卒区分は2次試験の筆記試験当日に、院卒者試験に至っては、2次の筆記試験終了後しばらく経過してからようやく面接日が通知されます。
ちなみに、面接日の変更は原則できませんので、アルバイトや民間就活を並行している方はご注意ください。
それゆえ、面接試験に苦手意識のある方は、どんなに遅くとも1次試験終了後から本格的に取り組むようにしましょう。
国家総合職の人物試験の内容・形式
①1次試験合格発表後に専用サイトにて公開される面接カードをダウンロードする(カード内容については後述)。
②必要事項を記入しカードを完成させ、3部コピーした上で面接当日に会場まで持参する。
③座席が下記のように配置され、受験者1名に対し面接官3名(通常、真ん中の面接官は人事院の職員で、この人が主に質問する)となっている。

④基本的に面接カードの記述内容に沿って各面接官から質問がなされ、それに回答する。
大卒者試験の場合は人物試験終了後すぐ帰宅できますが、院卒区分および教養区分受験者の場合、人物試験はグループディスカッションである「政策課題討議試験」と同じ日、それも、政策課題討議試験を実施した直後で、体力・精神的に疲弊した状態で行われます。
それゆえ、面接カードの出来はもちろん大事ですが、それ以上に、面接官の質問を集中して聞く能力および大きな声で明瞭に話す能力が求められます。
面接カードの書き方
国家総合職の面接カードはA4片面サイズで全区分共通となっており、下記の項目から構成されています。
- 「これまでに取り組んだ活動や体験」
①学業や職務において、②社会的活動や学生生活において、③日常生活その他(資格,特技,趣味,社会事情などで関心のあること等)において、「達成感があったと感じたり,力を入れてきたりした経験について,どのような状況で(いつ頃,どこで,誰と等),どのようなことをしたのか,簡潔に記入して下さい。」
- [志望動機]
これまでの体験や自分の長所などを踏まえ,国家公務員としてどのような貢献ができるのか,具体的に記入してください。
- [志望官庁](複数可)
民間企業の場合、志望動機は、「御社を志望した理由やきっかけ」等について書くのが一般的ですが、国家総合職は上記の通り少し変わっています。
そのため、ここをどう書けばよいのか、毎年多くの受験生が悩んでいます。
私はいつも学生には「①学業や職務において、②社会的活動や学生生活において、③日常生活その他、それぞれおいて取り上げた経験を通じてアピールしたい自分の長所が、国家公務員として実際に仕事をしていく中でどう役立つのか、イメージしながら書きなさい」と指導しています。
それゆえ、いわゆるガクチカを先に列挙するのではなく、自分がアピールしたい長所や特徴を先に思い描いた後に、ガクチカを当てはめていくようにすると、カードは書きやすくなると思います。
面接でよく聞かれる質問例
現在、全ての公務員試験が人物重視を強調していることもあり、巷には面接対策本があふれており、「この質問にはこう答えよ」というような助言をしていますが、現実には、同じ質問に対して同じように答えても、面接官の反応が全く違うのが普通です。
それはなぜでしょうか。ここでは、私が主宰する予備校の過去の受講生のケースをいくつか紹介します。
活字で表された面接のやり取りを通じて、どんな内容のカードを書いたのか、一つの質問から面接がどのように進行していったのか等、是非、想像してみてください。なお、彼らは全員最終合格しています。
【事例1:経済区分】
(中央の面接官)
- (趣味のスポーツを答えたことに対して)知らない人が○○を教えてくれるのはなんでだろうね?
- 逆に君が教えることはあるの?
- 人と仲良くなる能力と国家公務員ってのが、うまくつながらないんだけど?
- 知らない人とすぐ仲良くなれたエピソードは?
- とはいえ、馬合わない奴はいるよね、そんなときどうする?
(右の面接官)
- (所属ゼミに対して)なんで○○のゼミ?
- なんで2年生の終わりから公務員志望してたの?
- いまの政府の政策について思うところはある?
- (前問の回答に対して)国家は増税したかったけど市民は増税を避けたかった、というけれど、どうしてそのギャップが生まれると思う?
- 縦のつながり、横のつながりってブレイクダウンして言うとどういうこと?
- そういうつながりを活かして課題を解決した例は?
(左の面接官)中学高校時代の部活に対して質問を深堀していく
- ○○部って本格的なの?
- 高齢OBってどれくらい高齢?なにをしてくれるの?
- 保護者との関わり方は?
- 最近中高年の間でもそのスポーツはブームだけどどう思う?
- トレーニングとかきつかった?
- 危険なスポーツだけどどうやって全体の統率とるの?
- 危険とどのように向き合う?
- なんでそこまで中高の部活に貢献したいの?
受講生の雑感
- 基本はESの掘り下げに終始
- 最初のうち、右の人は比較的ムスっとしてたけど、質疑応答を繰り返すうちに柔らかい感じになっていった。圧迫感は全くない
- 自分は、若干答えを返すのに焦りすぎた感あるけど、落ち着いて喋れば何も問題ないと思います。
【事例2:社会人経験者(現職公務員)】
(中央の試験官)
- ゼミの副会長ってあるけど調整で大変だったことは?
- 調整をする上で苦労したこと、気をつけていることは?
- 5つも資格を取ったとあるけど、どうやって学習した?
(左の試験官)
- なぜ○○省と✕✕省?
- (回答を受けて)確かに国民目線って重要だよね。国会議員の秘書を行う上で、年齢に応じてどのようなことを気に掛けた?
- (回答を受けて)対人関係の構築力っていってたけど、一番重要だと思うことは?
(右の試験官)
- 絵画が趣味とあるけどきっかけは?
- 個展をしたっていってたけど、個展をした動機、やるにあたって大変だったこと、やった上の成果として何が残った?
- 時事問題について、内閣支持率と少子化ってあるけど、そのきっかけは?
受講生の感想
志望動機を聞かれると思ったが聞かれなかった。現職について軽く聞かれたりはしたが、そこまで踏み込みが浅かったため、分かってもらえるよう説明した。
国家総合職の人物試験の評価基準
さきほども述べたように、人物試験は「人柄、対人的能力などについての個別面接」ですが、総合職の場合、合格後に官庁訪問があることから、個別の省庁職員としての適性より、あくまで国家公務員としての適性を合否の判断としています。
インターネットを検索すると、受験経験者による体験談が無数にあり、皆、自分の感覚に従い評価ポイントを挙げていますので、どれを信じればよいのか、皆さんはきっと混乱することでしょう。
それゆえ、ここでは可能な限り、人事院あるいはその関連機関による文書を参考に説明します。
(参考文献)
人物試験技法研究会(2005)『人物試験におけるコンピテンシーと「構造化」の導入』
人事院(2009)『採用試験の在り方を考える専門家会合報告書』
平成18年度以降、総合職試験(当時は国家Ⅰ種試験)は下記のように大きく変化しました。
- 関係構築力等の対人的能力についてコンピテンシーの考え方を導入する。
- 人物評価の信頼性、妥当性を高めるため、質問から評価に至る過程の「構造化」を行う。
上記の方針に従い、従来は①積極性、②社会性、③責任感、④情緒安定性、⑤コミュニケーション能力の5つが評定項目であったのが、①積極性(意欲/行動力)、②社会性(他者理解/関係構築力)、③信頼感(責任感/達成力)、④経験学習力(課題の認識/経験の適用)、⑤自己統制(情緒安定性/統制力)、⑥コミュニケーション力(表現力/説得力)へ変更されました。
そして、面接はA~Eの5段階で評価されますが、大多数の人はCになります。
一方、最高評価のAと最低評価のEについて、該当者は極めて少数ですが、Eがついてしまうと、他の科目の結果に関わらず不合格となってしまうので気をつけましょう。
人物試験で重視されるポイント
それは何といっても、お互いが、予定の面接時間を忘れてしまうくらい、充実したやりとりができたときです。
でも、それは話すネタが豊富になればいいというものでもありません。
だいたい、総合職志望者といえども、一般的な大学生が話す内容はせいぜい、ゼミや研究室、サークル活動、アルバイト、昔から続けている趣味や特技くらいで、社会問題に対する意識が強い人でボランティア活動が加わる程度です。
むしろ、これらすべてにおいて話すネタがちゃんとある人は相当活動的な人で、一つ二つ欠けているのが普通です。
たしかに、「経験学習力」が評価項目に追加されて以降、実際の面接でも、経験の内容やそこから学んだこと等に対する質問が増加しています。
だから、ボランティアや長期インターンシップの有無が面接の評価に大きく影響すると思われるのかもしれません。しかし、経験だけあってもダメです。
限られた経験であっても、「それが公務員志望にどう影響したのか」「その経験から何を得たのか」「仕事の場で、この経験がどう活かせそうか」というように、しっかり言語化しておくことが、充実した面接の必須条件です。
人物試験で不合格になるケースとは
「お互いが、予定の面接時間を忘れてしまうくらい、充実したやりとりができたとき」が高評価につながると先ほど述べました。
それと正反対、すなわち「面接時間が長く感じられるくらい対話が続かず重苦しい雰囲気で終わる」「一つの質問に対する回答が異様に長い(面接官を見たら明らかに興味なさそうな表情をしている)」「面接カードの内容について質問しているにもかかわらず、全く記載されていないことを突然話し出す(追加情報ならば全く問題ありません)」「公務員は○○である、という思い込みで志望動機を語る」、これらはいずれもコミュニケーションが著しく不足していると見なされ、最終合格自体難しくなります。
ただ、過度にNG例ばかり強調しても、皆さんが委縮してしまい、面接の場において自分らしさが発揮できなくなるかもしれません。
それゆえ、面接に苦手意識のある人は、自分が採用担当者になったとして、こういう話し方をされたら嫌だなと感じるケースを頭に思い浮かべてみましょう。
毎回そうした習慣を持つだけで、面接は格段に向上すると思います。
国家総合職の人物試験対策|合格するための準備
公務員試験は就職試験ですので、筆記試験対策ばかりでは良い結果は望めません。
多くの方は3年次の秋試験もしくはその後の春試験を受験すると思いますが、まずは、3年次の夏休み期間に行われる各省庁のインターンシップもしくは業務説明会に参加し、志望動機を明確化することに努めましょう。
面接カードの作り込みが合否を左右する
志望動機が明確化したら、実際に面接カードを作成してみましょう。
もちろん、最新の面接カードは第1次試験合格発表日前後にならないとダウンロードができませんが、インターネットで検索すれば、過年度の面接カードがいくらでもヒットします。内容は毎年ほとんど変わらないので、とりあえずは過年度の面接カードをダウンロードして下さい。
既に述べたように、面接カードは、「これまでに取り組んだ活動や体験(①学業や職務において、②社会的活動や学生生活において、③日常生活その他)」[志望動機][志望官庁]から構成されています。
おそらく皆さんは、いわゆるガクチカ作りに勤しみますが、私は面接カード作成に苦悩する学生全員に必ずこう言います。
「あなたは、あなた自身の営業マンです。顧客(採用担当者)にはA4用紙片面のトリセツ(面接カード)と話術のみで、あなた自身の魅力を伝える必要があります。」
ガクチカ作りに勤しんでいた学生は、自分の魅力は何なのかを言語化することが最重要で、ガクチカはその魅力が反映されたイベントに過ぎないことに気づいてくれます。
それゆえ、ガクチカに苦労している人は、まずは自分の魅力を言語化し、それを口にしたときに正しく相手に伝わるかどうかに注力してください。
ガクチカは、あなたの魅力を裏打ちするものを書けばよいだけです。
模擬面接で「話す練習」を積む
「面接でよく聞かれる質問例」で紹介した元受講生のやりとりを見てもらえば明らかなように、1つの質問に答えたら、次の質問に…ではなく、回答に対して深く掘り下げられていくことに気付いたかと思います。
それゆえ、面接カードを書きながら、脳内で想定問答を延々と繰り返し、さらに、模擬面接を繰り返すことが大事です。
ちなみに、紹介した2名についてですが、両名とも、私は5~6回は模擬面接をやった記憶があります。数をこなし、フィードバックをその都度きちんともらうことが最強の面接対策と言えるでしょう。
現在の公務員試験が人物重視であることから、予備校の利用を検討している人は、筆記対策よりも面接対策が充実しているところを選ぶべきでしょう。
一方、金銭的に余裕がない人は、大学のキャリアセンターを積極的に利用することをおススメします。
確かに、キャリアセンターは公務員対策に特化しているわけではありません。しかし、自分の想いを言葉にして相手に伝える訓練に民間・公務員の違いはありません。
心配ならば、自分が受験するところの評価軸を事前に伝えておけば、模擬面接から多くの成果が得られるでしょう。
官庁訪問との違いを理解して臨む
既に述べたように、人物試験(人事院面接)は、春試験・秋試験を問わず、第2次試験の1科目として実施される『人柄、対人的能力などについての個別面接』で、あくまでも国家総合職としての適性を判断するものです。
そのため、試験合格は、民間企業の就職活動でいえば会社の最終選考参加の権利が与えられたにすぎません。
志望省庁に採用されるためには、最終関門の官庁訪問で、志望省庁から内々定を獲得する必要があります(「国家総合職として働きたい」と「○○省職員として働きたい」は意味が異なります)。
当然のことながら、官庁訪問の方が準備に相当の時間を要しますし、試験に最終合格しても、どこからも内々定が得られない人のほうが圧倒的に多いのが総合職です。
とはいっても、資格試験ではないので、試験合格だけでは履歴書に書くことも憚られることも多いので、就職先として国家総合職を本気で志すのならば、試験対策と平行して、各省庁の採用イベントに参加する等、官庁訪問対策も行う必要があります。
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アガルートでは、国家総合職の人物試験(人事院面接)対策におすすめの「国家総合職の人物試験(人事院面接)対策講座」を提供中。
人物試験(人事院面接)は配点割合が大きく、人物重視の傾向が強く反映される試験です。そのため、面接でよく聞かれる質問の回答を事前に用意し、しっかりと対策しなくてはなりません。
本講座では、20年以上の経験を持つ講師のノウハウに加え、模擬面接で実践力も磨けます。自分の回答についてアドバイスももらえるため、自身を持って試験に臨みたい方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
- 現在の国家総合職試験は人物重視の傾向が強い。その象徴が人物試験(人事院面接)。
- 人物試験の評価が悪いと、筆記試験が良くても合格できない。
- 面接とはいえ、試験である以上、実施形態および評価項目はきちんと定められている。
- 人物試験は官庁訪問と異なり、国家総合職としての適性を見ている。
- いわゆるガクチカに乏しくても、面接カードの書き方次第で高評価は得られる。
以上より、人物試験は出身大学や学力とは関係なく、準備次第で十分高評価が得られることから、本気で合格を目指すのならば、予備校や大学のキャリアセンター等での模擬面接を積極的に活用し、そこで得られる助言を謙虚に受け止めること。
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この記事の著者
池田 俊明講師 (講師紹介はこちら)
金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
CIMAアカデミー・シニアパートナー
(兼)東洋大学経済学部,昭和女子大学全学共通教育センター非常勤講師
1992年 金沢大学 経済学部卒業
1994年 金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了
2001年 金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
2001年 大手資格試験予備校専任講師として国家一種経済職(現・国家公務員総合職経済区分)試験向け講座およびゼミを担当。
在職中、公認会計士、不動産鑑定士、証券アナリスト、中小企業診断士試験向け講座の講義も担当(いずれも経済学)
2013年 国家公務員総合職試験対策に特化したCIMAアカデミーを立ち上げ,官僚志望者への受験指導を開始
2016年 アガルートアカデミー公務員試験対策講座を担当。
25年以上にわたり、数多くの受験生をキャリア官僚として、霞ケ関へ送り込んだ国家公務員総合職のエキスパート。
また、現職の大学の経済学教員でもあり、試験科目として経済学が課される全ての資格試験の出題傾向に精通している。
国家公務員総合職経済区分試験向け講座の講師を担当。
ごあいさつ
このコラムでは、国家公務員総合職を目指す人々に正しく、そして役立つ情報を提供します。
夢の実現に向けて頑張るみなさんには、出所不明な噂に惑わされることなく、最も信頼できる心の拠り所として、このコラムを活用していただければ幸いです。
池田 俊明講師の紹介はこちら