国家公務員総合職のエキスパート】池田俊明講師による受験生応援コラム第5弾

あらゆる国家公務員試験の科目の中で、企画提案試験ほど異色な試験はないと思います。

ネット検索をしても有意義な情報がほとんどないので、無対策で臨む受験者も多いですが、実は、教養区分1次試験の基礎能力試験と全く同じ配点比重という重要度の高い試験です。

このコラムでは、試験の全貌について、過去の受講生の情報を基に説明します。

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企画提案試験とは?

人事院HPによれば、企画提案試験は「企画力、建設的な思考力及び説明力などを判定するための試験」とあります。

これだけでは具体的にどういう試験なのかイメージしにくいのですが、簡単に言えば、政策提案のためのプレゼンテーションシート執筆&現職官僚2名相手にプレゼン&質疑応答という、他の公務員試験ではまず体験することのない試験であります。

配点は全体の5/28を占め、これは一次試験の基礎能力試験Ⅰ・Ⅱ合計と全く同じで、かなり重要度は高いです。

そのため、早期から対策を立てればよいのでは?と思われますが、実は次章で述べている理由により、あまり早期から対策を始めても、努力があまり報われないのが現状です。

このコラムでは、企画提案試験の内容と対策についてお話ししますが、今年(令和4年度)より一部試験内容が変更されることから、執筆時点(8月末)では憶測で語らざるを得ない点があることをご了承願います。

企画提案試験の内容

企画提案試験は、毎年、教養区分第1次試験合格発表日に人事院ホームページにて、参考文献や資料等が提示されます。

よって、多くの受験生はこの日から資料等を読み込み、内容を十分理解した上で試験に臨むこととなります。

企画提案試験の参考文献や資料例

ちなみに、参考文献は各省が発行する白書の一部が指定されることが多いのですが、2021年教養区分では、

  • 内閣官房編「国土強靱化進めよう!」(令和3年3月版)
  • 内閣官房編「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(概要)」
  • 内閣官房編「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の対策例」

が指定されていました。

そして、実際の本試験は、下記のような2部構成に分かれています。

★Ⅰ部:政策概要説明紙(プレゼンテーションシート)

従来実施されていた「小論文」に代わり、今年から導入されるもので、「1時間30分の時間内でA4両面1枚に、箇条書きや図、表を用いるなど自由な形式で政策の内容を分かりやすく」纏める試験です。

小論文の時と比べ、解答時間は30分短縮されますが、おそらくは、これまでと同様、試験当日に課題と資料を与えた上で、政策を提案させる形式は踏襲されるものと思われます。

★Ⅱ部:プレゼンテーション及び質疑応答

Ⅰ部で書いたプレゼンテーションシートの内容について試験官(2名)に説明、その後質疑応答を受ける。

(発表時間5分間、質疑応答:概ね20分間)

実は、この試験の課題紙1ページ目には毎年下記の注意書きがありました。
受験生の皆さんには、「小論文」を「プレゼンテーションシート」に読み替えていただければと思います。

課題紙及び参考資料は,Ⅰ部終了時に回収するが,Ⅱ部の発表に当たり,準備時間(10分間)を考慮して,小論文のコピーとともに手渡される。なお,Ⅱ部終了時に,これらは回収される。

受験生による企画提案試験の再現

では、実際に、どのように試験が行われるのか、過去の受講生の情報を基に再現してみましょう。

なお、これから受験する皆さんは、ここも「小論文」を「プレゼンテーションシート」に読み替えてください。

1 午前中、小論文作成(2時間)

2 昼食休憩

休憩終了までに全員控室に待機。

1列(6~7名)づつ面接室に呼ばれてプレゼン&質疑応答を行うが、1列あたり準備時間10分、個別発表・質疑応答合わせて約25分の合計35分程度を要する。

しかも、この間、控室からの外出はもちろん、読書・携帯・雑談さえも禁止である。

(水分補給も許可がいる)

会場によっては、後列になった受験者は最悪3時間以上何もせずただひたすら待機する羽目になる。

(待機時における不自由さという点では、待機時間がやたら長い官庁訪問よりもひどい…)

※コロナ禍にある現在、密室における長時間の待機を避けるため試験会場を増やしたり集合時間を分ける等の努力をしており、コロナ前に比べると待機時間は大幅に短縮されている。

3 別室で資料が返され、10分間の準備時間(みんなメモしたりしていた)

4 現職官僚である面接官2人相手に、プレゼン&質疑応答開始

プレゼン(5分)→質疑応答(20分)

プレゼンは5分以内厳守であるものの、大きいタイマーが置いてあるため、事前に何度か練習をしていれば焦ることもない。

こんな感じです。

なお、評価については、12点満点で例年の平均点は6点前後、また基準点(4点)未満は「足切り」となります。

企画提案試験の対策法

前章で説明したように、予想問題は一次試験合格発表日に公表される参考資料を待たないといけませんが、毎年の出題形式は下記の通りで、これはずーっと昔から変わっていません。

出題形式は毎年同じ

設問 次で求められている小論文を作成しなさい。ただし,資料は小論文作成に当たっての参考程度とし,資料に示された統計から考えられる施策のみにとらわれる必要はありません。

あなたが置かれている状況

あなたは,ある組織の行政官として上司から次の課題が与えられており,自分の提案を説明するための文書を作成しようとしている。なお、あなたの提案は組織内で検討されたのち,実現に向けて関係府省との調整等を経て,最終的には,国民に対して公表されることとなっている。

上司からの課題

(この部分が講評される参考資料を踏まえたものになる。また最後はいつも下記の文章で締められる)

「…課題達成のための具体的な施策を提案し、組織内の関係者に説明できるような文書(小論文)を作成しなさい。なお、文書中、提案した施策を推進する上での留意点についても必ず触れること。」

テーマは毎年異なりますが、前提や要求されることに変わりはないのですから、日常から対策を意識することはできそうですね。

ただし、これまでとは異なり、小論文からプレゼンテーションシート作成に変更される点に注意を払う必要があります。

以下では、「プレゼンテーションシート」と「プレゼン&質疑応答」に分けて対策を書きましたので、是非参考にした上で、必ず行動に移してください。

くれぐれもコラムの熟読のみで満足するのだけはやめてくださいね。
択一試験と異なり、相手あっての試験なので、何度も実践しないと成果を実感できませんよ…。

プレゼンテーションシート執筆の対策法

参考資料を踏まえて、論点を予想した上で施策を自分なりに勉強する

企画提案試験のように、資料が与えられる場合、基本的には無理に持論を展開するよりは、資料に沿って忠実に書くべきです。

しかし、課題用紙の冒頭には「資料にとらわれず自分の考えに基づいて施策を展開しなさい」と但し書きがあることから、当日渡される資料はあくまで参考にしかなりません。

それゆえ、面倒くさがらず、事前に指定された参考資料を踏まえて、論点を予想した上で施策を自分なりに勉強しておくことが必須です。

知識量アピールよりも見栄えや分かりやすさを重視!

指導をしていて毎年感じていたのですが、知識量をアピールしようとするあまり、できるだけ色々な要素を小論文に詰め込もうとする受験生がかなり多く、おそらく、プレゼンテーションシート作成へと試験が変更になっても、この傾向は変わらないような気がします。

しかし、自分があまり詳しくない分野にまで踏み込んでしまうと、見栄えが悪く読みにくくなるだけでなく、試験官からの質疑応答に際して、具体策や対応策を聞かれた時に沈黙したり支離滅裂な回答をする羽目になってしまいます。

ゆえに、不得手なことは書かず、厳しく突っ込まれても耐えられる範囲内で記述すべきです。

それよりも、小論文からプレゼンテーションシートへと変更になった点を考慮すると、見栄えをもっと重視するとともに、口頭でシート内容を補足する習慣をもつべきでしょう。

といっても、「プレゼンテーションシートなんて作ったことない!」という受験生が多数だと思います。

そういった方には、省庁の説明会等で配布されるレジュメ(ほとんどがパワーポイントで作成されているはずです)を参考にすることをおススメします。

省庁作成のレジュメの見栄えが良いかどうかについては、個人差があるので批評を差し控えますが(笑)、教養区分の二次試験は全ての科目において現職官僚が試験官あるいは面接官になります。

プレゼンテーションシート作成を要求された際、自分たちが日常的に作成しているものが念頭にあるのは、ごく自然なことだと思います。

ゆえに、プレゼンテーションシート作成に頭を悩ませる方は、まずは、いろんな省庁の説明会に参加して、そこで受け取るレジュメを真似てプレゼンテーションシートを作成してみるのも良いかもしれません。

しかも、説明会に参加することで、当該省庁の仕事に対する理解が深まってきますので、就活対策にもなりますよ!

そして、予備校等で実施される模擬企画提案試験に積極的に参加して、繰り返しプレゼンテーションシートの添削を受けることを強くおススメします。

「複数省庁にとって利益がある」かつ「多様な国民にとって利益のある」提案を目指す

毎年、「組織内の関係者に説明できるような文書を作成せよ」という形式になっていることから、少なくとも提案した政策が所属する組織(省庁)の利益となるように意識しましょう。

しかし、これも毎年必ず但し書きに明記されていますが「その後に関係省庁との調整や国民への公表」が控えていることを考えると、一つの組織のみに利益となるような提案では、高い評価は望めません。

それゆえ、求められる提案は、「複数省庁にとって利益があることを説明できる」ものであり、かつ「政策のターゲットとなる国民以外の国民にとっても利益のあるもの」を意識する習慣を持つことが望ましいといえます。

プレゼン&質疑応答の対策法

大局的・長期的な観点から考える習慣を持つ

社会的に大きな関心をよぶ課題について、目先ではなく、大局的・長期的な観点から考える習慣を持ちましょう。

もちろん、最低限の知識と情報を蓄えるために、有識者の論説や評論を参考にすることはきっかけとしては悪くありません。

しかし、あくまでも参考程度にとどめ、それよりは、実体験や友人との議論を通じて思考を深めていくほうがよいです。

厳しいツッコミがはいることを前提に、繰り返し練習する

どれだけ頑張って事前準備をしても、そもそも政策立案なんてしたことないのですから本番ではかなり突っ込まれます。

ゆえに、叩かれることを前提に、繰り返し練習をした方がいいです。

日常的には、平易な課題でいいので、仲間と積極的に議論する習慣をもちましょう。

その際注意してほしいのは、この試験はディベートではありません。
経験・知識ともに不足している受験生が、政策について現職官僚とディベートしても論破されるだけです。

ゆえに、相手を論駁するのではなく、また、不明な点については「素直に不勉強でした」と互いが謝ることができるような雰囲気を醸成できるよう、笑顔を最後まで維持することを意識しましょう。

その上で、人事院からの参考資料公表後は、予備校等で実施される模擬企画提案試験に積極的に参加しましょう。

池田俊明講師による受験生応援コラム
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この記事の著者

池田 俊明講師 (講師紹介はこちら


20年以上にわたり、数多くの受験生をキャリア官僚として、霞ケ関へ送り込んだ国家公務員総合職のエキスパート。

また、現職の大学の経済学教員でもあり、試験科目として経済学が課される全ての資格試験の出題傾向に精通している。

ごあいさつ
このコラムでは、国家公務員総合職を目指す人々に正しく、そして役立つ情報を提供します。
夢の実現に向けて頑張るみなさんには、出所不明な噂に惑わされることなく、最も信頼できる心の拠り所として、このコラムを活用していただければ幸いです。

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