「公務員を目指したいけれど、専門学校と大学のどちらに進学すべきか迷っている」と悩んでいませんか？

高校生や進路選択を控えたあなたにとって、将来のキャリアを左右する重要な決断ですよね。

専門学校は最短1～2年で公務員試験合格を目指せる一方、大学では4年間かけて幅広い教養を身につけられます。

このコラムでは、公務員を目指す際の専門学校と大学の違いを、試験内容・合格率・初任給・キャリアパスなど、あらゆる角度から徹底比較します。

それぞれの特徴を踏まえて「専門学校がおすすめな人」「大学がおすすめな人」も具体的に解説しますので、あなたに最適な進路選択の参考にしてください。

【比較結果】公務員になるには専門学校と大学どっちがおすすめ？

結論から言うと、あなたの目標や状況によって最適な選択肢は異なります。

専門学校がおすすめなのは、「確実に公務員になりたい」「早く社会に出て働きたい」「効率的に試験対策をしたい」という方です。

専門学校は公務員試験に特化したカリキュラムで、短期間で集中的に学べるため、合格率が90%以上の学校も存在します。

一方、大学がおすすめなのは、「幅広い知識や教養を身につけたい」「民間企業への就職も視野に入れたい」「将来の昇進やキャリアアップを重視したい」という方です。

大学では4年間かけてじっくり学び、大卒程度試験を受験することで、初任給や昇進スピードで有利になる傾向があります。

以下で試験内容・難易度・給与・キャリアパスなどを詳しく比較していきますので、自分に合った進路を見極めてください。

試験の内容で比較

専門学校卒と大学卒では、受験する公務員試験の区分が異なり、試験内容も大きく変わります。

専門学校卒業者は主に「高卒程度試験」を受験し、大学卒業者は「大卒程度試験」を受験するのが一般的です。

項目	高卒程度試験	大卒程度試験
主な受験者	専門学校卒・高卒者	大学卒業者
教養試験の範囲	中学～高校レベルの基礎知識	高校～大学教養レベルの幅広い知識
専門試験	なし（または簡易的）	あり（法律・経済・行政など）
論文試験	作文形式が多い	論文形式（論理的思考力が必要）

高卒程度試験は基礎学力中心で、数学は中学レベルの計算問題、国語は漢字や文章理解、社会・理科も高校までの基本的な内容が中心です。

専門試験がないため、学習範囲は限定的で短期間での対策が可能でしょう。

大卒程度試験は、教養試験に加えて専門試験が求められるため、学習範囲が格段に広がります。

憲法・民法・行政法、ミクロ経済学・マクロ経済学など、大学で学ぶレベルの専門知識が必要です。

論文試験では政策課題や時事問題について論理的に論述する力が求められ、面接でもより深い知識と思考力が評価されます。

試験の難易度で比較

公務員試験の難易度は、受験する試験区分によって大きく異なります。

高卒程度試験は基礎学力が中心のため難易度は比較的低めですが、大卒程度試験は専門知識が求められるため難易度が高くなります。

試験区分	難易度	合格率（目安）
国家総合職（大卒程度）	最難関	約10%前後
国家専門職（大卒程度）	高	約30〜40%
国家一般職（大卒程度）	中〜高	約25～44%
地方上級（大卒程度）	中〜高	約10～30%
国家一般職（高卒程度）	中	約30～40%
地方初級（高卒程度）	低〜中	約10～20%

専門学校生の公務員試験合格率は非常に高く、一次試験の合格率が90%以上を維持している専門学校も存在します。

公務員試験に特化したカリキュラムと集中的な学習環境が整っているためです。

一方、大学生の場合、公務員試験対策は自主学習や予備校の利用が中心となるため、合格率は個人の努力に大きく左右されます。

高卒程度試験は問題自体は基礎的ですが、採用枠が限られているため倍率が高くなるケースもあることを理解しておきましょう。

初任給・平均給与・生涯年収で比較

公務員の給与は学歴によって明確な差があり、キャリア全体を通じて影響を及ぼします。

大卒程度で採用された公務員は、高卒程度で採用された公務員よりも初任給が高く、生涯年収でも差が生じます。

学歴区分	地方公務員の初任給	国家公務員の初任給
大学卒	約187,000円	約229,000円
専門学校卒（2～3年制）	約167,000円	＿
高校卒	約154,000円	約192,000円

公務員の給与は学歴によって差があります。

地方公務員の初任給は大卒が約187,000円、専門学校卒が約167,000円と月額2万円の違いがあり、この差は昇給や昇進のペースによって生涯年収にも影響する可能性があります。

ただし、仕事の内容や求められるレベルは変わらず、実力次第で昇進の機会は十分にあります。

民間企業と比較しても高水準で安定した給与体系であることを考えると、学歴による差が生まれる可能性には留意しつつも、公務員は魅力的なキャリア選択肢といえるでしょう。

昇進・キャリアパスの違いで比較

公務員の昇進・キャリアパスにおいて、学歴が影響する可能性は自治体によって異なります。

多くの自治体では能力主義を採用しており、専門学校卒でも実力次第で課長級や部長級まで昇進しているケースも見られます。

ただし、一部の自治体では大卒程度で採用された職員の方が、管理職試験の受験時期が早く設定されていたり、昇進のスピードに差が生じる場合があります。

30代や40代までは同じペースで昇進できることも多いですが、その後は評価や実績が重視される一方で、学歴が昇進機会に影響を及ぼす可能性も。

こうした違いが自治体ごとに存在することを理解したうえで、キャリアプランを考えることが大切です。

公務員を見据えての専門学校の特徴

専門学校は公務員試験合格に特化した教育機関として、多くの合格者を輩出しています。

ここでは、公務員を目指すうえでの専門学校の主な特徴を解説します。

公務員試験合格に特化したカリキュラムで効率的に学べる

専門学校の最大の特徴は、公務員試験合格に特化したカリキュラムです。

試験の出題傾向を徹底的に分析し、過去問演習や模擬試験を繰り返すことで、効率的に合格を目指せます。

一般教養や専門科目の授業だけでなく、面接対策や論文指導も充実しており、試験に必要なすべてのスキルを体系的に学べるでしょう。

短期間（1～2年）で公務員として早く社会に出られる

専門学校の多くは2年制のため、4年制大学より2年早く社会に出て公務員として働き始められます。

高校を卒業して18歳で入学すれば、20歳で就職が可能です。

早く社会に出ることで、その分早く給与を得られ、実務経験も積めるため、キャリアのスタートダッシュを切りたい方には大きなメリットとなります。

公務員試験の出題傾向に合わせた集中的な学習環境

専門学校では、クラス全員が同じ目標に向かって学ぶため、モチベーションを維持しやすい環境が整っています。

同じ志を持つ仲間と切磋琢磨しながら学べることは、試験勉強を続けるうえで大きな支えとなるでしょう。

また、講師陣も公務員試験に精通しており、最新の試験情報や効果的な学習方法を提供してくれます。

併修制度の活用で大学卒業と同等の「学士」や「高度専門士」を取得できる

一部の専門学校では、大学との併修制度を活用することで、専門学校に通いながら大学卒業資格である「学士」を取得できます。

また、4年制の専門学校を卒業すると「高度専門士」の称号が得られ、大卒程度の公務員試験を受験できるようになるのです。

これにより、専門学校の集中的な試験対策と、大卒と同等の受験資格・給与体系の両方を手に入れられます。

公務員を見据えての大学の特徴

大学は幅広い教養と専門知識を学べる教育機関として、多様なキャリアの選択肢を提供します。

ここでは、公務員を目指すうえでの大学の主な特徴を解説します。

幅広い教養と専門知識を総合的に学べる

大学では4年間かけて、専門分野だけでなく幅広い教養科目を学べます。

法律学・政治学・経済学・社会学など、公務員として働くうえで役立つ知識を体系的に身につけられるでしょう。

また、ゼミや研究活動を通じて、論理的思考力や問題解決能力も養えます。

大学生活で得られる多様な経験や人間関係は公務員として働くうえで貴重な財産となる

大学生活では、サークル活動・ボランティア・アルバイト・留学など、多様な経験を積むことができます。

様々なバックグラウンドを持つ人々と交流することで、コミュニケーション能力や柔軟な思考力が育まれるでしょう。

これらの経験は、公務員として住民と接する際や、多様な価値観を理解する際に貴重な財産となります。

4年間の学習期間を利用して進路を柔軟に選択でき民間企業への就職も併願できる

大学では4年間という時間的余裕があるため、じっくりと自分の適性や興味を見極めることができます。

公務員試験の勉強をしながら、民間企業への就職活動も並行して進められるため、進路の選択肢が広がります。

もし公務員試験に不合格だった場合でも、民間企業への就職という選択肢が残されているため、リスクヘッジになるでしょう。

大卒程度試験を受験することで公務員としての昇進やキャリアパスで有利になる傾向がある

大卒程度試験を受験して採用されると、高卒程度採用者に比べて昇進スピードが早く、到達できる役職も高くなる傾向があります。

企画立案や政策形成など、より専門的で裁量の大きい業務を任されることが多く、キャリアアップの機会も豊富です。

将来的に管理職を目指したい方にとって、大学卒業は大きなアドバンテージとなるでしょう。

高卒公務員と比較して初任給や平均給与が高水準となる傾向がある

前述の通り、大卒公務員は高卒公務員に比べて、初任給が月額約3万円高く設定されています。

この差は年齢を重ねるごとに拡大していき、生涯年収では数千万円単位の差が生まれる可能性があります。

経済的な安定を重視する方にとって、大学卒業は長期的なメリットが大きいと言えるでしょう。

専門学校がおすすめな人

専門学校が向いているのは、以下のような方です。

「確実に公務員になりたい」という強い意志がある方は、専門学校の集中的な試験対策が効果を発揮します。

公務員以外の進路を考えていない場合、専門学校の特化したカリキュラムが最も効率的でしょう。

「できるだけ早く社会に出て働きたい」と考える方にも専門学校はおすすめです。

2年で卒業できるため、20歳から公務員として給与を得られ、実務経験も早く積めます。

「効率的に試験勉強をしたい」「手厚いサポートを受けたい」という方にも適しています。

専門学校では試験対策に特化した授業、頻繁な模擬試験、面接指導など、合格までの道筋が明確に示されます。

「経済的な負担を抑えたい」と考える方にとっても、2年制専門学校は学費総額が4年制大学より抑えられる傾向があります。

大学がおすすめな人

大学が向いているのは、以下のような方です。

「幅広い知識や教養を身につけたい」と考える方には、大学の総合的な教育が適しています。

専門分野だけでなく、様々な学問領域に触れることで、視野が広がり、深い思考力が養われます。

「民間企業への就職も視野に入れたい」という方にとって、大学は選択肢を広げる場となります。

公務員試験に不合格だった場合でも、民間企業への就職という道が開かれているため、リスク分散ができるでしょう。

「将来の昇進やキャリアアップを重視したい」と考える方には、大卒程度での採用が有利です。

管理職を目指す場合、大卒採用の方が昇進スピードが早く、到達できる役職も高くなる傾向があります。

「大学生活での多様な経験を積みたい」という方にも大学はおすすめです。

サークル活動や留学、研究活動など、人間的な成長につながる経験が豊富に用意されています。

「じっくり時間をかけて進路を考えたい」という方にとって、4年間という時間は貴重です。

自分の適性や興味を見極めながら、納得のいくキャリア選択ができるでしょう。

まとめ

公務員を目指すうえで、専門学校と大学のどちらを選ぶかは、あなたの目標や価値観によって異なります。

専門学校は、公務員試験合格に特化したカリキュラムで短期間に効率的に学べ、早く社会に出られるメリットがあります。

合格率も高く、確実に公務員になりたい方や、手厚いサポートを受けたい方に適しているでしょう。

一方、大学は幅広い教養と専門知識を総合的に学べ、多様な経験を積むことができます。

大卒程度試験を受験することで、初任給や昇進面で有利になり、民間企業への就職も併願できるため、選択肢が広がります。

試験内容や難易度、給与、キャリアパスなど、それぞれに明確な違いがあるため、自分の将来像をしっかりと描いたうえで進路を選択することが重要です。

この記事で紹介した比較ポイントを参考に、あなたに最適な進路を見つけてください。

どちらを選んでも、努力と計画的な学習があれば、公務員としての夢は必ず実現できます。

後悔のない選択をして、公務員としての第一歩を踏み出しましょう。