国家公務員は2026年4月から、趣味や特技をいかした事業や社会貢献につながる事業も承認を受けられるようになり、副業が解禁されました。

地方公務員も自治体ごとに副業の許可基準の見直しが進んでいます。

ただし、副業が解禁されたとはいえ、兼業にあたる活動は、法律にもとづき許可(承認)を得た場合に限って行えます。

公務員の副業は、株式投資などの資産運用や不用品の販売なら許可なく行え、作品の販売や教室の運営、規模の大きい不動産賃貸などは許可を得ればできます。

一方で、営利企業でのアルバイトや転売などは認められにくいため、始める前に所属先のルールを確認しておきましょう。

本コラムでは、公務員の副業解禁の内容と時期、できる副業と認められにくい副業、許可の目安と申請の流れについて解説します。

副業を始めたい公務員の方や、公務員を目指している方はぜひ参考にしてください。

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目次

公務員の副業が解禁!国家公務員・地方公務員の最新動向

公務員の副業が解禁!国家公務員・地方公務員の最新動向

国家公務員は、2026年4月1日から自営兼業の承認対象が広がりました。

一方、地方公務員も、2025年6月の総務省の通知を受けて、自治体ごとに許可基準の見直しが進んでいます。

どちらも許可制のまま、認められる副業の範囲が広がった点が今回の解禁のポイントです。

公務員の副業解禁はいつから?国家公務員と地方公務員の時期

公務員の副業解禁は、国家公務員が2026年4月1日からです。

地方公務員は、2025年6月11日の総務省の通知を受けて、自治体ごとに順次進んでいます。

地方公務員には一律の解禁日がなく、自治体の許可基準によって認められる範囲が変わります。

国家公務員と地方公務員の時期と、変わったことは次のとおりです。

区分時期変わったこと
国家公務員2026年4月1日施行「職員の有する知識・技能をいかした事業」と「社会貢献に資する事業」が、承認基準を満たせば自営兼業として承認を受けられるようになった。不動産賃貸・太陽光発電で承認が必要になる規模も見直された
地方公務員2025年6月11日の総務省通知を受け、自治体ごとに順次職務の能率・職務の公正・職員の品位という3つの基本原則を満たせば、営利企業での兼業や自営兼業も許可できることが明確になった。許可基準を定めて庁内外に公表することが求められた

人事院は今回の見直しの目的として、職員のモチベーション向上や人材確保への貢献を挙げています。

また、総務省の令和6年度の調査では、兼業の許可基準を定めている自治体は都道府県・市区町村の64%で、令和元年度の前回調査から25ポイント増えました。

基準を公表している自治体も56%と、前回から21ポイント増えています。

自分の自治体の許可基準や手続きは、人事担当課や庁内の規程で確認しておきましょう。

※出典:「自営兼業制度の見直しについて(概要)」人事院

※出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」人事院

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

副業を認めている自治体の例

自治体の中には、地域貢献活動などの地方公務員の副業について、独自の制度やガイドラインを設けているところがあります。

総務省が紹介している自治体の取り組みには、次のようなものがあります。

自治体取り組み・許可基準の例
兵庫県神戸市地域貢献応援制度を設け、報酬を伴う地域活動をしやすくした
岐阜県岐阜市岐阜市版「福業」ガイドラインで、報酬を得る地域活動の具体例を職員に周知した
福島県いわき市営利企業での兼業も、報酬が社会通念上相当な程度(所得額年20万円を基準)などの条件を満たせば認める
秋田県兼業の時間を週8時間・月30時間以内、勤務日は1日3時間以内とする

また、神戸市の職員からは、制度ができて報酬を伴う活動を安心して行えるようになったという声が出ています。

※出典:「兼業許可基準を設定する際のポイント等」総務省

解禁後も公務員の副業は許可制!副業を制限する法律

副業の解禁後も、公務員の副業は国家公務員法・地方公務員法によって制限されています。

兼業にあたる副業は、所属先の許可(承認)を得た場合に限って認められます。

なお、国家公務員と地方公務員では、根拠になる法律の条文が異なります。

国家公務員の副業を制限する法律(国家公務員法第103条・第104条)

国家公務員の副業は、国家公務員法第103条と第104条の2つの条文で制限されています。

第103条は、営利企業の役員・顧問・評議員を兼ねることと、自ら営利企業を営むこと(自営兼業)を制限する条文です。

人事院の承認を得た場合は、この制限は適用されません。

役員の兼業は、名義だけの場合も報酬の有無を問わず制限の対象になる点も押さえておきましょう。

ここでいう「自営」とは、職員が自分の名義で商業・工業・金融業などを営むことです。

自営にあたるかどうかは、営利目的の有無・継続性・規模・店舗などの営業設備の有無から個別に判断されます。

一方、第104条は、報酬を得て営利企業以外の団体の役員を兼ねたり、事業・事務に従事したりする場合に、内閣総理大臣と所轄庁の長の許可を求める条文です。

第103条と第104条の違いを表にまとめました。

条文対象報酬許可・承認する人
第103条営利企業の役員などとの兼業・自営兼業有無を問わない人事院(所轄庁の長に委任)
第104条上記以外の事業・事務への従事得る場合のみ内閣総理大臣と所轄庁の長

※出典:「国家公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

地方公務員の副業を制限する法律(地方公務員法第38条)

地方公務員の副業は、地方公務員法第38条で、任命権者の許可を受けなければ行えないと定められています。

第38条で許可が必要とされているのは、次の3つです。

  1. 営利企業の役員などの地位を兼ねること
  2. 自ら営利企業を営むこと
  3. 報酬を得て事業・事務に従事すること

国家公務員と比べると、ひとつの条文で役員の兼業・自営・報酬を得る仕事の3つをまとめて許可制にしている点が特徴です。

また、許可の基準は人事委員会規則などで定めることができるため、自治体ごとに基準が異なります。

同じ副業でも自治体によって扱いが変わる場合があるので、勤務先の基準を確認しておくことが大切です。

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

公務員の副業はどこまでOK?許可を得てできるおすすめの副業5選

公務員の副業はどこまでOK?許可を得てできるおすすめの副業5選

公務員の副業は、許可(承認)を得てできるもの・許可なくできるもの・認められにくいものの3つに分かれます。

許可を得てできるおすすめの副業は、規模の大きい不動産賃貸・太陽光発電、NPOでの仕事、作品の販売、教室の運営・地域イベントの主催、相続などで継承した家業(農業など)の5つです。

不動産賃貸・太陽光発電

公務員が承認を得れば、規模の大きい不動産賃貸や太陽光発電による電気の販売を副業として行えます。 

具体的には、アパート10室以上の賃貸や、大規模な太陽光発電による電気の販売などが該当します。

国家公務員の場合、入居者の募集・賃貸料の集金・建物の維持管理などを管理会社などの事業者に任せ、職務に支障が出ないことが明らかであることが承認の基準のひとつです。

職務との利害関係がないことや、公務の公正性・信頼性に支障が出ないことも承認の基準になります。

なお、劇場や映画館などの娯楽施設、旅館やホテルなどの用途の建物の賃貸は、規模に関係なく承認が必要な「自営」にあたる点にも注意しましょう。

また、太陽光発電は、定格出力が50kW以上の場合に承認が必要になります。

承認が必要になる出力は2026年4月の見直しで10kWから50kWに引き上げられたため、小規模な設備なら承認なしで電気を販売できる範囲が広がりました。

※出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」人事院

※出典:「自営兼業制度の見直しについて(概要)」人事院

NPOなど非営利団体での仕事

NPO法人・社会福祉法人・自治会などの非営利団体で報酬を得て働くことも、許可を得れば公務員の副業としてできます。

国家公務員の場合、主に次の基準を満たすことが許可の条件です。

  • 在職する機関と兼業先に利害関係がない
  • 理事長や理事などの経営上の責任者にならない
  • 報酬が社会通念上相当な額である

そのため、経営上の責任者にはならずに地域の団体の事務局を手伝うなど、公務で身につけた力を地域に役立てたい方に向いている副業といえます。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

ハンドメイド作品の販売・イラストレーターなどの創作活動

ハンドメイド品やイラスト・絵画・写真・音楽などの作品の販売は、国家公務員では2026年4月から「職員の有する知識・技能をいかした事業」として、副業の承認を受けられるようになりました。

人事院では、自ら作った物品・絵画・写真・音楽などをインターネットなどで個人向けに販売することや、出版社を通さずに自費出版することが典型例として挙げられています。

趣味で作ってきた作品を、事業として継続的に販売する道が開けた点は、今回の解禁の大きな変化といえるでしょう。

ただし、販売の規模(収入の見込み)が大きくなり「自営」と判断された場合は、承認の申請が必要になります。

依頼を受けて定期的に制作し継続的に報酬を受け取る場合や、自ら企業に売り込むなど事業を営んでいると判断される場合は、イラストレーターとしての活動でも承認・許可が必要な兼業にあたる場合があります。

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

教室の運営・地域イベントの主催

スポーツや芸術の教室を開いて自ら指導することや、地域振興イベントの主催・高齢者の買い物代行などの社会貢献の事業も、国家公務員では承認の対象になりました。

特技をいかして人に教えたい方や、地域の課題に関わりたい方にとっては、副業の選択肢が大きく広がったといえるでしょう。

自営兼業は週休日に行うことが原則で、例えば土日に外部の施設を借りて教室を開くといった形が想定されています。

また、地方公務員についても、総務省が書道教室の経営や民間事業者でのスポーツインストラクターを、基本原則を満たせば認められる兼業の例として挙げています。

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

※出典:「兼業許可基準を設定する際のポイント等」総務省

農業・家業の手伝い

農業や家業の副業は、国家公務員では相続や遺贈などで継承した家業(農業など)を営む場合に承認を受けられます。

地方公務員では自治体の許可基準によって家業の手伝いも許可される場合があります。

国家公務員の場合、農業は大規模で営利を主な目的とする場合に「自営」に当たり、承認を受けられるのは相続や遺贈などで家業を継承した場合です。

家業で報酬を得て働く手伝いは営利企業での兼業にあたるため、国家公務員は原則として認められていません。

一方、地方公務員は、3つの基本原則を満たせば、営利企業での兼業も任命権者の判断で許可される場合があります。

総務省が紹介する自治体の例では、福島県いわき市で、市内農業の活性化のために農業に従事する職員が出ています。

※出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」人事院

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

※出典:「兼業許可基準を設定する際のポイント等」総務省

公務員の副業で許可なくできること

公務員が副業の許可を得ずに行えるのは、株式投資などの資産運用、一定の規模を下回る不動産賃貸、単発の講演・執筆、自分の不用品の販売、報酬を得ない活動です。

ただし、地方公務員は自治体の規程で扱いが異なる場合があるため、始める前に人事担当課に確認しておきましょう。

株式投資などの資産運用

資産運用の一環として株式を持つ・売買することは、兼業の規制に当たりません。

公務員でも、副業の許可を得ずに、給与とは別に資産を増やす手段として株式投資を活用できます。

ただし府省によっては、インサイダー取引の防止などの観点から、内規で株取引を制限している場合があります。

本省審議官級以上の職員は、国家公務員倫理法にもとづく株取引などの報告が必要です。

ある会社の発行済株式の3分の1を超えて所有し、その会社が所属府省の権限の対象になっている場合も、株式の所有状況を人事担当部局に報告しなければなりません。

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

小規模な不動産賃貸

一定の規模を下回る不動産・駐車場の賃貸は「自営」に当たらず、副業の承認を得ずに行えます。

自分が所有する建物や土地を貸すことに加え、すでに賃貸されている不動産を相続して貸主になることも含まれます。

国家公務員の場合、次の基準をすべて下回っていれば承認は不要です。

  • 独立家屋5棟未満
  • アパートなど10室未満
  • 土地の賃貸契約10件未満
  • 駐車台数10台未満
  • 賃貸料収入が年1,000万円未満

賃貸料の基準は、2026年4月の見直しで年500万円から年1,000万円に引き上げられました。

一方、劇場や映画館などの娯楽施設、旅館やホテルなどの用途の建物の賃貸と、立体駐車場や機械式駐車場の賃貸は、規模に関係なく「自営」に当たります。

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

※出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」人事院

※出典:「自営兼業制度の見直しについて(概要)」人事院

単発の講演・執筆・作品の出版

単発の講演や雑誌などへの執筆、小説や漫画、楽曲などの自分の作品を単発で売ったり出版したりすることは、副業として行っても兼業に当たりません。

単発の講演・執筆は継続的・定期的に従事するものに当たらないため、国家公務員法第104条の許可の対象外となる点を押さえておきましょう。

一方で、作家・ライターとして依頼を受けて定期的に執筆し、継続的に報酬を受け取る場合は、承認・許可が必要な兼業にあたる場合があります。

国家公務員が利害関係者から依頼を受けて講演などをする場合は、あらかじめ倫理監督官の承認が必要です。

本省課長補佐級以上の職員が5千円を超える報酬を受け取る場合も、贈与等報告書の提出が求められます。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

フリマアプリでの不用品の販売

着なくなった服など、自分がたまたま持っている物をフリマアプリなどに出品する程度であれば、兼業に当たりません。

身の回りの物を整理して売る程度なら、公務員でも副業の許可を得ずに気軽に取り組めます。

ただし、物品を多数購入して定期的に出品する場合は、承認・許可が必要な兼業にあたる可能性があります。

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

ボランティアなど無報酬の活動

無給のボランティアや地域活動など報酬を得ない活動は、国家公務員法第104条と、地方公務員法第38条のうち事業・事務に従事する場合の許可の対象に当たりません。

交通費などの実費を受け取る場合も、国家公務員では実費弁償は報酬に含まれないため許可は不要です。

自治会やPTAの活動、地域のイベントの手伝いを無報酬で行うことも、副業の許可を得ずに続けられます。

ただし、営利企業の役員を兼ねる場合は、報酬がなくても制限の対象になります。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

公務員の副業で認められにくいもの

営利企業でのアルバイト・パート、広告収入を得るユーチューバーやアフィリエイト、転売・せどり、民間企業の役員は、公務員の副業として認められにくいものです。

地方公務員は自治体の許可基準によって扱いが異なるため、事前に人事担当課に確認しましょう。

アルバイト・パート(塾講師など)

民間の塾の講師や事務のパートなど、営利企業から報酬を受けて働くアルバイト・パートは、国家公務員の副業としては原則として認められていません。

地方公務員は3つの基本原則を満たせば任命権者の判断で認められる場合があります。

事務のパートや在宅のデータ入力のように、企業から報酬を受けて継続的に行う仕事は、雇用契約がない業務委託の形でも許可が必要な兼業に当たります。

さらに、アプリなどに登録して定型化されたサービスを個人として提供する事業も、国家公務員の自営兼業では2026年4月の見直しで承認の対象として想定されていません。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

ユーチューバー・アフィリエイトなど広告収入を得る副業

公務員がユーチューバーやアフィリエイトで広告収入を得ること自体は基本的に兼業に当たりませんが、規模によっては承認が必要になり、その判断は慎重に行われるため、認められにくい副業です。

承認・許可が必要な兼業にあたるかどうかは、YouTubeへの動画配信やブログの営利目的の有無、投稿の継続性・規模(主に収入額)で判断される点に注意しましょう。

一方で、人事院のQ&Aでは、国家公務員が広告収入を得る事業を「自営」として行うことも、一概に否定されるものではないとされています。

承認の可否を判断する観点は、次の3点です。

  • 職員の官職と事業との間に利害関係がない
  • 週休日にのみ行うなど、職務に支障が出ないことが明らか
  • 公務の公正性と信頼性を損なわない

発信内容が誹謗中傷や公序良俗に反する場合は認められません。

承認の判断が慎重に行われるのは、不適切な発言が切り抜かれて急速に拡散するおそれがあるためです。

承認された場合も、組織の肩書きを使わないなどの条件が付くことがあります。

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

転売・せどり

仕入れた商品を付加価値を付けずに高く売る転売・せどりなどの物販は、国家公務員の副業(自営兼業)では2026年4月の見直しで承認の対象として想定されていません。

また、物品を多数購入して定期的に出品する場合は、承認・許可が必要な兼業にあたる可能性があります。

自分の不用品をフリマアプリに出品する程度とは扱いが異なるため、商品を仕入れて売る場合は注意が必要です。

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

※出典:「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」内閣人事局・人事院

民間企業の役員

公務員が副業で営利企業の役員・顧問・評議員を兼ねることは、報酬の有無に関係なく制限され、国家公務員では名義だけの場合も対象になります。

国家公務員は国家公務員法第103条で人事院の承認が必要とされ、地方公務員も地方公務員法第38条で任命権者の許可が必要です。

国家公務員の場合、全体の奉仕者という立場と、営利を追求する企業の役員という立場が両立しないことが制限の理由とされています。

そのため、家族が経営する会社の役員に名前だけを貸す場合も対象になるので、引き受ける前に人事担当に相談しましょう。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

公務員の副業はいくらまで?許可の目安

公務員の副業の収入に一律の上限額は定められておらず、国家公務員の自営兼業では収入の見込みが年20万円を超えると「自営」と判断され得る目安が示されています。

報酬を得て働く兼業では、報酬が社会通念上相当な額であることが基準になります。

また、国家公務員が講演などを行う場合は、各府省が定める講演の報酬基準を超えないようにしましょう。

地方公務員についても、総務省は一律の金額ではなく、同種の事例の報酬額などを参考に、社会通念上相当かどうかを個別に判断するよう求めています。

収入が年20万円以下でも許可が必要?

公務員の副業の収入が年20万円以下でも、許可が必要な場合があります。

国家公務員の場合、経費を差し引く前の事業の収入見込みが年20万円を超えると、規模の面から「自営」と判断され得るため、承認の申請が必要になります。

この目安は、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要になることを踏まえたもので、確定申告の基準と同じ金額だと覚えておくと分かりやすいでしょう。

一方で、年20万円以下でも次のような場合は許可が必要です。

  1. 実店舗を設けて屋号を掲げるなど、営利企業の外観がある場合
  2. 企業や団体から報酬を受けて継続的に働く兼業(国家公務員法第104条・地方公務員法第38条)の場合

事業を始めた後に年20万円を超える見込みになったら、承認権者に報告して手続きを確認しましょう。

確定申告が不要な金額でも、副業の許可が不要とは限らない点に注意が必要です。

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

公務員の副業は何時間まで?時間の目安

国家公務員が報酬を得て副業(兼業)をする場合、兼業の時間は原則として週8時間以下・月30時間以下・勤務日は1日3時間以下が目安です。

兼業による疲労で本業の能率が下がらないよう、時間の上限が設けられています。

また、勤務時間と兼業の時間が重ならないことも条件で、超過勤務を含めた勤務の状況も考慮して判断されるため、残業が多い時期は特に注意しましょう。

2026年4月から承認対象になった自営兼業は、週休日にのみ行い、週休日にも疲労回復の時間が確保されることが原則です。

自営兼業の時間も同じく週8時間・月30時間・勤務日は1日3時間が目安で、報酬を得る兼業と両方を行う場合は合算した時間で判断されます。

地方公務員の場合は、総務省の通知で国家公務員の目安が紹介されており、秋田県など同じ時間数を許可基準にしている自治体があります。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

※出典:「兼業許可基準を設定する際のポイント等」総務省

公務員が副業の許可を申請する3ステップ

公務員が副業をするときは、所属先の規定を確認し、人事担当に事前に相談したうえで、申請書を提出して許可(承認)を受けてから始めます。

①兼業に関する規定と許可基準を確認する

まず、所属する府省や自治体の兼業に関する規定・許可基準を確認します。

国家公務員は府省ごとに内規や手続きのルールを設けている場合があり、地方公務員は自治体ごとに許可基準が異なります。

そのうえで、始めたい副業が許可の対象になるか、基準の範囲に収まるかを事前に把握しておきましょう。

なお、庁内向けにガイドラインやFAQを用意している自治体もあるため、あわせて確認すると判断しやすくなります。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

②人事担当に事前に相談する

副業を始める前に、上司や人事担当(兼業担当)に相談し、許可が必要か・どの手続きをとるかを確認しましょう。

人事院も、自営兼業を検討している場合は必ず承認権者に事前に相談するよう求めています。

また、許可の必要性の判断で府省から人事院への相談が必要になることもあるため、時間に余裕を持って相談しておくと安心です。

承認を得ずに自営兼業を行うと、服務義務違反として懲戒処分の対象になり得るほか、国家公務員法の罰則が適用される場合があります。

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

③申請書を提出して許可を受ける

兼業許可申請書などの書類を提出し、許可(承認)を受けてから副業を始めます。

国家公務員の兼業(国家公務員法第104条)の例では、主に次の書類が必要です。

  • 兼業許可申請書
  • 兼業先の契約条件(日時・報酬額・業務内容)が分かる委嘱状・契約書案
  • 兼業先への移動経路・時間が分かる資料
  • 兼業先の定款や事業報告など

なお、本府省の課室長級以上の職員は、各府省での許可に加えて内閣総理大臣(内閣人事局)への申請・許可も必要です。

2026年4月から承認対象になった自営兼業では、個人事業主として開業届などの届出を行うことと、事業計画書等を作ることが承認の条件です。

事業計画書等には、事業の目的と業務内容、営業日と営業時間、収入の予定年額を少なくとも記載しておきましょう。

2026年4月から承認対象になった自営兼業の承認期間は2年以内で、報酬を得て行う兼業(国家公務員法第104条)の許可も原則2年以内です。

異動や副業の内容の変更があった場合は、あらためて許可(承認)を受ける必要があります。

地方公務員は任命権者の許可を受ける必要があり、申請の手続きは自治体ごとに異なるため、人事担当課で確認しましょう。

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」人事院

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

公務員の副業はなぜ禁止されていた?3つの理由

公務員の副業が原則として認められてこなかったのは、職務に専念する義務・秘密を守る義務・職の信用を傷つける行為(信用失墜行為)の制限という3つの服務規律を守るためです。

解禁後も副業に許可が必要なのは、同じ理由によります。

職務に専念する義務があるため

公務員には、勤務時間と職務上の注意力のすべてを職務に使う「職務専念義務」があり、副業で本業がおろそかになることを防ぐ必要があります。

職務専念義務は、国家公務員法第101条・地方公務員法第35条に定められています。

そのため、副業は勤務時間外に行うことが前提で、副業の時間に上限が設けられているのも本業の能率を保つためです。

※出典:「国家公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

秘密を守る義務があるため

公務員には職務上知った秘密を漏らしてはならない「守秘義務」があり、副業先で職務上の情報が使われることを防ぐ必要があります。

守秘義務は国家公務員法第100条・地方公務員法第34条に定められており、退職した後も同じように守る義務があります。

例えば、仕事で知った事業者の情報や住民の個人情報を、副業先の顧客や取引先に漏らすことは許されません。

そのため、副業の内容が職務と近い場合は、職務上の情報が副業に混ざらないよう、副業先と職務の関係が慎重に確認されます。

※出典:「国家公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「自営兼業制度の見直しに関するQ&A」人事院

公務の信用と公正さを守るため

公務員は全体の奉仕者として、職の信用を傷つける行為(信用失墜行為)が法律で制限されており、特定の企業と利害関係を持つことで職務の公正さが疑われることも防ぐ必要があります。

信用失墜行為の制限は、国家公務員法第99条・地方公務員法第33条に定められています。

利害関係とは、補助金の交付や許認可、検査、税の徴収、工事・物品購入の契約など、職務を通じて副業先とつながりが生じる関係を指し、こうした関係があると職務の公正さが疑われかねません。

そのため、副業の許可の基準でも「利害関係がない」ことが、「職務に支障が出ない」「公務の信用を傷つけない」とあわせて確認されます。

※出典:「国家公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

※出典:「国家公務員の兼業について(概要)」内閣官房内閣人事局

※出典:「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」人事院

公務員が副業で収入を得たときの確定申告

給与所得者は、給与以外の所得の合計が年20万円を超えると確定申告が必要になり、副業の許可を得た公務員も同じ扱いです。

国税庁は、給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要だと説明しています。

反対に、給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば、確定申告は不要です。

ここでいう「所得」は、収入から必要経費を差し引いた額を指す点に注意しましょう。

ただし、確定申告が不要な年20万円以下の所得でも、副業の許可が不要になるわけではありません。

住民税の申告が必要かどうかは、住んでいる市区町村の案内で確認しておきましょう。

※出典:「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」国税庁

公務員の副業に関するよくある質問

公務員の副業は許可制で、許可が必要かどうかは副業の種類や報酬の有無、国家公務員か地方公務員かによって決まります。

ここでは、公務員の副業についてよく寄せられる疑問に回答します。

公務員の副業禁止はおかしい?

公務員の副業が制限されているのは、職務専念義務や公務の公正さを守るためです。

ただし、国も制度の見直しを進めています。

人事院の報告によると、国家公務員の職員アンケートで、今後兼業を行いたいと思う職員は3割を超えました。

兼業の内容としては、趣味・特技をいかした活動や社会貢献につながる活動が上位でした。

さらに民間企業へのヒアリングでは、兼業を認めることが採用や離職防止に好影響を与える事例も確認されています。

人事行政諮問会議の最終提言(2025年3月)では、兼業・副業ができないと受け止められることが人材確保の障壁にならないようにすべきとされています。

こうした背景が、2026年4月の自営兼業制度の見直しにつながりました。

※出典:「自営兼業制度の見直しについて(概要)」人事院

非正規・非常勤の公務員(会計年度任用職員)も副業に許可が必要?

地方公務員のうち、パートタイムの会計年度任用職員は副業が地方公務員法第38条の許可の対象外で、フルタイムの会計年度任用職員は許可が必要です。

許可の要否をまとめると、次のとおりです。

  1. 許可の対象外:パートタイムの会計年度任用職員
  2. 許可が必要:フルタイムの会計年度任用職員と、短時間勤務の職を占める職員

許可の対象外の職員でも、職の信用を傷つける行為の制限や守秘義務は守る必要があります。

また、勤務先によって独自のルールを設けている場合もあるため、副業を始める前に規程を確認しましょう。

※出典:「地方公務員法」e-Gov法令検索

公務員を目指す人は副業のルールをどう考えればいい?

公務員になると副業は許可制になりますが、国家公務員の自営兼業の見直しや自治体の許可基準の整備によって、認められる範囲は広がっています。

人事院は見直しの内容を、公務を志望する学生などにも周知するとしています。

副業のルールの見直しは、公務の人材確保の観点からも進められている取り組みです。

そのため、公務員を目指すうえで副業ができないことを不安に感じていた方も、制度の動きを踏まえて進路を考えてみましょう。

志望先が国家公務員か地方公務員か、どの自治体かによってルールが異なるため、志望先の兼業の規程や許可基準を確認しておきましょう。

※出典:「自営兼業制度の見直しについて(概要)」人事院

※出典:「営利企業への従事等に係る任命権者の許可等に関する留意事項について(通知)」総務省

公務員の副業のまとめ

公務員の副業は法律で制限された許可制で、兼業にあたる活動は許可(承認)を得た場合に限って行えます。

国家公務員は2026年4月から知識・技能をいかした事業や社会貢献の事業も承認の対象になり、地方公務員も自治体ごとに許可基準の見直しが進んでいます。

株式投資などは許可なく行え、相続などで継承した家業(農業など)・規模の大きい不動産賃貸・作品の販売などは許可を得ればできます。

国家公務員の自営兼業では収入の見込みが年20万円を超えると承認が必要になり得ること、時間は週8時間・月30時間が目安であることを押さえておきましょう。

副業を始める前に所属先の規定を確認し、人事担当に相談してから始めましょう。

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