電気・電子を学んでいる人や電気系の仕事をしている人のなかには、公務員の電気職という進路が気になりつつ、どんな仕事を担い、どの試験に合格すれば就けるのか分かりにくいと感じる人もいるでしょう。

公務員の電気職とは、国や地方自治体で電気の専門知識を生かして働く技術職で、自治体では公共施設や上下水道、発電所などの電気設備の設計・工事監理・維持管理を、国の官庁営繕部門では官庁施設の電気設備の設計・工事検査を担います。

国家公務員は人事院の一般職試験のデジタル・電気・電子区分や総合職試験の工学区分など、地方公務員は各自治体の採用試験の電気などの区分に合格すると就けます。

試験日程・採用予定数・倍率・平均年収などの最新の値は人事院と各自治体が公表しているため、受験先の公表資料で確かめてください。

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公務員の電気職とは?

公務員の電気職とは?

公務員の電気職とは、国の府省や都道府県・市区町村で電気の専門知識を生かして働く技術職で、都道府県・市区町村では公共施設や上下水道、発電所などの電気設備の設計・工事監理・維持管理を、国の官庁営繕部門では官庁施設の電気設備の設計・工事検査を担います。

ここでは、電気職の位置づけと、国家公務員と地方公務員の違いを順に見ていきましょう。

公務員の電気職は電気の専門知識を生かす技術職

公務員の電気職は、土木・建築・機械などと並ぶ技術系の職種で、事務系の職種とは別の試験区分で採用されます。

たとえば、採用試験の電気系の区分の例は次の3つです。

  • 国家公務員採用一般職試験(大卒程度):「デジタル・電気・電子」区分
  • 国家公務員採用総合職試験:「工学」区分など(電気系の科目を選んで受験する)
  • 特別区(東京23区)職員採用試験・神奈川県職員採用:「電気」の区分

国家公務員一般職では、電気と情報・通信が1つの区分にまとめられている点が特徴です。

国家公務員と地方公務員の電気職の違い

国家公務員の電気職は、国土交通省の官庁営繕部門を例にとると国の官庁施設の電気設備の設計や工事検査を担い、地方公務員の電気職は公共施設の電気設備に加えて上下水道や発電所などライフラインの電気設備を担います。

両者の違いをまとめると、次のとおりです。

項目国家公務員地方公務員
勤務先の例国土交通省官庁営繕部、地方整備局営繕部など(官庁営繕部で総合職として採用された職員の主な配属先)区役所・県庁、下水道の整備事務所、発電所・浄水場・ダムを管理する部署など
仕事の例官庁施設の電気設備の設計・工事検査公共施設の電気設備の設計・工事監理・維持管理、下水道や発電所・浄水場の電気設備の工事監督・保安点検・運転監視

公務員の電気職の仕事内容

公務員の電気職の仕事内容は、国家公務員の官庁営繕部門では官庁施設の電気設備の設計・工事検査、地方公務員では公共施設の電気設備の設計・工事監理・維持管理や、下水道・発電所・浄水場などライフラインの電気設備の工事監督・保安点検・運転監視が中心です。

それぞれの仕事を詳しく見ていきます。

国家公務員の電気職の仕事内容(官庁営繕の例)

国土交通省の官庁営繕部門に配属された国家公務員の電気職は、建築系・機械系の職員と連携して、庁舎などの官庁施設の電気設備の設計や工事検査を担います。

官庁営繕の採用案内によると、建築系・電気系・機械系の3職種が専門性を生かしながら連携して業務にあたる体制です。

また、同じ採用案内で紹介されている電気職の職員は、電気設備に関わる設計と工事検査を担当し、基準・規格の作成から建設まで幅広く関われることを魅力に挙げています。

※出典:「国の建物をつくり、活かす 官庁営繕 採用案内[総合職]」国土交通省大臣官房官庁営繕部

地方公務員の電気職の仕事内容(公共施設の設計・工事監理・維持管理)

地方公務員の電気職は、庁舎や学校、清掃工場などの公共施設について、電気設備の設計から工事監理、完成時の検査、維持管理までを担います。

特別区では、電気の仕事として次のような業務が挙げられています。

  • 公共施設の建築設備(電気関係)の設計・工事監理・維持管理
  • 公共施設竣工時の検査
  • 清掃工場などの電気設備の維持管理
  • 建築確認申請の審査

ちなみに、神奈川県でも、知事部局の電気職が県の庁舎などの電気施設の維持管理と、県営住宅・教育施設などの建築物の整備に伴う電気設備工事を担当しています。

※出典:「11職種の紹介 電気」特別区人事委員会(2020年度採用特設ページ)

※出典:「電気|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

地方公務員の電気職の仕事内容(下水道・発電所・浄水場などライフライン)

地方公務員の電気職は、下水道や発電所・浄水場・ダムといったライフラインの電気設備の整備・更新や、保安点検・運転監視を担うこともあります。

たとえば神奈川県では、配属先ごとに次のような仕事があります。

  • 知事部局:下水道事業におけるプラント設備工事の計画から完成までの担当
  • 企業庁:発電所、浄水場及びダム施設における電気設備や監視制御システム等の整備・更新に係る工事監督、保安点検、維持管理、運転監視制御

神奈川県の電気職は、強電・通信・情報・制御など多彩な分野で活躍できると紹介されています。

※出典:「電気|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

公務員の電気職の年収・給料の仕組み

公務員の電気職の年収のもとになる給料は、国家公務員は一般職の職員の給与に関する法律の俸給表、地方公務員は各自治体が条例で定める給料表によって、職務の級と号俸(号給)の組み合わせで決まります。

年収の額は勤務先・年齢・役職によって変わるため、ここでは給料が決まる仕組みを解説します。

国家公務員の電気職は勤務先に応じた俸給表で給料が決まる

国家公務員の電気職の給料(俸給)は、勤務先と職務に応じて、一般職の職員の給与に関する法律が定める俸給表(行政職俸給表(一)、研究職俸給表など)で決まります。

このうち、行政職俸給表(一)と研究職俸給表の適用範囲は、次のとおりです。

  • 行政職俸給表(一):他の俸給表の適用を受けない職員に適用する表(別表第一)
  • 研究職俸給表:人事院が指定する試験所・研究所などに勤務し、試験研究や調査研究の業務に従事する職員(人事院規則で定める職員)に適用する表(別表第七)

なお、俸給の額は職務の級と号俸の組み合わせで決まり、職務の級は職務の複雑さ・困難さ・責任の度合いに応じて分けられています。

俸給のほかに、同法に基づく諸手当(扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当など)と期末手当・勤勉手当も支給されます。

※出典:「一般職の職員の給与に関する法律」第5条・第6条・別表第一・別表第七 e-Gov法令検索

地方公務員の電気職は自治体の給料表で決まる

地方公務員の電気職の給料は、各自治体が条例で定める給料表で決まり、支給額は給料表の「級」と「号給」の組み合わせで決まります。

地方公務員の給与には、地方公務員法第24条に基づく次の3つの原則がある点も押さえておきましょう。

  • 職務給の原則:職務と責任に応じて給与を定める
  • 均衡の原則:生計費や国・他の自治体の職員、民間事業の従事者の給与などを考慮して定める
  • 条例主義:給与は条例で定める

また、給料のほかに、自治体は条例で扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当・期末手当・勤勉手当などを支給できると地方自治法で定められています。

受験先の自治体が公表している給与の資料で、電気職に適用される給料表を確かめてください。

※出典:「地方公務員の給与の仕組み」総務省

※出典:「地方公務員法」第24条 e-Gov法令検索

※出典:「地方自治法」第204条 e-Gov法令検索

公務員の電気職の試験内容

公務員の電気職になるには、国家公務員は人事院の一般職試験のデジタル・電気・電子区分や総合職試験の工学区分など、地方公務員は各自治体の採用試験の電気などの区分に合格する必要があります。

国家公務員一般職(大卒程度)のデジタル・電気・電子区分の試験内容は、基礎能力試験・専門試験(多肢選択式・記述式)・人物試験です。

ここからは、国家公務員一般職、国家公務員総合職、地方公務員の順に試験を紹介しましょう。

国家公務員一般職(大卒程度)デジタル・電気・電子区分の試験

国家公務員の電気職を目指す場合、一般職試験(大卒程度)のデジタル・電気・電子区分では、第1次試験が基礎能力試験と専門試験(多肢選択式・記述式)、第2次試験が人物試験で行われます。

試験種目と内容は、次のとおりです。

試験試験種目内容
第1次基礎能力試験(多肢選択式)知能分野と知識分野の筆記試験
第1次専門試験(多肢選択式)必須問題:工学に関する基礎、情報・通信工学(理論)、電磁気学・電気回路・電気計測・制御・電気機器・電力工学/選択問題:情報工学(プログラミング)と電子工学・電子回路のどちらか一方
第1次専門試験(記述式)情報工学・通信・電気・電子に関連する領域
第2次人物試験人柄や対人的能力などをみる個別面接

なお、専門試験(多肢選択式)の選択問題は2つのうちどちらか一方を選ぶ形式のため、電気系の人は情報工学(プログラミング)を選ばずに電子工学・電子回路で解答できます。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

国家公務員総合職は主に工学区分で受験する

国家公務員の電気職を総合職で目指す場合は、主に「工学」区分で受験し、専門試験で電気系の科目を選んで解答します。

工学区分で選べる電気系の科目は、次のとおりです。

  • 専門試験(多肢選択式):電磁気学、電気工学、電子工学、通信工学などの選択科目
  • 専門試験(記述式):電磁気学・電気回路、電気機器、電力工学、電子工学、通信工学などの選択科目

専門試験(多肢選択式)には、工学に関する基礎の必須問題もあります。

ちなみに、総合職試験の「デジタル」区分の専門試験(多肢選択式)の選択問題にも、電磁気学・電気工学・電子工学・通信工学・制御工学が含まれています。

※出典:「国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)受験案内」人事院

地方公務員の電気職の試験

地方公務員の電気職の採用試験は各自治体の人事委員会等が行い、試験の方法も人事委員会等が定めるため、試験の内容は自治体ごとに異なります。

地方公務員法では、第18条で採用試験は人事委員会等が行うこと、第20条第2項で筆記試験その他の人事委員会等が定める方法により行うことが定められています。

たとえば特別区では、電気の試験区分がⅠ類・Ⅲ類・経験者採用など複数の試験に設けられていて、どの試験に設けるかは年度ごとの試験案内で決まります。

受験先の試験案内では、次の3点を確かめておきましょう。

  • 電気系の区分の名称
  • 試験の種目
  • 専門科目の範囲

※出典:「地方公務員法」第18条・第20条 e-Gov法令検索

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

公務員の電気職の資格

国家公務員の電気職の採用試験は電気系の資格を持っていなくても受験でき、受験資格は主に年齢や学歴で定められています。

地方公務員の受験資格は、各自治体が定めるものです。

また、電気設備の保安の監督にかかわる資格として、電気事業法に基づく電気主任技術者があります。

国家公務員の受験資格は年齢と学歴、地方公務員は自治体が定める

国家公務員の電気職の採用試験の受験資格は年齢と学歴で定められ、地方公務員の電気職の受験資格は各自治体の人事委員会等が定めます。

国家公務員一般職試験(大卒程度)の受験資格は、次の2点です。

  • 受験できる年齢は生年月日の範囲で定められている
  • 年齢の範囲の下限に満たない人は、大学・短大・高専の卒業(見込み)などが条件になる

具体的な生年月日の範囲は、受験する年度の人事院の受験案内で確かめてください。

一方、地方公務員の電気職を目指す場合は、受験先の試験案内で受験資格を確認する必要があります。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」人事院

※出典:「地方公務員法」第19条 e-Gov法令検索

電気主任技術者は電気設備の保安を監督する国家資格

電気主任技術者は、電気事業法に基づいて、発電所などの事業用電気工作物の工事・維持・運用の保安を監督する主任技術者の免状の1つです。

電気事業法では、主任技術者について次のように定められています。

  • 事業用電気工作物を設置する者は、保安の監督をさせるため、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから主任技術者を選任しなければならない(第43条第1項)
  • 主任技術者免状には第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状などがあり、電気主任技術者試験に合格した人などに経済産業大臣が交付する(第44条)

なお、公務員の電気職を目指す人が国家公務員の採用試験を受ける場合、電気主任技術者の免状を持っていなくても受験できます。

※出典:「電気事業法」第43条・第44条 e-Gov法令検索

民間から公務員の電気職への転職

民間企業などから公務員の電気職へ転職するには、職務経験がある人を対象にした経験者採用(中途採用)を行う自治体を受ける方法があり、特別区では電気に関連する業務従事歴が受験の条件になります。

また、受験できる年齢の範囲内であれば、民間企業で働いている人も国家公務員一般職試験(大卒程度)を受験できます。

ここでは、特別区の経験者採用を例に、転職の条件を見ていきましょう。

特別区の経験者採用(電気区分)

特別区を例にとると、公務員の電気職の経験者採用試験・選考に電気の区分があり、電気に関連する業務従事歴が受験の条件になります。

特別区では、「事務(一般事務)」以外の区分で、当該職種に関連する業務従事歴が必要とされています。

なお、電気の区分を設ける級や、業務従事歴の年数・数え方は年度ごとの試験・選考案内で定められているため、受験する年度の案内で確かめてください。

他の自治体の経験者採用についても、各自治体の試験案内で調べるとよいでしょう。

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

公務員の電気職はきつい?やりがいと働き方

公務員の電気職がきついかどうかは配属先によって異なり、交替制の勤務や、技術以外の事務・住民対応がある職場もあります。

一方、配属先によってはダムや発電所などの規模の大きな設備に関われ、暮らしを支えられることがやりがいの1つになります。

ここでは、きつい面になりうる仕事と、やりがいにつながる仕事を順に紹介します。

公務員の電気職のきつい面は技術以外の仕事と交替制の勤務

公務員の電気職は、配属先によって技術職以外の事務的な仕事や住民対応、交替制の勤務があり、その負担がきつい面になりえます。

たとえば、特別区の採用情報で紹介されている電気職の職員は、技術職としての仕事以外にも事務的な仕事や区民からの要望への直接の対応が少なくないと述べています。

神奈川県の企業庁の出先機関には、365日24時間体制で交替制の勤務を行う職場もあります。

365日24時間体制の職場では夜間や休日も勤務の時間帯に入るため、生活のリズムが変わることを負担に感じる人もいるでしょう。

※出典:「11職種の紹介 電気」特別区人事委員会(2020年度採用特設ページ)

※出典:「電気|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

ライフラインを支える規模の大きな仕事に関われる

公務員の電気職は、配属先によってはダムや発電所、浄水場などライフラインの設備の更新や運用に関われ、その規模の大きさがやりがいの1つになります。

特に、神奈川県の電気職の職員は、ダムを運用しながら行うリニューアル工事の規模の大きさに、責任とともにやりがいを感じていると紹介されています。

同じ職員は、ダム受配電設備の更新工事を終え、試験放流でダムゲートが動作したときに達成感を得たと語っています。

※出典:「電気|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

まとめ

公務員の電気職は電気の専門知識を生かす技術職で、国家公務員の官庁営繕部門では官庁施設の電気設備の設計・工事検査、地方公務員は公共施設やライフラインの電気設備の設計・工事監理・維持管理・運転監視を担います。

給料は、国家公務員が勤務先と職務に応じて一般職の職員の給与に関する法律の俸給表、地方公務員が自治体の給料表で決まる仕組みです。

試験は、国家公務員一般職(大卒程度)がデジタル・電気・電子区分、総合職が主に工学区分で、地方公務員の試験の内容は自治体ごとに異なります。

国家公務員の採用試験は電気系の資格を持っていなくても受験でき、電気主任技術者は電気設備の保安の監督にかかわる資格と押さえておきましょう。

また、経験者採用(中途採用)を行う自治体があり、特別区では電気に関連する業務従事歴が受験の条件になります。

配属先によっては交替制の勤務や事務・住民対応がある一方、ダムや発電所などの規模の大きな設備で暮らしを支えられることがやりがいの1つです。

まずは受験先の試験区分と試験案内を確かめ、電気職の採用試験に向けた対策を始めてください。

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