公務員を目指すなかで、「行政職」がどんな仕事で、事務職や技術職と何が違うのかを知りたい人もいるでしょう。

公務員の行政職とは、国・地方自治体で政策の企画・実行や住民の手続きに関する事務など、行政全般の事務を担う職種です。

国家公務員は人事院の国家公務員採用総合職試験・一般職試験、地方公務員は各自治体の人事委員会などが行う採用試験に合格すると就けます。

なお、試験日程・採用予定数・倍率・平均年収などは年度によって変わるため、受験する年度に各機関が公表している情報を確かめてください。

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公務員の行政職とは?

公務員の行政職とは?

公務員の行政職とは、国の府省や都道府県・市区町村などで、政策の企画・実行や国民・住民への行政サービスなど、行政全般の事務を担う職種です。

ここでは、行政職の定義に加えて、事務職・技術職との違いを順に見ていきましょう。

行政職は行政全般の事務を担う職種

行政職は、特定の専門分野に限らず、政策の企画・立案から実行、住民の手続きに関する事務まで、行政全般の事務を担う職種です。

国家公務員の行政職の種類と職務は、「国家公務員の行政職(総合職・一般職)」と「国家公務員の行政職の仕事内容」で詳しく紹介します。

また、地方公務員では、特別区の事務が計画の策定から戸籍・税金・福祉まで幅広い分野の事務を担う職種として紹介されています。

※出典:「11職種の紹介 事務」特別区人事委員会

行政職と事務職の違い

公務員の行政職と事務職は、どちらも行政の一般的な事務を担う職種を指すことが多く、主な違いは採用機関ごとの試験区分の呼び方です。

たとえば、同じ一般的な事務の職種でも、試験区分の名称は次のように異なります。

  • 国家公務員採用一般職試験(大卒程度):「行政」区分
  • 特別区職員採用試験:「事務(一般事務)」区分

受験先を探すときは、自治体ごとの試験区分の名称(行政・事務・一般事務など)と、その区分の仕事の説明を照らし合わせておきましょう。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

行政職と技術職の違い

技術職は土木・建築・機械・電気などの専門知識を生かして働く職種で、公務員の行政職とは採用試験の区分と専門試験の内容が異なります。

国家公務員採用一般職試験(大卒程度)を例にすると、違いは次のとおりです。

項目行政区分技術系の区分
区分の例行政デジタル・電気・電子、機械、土木、建築など
専門試験の内容法律・経済・政治などの科目工学に関する基礎と区分ごとの専門分野
論文などの試験一般論文試験専門試験(記述式)

行政区分の専門試験の科目は、「国家公務員一般職(大卒程度)行政区分の試験」で詳しく紹介します。

なお、特別区でも事務(一般事務)と土木造園・建築・機械・電気などの技術系の職種は別の区分で募集されています。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

公務員の行政職の種類

公務員の行政職の種類は、国の府省などで働く国家公務員(総合職・一般職)と、都道府県・市区町村で働く地方公務員に大きく分かれます。

国家公務員は国全体に関わる政策を、地方公務員は地域の住民に身近な行政を担う点が、大きな違いといえます。

国家公務員の行政職(総合職・一般職)

国家公務員の行政職は、採用試験の種類によって総合職と一般職の2つに分かれます。

総合職と一般職の主な違いは次のとおりです。

項目総合職一般職
採用試験国家公務員採用総合職試験(院卒者試験の「行政」区分、大卒程度試験の「法律」「経済」区分など)国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の「行政」区分
主な勤務先各府省など各府省や地方の出先機関など

ちなみに、一般職試験の行政区分は全国を9つの地域に分けた地域別の試験で、その地域に所在する機関に採用されるほか、本府省へはどの地域の合格者も採用の対象になります。

※出典:「国家公務員採用総合職試験 受験案内」人事院

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

地方公務員の行政職(都道府県・市区町村)

地方公務員の行政職は、都道府県や市区町村に採用され、その地域の住民に身近な行政サービスや政策を担います。

ただし、採用試験を行う機関や試験区分の名称は自治体ごとに異なり、詳しくは「地方公務員の行政職の試験」で紹介します。

公務員の行政職の仕事内容

公務員の行政職の仕事内容は、国家公務員では府省での政策の企画・実行、地方公務員では住民に身近な行政サービスの企画・運営や、戸籍・税金などの住民の手続きに関する事務が中心です。

国家公務員の行政職の仕事内容

国家公務員の行政職は、総合職が政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務を、一般職が政策の実行やフォローアップなどに関する事務を担います。

つまり、同じ行政職でも、総合職は政策を企画・立案する段階を、一般職は政策を実行してフォローアップする段階を主に担う点が異なります。

※出典:「国家公務員採用総合職試験 受験案内」人事院

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

地方公務員の行政職の仕事内容

地方公務員の行政職は、自治体の計画づくりから戸籍・税金・福祉などの事務まで、地域の行政に関わる幅広い仕事を担当します。

たとえば、特別区の事務の仕事には次のようなものがあります。

  • 基本構想・基本計画・実施計画の策定
  • 戸籍、住民基本台帳、印鑑登録に関する事務
  • 税金、国民健康保険、介護保険に関する事務
  • 福祉事業の実施

特別区の採用ページでは、海外からの旅行者の受入体制の整備や観光業界向けの研修会の開催を担当する職員の例も紹介されています。

※出典:「11職種の紹介 事務」特別区人事委員会

地方公務員の行政職の主な配属先と異動

地方公務員の行政職は、自治体のさまざまな部署に配属され、異動を重ねて複数の分野の仕事を経験します。

神奈川県の行政職の場合、主な配属先は次のとおりです(いずれも本庁機関と出先機関)。

  • 知事部局(全部局)
  • 企業庁
  • 教育委員会

また、神奈川県が紹介する職員のキャリアの例でも、入庁後に異動を重ねながら異なる分野の業務を経験していく流れが示されています。

異動のたびに新しい分野の業務に携わるため、行政全般に関わる知識を少しずつ身に付けていけるでしょう。

※出典:「行政|職種紹介|神奈川県職員採用案内」神奈川県

公務員の行政職の年収・給料表

公務員の行政職の給料は、国家公務員は一般職の職員の給与に関する法律の行政職俸給表(一)、地方公務員は各自治体が条例で定める給料表によって、職務の級と号俸(号給)の組み合わせで決まります。

年収の額は勤務先・年齢・役職によって変わるため、ここでは行政職の給料が決まる仕組みを紹介します。

国家公務員の行政職は行政職俸給表(一)が適用される

国家公務員の行政職には、一般職の職員の給与に関する法律の別表第一にある行政職俸給表(一)が適用されます。

行政職俸給表には(一)と(二)があり、適用される職員が異なります。

俸給表適用される職員
行政職俸給表(一)他の俸給表の適用を受けない職員
行政職俸給表(二)機器の運転操作、庁舎の監視その他の庁務などに従事する職員

なお、俸給の額は、職務の級と号俸の組み合わせで決まる仕組みです。

俸給のほかにも、同法に基づいて扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当などの諸手当や、期末手当・勤勉手当が支給されます。

※出典:「一般職の職員の給与に関する法律」第5条・第6条・別表第一 e-Gov法令検索

地方公務員の行政職は自治体の給料表で決まる

地方公務員の行政職の給料は、各自治体が条例で定める給料表で決まり、給料の支給額は給料表の「級」と「号給」の組み合わせで決まります。

地方公務員の給与には、地方公務員法第24条に基づく次の3つの原則があります。

  • 職務給の原則:給与は職務と責任に応ずるものとする
  • 均衡の原則:生計費や国・他の自治体の職員、民間事業の従事者の給与などを考慮する
  • 条例主義:給与は条例で定める

ちなみに、給料表は職種に応じて異なるものが適用され、行政職には一般行政職の給料表が使われます。

※出典:「地方公務員の給与の仕組み」総務省

※出典:「地方公務員法」第24条 e-Gov法令検索

公務員の行政職の試験内容

公務員の行政職の試験内容は、国家公務員一般職(大卒程度)の行政区分では基礎能力試験・専門試験・一般論文試験と人物試験で、地方公務員は自治体ごとに試験の内容が定められています。

国家公務員一般職(大卒程度)行政区分の試験

国家公務員の行政職を目指す場合、国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の行政区分では、第1次試験が基礎能力試験・専門試験・一般論文試験、第2次試験が人物試験で行われます。

試験試験種目内容
第1次基礎能力試験(多肢選択式)知能分野と知識分野の筆記試験
第1次専門試験(多肢選択式)政治学、行政学、憲法、行政法、民法(総則及び物権)、民法(債権、親族及び相続)、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学・経済事情、経営学、国際関係、社会学、心理学、教育学、英語(基礎)、英語(一般)の16科目(各5題)から8科目を選択し、計40題解答
第1次一般論文試験文章による表現力や課題に関する理解力をみる短い論文
第2次人物試験人柄や対人的能力などをみる個別面接

また、第2次試験の際には、人物試験の参考として性格検査も行われます。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院

地方公務員の行政職の試験

地方公務員の行政職の採用試験は各自治体の人事委員会などが行い、試験の方法も人事委員会などが定めるため、試験の内容は自治体ごとに異なります。

地方公務員法では、採用試験について次のように定めています。

  • 採用試験は人事委員会等が行う(第18条)
  • 採用試験は筆記試験その他の人事委員会等が定める方法により行う(第20条第2項)

たとえば特別区ではⅠ類とⅢ類の両方に事務(一般事務)の区分があり、Ⅰ類の事務(一般事務)には複数の試験の枠があります。

受験先を決めたら、その自治体の試験案内で試験区分・試験科目・受験資格を確かめておきましょう。

※出典:「地方公務員法」第18条・第20条 e-Gov法令検索

※出典:「採用試験の概要」特別区人事委員会

行政職になるのに資格は必要?

公務員の行政職になるのに特定の資格は求められず、採用試験の受験資格は主に年齢や学歴で定められています。

たとえば、国家公務員採用一般職試験(大卒程度)の受験資格は生年月日の範囲で定められ、その範囲より若い人は大学・短大・高専の卒業(見込み)などが条件です。

一方、地方公務員の受験資格は、各自治体の人事委員会等が定めます。

※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」人事院 国家公務員試験採用情報NAVI

※出典:「地方公務員法」第19条 e-Gov法令検索

公務員の行政職に向いている人

公務員の行政職に向いているのは、幅広い分野の仕事に関心がある人、人と接して調整するのが得意な人、地域や国のために働きたい人です。

幅広い分野の仕事に関心がある人

公務員の行政職は特定の専門分野に限らず行政全般の事務を担い、異動でさまざまな分野の仕事を経験するため、幅広い分野の仕事に関心がある人に向いています。

実際に、特別区の採用ページで紹介されている職員も、ジョブローテーションでさまざまな分野の仕事に携われることを魅力に挙げており、幅広い分野にやりがいを感じる人に合った働き方といえます。

※出典:「11職種の紹介 事務」特別区人事委員会

人と接して調整するのが得意な人

公務員の行政職は、住民の手続きに関する事務や関係部署・関係機関との調整など人と関わる場面が多いため、人と接して調整するのが得意な人に向いています。

たとえば、特別区の採用ページで紹介されている職員の1日にも業者や観光団体との打合せが含まれており、庁外の相手と話し合いながら仕事を進める場面があることがわかります。

※出典:「11職種の紹介 事務」特別区人事委員会

地域や国のために働きたい人

公務員の行政職は政策の企画・実行や住民への行政サービスを通じて地域や国全体に関わる仕事を担うため、地域や国のために働きたい人に向いています。

つまり、国家公務員は国の政策の企画・実行に、地方公務員は住民に身近な行政サービスに携わる点が、それぞれのやりがいにつながるでしょう。

公務員の行政職は行政全般を担う職種

公務員の行政職は行政全般の事務を担う職種で、事務職とは試験区分の呼び方の違い、技術職とは専門分野と試験の違いがあります。

国家公務員は総合職・一般職、地方公務員は都道府県・市区町村に分かれ、給料は行政職俸給表(一)や自治体の給料表で決まります。

試験は、国家公務員一般職(大卒程度)の行政区分なら基礎能力・専門・一般論文・人物試験で、地方公務員は自治体ごとに内容が異なる点も押さえておきたいところです。

まずは受験先の試験区分と試験案内を確かめたうえで、対策を始めてください。

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