公務員の情報職とは?仕事内容・試験区分・年収の仕組みを解説
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情報系を学ぶ学生やIT企業などで働く社会人のなかには、公務員の情報職にどんな仕事があり、どの試験で採用され、情報系の資格や職務経験が必要なのかが分かりにくいと感じる人もいるでしょう。
公務員の情報職とは、国や地方自治体でICT(情報通信技術)を生かして行政のデジタル化を進める職種で、国家公務員は人事院の総合職試験「デジタル」区分や一般職試験(大卒程度)「デジタル・電気・電子」区分、自治体では東京都の「ICT」や特別区の「事務(ICT)」などの区分で採用されます。
仕事は、国ではデジタル庁のテックコースのように行政システム・データの基盤構築に関わり、自治体では東京都や目黒区の例のように業務システムの企画・運用や住民向けデジタルサービスの企画・導入を担います。
試験日程・採用予定数・倍率・給与などの最新の値は人事院・各府省・各自治体が公表しているため、受験先の公表資料で確かめてください。
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公務員の情報職とは?

公務員の情報職とは、国や地方自治体でICTを生かして行政のデジタル化を進める職種で、国家公務員は総合職試験のデジタル区分や一般職試験(大卒程度)のデジタル・電気・電子区分、自治体ではICTなどの区分で採用されます。
ここでは、情報系の職種の名称と、国家公務員と地方公務員の違いを順に見ていきましょう。
公務員の情報系の職種は名称が採用先ごとに異なる
公務員の情報系の職種は、採用先によって試験区分や職種の名称が異なり、国家公務員では人事院の情報系の試験区分、東京都や特別区ではICTを冠した区分で採用されます。
この記事では、デジタル職やICT職などの呼び方も含めて、公務員の情報系の職種に就く職員をまとめて「情報職」と呼びます。
採用先ごとの名称の例は、次のとおりです。
- 人事院の総合職試験:「デジタル」区分
- 人事院の一般職試験(大卒程度):「デジタル・電気・電子」区分
- 東京都:「ICT」(ICT職)
- 特別区:「事務(ICT)」
なお、デジタル庁では総合職・一般職の行政人材は試験区分を問わず「デジタル事務官」として採用されるため、情報系の区分で採用された人もほかの区分の人と同じ名称になります。
国家公務員と地方公務員の情報職の違い
国家公務員の情報職は、デジタル庁を例にとると国の行政システム・データを支える基盤の構築などに関わり、地方公務員の情報職は、東京都や目黒区の例のように業務システムの企画・運用や住民向けデジタルサービスの導入など、住民に身近な行政のデジタル化を担います。
両者の違いをまとめると、次のとおりです。
| 項目 | 国家公務員 | 地方公務員 |
| 勤務先の例 | 総合職は本府省が中心、一般職は本府省のほか地方出先機関(人事院の説明) | 東京都の各局、区役所のICT推進を担う部署(目黒区の例) |
| 仕事の例 | 国の行政システム・データを支える基盤の構築(デジタル庁のテックコースの例) | 各局事業のICT活用のコンサルティング・企画提案、業務システムの企画・運用(東京都の例)、住民向けデジタルサービスの企画・導入、庁内システムの運用・改善(目黒区の例) |
公務員の情報職の仕事内容
公務員の情報職(情報系の職種)の仕事内容は、国ではデジタル庁のテックコースのように行政システム・データの基盤構築に関わり、自治体では東京都や目黒区の例のように、業務システムの企画・運用や、オンライン申請などの住民向けデジタルサービスの企画・導入を担います。
デジタル庁、東京都、特別区(目黒区の例)の順に見ていきます。
国家公務員の情報職の仕事内容(デジタル庁の例)
デジタル庁を例にとると、行政人材が入庁後に経験を積む4つのキャリアコースのうち、テックコースが国の行政システム・データを支える基盤の構築を担い、国家公務員の情報職の専門性を生かせる仕事にあたります。
このキャリアコースは、試験区分を問わない行政人材全体のものです。
デジタル庁が紹介する4つのキャリアコースは、次のとおりです。
- 政策デザイン:日本のデジタル化の方針・道程に最上流から関わる
- リーガル:デジタル化に伴う国の新しいルールを設計する
- テック:全ての行政システム・データを支える国単位の基盤を構築する
- 組織設計:新しい省庁の形をデザインする
また、キャリアコースは入庁後に業務を行いながら選択することも可能と紹介されています。
地方公務員の情報職の仕事内容(東京都のICT職)
東京都のICT職は、都政とICTをつなぎ、各局の事業へのICT活用の提案や業務システムの企画・運用を担います。
東京都が紹介する、地方公務員の情報職にあたるICT職の主な業務内容は、次の2つです。
- 各局事業におけるICT活用に関するコンサルティング・解決策の企画・提案
- 各局における業務システム等の企画・運用
さらに、東京都のFAQによると、ICT職はシステムの開発・運用のようにデジタル技術に直接関わる業務と、事務職などと一緒に施策を考える企画の業務を、どちらも経験していきます。
地方公務員の情報職の仕事内容(特別区の事務(ICT))
目黒区を例にとると、特別区の事務(ICT)職員は、ICT推進を担う部署(目黒区では情報政策課が多い)に配属され、住民向けデジタルサービスや庁内システムに関わります。
目黒区が紹介する、地方公務員の情報職にあたる事務(ICT)職員の業務は、次の4つです。
- 住民向けデジタルサービスの企画・導入(オンライン申請など)
- 庁内システムの運用・改善・更改
- 学校の教育システム運用、セキュリティ対応
- ウェブサイトやSNSを通じた行政情報の発信
たとえば、基幹システムを国の標準仕様に合わせていく「システム標準化」の取り組みでは、目黒区の事務(ICT)職員が基幹系システムの移行プロジェクトの運営管理などを担っていると紹介されています。
公務員の情報系の年収・給料の仕組み
公務員の情報系の年収のもとになる給料は、国家公務員は一般職の職員の給与に関する法律の俸給表、地方公務員は各自治体が条例で定める給料表によって、職務の級と号俸(号給)の組み合わせで決まります。
年収の額は勤務先・年齢・役職によって変わるため、ここでは給料が決まる仕組みを解説します。
国家公務員の情報職は俸給表で給料が決まる
国家公務員の情報職の給料(俸給)は、一般職の職員の給与に関する法律が定める俸給表で決まり、職務の級と号俸の組み合わせで額が決まります。
俸給表は職務の種類に応じて定められていて、他の俸給表の適用を受けない職員には行政職俸給表(一)(別表第一)が適用されます。
なお、職務の級は、職務の複雑さ・困難さ・責任の度合いに応じた区分です。
俸給のほかに、同法に基づく諸手当(扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当など)と期末手当・勤勉手当も支給されます。
※出典:「一般職の職員の給与に関する法律」第5条・第6条・第8条・第11条〜第19条の7・別表第一 e-Gov法令検索
地方公務員の情報職は自治体の給料表で決まる
地方公務員の情報職の給料は、各自治体が条例で定める給料表で決まり、支給額は給料表の「級」と「号給」の組み合わせで決まります。
地方公務員の給与には、地方公務員法第24条に基づく次の3つの原則がある点も押さえておきましょう。
- 職務給の原則:職務と責任に応じて給与を定める
- 均衡の原則:生計費や国・他の自治体の職員、民間事業の従事者の給与などを考慮して定める
- 条例主義:給与は条例で定める
さらに、給料のほかに、自治体は条例で扶養手当・地域手当・住居手当・通勤手当・期末手当・勤勉手当などを支給できると地方自治法で定められています。
情報職に適用される給料表は、受験先の自治体が公表している給与の資料で確認しておきましょう。
公務員の情報系の試験区分
公務員の情報系の試験は、国家公務員では人事院の総合職試験のデジタル区分と一般職試験(大卒程度)のデジタル・電気・電子区分があり、採用には試験の合格に加えて各府省の官庁訪問(面接)への参加が必要です。
地方公務員は、東京都のICTや特別区の事務(ICT)など、自治体ごとに区分と試験の内容が異なります。
ここからは、国家総合職、国家一般職、自治体の順に紹介しましょう。
※出典:「Q&A(官庁訪問)」人事院
国家公務員総合職の「デジタル」区分
国家公務員総合職の「デジタル」区分は、情報系の専門的な素養を持つ人材を確保するために設けられた区分で、専門試験は受験者の専門性に合わせて問題を選びやすい形式です。
デジタル区分で国家公務員の情報職を目指す場合、専門試験(多肢選択式)は次の3種類の問題で構成されています。
- 必須問題:基礎数学・情報基礎・情報と社会
- 選択必須問題:計算機科学・情報工学(ハードウェア)・情報工学(ソフトウェア)・情報技術から10題以上を選択
- 選択問題:線形代数・解析・確率・統計、数学モデル・オペレーションズ・リサーチ・経営工学、制御工学、電磁気学、電気工学、電子工学、通信工学から、選択必須問題との合計が20題になるよう選択
加えて、専門試験(記述式)では、情報工学(ハードウェア)・情報工学(ソフトウェア)・計算機科学・情報技術から2題を選んで解答します。
総合職試験は、院卒者試験と大卒程度試験の両方に「デジタル」区分があります。
国家公務員一般職(大卒程度)の「デジタル・電気・電子」区分
国家公務員一般職(大卒程度)の「デジタル・電気・電子」区分は、情報系を専攻した人と電気・電子系を専攻した人がどちらも受験しやすい区分で、専門試験の選択問題で情報工学(プログラミング)を選べます。
一般職試験(大卒程度)で国家公務員の情報職を目指す場合の専門試験(多肢選択式)の構成は、次のとおりです。
| 問題の種類 | 出題分野 |
| 必須問題 | 工学に関する基礎、電磁気学・電気回路・電気計測・制御・電気機器・電力工学、情報・通信工学(理論) |
| 選択問題A | 情報工学(プログラミング) |
| 選択問題B | 電子工学・電子回路 |
選択問題は、AかBのどちらかを選んで解答します。
専門試験(記述式)は、情報工学・通信・電気・電子に関連する領域から1題が必須です。
なお、第1次試験は基礎能力試験と専門試験(多肢選択式・記述式)、第2次試験は人物試験で行われます。
※出典:「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」人事院
地方公務員の情報職の試験は自治体ごとに異なる
地方公務員の情報職の試験は、自治体ごとに区分の名称や試験の内容が異なります。
たとえば、東京都と特別区の例は次のとおりです。
- 東京都のICT職(Ⅰ類B採用試験・新方式):1次試験は適性検査(SPI3)、2次試験以降はプレゼンテーションやグループワーク、個別面接で行う
- 特別区:Ⅰ類採用試験【春試験】に「事務(ICT)」の区分がある
受験先の試験案内で、情報系の区分の有無・試験の種目・受験資格を確かめておきましょう。
公務員の情報系に資格は必要?
公務員の情報系の試験のうち、国家公務員の総合職試験・一般職試験(大卒程度)や東京都のICT職(Ⅰ類B)は情報系の資格を持っていなくても受験でき、国家公務員の受験資格は主に年齢と学歴で定められています。
情報処理技術者試験などの合格は、国の選考採用や特別区の経験者採用の加点で生かせます。
情報系の資格を持っていなくても受験できる
国家公務員の総合職試験・一般職試験(大卒程度)の受験資格は主に年齢と学歴で定められ、東京都のICT職も年齢などの受験資格を満たしていれば、応募に必要な資格・免許はないと案内されています。
国家公務員の情報職を目指す人が受ける一般職試験(大卒程度)の受験資格は、生年月日の範囲で定められていて、範囲より若い人は大学卒業(見込み)などの学歴が条件になります。
具体的な生年月日の範囲は、受験する年度の人事院の受験案内を参照してください。
また、総合職試験も生年月日の範囲と学歴で定められていて、院卒者試験では大学院修士課程または専門職大学院の課程の修了(見込み)が条件になります。
情報処理技術者試験の合格は選考採用や加点で生かせる
情報処理技術者試験などの合格は、国では試験によらない選考採用、特別区では経験者採用の事務(ICT)の加点で生かせます。
人事院によると、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の情報処理技術者試験などのうち、レベル3以上の試験に合格するのに必要な専門知識・技術が特に求められる係員のポストは、各府省が採用試験によらず選考で採用できます。
募集は府省ごとに随時行われるため、選考採用で国家公務員の情報職を目指す場合は各府省の採用情報を確認しましょう。
あわせて、特別区の経験者採用の事務(ICT)では、IPAが実施する試験(ITパスポート試験・(初級)システムアドミニストレータ試験を除く)の保有者が加点申請でき、申込日時点で資格を取得していることが条件です。
民間から公務員の情報系への転職
民間企業などから公務員の情報系へ中途で転職するには、ICT分野の職務経験を生かせる経験者採用を受ける方法があり、東京都のICT職や特別区の事務(ICT)では経験者向けの採用選考・試験を行っています。
さらに、国家公務員一般職試験(大卒程度)の受験資格は主に生年月日の範囲で定められているため、その範囲内であれば民間企業で働いている人も受験できます。
東京都のICT職の経験者採用選考
東京都のICT職には、民間企業等での職務経験がある人を対象にした経験者採用選考があります。
民間から地方公務員の情報職を目指す場合、東京都が案内する経験者採用選考の要件と選考は次のとおりです。
- 対象者:年齢要件を満たし、民間企業等(官公庁含む)での職務経験があること(学歴区分ごとに必要な年数が定められている)
- 選考:1次選考は書類選考と適性検査、2次選考は個別面接
ただし、募集の時期や要件は年度・期ごとに案内されるため、学歴区分ごとの必要年数とあわせて東京都の採用情報で確かめてください。
特別区の経験者採用はICTに関連する業務従事歴が必要
特別区の経験者採用の事務(ICT)は、ICTに関連する業務従事歴が受験の条件で、業務従事歴は本人が従事していた業務の内容で判断されます。
特別区のQ&Aで、地方公務員の情報職にあたる事務(ICT)に必要な業務従事歴とされている業務は、次の5つです。
- 企業等のシステム構築の企画・要件定義・設計
- ICT戦略、事業部門等に対するDX・ICT活用の企画・コンサルティング(プロジェクトの進捗管理を含む)
- ネットワーク・サーバ等の構築・運用
- サイバーセキュリティ対策
- データベースの構築・管理・運用
なお、必要な年数は採用区分(級)ごとに定められているため、受験する年度の試験・選考案内で確かめておきましょう。
※出典:「経験者採用試験・選考Q&A」特別区人事・厚生事務組合
公務員の情報職で取り組めることと求められる力
公務員の情報職は、ICTを生かして行政サービスや業務を便利にすることに取り組める仕事で、国家公務員では情報系の専門的な素養が求められます。
また、自治体の情報職では、ICTスキルに加えて行政業務の理解や調整力も求められます。
ここでは、仕事で取り組めること、求められる力の順に紹介しましょう。
ICTで行政サービスを便利にできる
公務員の情報職は、ICTを生かして行政サービスや行政の業務を便利にすることに取り組めます。
たとえば目黒区の事務(ICT)職員は、どの業務でも「どうすればもっと便利になるか」「業務を効率化できないか」という視点で考え、現場と一緒に課題解決に取り組むことを大切にしていると紹介されています。
ICTスキルに加えて行政業務の理解や調整力が求められる
国家公務員の情報職には情報系の専門的な素養が求められ、自治体の情報職では、ICTスキルに加えて行政の業務や制度の理解と、庁内外の関係者との調整力も求められます。
人事院は、情報通信技術を活用するデジタル社会の実現に向けて、情報系の専門的な素養を持つ人材が必要と説明しています。
また、目黒区の記事では、自治体はコストや効率に加えて住民間の公平性や法律・制度に基づいて正しく運用できるかも踏まえて意思決定し、行政制度とシステムも密接にかかわるため、ICTスキルに加えて行政業務の理解や調整力も求められると説明されています。
東京都のFAQでも、ICT職は庁内各局・庁外との調整などの実務を経験していくと紹介されている点を押さえておきましょう。
まとめ
公務員の情報職は、国家公務員では総合職試験「デジタル」区分や一般職試験(大卒程度)「デジタル・電気・電子」区分、東京都や特別区では「ICT」を冠した区分で採用され、名称は採用先ごとに異なります。
仕事は、国ではデジタル庁のテックコースのように行政システム・データの基盤構築に関わり、自治体では東京都や目黒区の例のように業務システムの企画・運用や住民向けデジタルサービスの導入を担います。
給料は、国家公務員が俸給表、地方公務員が自治体の給料表で決まる仕組みです。
国家公務員の総合職試験・一般職試験(大卒程度)や東京都のICT職(Ⅰ類B)は情報系の資格を持っていなくても受験でき、情報処理技術者試験の合格は国の選考採用や特別区の経験者採用の加点で生かせる点も押さえておきましょう。
民間からは、東京都のICT職や特別区の事務(ICT)の経験者採用で転職する道があります。
公務員の情報職はICTを生かして行政サービスや業務を便利にすることに取り組める仕事で、国家公務員では情報系の専門的な素養が求められ、自治体ではICTスキルに加えて行政業務の理解や調整力も求められます。
まずは受験先の試験区分と試験案内を確かめ、公務員の情報職を目指す対策を始めてください。
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