【公務員】国家総合職の官庁訪問とは?面接内容・スケジュール・対策法を解説
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このコラムを通じて、受験生の皆さんに国家総合職試験に関する役立つ情報を多く伝えてきましたが、実は、最も重要なことをまだお伝えしていません。
それは、国家公務員は地方公務員と異なり「試験合格≠採用」ということです。
採用されるためには、「官庁訪問」というラスボス(!)を突破する必要があります。
試験の最終合格者のみが集う官庁訪問は、期間が長い上に倍率も高いことから、このコラムを読んで、早期に万全の対策を心掛けましょう。
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国家総合職の官庁訪問とは?

官庁訪問とは、志望府省等に採用されるための最終関門です。
総合職試験に合格しても、この官庁訪問で志望先の省庁から内々定がもらえないと、翌年4月からキャリア官僚として勤務することができません。
下表を見れば明らかなように、教養区分を除いて、採用者数は最終合格者数の3割弱の水準にとどまっています。
さらに、採用者の中には過年度の合格者も含まれていることから、実際には、官庁訪問の競争倍率は4倍強の厳しい状況にあるものと推測されます。
| 区分 | 申込者数 | 最終合格者数 | 採用者数 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2026 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2026 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | |
| 院卒(行政) | 282 | 248 | 286 | 314 | 344 | 160 | 148 | 168 | 164 | 154 | 55 | 60 | 57 | 64 | 58 |
| 政治/国際/人文 | 1,006 | 1,674 | 1,649 | 1,308 | 1,300 | 186 | 180 | 199 | 211 | 196 | 67 | 57 | 69 | 70 | 62 |
| 法律 | 4,441 | 6,063 | 7,325 | 7,834 | 7,594 | 214 | 271 | 296 | 352 | 380 | 59 | 66 | 88 | 100 | 108 |
| 経済 | 785 | 984 | 987 | 1,071 | 1,342 | 85 | 120 | 128 | 142 | 154 | 20 | 32 | 48 | 45 | 47 |
| 教養(春) | 3,132 | ― | ― | ― | ― | 213 | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
〈注〉採用者数は当該年4月1日時点の数値。各区分における採用者数の多くは、前年実施試験の最終合格者から選ばれている。
(教養区分<秋試験>)
| 申込者数 | 最終合格者数 | 採用者数 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2026 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 |
| 5,914 | 4,734 | 4,014 | 2,952 | 3,084 | 426 | 467 | 423 | 255 | 214 | 251 | 209 | 171 | 133 | 106 |
〈注〉採用者数は当該年4月1日現在の数値。教養区分の場合、採用者の多くは3年次に受験している。例えば、2026年採用者数の多くは、2024年試験の最終合格者が占めている。
夏(春試験)と冬(秋試験)の官庁訪問の違い
実は、総合職向け官庁訪問は年に複数回実施されています。
そのうち、総合職受験者の大多数の人に関係するのは、春試験の最終合格発表後(例年6月上旬~下旬)に行われる「夏の官庁訪問」です。
このほか、総合職の採用機会としては、教養区分(秋試験)合格者のみが対象の「冬の官庁訪問」(12月中旬に実施)、そして、技術系区分の既合格者のみが対象の早期官庁訪問(夏の官庁訪問の前に実施)があります。
2026年度より教養区分が年に2度受験できるようになったことに伴い、官庁訪問も夏と冬の年2度可能と誤解している方も多いようですが、冬の官庁訪問は、原則として、当該年度の総合職試験(大卒程度試験)「教養区分」(秋試験)最終合格者が、翌年度の4月採用に向けて参加するものです。
すなわち、「これまで民間就活中心の生活をしていた」「留学していた」等の理由で春試験を受験しなかったものの、卒業後、国家総合職を志望する人が主たる対象です。
春の教養区分に合格したものの、官庁訪問でどこからも内々定を獲得できず「冬の官庁訪問」での再チャレンジを考える場合、その年の秋の教養区分試験を受験し、最終合格する必要があります。
もっとも、四半世紀以上にわたる指導歴において、夏の官庁訪問で失敗したけれど、その年の冬の官庁訪問で内定獲得したという受験生に、私はお会いしたことがありません(春試験では最終合格できなかったけれど、冬の官庁訪問で内定獲得というケースは過去の受講生にも数名います)。
それゆえに、「夏がだめなら冬がある!」という安易な気持ちで官庁訪問に臨まないようにしましょう。
以下では、大多数の受験生に関係する「夏の官庁訪問」のケースで説明します。
国家総合職の官庁訪問の日程・スケジュール【2026年度】
ここからは2026年の官庁訪問のスケジュールを基に説明しますが、当該年の官庁訪問の詳細については、毎年2月〜3月に人事院HPにて発表されます。
それゆえ、各自、人事院のHPにアクセスして最新情報を入手する習慣を持つようにしてください。
また、下のスケジュール表を見れば明らかなように、官庁訪問は2週間にわたる長期戦であり、また、訪問に際してはいくつかのルールがあることがわかります。

事前予約の期間・方法
人事院のHPには「6月1日午前9時から9日午後5時までの、各省庁が定める期間中に、電子メール、ウェブシステム等の多数の受験者が同時に申し込むことが可能な方法に限り、官庁訪問開始日(10日)午前8時以降の官庁訪問の予約を受け付けることができる(予約は1日1省庁に限る)」とあります。
しかし、実際には、各省庁ごとに予約期間(人事院設定の締切日より前倒しになっているところが多いです)や予約方法が異なります。
多くの省庁では、「各省庁独自の事前予約フォームを通じて、官庁訪問の予約をする。返信メールが届いたら、HPに掲載の受付表及びエントリーシート(官庁訪問カード)をダウンロードおよび作成した後に、返信メールの指示に従い、提出する」という形式ですが、マイページ登録をし、申請しないとエントリーシートが入手できないところもあれば、フォーム上にエントリーシートの内容を直接入力させる省庁もあり、多種多様です。それゆえ、必ず自分で事前確認をしてください。
なお、提出したエントリーシートは、官庁訪問期間中の全ての採用過程において、面接側が皆さんを知る唯一の情報源となりますので、正しい内容を記載しましょう。
クール制の仕組み
事前予約が完了した後、志望官庁に訪問することでいよいよ官庁訪問が始まりますが、毎日同じ省庁ばかり訪問することがないよう、約2週間に及ぶ官庁訪問は訪問開始日以降、第1クール~第4クールまでの日程(クール制)で行われ、その後、内々定解禁という流れになります。
第1クール
第1クール(6月10~12日)では、同一省庁への訪問は3日に1回行うこととなっており、この間は、翌日・翌々日(土日を除く)の同一省庁への訪問はできません(というか、そもそもルールを逸脱した予約は受け付けてもらえません)。
(例)
1日目:A省、2日目:B省、3日目:C省 ・・・OK
1日目:A省、2日目:B省、3日目:A省 ・・・NO
(1日目と3日目が同じ省になっている)
なお、第1クールにおいては、オンラインを希望する受験生に対しては、省庁は必ず応じる義務があります。遠隔地や民間就活の最終面接等、どうしても第1クール期間中に霞が関まで足を運ぶことができない人は、予約時にオンライン面接を希望できます。
第2クール
第2クール(6月15日~17日)も、第1クール同様、基本3か所(午前に切られた場合、午後から他の省庁へ訪問することは可能)かつ3日に1回しか同じ省庁を訪問できません。
それゆえ、多くの訪問者は、第1クールと同じところを同じ順番で訪問しますが、第1クールで切られてしまった場合、第2クールでは違うところを訪問することができます。
(例)
第1クール「1日目:A省、2日目:B省、3日目:C省」で訪問したが、A省を切られた!
⇒第2クール「1日目:D省、2日目:B省、3日目:C省」の順で訪問することができる。
第3クール
第2クールが終わると「リセット」(前クールの訪問順に縛られることなく訪問が可能)となりますので、第3クール(6月18日~19日)は、訪問できるところは基本2か所に絞られますが(同じ省庁を連日訪問することはできない)、第1、2クールと同じ順番にする必要はありません。
例えば、以前のクールを「1日目:A省、2日目:B省、3日目:C省」で訪問していた人の場合、「1日目:A省、2日目:B省」でもよいし、「1日目:B省、2日目:C省」にしても構いません。
第4クール(内々定の解禁日)
第3クールが終わると再び「リセット」となりますので、第4クール(6月22日)は、任意の1か所訪問に絞られます。
通常は、第3クールで最も高い評価を得たところを訪問します。そして、15時以降に内々定解禁ということで、長かった官庁訪問はようやく終了となります。
国家総合職の官庁訪問の面接内容と1日の流れ
官庁訪問で行われることは、もちろん採用面接です。
ただし、省庁により、面接の形式や内容はそれぞれ異なります。多くの省庁では、全ての面接が個別面接のみですが、なかには、集団面接やグループディスカッションが課せられているところもあれば,1分間アピールがあったり、コロナ禍初年度の2020年に実施された事前面談会以降顕著になった、ZOOM、Teams等を使用したオンライン面接が一部導入されているところもあります。
また、1日に行われる面接回数も、評価に応じて異なるところもあれば、評価の優劣が、訪問者の間で表立ってわからないように全員同じ回数実施、というように各省庁で異なります。
その一方で、省庁問わず共通しているのが、コロナ禍以降改善の努力は見られるものの、長時間に及ぶ控え室での待機です。「官庁訪問=長時間の待機」といっても過言ではありません。
本章では、国家総合職の官庁訪問の面接内容と1日の流れについて詳しく説明します。
面接の種類
官庁訪問では、その日最初に行われる入口面接(ブース面接)の後、基本的に人事面接と原課訪問(原課面接)が繰り返し行われます。
入口面接では、興味のある分野や話を聞きたい人などの希望について聞かれます。
人事面接では、主に採用担当者による志望動機等の面接が行われます。その際、既に終えた原課訪問についての感想等も聞かれますので、きちんとメモをとる習慣を身に付けておいてください。
そして、原課訪問とは、職員が実際に働いている部署を訪問し、そこで行われる比較的長時間(約1時間の場合も!)の面談のことで、民間企業の就活ではあまり見られない形態です。
原課面接では、業務内容や職員が過去に経験した仕事の話を長時間聞いたり、あるいは逆質問をしたりします。
ここでの話は、説明会やパンフレット等で見聞きしたことのない内容も多いので、事前にノート等を用意しておくとよいでしょう(一般常識として、メモを取る際には、ちゃんと許可とってください。話をしているときに、顔を向けずひたすらメモばかり取っている人間は嫌われます。)。
官庁訪問当日の流れ
最近では、各省庁の内定者が作成したノートや人事院HPで官庁訪問の様子が紹介されていますが、予備校の人間の眼には、どれも当たり障りのない内容に終始していて(当然ですね…)、受験生が果たしてこれでどれだけ官庁訪問をイメージできるのだろうか、と疑問に感じています。
そこで、私が主宰する予備校の元受講生の官庁訪問体験記の一部を紹介します。
なお、個人情報保護のため、人物等が特定されない程度に改編していることをご理解ください。でも、何が行われているのかを知るには十分な情報量だと思いますよ。
<第1クール1日目 A省>
8:30 集合 50⼈強の訪問者数
原課① ○○様 16年目
まず15分くらい○○様の経歴のご説明を受け、私から逆質問を2つほど行う。その後、私のES内容について質問を受け、事前に準備していた通りの内容を話したところ、ウチに入った方がいいよと言われ、「入りたいです〜」と答えたら爆笑された。
(感想)自分が話を聞きたいと思ったまさにドンピシャな人だった。控室で若手職員に「○○さんは大変忙しい方なので、会えてラッキーだね」と言われる。
原課② △△様 20年目くらい
- とにかく喋る方だったので、ほとんど経歴の説明を聞いてる時間でした。お互いにいくつか質問をしあう。
- 知的好奇心の話で大学図書館に行きやすくするために図書館の近くに住んでると言ったところ、「僕もずっと図書館にいた」と言われ、同じ大学出身ということもあり、大学図書館の話で盛り上がる。また、「君のこともっと知りたいと思ったし君の良さが生かされると思う」と言ってもらえ、階段まで送っていただくその道中でも、読んだ本とかで盛り上がる。
(感想)第1クールを通して一番刺さった話かもしれない。シンプルに人柄の相性も良く楽しかった。
人事① 採用補佐
- まずは1日目に来てくれてありがとう。なんで来てくれたのか?
→御省に絶対入りたいという気持ちを行動で見せるためと回答。軽く志望動機も語る。 - 残りはほぼES記載内容について。全て模擬官庁訪問での、いつも通りの回答をする。
- 普段関心あることについて話したところ、具体的に教えてと言われる。
原課③ ××様 15年目くらい?
経歴説明で30分ほど費やしたイメージ。その後、いくつか逆質問をする。
Q:B省と迷われていたとのことですが、どうしてA省を選んだのか教えてください
Q:B省ではできない、よりリアルな□□支援スキームの構築等についても仰っていたので、そこについてもっと知りたいです
19時半~
人事② 採用補佐
- 優秀だと前評判だった女子学生だけが18時で帰されており内定確定勢は早く帰されるのでは?と噂がたつ。その空気感のなかで自分が一番最初に呼ばれる。
- 若手が7人ほどいる大部屋に通されて笑顔で「お疲れ様でした」と言われる。色んな意味で終わったかと思ったが、なんかおめでとう感がただよってると思った(おそらく疲れからくる勘違い)。
- 採用補佐からは「今日どうだった?」と言われ、「楽しかったですし、A省に絶対行きたいと思いました」と言った。
- 「ウチとして一番高い評価、非常に高く評価している」とのこと。「ウチはルールを守る省庁のため内々定は言えないが、第二クール以降は安心して来て欲しい」と言われる。
オンライン官庁訪問の1日の流れ
現在、オンライン官庁訪問は第1クールでの対応が中心です。
私のところの元受講生(もちろん、今は現職です)が実際に体験したオンライン官庁訪問の1日をちょっとだけ紹介しましょう。
(もちろん、省庁によって、やり方は異なるので、参考程度に考えてください)
| 8:00 | 採用担当 ○○様から激励のお電話をいただく。 | |
| 8:30 | 面接用Zoom URLが送られ、「9時から順次面接を進める」との一斉メールが届く(緊張で軽い腹痛。パンフレット等を読み返して待つ)。 | |
| 9:15 | 面接(約30分) | 着信があり、面接実施(約30分)。 ○○局 ××様 |
| 聞かれたこと | 志望動機関心のある政策分野とその理由国際協力から国家公務員への志望が変遷した理由過去のボランティア経験ストレス解消法併願先の状況と各志望度 | |
| 聞いたこと | ××さんのこれまでの経歴2~3年の部署移動について学生当時の官庁訪問エピソード | |
| 所感 | Zoomの使い方や事前面談会のシステムには詳しくないような様子で、「私も初めてなの、ごめんね」という感じだった。背後がかなり騒がしく、相手の声が聞き取りにくかった。 | |
| 12:43 | 面接(約30分) | 着信があり、面接実施(約30分)。 △△様 (人事の方) |
| 聞かれたこと | 志望動機志望動機が生まれるきっかけや原体験興味の変遷卒論について | |
| 聞いたこと | ■■省の政策の重要さ△△さんがこれまで携わった政策 | |
| 所感 | 詰められるような質問はほとんどなく、雰囲気は終始和やか。こちらが話すことにも共感していただきながら、こちらの話から派生して■■省の魅力を教えていただけたように感じる。 | |
| 16:26 | 原課面接(約60分) | 着信があり、原課面接実施(約60分)。 ●●様 (大臣官房) |
| 聞かれたこと | 学士論文について他省庁の志望動機・関心分野 | |
| 聞いたこと | 現在の業務■■省入省理由短いスパンでの部署移動のいいところ | |
| 所感 | (追加質問に期待をして)聞かれたことに端的に答えるよう心がけていたが、深掘りされることなく次の話題に移りがちで、薄い情報になってしまったので、相手によってコミュニケーションに緩急をつけないといけないと感じた。 | |
| 19:50 | ○○様より着信あり「関心分野の幹部の話を聞いてもらいたいがなかなか捕まらなくて申し訳ない。職員の都合がついたので数分後に面接を開始する」とのこと。 | |
| 19:52 | 原課面接(約50分) | 原課面接実施(約50分)。 ◇◇様 (□□局課長補佐?) |
| 聞かれたこと | 特になし | |
| 聞いたこと | 現在の業務自身の子育て・育休取得経験国と地方・民間団体の連携や役割分担現場の声を聞く大切さスピード感・補正予算これまでの経歴と部署移動のメリットについて■■省の行政官に重要な資質 | |
| 所感 | ・原課面接の調整は、面接直前にやっているのかと驚いた。・職員さんは終始忙しそうで、貴重なお時間をいただいているのだとありがたく感じた。・原課面接では、質問攻めになりすぎやすいので、適宜感想や自分の意見を述べると、そこからまた話が広がることがわかった。 | |
| 23:10 | 出口面接(約15分) | 出口面接(約15分) 評価が伝えられる。 |
どうですか?早朝から深夜までPCに向き合う1日、想像しただけでもきつく感じますよね?
面接相手は次々代わりますが(当然ながら、面接者の年次は次第に上がり、そして訪問者数は次第に絞られていく…)、基本的には内々定解禁までこんな日々が続きます。
国家総合職の官庁訪問の倍率・難易度
官庁訪問全体の公式な倍率については公表されていませんが、前述のこのブログの「官庁訪問とは?」で紹介した表で、おおよその競争率を知ることはできます。
一方、省庁間での人気度にはかなりの差があり、例えば、2026年の場合、外務省は内定者38名に対して、第1クール初日だけで150名強の訪問者を記録しています。
しかし、初日に訪問者が少ない省庁は採用されやすいのかといえば、そんなことは全くなく、官庁訪問で最も重要な段階である第3クール初日において、採用予定数の2倍ほどの訪問者が押し寄せる省庁も現実に存在します。
それゆえ、表面上の倍率で志望先を決めるようなことは何の意味もありませんので、絶対にやめましょう。
国家総合職の官庁訪問で評価される人の特徴
公務員試験は就職試験ですので、筆記試験対策ばかりでは良い結果は望めません。
これからの自分の身の振り方についてどれだけ真剣に考え抜いたのかが、採用・不採用の分かれ目になります。
と言われても、抽象的過ぎてよくわからないと思いますので、官庁訪問を勝ち抜くためのポイントを挙げます。
プラスに評価されるポイント
官庁訪問を勝ち抜くためのポイントは、何といっても、①相手に対して、自分の想いをしっかり伝える言葉の力、②緊張を強いられる2週間、常に前向き思考でいられる精神的タフさ、③過去のしがらみを断ち切る大胆な決断力、の3点に集約されます。
まず①についてですが、総合職に限らず国家公務員を志望する人の多くは、「仕事のスケールの大きさ」「ステークホルダーの多さ」を志望動機に挙げます。
でも、同じような志望動機を語っているのに、選考過程において雲泥の差が生じることに疑問を感じたことはありませんか。
数多くの学生を指導してきた経験から私は、その言葉が地に足ついたものなのか、それとも憧れの域にとどまったものなのか、の違いにあると思っています。
次に②についてですが、官庁訪問におけるライバルは全員、最終合格者です。
しかも、訪問者数に対して採用数が圧倒的に少ないことから、極度の緊張を強いられますので、常に前向き思考でいることは確かに厳しいかもしれません。
最後に③についてですが、皆さんは入念な準備をして官庁訪問に臨みますが、官庁訪問は「無内定」のほうが圧倒的に多く、順調に進まないのが普通です。
本命と異なる省庁に切り替えることに抵抗があるのはわかりますが、自分を高く評価してくれるということは「必要とされている」ことを意味しますので、そうした期待に応えるというのも、総合職を本気で目指す上で重要な資質です。
言い換えれば、不採用になる人は、それらのいずれかがほんの少し欠けているだけですので、過度に落ち込む必要はありません(志望動機がダメダメというのは準備不足ですから論外ですが、口下手であっても、落ち着きのない人でも、採用されているケースはいくらでもあります)。
ただし、ちゃんとした指導を受けずに我流でやると、相当の時間がかかります。
総合職試験において、時間はとても大切なもので、就職浪人が長引くほど採用可能性は低下していきます。
国家総合職の官庁訪問に向けた対策・準備
各年度の区分別入省者数の一覧をみると、教養区分からの採用者が急増していることから、採用において教養区分が有利なのではないか、と思ったことはないでしょうか。
結論から言えば、教養区分だからといって各省庁は特別扱いしていない、と私は断言できます。
たしかに、教養区分からの採用者数が急増していますし、最終合格者に対する採用者の割合も他区分に比べ圧倒的に高いのは事実です。
しかし、その理由は、春試験と異なり教養区分の場合、最終合格発表日から官庁訪問まで半年もの時間的猶予があるため、合格者は就活に集中できるからです。
一方、春試験組の学生は、試験勉強が佳境に差し掛かっているため、余裕のある一部の学生以外は、試験勉強優先になってしまいます。
そのため、最終合格発表後から、間髪入れずに官庁訪問に臨まざるを得ず、結果、準備不足により不採用となる人が多数を占めることとなります。
説明会・OB/OG訪問などの情報収集
みなさんが大学2、3年生でしたら、インターンシップやワークショップのような体験型イベントに是非参加しましょう。
就活に出遅れてしまった人も、近年は、本試験期間中でも各省庁の業務説明会は頻繁に開催されていますので、採用担当者と接触できる説明会には面倒くさがらず参加して、モチベーションを維持するように努めましょう。
また、最近では、各省庁が積極的にOB/OG訪問を受け付けていますので、知り合いに官僚がいないからと諦めたりせず、気になる人は各省庁のHPを通じて問い合わせてみましょう。
エントリーシート・志望動機の作り込み
訪問先省庁でエントリーシート(ES)を受け取りその場で直接必要事項を記入するケースが多かった平成までの頃とは異なり、現在ではすべての省庁でESを事前に作成し提出するようになっています。
毎年、第2次試験終了後にならないとHPに当該年度のESを掲載しない省庁が多いのですが、一部省庁では前年の官庁訪問サイトがそのままになっているところもあり、ESも自由にダウンロードできるようになっています。
それゆえ、余裕のあるうちに志望省庁のHPをチェックして過年度のESを入手して、早めに準備をしましょう。
その際、最も時間をかけるべきなのは、志望動機です。
「なぜ、数多存在する職業の中で国家公務員総合職なのか?」「国家公務員総合職といっても、多くの省庁が存在するのに、なぜ○○省なのか?」「併願先全体に共通する志望軸は何か?」この3つは官庁訪問で何度も質問されますので、余裕のあるうちに考えを思いめぐらせるようにしましょう。
模擬面接を繰り返す
「相手に対して、自分の想いをしっかり伝える言葉の力」を向上させるためには模擬面接を何度も繰り返し、指摘された問題点について真摯に向き合っていくとともに、自分の原体験にまでさかのぼることを通じて志望動機を語る訓練をするしかありません。
エントリーシートを作成したら、模擬面接をやってみましょう。
官庁訪問ということで、例年やたら訪問先省庁の政策を必死になって詰め込んでいる人が多いですが、他の公務員試験ならばともかく、総合職に関して言えば正直手遅れです。
そんなことより、人事院面接の時以上に志望動機をしっかり練り上げ、それを実際に言葉で発してみて相手の反応を確かめる作業の方がはるかに大事です。
これは、予備校ならではの煽りとして言っているのではありません。
近年、超売り手就活市場が続いていることから、官民問わず選考は早期化しています。
もちろん、内々定解禁日時等は公式発表の通りですが、解禁日まで学生に対して何の意思表示もしない企業・官公庁に、皆さんは訪問し続けることができますか?(私見ですが、同じくらいの魅力を有する企業ならば早く意志表示をしてくれたところに行くと思います…。)
事実、今ではどの省庁も採用・不採用の意思表示が早まっています。本当ならばじっくり時間をかけて人物を見極めていくのが理想なのでしょうけれど、時代がそれを許容しない以上、仕方ありません。
最初の面接で、皆さん自身の魅力をしっかり伝える努力をしていくことが最善の策といえます。
ゆえに、対人関係構築に不安のある方は、官庁訪問が始まるまでに、しつこいくらい点検作業をしていくことが大事だし、事実、そうした作業を面倒くさがらず行うことができた人ほど内定を獲得できる傾向にあります。
官庁訪問では、どこに行っても秘書課(または人事課)と原課の面接が必ず行われます。政策をやたら詰め込もうとする人は、後者に備えてのことと思われますが、それはむしろ逆効果になります。
前者では「話すコミュニケーション」が、後者では「聞くコミュニケーション」が試されているといってもいいでしょう。
原課面接は、実際にその部署で働いている職員が相手です。そこで問われるのは「初見の知識を自分なりにすぐに咀嚼して理解する力」とか「かなり多い情報(業務説明)から重要なトピックや共通する概念を抽出する力」など、「聴くコミュニケーション能力」の高さといえます。
一方、秘書課面接は「私はこういう理由で○○省を志望しました」というような、「話すコミュニケーション能力」が試されているといえます。
日本語のヒアリング能力は一見して「鍛える」という発想自体がわきにくいですが、その分、相当に能力差が大きいものなので、トレーニングをしておいて損はないでしょう(別に参考書を買わずとも、例えばゼミで他の人の発表の骨子や理論をきちんと傾聴し、積極的に質問やコメントをするように意識するだけでかなり伸びますよ!)。
当日の服装・持ち物・マナー
夏の官庁訪問は猛暑・酷暑の中で行われます。
それゆえ、各省庁はクールビズを積極的に呼びかけていますが、たまにスーツをびしっと決めて官庁訪問に参加する学生がいます。
一部省庁を除けば、冷房はあまり効いていないので、無理な格好はやめましょう。
また、官庁訪問は長時間拘束が常です。基本的にはちゃんと食事時間をとってくれますが、ずれ込む場合も多々ありますので、手軽に食べられる健康食品くらいは持っていた方が何かと助かるでしょう。
まとめ
官庁訪問について、かなり長文のコラムを書きましたが、筆記試験と異なり、そもそも情報がクローズされた世界ですし、読者の中には「準備期間も含めたら、とんでもない長期戦だから、今からじゃ間に合わない!」と心が折れそうな人もいるかもしれません。
しかし、忘れてならないのは、官庁訪問は各省庁の幹部職員に対して堂々と自分の見解を披露できる、合格者のみに許された機会です。
とにかく貪欲に楽しむ姿勢を持ちましょう。そうした心がけで臨むことができれば、結果は必ずついてきますよ。
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この記事の著者
池田 俊明講師 (講師紹介はこちら)
金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
CIMAアカデミー・シニアパートナー
(兼)東洋大学経済学部,昭和女子大学全学共通教育センター非常勤講師
1992年 金沢大学 経済学部卒業
1994年 金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了
2001年 金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程後期修了(博士(経済学/金沢大学))
2001年 大手資格試験予備校専任講師として国家一種経済職(現・国家公務員総合職経済区分)試験向け講座およびゼミを担当。
在職中、公認会計士、不動産鑑定士、証券アナリスト、中小企業診断士試験向け講座の講義も担当(いずれも経済学)
2013年 国家公務員総合職試験対策に特化したCIMAアカデミーを立ち上げ,官僚志望者への受験指導を開始
2016年 アガルートアカデミー公務員試験対策講座を担当。
25年以上にわたり、数多くの受験生をキャリア官僚として、霞ケ関へ送り込んだ国家公務員総合職のエキスパート。
また、現職の大学の経済学教員でもあり、試験科目として経済学が課される全ての資格試験の出題傾向に精通している。
国家公務員総合職経済区分試験向け講座の講師を担当。
ごあいさつ
このコラムでは、国家公務員総合職を目指す人々に正しく、そして役立つ情報を提供します。
夢の実現に向けて頑張るみなさんには、出所不明な噂に惑わされることなく、最も信頼できる心の拠り所として、このコラムを活用していただければ幸いです。
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