算数・数学 思考力検定を実施されている、iML国際算数・数学能力検定協会にインタビューを行いました。

算数・数学 思考力検定の概要や取得のメリットなどについて、詳しくご回答いただいています。

算数・数学 思考力検定に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

算数・数学 思考力検定とはどのような検定なのでしょうか?

算数・数学 思考力検定は、算数や数学の問題を通じて「考える力=思考力」を測り、さらに伸ばしていくための検定です。

扱うのは単なる計算スピードや教科書の定型的な問題ではありません。
日常のあらゆる場面で出会う未知の課題に対して、論理的に筋道を立てて考え、試行錯誤を重ねて答えにたどりつく力を問うのが特徴です。

その一例を見てみましょう。

次の折れ線グラフは、ある商品の売上額について、前月比の増加率の推移を示しています。
ここから、1月から12月までの売上額の推移を表す棒グラフとして最も適当なものを、あとのア〜エの中から選びなさい――という問題です。

テレビや新聞、Web記事などで、私たちは日々グラフに触れています。
しかし、そのグラフを本当に正しく読み取れているでしょうか? 実際、この問題の正答率はわずか30%。多くの人がつまずいたのです。
ポイントは「前月比の増加率」という視点です。

例えば、2月の増加率10%は「1月の売上額の110%」、3月の20%は「2月の120%」、4月の10%は「3月の110%」を意味します。実際に計算すると、
 1月:400万円
 2月:400万円×1.1=440万円
 3月:440万円×1.2=528万円
 4月:528万円×1.1=580.8万円
 5月:580.8万円×0.8=464.64万円
…という具合です。

もちろん、こうして逐一計算しても答えは出ます。
しかし思考力を働かせれば、もっとシンプルに考えられます。前月比で「増えたか、減ったか」だけを順番に追っていくと、

 増 → 増 → 増 → 減 → 減 → 減 → 増 → 増 → 減 → 増 → 増

となり、この動きに対応するのは選択肢エしかありません。
ところが、最も多かった誤答はアで、全体の約60%。折れ線グラフとアの棒グラフは似た形を描いているため、意味を深く考えずに「形」だけで判断してしまったのです。

――これこそが「思考力」を測る問いの真価です。

表面の見かけに惑わされず、本質をとらえられるかどうか。まさに、その力を試すのが算数・数学 思考力検定なのです。

算数・数学 思考力検定を受検するメリットを教えてください

このように、グラフを正しく読み取ることは決して容易ではありません。
思い込みを排し、客観的にデータを見極める力が求められます。

現代はビッグデータの時代。データを適切に分析する力の重要性は、これまでになく高まっています。
さらに近年では、膨大なデータさえもAIが瞬時に処理し、結論を導き出してくれるようになりました。
しかし――AIが導く答えが常に正しいとは限りません。

また、データそのものは正しくても、分析や表現を意図的にゆがめ、人を誤った方向に誘導しようとするケースもあります。
だからこそ、数値やグラフの“見せ方”に惑わされず、自分の頭で考えて真偽を見極める力が不可欠です。

最終的に「その結論を信じるのか、修正すべきか」を判断するのは、やはり人間です。
どれだけ技術が進歩しても、最後に必要とされるのは人間の考える力=思考力なのです。

思考力を育む手段として、算数・数学 思考力検定は大きな意味を持っています。
AI時代に流されるのではなく、データの真偽を見抜き、自ら判断し、未来を切り拓く人材を育てるために、この検定は存在するのです。

算数・数学 思考力検定の概要について教えてください

検定は年3回(6月、11月、2月)、会場受検と自宅で受検できるHOME受検の形式で実施しています。
級は10級から準2級まであります。学年ごとの目安や検定料は公式サイトをご覧ください。

https://www.shikouryoku.jp/content/class

算数・数学 思考力検定は今後どうなる?

算数・数学 思考力検定が産声を上げたのは、革新的なOS「Windows95」が世に出た約30年前のことです。
「必ず思考力が求められる時代が来る」――その信念のもとに立ち上げましたが、振り返れば、わずか30年で世界は大きく変わりました。
いまや人間に代わって生成AIが考える時代です。技術は日進月歩どころか、私たちの想像を軽々と超える速さで進化を遂げています。

このような時代にあって、私たち人間が「技術に使われる側」になるのか、それとも「技術を使いこなす側」になるのか――その分かれ目を決めるのは、まぎれもなく思考力です。

未来は、想像以上のスピードで私たちの前に姿を現します。その未来を恐れるのではなく、切り拓いていく人材を育てるためにこそ、算数・数学 思考力検定があります。

私たちは、この検定を通じて、多くの人が思考力を武器に未来を切り開き、「使う側」として堂々と立つことを願っています。

実施団体様より一言

“思考力”は、子どもにとっては先の見えない未来を切り拓く力となり、大人にとってはデータや情報を正しく見極め、新たな視点を手に入れる力となります。

算数・数学 思考力検定は、その両方に役立つ「一生ものの力」を育みます。


公式サイトでは、気軽にチャレンジできる「あなたの思考力は何年生?」(スマホ版)をご用意しています。
現在の思考力がどのくらいか、大人の学びなおしの第一歩として挑戦してみてください。

https://www.kogaku-pub.com/shikouryoku20th

さらに、「楽しく脳トレ!大人の算数ラボ」では、小学生の正答率付きの問題を収録しています。
大人が本気で挑戦しても手ごわい問題ばかり。ぜひ“小学生のやわらか頭”に挑戦してみてください。
Kindle版もご利用いただけます。

https://www.shikouryoku.jp/introduction/noutore

<2025年の算数・数学 思考力検定>

第2回

  • 会場受検:2025年11月7日(金)~11月9日(日)
  • HOME受検:2025年11月9日(日)~11月16日(日)

第3回

  • 会場受検:2026年2月20日(金)~2月22日(日)
  • HOME受検:2026年2月22日(日)~3月1日(日)

会場受検の中心は小学生・中学生ですが、自宅でできる「HOME受検」では、大人の方が「学びなおし」や「思考力トレーニング」として挑戦されるケースも増えています。

子どもは未来を切り拓くために、大人は情報社会を生き抜くために――今の自分の思考力がどれほど通用するのか、ぜひ測ってみてください。

受検申込は公式サイトをご覧ください。

https://www.shikouryoku.jp/schedule