機械工学などを学んでいる人や機械系の仕事をしている人のなかには、公務員の機械職という進路が気になりつつ、どんな仕事を担い、どの試験に合格すれば就けるのか分かりにくいと感じる人もいるでしょう。

公務員の機械職とは、国や地方自治体で機械の専門知識を生かして働く技術職で、自治体では公共施設の空調・給排水などの機械設備(自治体によっては下水道・浄水場の機械設備も)の設計・工事監理・維持管理を、国では国土交通省東京航空局のように空港の機械施設の整備・維持管理などを担います。

国家公務員は人事院の一般職試験の機械区分や総合職試験の工学区分など、地方公務員は各自治体の採用試験の機械などの区分に合格すると就けます。

試験日程・採用予定数・倍率・給与などの最新の値は人事院と各自治体が公表しているため、受験先の公表資料で確かめてください。

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公務員の機械職とは?

公務員の機械職とは?

公務員の機械職とは、国の府省や都道府県・市区町村で機械の専門知識を生かして働く技術職で、都道府県・市区町村では公共施設の機械設備(自治体によっては下水道・浄水場の機械設備も)の設計・工事監理・維持管理を、国では国土交通省東京航空局のように空港の機械施設の整備・維持管理などを担います。

ここでは、機械職の位置づけと、国家公務員と地方公務員の違いを順に見ていきましょう。

公務員の機械職は機械の専門知識を生かす技術職

公務員の機械職は、土木・建築・電気などと並ぶ技術系の職種で、主に「機械」などの技術系の試験区分で採用されます。

たとえば、採用試験の機械系の区分の例は次の3つです。

  • 国家公務員採用一般職試験(大卒程度):「機械」区分
  • 国家公務員採用総合職試験:「工学」区分など(機械系の科目を選んで受験する)
  • 特別区(東京23区)職員採用試験:「機械」の区分

国家公務員と地方公務員の機械職の違い

国家公務員の機械職は、国土交通省東京航空局を例にとると国が管理する空港の機械施設や特殊車両の整備・維持管理などを担い、地方公務員の機械職は公共施設の機械設備を担い、自治体によっては下水道や浄水場などライフラインの機械設備も担います。

両者の違いをまとめると、次のとおりです。

項目国家公務員地方公務員
勤務先の例国土交通省東京航空局など区役所・県庁、自治体によっては下水道の整備事務所、浄水場・ダムを管理する部署など
仕事の例空港や管制塔・庁舎、航空保安施設の機械施設の企画・調査・設計・施工・維持管理、
空港用化学消防車などの特殊車両の企画・調査・設計・製造・保守
公共施設の建築設備(機械関係)の計画・設計・工事監理・維持管理、
自治体によっては下水道のプラント設備工事、浄水場・ダムの機械設備の工事監督・保安点検・維持管理

公務員の機械職の仕事内容

公務員の機械職の仕事内容は、国家公務員では国土交通省東京航空局のように空港の機械施設の整備・維持管理など、地方公務員では公共施設の空調・給排水などの機械設備の設計・工事監理・維持管理が中心で、自治体によっては下水道・浄水場・ダムの機械設備の工事監督・保安点検・維持管理も担います。

それぞれの仕事を詳しく見ていきます。

国家公務員の機械職の仕事内容(国土交通省東京航空局の例)

国土交通省東京航空局を例にとると、国家公務員の機械職は、国が管理する空港や管制塔・庁舎、航空保安施設の機械施設について、企画・調査から設計・施工・維持管理までを担います。

東京航空局が紹介する機械職員の主な業務は、次の2つです。

  • 国が管理する空港や管制塔・庁舎、航空保安施設の機械施設について、企画・調査から工事の設計・施工、維持管理までを担当
  • 国が管理する空港に配備された空港用化学消防車などの特殊車両について、企画・調査・設計から製造・保守までを担当

さらに、機械職員の役割は、機械施設の管理・運用や整備・維持管理を主体としつつ、空港整備計画等の企画・立案、契約制度への対応、災害対策、空港の安全監督など幅広いと紹介されています。

※出典:「技術系区分(土木職・機械職・建築職・電気職)」国土交通省東京航空局

地方公務員の機械職の仕事内容(公共施設の機械設備)

地方公務員の機械職は、特別区を例にとると、区の公共施設について、給排水衛生設備・空気調和設備などの機械設備の計画・設計から工事監理、竣工時の検査、維持管理までを担います。

特別区では、機械の仕事として次のような業務が挙げられています。

  • 公共施設の建築設備(機械関係)の計画・設計・施工・工事監理・維持管理
  • 公共施設竣工時の検査
  • 清掃工場などの機械設備の維持管理、機械設備工事の設計・監督
  • 建物設備の確認審査

たとえば、特別区の採用情報で紹介されている機械職の職員は、施設の改修・新築工事の設計・積算、工事監理と維持管理を行う課で、主に給排水衛生設備・空気調和設備工事を担当しています。

※出典:「11職種の紹介 機械」特別区人事委員会(2020年度採用特設ページ)

地方公務員の機械職の仕事内容(下水道・浄水場・ダム)

地方公務員の機械職は、下水道や浄水場・ダムといったライフラインの機械設備の整備・更新や、保安点検・維持管理を担うこともあります。

たとえば神奈川県では、配属先ごとに次のような仕事があります。

  • 知事部局:県営住宅や教育施設などの建築物の機械設備工事と、下水道事業のプラント設備工事を、計画から完成まで担当
  • 企業庁:浄水場やダム施設の取水・浄水・排水処理・送配水・放流などの機械設備について、整備・更新の工事監督や保安点検、維持管理を担当

神奈川県の企業庁の機械職の職員は、浄水場のポンプ・バルブ・ゲート設備の維持管理や設備更新に携わっていると紹介されています。

※出典:「機械|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

公務員の機械職の年収・給料の仕組み

公務員の機械職の年収のもとになる給料は、国家公務員は一般職の職員の給与に関する法律の俸給表、地方公務員は各自治体が条例で定める給料表によって、職務の級と号俸(号給)の組み合わせで決まります。

年収の額は勤務先・年齢・役職によって変わるため、ここでは給料が決まる仕組みを解説します。

国家公務員の機械職は勤務先に応じた俸給表で給料が決まる

国家公務員の機械職の給料(俸給)は、勤務先と職務に応じて、一般職の職員の給与に関する法律が定める俸給表(行政職俸給表(一)、研究職俸給表など)で決まります。

このうち、行政職俸給表(一)と研究職俸給表の適用範囲は、次のとおりです。

  • 行政職俸給表(一):他の俸給表の適用を受けない職員に適用する表(別表第一)
  • 研究職俸給表:人事院が指定する試験所・研究所などに勤務し、試験研究や調査研究の業務に従事する職員(人事院規則で定める職員)に適用する表(別表第七)

なお、俸給の額は職務の級と号俸の組み合わせで決まり、職務の級は職務の複雑さ・困難さ・責任の度合いに応じて分けられています。

俸給のほかに、同法に基づく諸手当(扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当など)と期末手当・勤勉手当も支給されます。

※出典:「一般職の職員の給与に関する法律」第5条・第6条・別表第一・別表第七 e-Gov法令検索

地方公務員の機械職は自治体の給料表で決まる

地方公務員の機械職の給料は、各自治体が条例で定める給料表で決まり、支給額は給料表の「級」と「号給」の組み合わせで決まります。

地方公務員の給与には、地方公務員法第24条に基づく次の3つの原則がある点も押さえておきましょう。

  • 職務給の原則:職務と責任に応じて給与を定める
  • 均衡の原則:生計費や国・他の自治体の職員、民間事業の従事者の給与などを考慮して定める
  • 条例主義:給与は条例で定める

また、給料のほかに、自治体は条例で扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当・期末手当・勤勉手当などを支給できると地方自治法で定められています。

受験先の自治体が公表している給与の資料で、機械職に適用される給料表を確かめてください。

※出典:「地方公務員の給与の仕組み」総務省

※出典:「地方公務員法」第24条 e-Gov法令検索

※出典:「地方自治法」第204条 e-Gov法令検索

公務員の機械職の試験内容

公務員の機械職になるには、国家公務員は人事院の一般職試験の機械区分や総合職試験の工学区分など、地方公務員は各自治体の採用試験の機械などの区分に合格する必要があります。

国家公務員一般職(大卒程度)の機械区分の試験内容は、基礎能力試験・専門試験(多肢選択式・記述式)・人物試験です。

ここからは、国家公務員一般職、国家公務員総合職、地方公務員、試験問題例の順に紹介しましょう。

国家公務員一般職(大卒程度)機械区分の試験

国家公務員の機械職を目指す場合、一般職試験(大卒程度)の機械区分では、第1次試験が基礎能力試験と専門試験(多肢選択式・記述式)、第2次試験が人物試験で行われます。

試験種目と内容は、次のとおりです。

試験試験種目内容
第1次基礎能力試験(多肢選択式)知能分野と知識分野の筆記試験
第1次専門試験(多肢選択式)工学に関する基礎、材料力学、機械力学、流体力学、熱工学、機械設計・機械材料・機械工作
第1次専門試験(記述式)機械工学に関連する領域
第2次人物試験人柄や対人的能力などをみる個別面接

なお、機械区分の専門試験(多肢選択式)は、出題された問題すべてに解答する形式です。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

国家公務員総合職は主に工学区分で受験する

国家公務員の機械職を総合職で目指す場合は、主に「工学」区分で受験し、専門試験で機械系の科目を選んで解答します。

工学区分で選べる機械系の科目は、次のとおりです。

  • 専門試験(多肢選択式):材料力学[機械系]、流体力学[機械系]、機械力学、熱力学・熱機関[機械系]などの選択科目
  • 専門試験(記述式):材料力学[機械系]、機械力学、流体力学[機械系]、熱力学・熱機関[機械系]などの選択科目

ちなみに、専門試験(多肢選択式)には、工学に関する基礎の必須問題もあります。

※出典:「国家公務員採用総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)受験案内」人事院

地方公務員の機械職の試験

地方公務員の機械職の採用試験は各自治体の人事委員会等が行い、試験の方法も人事委員会等が定めるため、試験の内容は自治体ごとに異なります。

地方公務員法では、第18条で採用試験は人事委員会等が行うこと、第20条第2項で筆記試験その他の人事委員会等が定める方法により行うことが定められています。

たとえば特別区では、機械の試験区分がⅠ類・Ⅲ類・経験者採用など複数の試験に設けられていて、どの試験に設けるかは年度ごとの試験案内で決まります。

受験先の試験案内では、次の3点を確かめておきましょう。

  • 機械系の区分の名称
  • 試験の種目
  • 専門科目の範囲

※出典:「地方公務員法」第18条・第20条 e-Gov法令検索

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

人事院の試験問題例で出題の形式を確かめる

公務員の機械職の勉強は、受験案内の専門試験の出題分野で範囲をつかみ、過去問対策の第一歩として、人事院が公表している国家公務員一般職試験(大卒程度)の試験問題例で機械区分の出題の形式を確かめるところから始められます。

勉強する範囲は、一般職試験の機械区分の専門試験の出題分野である工学に関する基礎、材料力学、機械力学、流体力学、熱工学、機械設計・機械材料・機械工作です。

人事院の「試験問題例 一般職(大卒)」のページには、デジタル・電気・電子、機械、土木、建築などの区分ごとの試験問題例がPDFで掲載されています。

そのため、試験問題例のPDFで専門試験の問題の並びと分野を見ると、受験案内で確かめた範囲がどのような形式で出題されるかの見当をつけられるでしょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

※出典:「試験問題例 一般職(大卒)」人事院

公務員の機械職に資格は必要?

公務員の機械職を目指す場合、国家公務員一般職試験(大卒程度)は機械系の資格を持っていなくても受験でき、受験資格は年齢と学歴で定められています。

なお、地方公務員の受験資格は各自治体が定めるものです。

受験資格とあわせて、機械区分以外の合格者を機械職の対象にする例も紹介します。

国家公務員一般職の受験資格は年齢と学歴、地方公務員は自治体が定める

国家公務員一般職試験(大卒程度)の受験資格は年齢と学歴で定められ、地方公務員の機械職の受験資格は各自治体の人事委員会等が定めます。

国家公務員一般職試験(大卒程度)の受験資格は、次の2点です。

  • 受験できる年齢は生年月日の範囲で定められている
  • 年齢の範囲の下限に満たない人は、大学・短大・高専の卒業(見込み)などが条件になる

具体的な生年月日の範囲は、受験する年度の人事院の受験案内で確かめてください。

受験資格の要件は年齢と学歴の2つなので、機械系の資格・免許を持っていなくても受験できます。

また、国土交通省東京航空局のように、一般職試験(大卒程度)の機械区分に加えて物理区分・教養区分の合格者も機械職の官庁訪問の対象にしている例があります。

地方公務員の機械職を目指す場合は、受験先の試験案内で受験資格を確認しておきましょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」人事院

※出典:「技術系区分(土木職・機械職・建築職・電気職)」国土交通省東京航空局

※出典:「地方公務員法」第19条 e-Gov法令検索

民間から公務員の機械職への転職

民間企業などから公務員の機械職へ転職するには、社会人を対象にした試験や、職務経験がある人を対象にした選考採用・経験者採用(中途採用)を受ける方法があります。

また、社会人試験や選考採用のほかに、受験できる年齢の範囲内であれば、民間企業で働いている人も国家公務員一般職試験(大卒程度)を受験できます。

国の例として東京航空局、自治体の例として特別区の順に見ていきましょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」人事院

国の例:東京航空局の社会人試験と選考採用

国の機関で公務員の機械職に転職する例として、国土交通省東京航空局は社会人試験(係員級)の案内で機械を含む職種を挙げているほか、社会人経験者(係長級)を対象にした選考採用試験も行っています。

東京航空局の技術系の採用情報には、一般職試験(大卒程度・高卒者・社会人試験[係員級])と並んで選考採用試験(社会人経験者[係長級])の案内が掲載されていて、社会人試験(係員級)の案内には【土木・建築・機械・電気】と機械が明記されています。

ただし、募集の時期や対象は年度ごとに案内されるため、東京航空局の採用情報で確かめてください。

※出典:「技術系区分(土木職・機械職・建築職・電気職)」国土交通省東京航空局

自治体の例:特別区の経験者採用(機械区分)

特別区を例にとると、公務員の機械職の経験者採用試験・選考に機械の区分があり、機械に関連する業務従事歴が受験の条件になります。

特別区では、「事務(一般事務)」以外の区分で、当該職種に関連する業務従事歴が必要とされています。

なお、機械の区分を設ける級や、業務従事歴の年数・数え方は年度ごとの試験・選考案内で定められているため、受験する年度の案内で確かめるとよいでしょう。

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

公務員の機械職はきつい?やりがいと働き方

公務員の機械職は、機械設備の専門知識に加えて建築や電気設備、幅広い法令の知識を使い、関係者との調整役となって工事を進める働き方で、求められる知識の幅と調整の多さがきつい面になりえます。

一方、公共施設やライフラインを支え、実践的な知識・経験が身につくことがやりがいになります。

ここでは、働き方とあわせてきつい面になりうる点と、やりがいにつながる点を順に紹介します。

公務員の機械職のきつい面は幅広い知識と調整が求められること

公務員の機械職は、関係者との調整役となって工事を進める働き方で、求められる知識の幅と調整の多さがきつい面になりえます。

たとえば、特別区の採用情報で紹介されている機械職の職員は、仕事に求められることとして、機械設備に関する専門的な知識に加えて、建築や電気設備に関する知識や幅広い法令知識も必要になると述べています。

同じ職員は、工事を問題なく進めるには関係各所とのスムーズな連絡・報告・相談が必要で、率先してパイプ役となって調整する仕事だとも語っています。

神奈川県の機械職の職員が、時期によっては受け持つ工事の件数が多くなり対応に苦慮したものの、職場内でサポートし合って乗り切ったと紹介されていて、工事が重なる時期の忙しさもきつい面になるでしょう。

※出典:「11職種の紹介 機械」特別区人事委員会(2020年度採用特設ページ)

※出典:「機械|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

ライフラインを支え実践的な知識が身につく

公務員の機械職は、公共施設や上下水道などの機械設備を通して暮らしを支えられ、実践的な知識・経験が身につく点がやりがいになります。

特に、神奈川県の機械職の職員は、県有の公共施設や上下水道のインフラなどに携わり、管工事や上下水道の知識を得られることをスキルアップにつながる魅力に挙げられています。

企業庁の機械職の職員も、機械設備の修理や点検を職員自身で行うこともあり、実践的な知識・経験が習得できると述べています。

※出典:「機械|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

まとめ

公務員の機械職は機械の専門知識を生かす技術職で、国家公務員では東京航空局のように空港の機械施設の整備・維持管理など、地方公務員は公共施設の機械設備の設計・工事監理・維持管理を担い、自治体によってはライフラインの機械設備も担います。

給料は、国家公務員が勤務先と職務に応じて一般職の職員の給与に関する法律の俸給表、地方公務員が自治体の給料表で決まる仕組みです。

試験は、国家公務員一般職(大卒程度)が機械区分、総合職が主に工学区分で、受験案内の出題分野と人事院の試験問題例で勉強の範囲と出題の形式を確かめられます。

国家公務員一般職試験(大卒程度)は機械系の資格を持っていなくても受験でき、東京航空局のように物理区分・教養区分の合格者を機械職の官庁訪問の対象にする例もある点を押さえておきましょう。

民間からの転職には、東京航空局の社会人試験・選考採用や特別区の経験者採用などの道があります。

幅広い知識と関係者との調整が求められる働き方がきつい面になりうる一方、ライフラインを支え実践的な知識が身につくことがやりがいです。

まずは受験先の試験区分と試験案内を確かめ、機械職の採用試験に向けた対策を始めてください。

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