高校卒業後に国税の仕事に就きたいと考え、税務職員採用試験がどんな試験なのかを知りたい人もいるでしょう。

税務職員採用試験は、人事院が実施する高校卒業程度の国家公務員採用試験で、高校卒業後3年以内の人と卒業見込みの人が受験できます。

合格して採用されると、税務大学校で約1年間の研修を受けたあと、税務署などで国税の調査・徴収などの仕事に就きます。

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税務職員採用試験とは?高卒程度の国家公務員試験

税務職員採用試験とは?高卒程度の国家公務員試験

税務職員採用試験とは、内国税の賦課・徴収などの専門的な事務に就く職員を採用するために、人事院が実施する高校卒業程度の国家公務員採用試験です。

試験の目的から受験資格、国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)との違い、試験の流れまでを順に見ていきましょう。

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

税務職員採用試験は国税の仕事に就く職員を採用する試験

税務職員採用試験は、内国税の賦課及び徴収、酒類業の発達、税理士業務の運営の分野で専門的な知識を必要とする事務に就く係員を採用する試験です。

採用は全国9つの地域ごとに行われ、受験者は申込みの際に次のいずれかの地域を選びます。

  • 北海道
  • 東北
  • 関東甲信越
  • 東海北陸
  • 近畿
  • 中国
  • 四国
  • 九州
  • 沖縄

なお、地域ごとに採用予定数が決められており、採用後は原則としてその地域の税務署などで働くことになります。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

税務職員は高卒・高卒見込みの人が受験できる

税務職員採用試験は、試験年度の4月1日時点で高校(中等教育学校を含む)を卒業してから3年を経過していない人と、翌年3月までに卒業する見込みの人が受験できます。

また、人事院が「準ずる」と認める次の人も受験できます。

  • 義務教育を終えてから2年以上6年未満の人(高校卒業の要件に当てはまる人を除く)
  • 高等専門学校の第3学年を修了して3年を経過していない人と、修了見込みの人
  • 高等学校卒業程度認定試験に合格した人(合格から3年を経過していない人など)

受験には日本国籍が必要で、国家公務員法第38条の欠格事由に当たる人は除かれます。

年数は「試験年度の4月1日」を基準に数えるため、自分の卒業年と照らし合わせて、受験できる年度を確かめておきましょう。

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

国家一般職(高卒者試験)との違い

税務職員採用試験は国家一般職(高卒者試験)と第1次試験が同じ日に行われるため、両方を受験することはできません。

2つの試験の主な違いは次のとおりです。

項目税務職員採用試験国家一般職(高卒者試験・事務)
仕事の内容国税の調査・徴収などの事務各官署の一般の行政事務
受験資格の年数高校卒業後3年以内高校卒業後2年以内
試験種目基礎能力・適性・作文・人物・身体検査基礎能力・適性・作文・人物
配点比率基礎能力5・適性2・人物3(10分の)基礎能力4・適性2・作文1・人物2(9分の)

2つの試験は仕事の内容が異なり、両方を受験することもできません。

そのため、税務署で国税の仕事に就きたい人は、税務職員採用試験を選びましょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

税務職員採用試験の流れ

税務職員採用試験は、申込み→第1次試験→第2次試験→最終合格→採用候補者名簿への記載→採用の流れで進みます。

  1. インターネットで申込みをする
  2. 第1次試験で基礎能力試験・適性試験・作文試験を受ける
  3. 第2次試験で人物試験と身体検査を受ける
  4. 最終合格者は採用候補者名簿(1年間有効)に記載される
  5. 名簿から採用者が決まり、翌年度の4月ごろに採用される

なお、申込みから試験までは夏から秋にかけて行われ、日程は年度ごとに人事院の試験ページで公表されます。

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

税務職員採用試験の試験内容

税務職員採用試験の試験内容は、第1次試験が基礎能力試験・適性試験・作文試験、第2次試験が人物試験と身体検査です。

第1次試験は筆記、第2次試験は面接と身体検査という構成で、各試験種目の内容と配点比率は次のとおりです。

試験試験種目内容配点比率
第1次基礎能力試験(多肢選択式)知能・知識の筆記試験10分の5
第1次適性試験(多肢選択式)事務処理のスピード検査10分の2
第1次作文試験文章による表現力などの筆記試験合否のみ
第2次人物試験個別面接10分の3
第2次身体検査主に一般内科系検査合否のみ

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

第1次試験:基礎能力試験

税務職員採用試験の基礎能力試験は、公務員として必要な基礎的な能力(知能と知識)を問う多肢選択式の筆記試験で、40題を1時間30分で解きます。

出題は知能分野と知識分野に分かれ、それぞれ20題ずつ出題されます。

分野主な科目
知能分野(20題)文章理解・課題処理・数的処理・資料解釈
知識分野(20題)自然科学・人文科学・社会科学・情報

知能分野では読解や計算・推理の力が、知識分野では高校までに学ぶ幅広い教科の知識が問われます。

なお、科目ごとの題数は年度によって変わる場合もある点に注意が必要です。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

第1次試験:適性試験

税務職員採用試験の適性試験は、速く正確に事務処理を行う能力をみる多肢選択式の筆記試験で、120題を15分で解くスピード検査です。

置換・照合・計算・分類などの比較的簡単な問題を、限られた時間内に番号順にできるだけ多く解答します。

ただし、誤答・二つ以上マークした解答・飛ばした問題があると、その数だけ正解数から減点されます。

適性試験では、速さに加えて正確さも点数を左右するといえるでしょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

第1次試験:作文試験

税務職員採用試験の作文試験は、文章による表現力や課題に対する理解力をみる筆記試験で、1題を50分で書きます。

作文試験は点数を付けず合否の判定だけを行う試験種目です。

第1次試験の合格者を対象に評定され、その結果が最終合格者の決定に反映されます。

つまり、作文試験に合格しなければ、ほかの試験の成績にかかわらず最終合格はできません。

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

第2次試験:人物試験と身体検査

税務職員採用試験の第2次試験では、人柄や対人的能力などをみる個別面接の人物試験と、主に一般内科系の身体検査が行われます。

人物試験の参考とするため、第2次試験の際には性格検査も行われます。

身体検査の一般内科系検査は、呼吸器・循環器などの検査項目について、視診・問診・聴打診で行う検査です。

また、身体検査も作文試験と同じく合否の判定だけを行う試験種目で、合格しなければ最終合格できません。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

配点比率は人物試験が3割を占める

税務職員採用試験の配点比率は、基礎能力試験10分の5、適性試験10分の2、人物試験10分の3で、作文試験と身体検査は合否の判定だけを行います。

人物試験の配点比率は、令和7(2025)年度試験から引き上げられました。

そのため、筆記試験だけでなく面接の評価も最終合格に大きく影響します。

※出典:「令和7(2025)年度からの税務職員採用試験の配点比率の見直しについて」人事院

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

税務職員採用試験の難易度

税務職員採用試験の難易度は、出題が高校卒業程度でも範囲が広く、どの試験種目でも基準点に届かなければ不合格になるため、筆記と面接の両方で対策が必要な水準です。

ここでは、出題のレベル、合格の決まり方、倍率の見方の順に紹介します。

出題は高校卒業程度だが範囲が広い

税務職員採用試験は高校卒業程度の試験ですが、高校までに学ぶ幅広い教科から出題され、限られた時間で多くの問題を解く必要があります。

難易度に関わる要因は、主に次の3つです。

  1. 出題のレベルは高校卒業程度
  2. 知識分野は高校までに学ぶ幅広い教科から出題され、知能分野は文章理解・課題処理・数的処理・資料解釈から出題される
  3. 基礎能力試験は40題を1時間30分で解くため、1題に使える時間が限られている

出題分野の内訳は、前述の「第1次試験:基礎能力試験」で紹介しています。

特に知能分野は文章理解・課題処理・数的処理・資料解釈と出題される科目が決まっているため、問題の形式に慣れておくと解きやすくなるでしょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

基準点に1つでも届かないと不合格になる

税務職員採用試験は、基準点に届かない試験種目が1つでもあると、ほかの試験種目の成績にかかわらず不合格になります。

合格の決まり方のポイントは次の3つです。

  • 基礎能力試験と適性試験の基準点は、原則として満点の30%
  • 人物試験はA〜Eの5段階で評価され、C以上が必要
  • 得点は、素点を平均点と標準偏差で換算した標準点で比べる

第1次試験の合否は、基礎能力試験と適性試験の標準点の合計で決まります。

一方、最終合格は、基礎能力試験・適性試験・人物試験の標準点の合計で決まります。

どの試験種目も基準点を超えられるよう、面接まで含めて準備しておくと基準点割れを防ぎやすいでしょう。

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

倍率は年度と採用地域によって変わる

税務職員採用試験の倍率は、年度ごとの申込者数と、地域ごとの採用予定数によって変わります。

人事院は試験の実施状況(申込者数・合格者数)や合格点・平均点を毎年公表しており、受験を考える年度の値は人事院の試験ページで確かめられます。

また、採用予定数は地域ごとに大きく異なるため、申し込む地域によって競争の厳しさも変わってくるでしょう。

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

高卒で採用された税務職員の仕事内容と研修

高卒で採用された税務職員は、税務大学校で約1年間の研修を受けたあと、原則として採用地域の税務署などで、国税の調査・徴収などを主な仕事内容とする事務に従事します。

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

税務署で国税の調査・徴収などを担当する

税務署は内国税の賦課・徴収を担当する最前線の執行機関で、税務職員は税務署の各部門で相談・調査・徴収などの仕事を担当します。

税務署の主な部門と仕事は次のとおりです。

部門主な仕事
管理運営部門申告書の受付、納税証明書の発行、国税の領収など
徴収部門国税の納付の相談、滞納処分など
個人課税部門所得税や個人事業者の消費税等の相談と調査
資産課税部門相続税・贈与税、土地建物等を譲渡したときの所得税の相談と調査
法人課税部門法人税、法人の消費税等、印紙税、酒税などの相談と調査

ちなみに、税務署は納税者と密接なつながりを持つ行政官庁で、税務職員は税金の相談から調査、徴収まで幅広い場面で納税者と関わります。

※出典:「国税庁の機構」国税庁

採用後は税務大学校で約1年間の研修を受ける

税務職員採用試験で採用された人は、税務大学校の普通科で約1年間の研修を受けてから、各国税局(沖縄国税事務所)管内の税務署に配属されます。

普通科研修の主な特徴は次のとおりです。

  • 税務大学校の地方研修所に入校する全寮制
  • 税法科目、実務講義及び実地研修、簿記会計学、法律・経済科目、データリテラシーなどを学ぶ
  • 1年間のうち最後の3か月は、確定申告期に税務署で実地研修を行う

さらに、税務署で3年間の実務経験を積んだあとには、約3か月間の中等科研修を受講します。

※出典:「普通科」国税庁 税務大学校

※出典:「人事・研修制度(税務職員採用試験)」国税庁

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

税務職員の年収・給料の仕組み

高卒で採用された税務職員の給料は、一般職の職員の給与に関する法律に基づく俸給と、諸手当・期末・勤勉手当(ボーナス)で決まり、研修を終えて税務署に配属されると税務職俸給表が適用されます。

年収の額は年度・勤務地・経験年数によって変わるため、ここでは税務職員の給料の仕組みを紹介します。

※出典:「募集要項」国税庁

高卒の初任給は行政職俸給表、研修後は税務職俸給表が適用される

高卒で税務職員採用試験に採用された人の初任給は行政職俸給表(一)の1級5号俸で決まり、普通科研修を修了したときは税務職俸給表の1級7号俸が適用されます。

俸給表は職務の種類ごとに設けられており、級と号俸の組み合わせで俸給の額が決まる仕組みです。

なお、昇給の機会は通常年1回です。

※出典:「募集要項」国税庁

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

俸給に加えて手当とボーナスが支給される

税務職員には俸給のほか、扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当などの諸手当と、6月と12月に期末・勤勉手当(ボーナス)が支給されます。

扶養手当は扶養親族のいる人、住居手当は借家などに住んでいる人、通勤手当は交通機関などを使って通勤する人に支給されます。

地域手当は、民間賃金の水準が高い地域に勤務する人に支給される手当です。

そのため、同じ税務職員でも勤務地によって給料の総額は変わってくるでしょう。

また、単身赴任手当は、原則として研修を終えて税務署などで勤務を始めてから支給されます。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

※出典:「募集要項」国税庁

税務職員採用試験の対策

税務職員採用試験の対策は、人事院が公開している過去の試験問題で出題形式に慣れ、適性試験の練習と作文・面接の準備を並行して進めると取りこぼしを防ぎやすくなります。

税務職員採用試験の過去問で出題形式に慣れる

人事院は税務職員採用試験の過去の試験問題(過去問)を公開しており、実際の問題を解くと出題形式と難しさをつかみやすくなります。

基礎能力試験は40題を1時間30分で解くため、過去問を時間を計って解き、時間配分を確かめておきましょう。

ちなみに、正答番号は第1次試験の直後に、人事院の試験情報ページで一定期間公表されます。

過去問を解いて苦手な科目が分かれば、残りの期間で重点的に復習する科目を決めやすくなるでしょう。

※出典:「試験問題例(税務)」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

適性試験は時間を計って練習する

税務職員採用試験の適性試験は120題を15分で解くスピード検査なので、置換・照合・計算・分類の問題を時間を計って練習しておくと、本番の速さに慣れやすくなります。

ただし、誤答や飛ばした問題は正解数から減点されます。

練習の段階から速さだけでなく正確さも意識して取り組みましょう。

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

作文と面接は早めに準備する

作文試験と人物試験は、どちらも結果しだいで不合格になる試験種目のため、筆記と並行して早めに準備しておきましょう。

配点比率と評価の基準は、前述の「配点比率は人物試験が3割を占める」と「基準点に1つでも届かないと不合格になる」で紹介しています。

作文は50分で1題を書くため、時間を計って書く練習をしておくと、本番の時間配分をつかみやすくなります。

また、人物試験は個別面接のため、志望動機や税務職員として取り組みたいことを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

第2次試験の際には面接カードの提出も求められるため、記入する内容を早めに整理しておくと面接の準備も進めやすくなります。

※出典:「税務職員採用試験の合格者の決定方法」人事院

※出典:「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)・税務職員採用試験 受験案内」人事院

※出典:「税務職員採用試験」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

まとめ

税務職員採用試験は、高校卒業後3年以内の人と卒業見込みの人が受験できる国家公務員試験です。

第1次試験(基礎能力・適性・作文)と第2次試験(人物・身体検査)があり、基準点に1つでも届かない試験種目があると不合格になります。

また、採用後は税務大学校で約1年間の研修を受け、税務署で国税の仕事に就き、税務職俸給表が適用されます。

試験の仕組みを理解したうえで、過去問と面接の準備を早めに始めましょう。

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