「公務員になりたいけれど、どの学部を選べば有利なのか分からない」
そんな悩みを抱えていませんか？

将来の安定や社会貢献を重視して、公務員を目指す高校生や大学生は年々増えています。
一方で、「法学部が有利？」「理系なら技術職？」など、学部選びに迷う方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、公務員試験の合否は原則として出身大学や学部に左右されません。
しかし、試験対策の効率や職種の選択肢において、学部が間接的に有利になるケースがあるのも事実です。

このコラムでは、公務員試験と大学・学部との関係をわかりやすく解説します。
さらに、文系・理系別におすすめの公務員職種や、失敗しない大学選びのポイントも紹介。

あなたの将来設計に役立つ具体的な情報をお届けします。

【結論】公務員試験の合否に「出身大学・学部」は関係ないが、一部例外も

公務員試験の合否は、原則として出身大学や学部に影響しません。

なぜなら、公務員試験はすべての受験者に平等な機会を提供する「競争試験」によって行われており、採用基準は筆記試験の得点や人物試験での評価に基づいて決まるからです。

どの大学や学部を卒業したかではなく、受験者個人の能力と適性が問われます。

ただし、いくつかの職種においては、大学で学んだ内容が試験の出題範囲と重なることで有利になる場合があります。

また、技術系や資格免許職では、特定の専攻が受験資格の前提となっていることもあるため、学部選びが合否に直結することもあります。

つまり「合否に影響しない」が原則である一方で、「有利になる場面がある」という例外も存在します。

公務員を目指す際は、この違いを正しく理解し、自分の志望職種に合った学び方や準備を進めることが大切です。

公務員試験の合否に出身大学・学部が関係ない理由3つ

公務員試験では、出身大学や学部に関係なく、誰でも合格を目指すことが可能です。
その理由は主に次の3点にあります。

• ほとんどの公務員試験の受験資格には学歴による制限がない
• 「大卒程度」という試験区分は難易度を示すものであり、実際の学歴を問うものではない
• 合否が筆記試験での高得点と人物試験での熱意や適性で決まる

ほとんどの公務員試験の受験資格には学歴による制限がない

多くの公務員試験では、学歴よりも年齢が受験資格の基準となっています。

「高卒程度」や「大卒程度」といった区分はあるものの、これは学歴ではなく試験内容の難易度を表しています。
そのため、高卒でも「大卒程度」の試験に挑戦することは可能です。

つまり、出身大学のランクや専攻は基本的に問われません。

「大卒程度」という試験区分は難易度を示すものであり、実際の学歴を問うものではない

「大卒程度」という言葉に惑わされがちですが、これは「大学を卒業していなければ受験できない」という意味ではありません。

この区分は、出題内容のレベルが大学卒業程度であることを示しているだけです。
実際には、大学中退や高卒の方でも、該当の試験に合格する例は多数あります。

合否が筆記試験での高得点と人物試験での熱意や適性で決まる

公務員試験では、筆記試験の得点がまず大きな合否要素となり、その後に行われる面接試験（人物試験）で最終的な評価が決まります。

大学で何を学んだかよりも、広範囲の科目をどれだけ計画的に勉強し、面接でどれだけ「公務員になりたい熱意」や「職務への適性」を伝えられるかが重要です。

そのため、出身大学・学部に頼らず、自分自身の努力と対策が結果を大きく左右します。

公務員試験で出身大学・学部が有利になるケース

原則として学歴による差別はありませんが、学部や大学の環境によって、公務員試験の対策がしやすくなる「間接的な有利さ」は存在します。
次のようなケースでは、出身学部や大学の特徴が試験対策や受験に役立つ可能性があります。

• 筆記試験の専門科目の出題範囲が専攻と重なる場合
• 技術職や資格免許職など、専攻が受験資格や業務に直結する場合
• 公務員志望の仲間や対策講座が集まりやすい環境的優位性がある場合
• 大学がキャリア支援や公務員試験対策に特に注力している場合

筆記試験の専門科目の出題範囲が専攻と重なる場合

大学での専攻と公務員試験の出題範囲が一致していると、試験対策が大幅に効率化されます。

たとえば法学部では、憲法・民法・行政法など、行政職や国家一般職の主要科目を体系的に学ぶことができます。

また、経済学部であれば、ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学といった科目が自然とカバーされるため、専門科目の対策が大学の授業と並行して行えるというメリットがあるでしょう。

もちろん他学部でも独学や予備校でカバーすることは可能ですが、日常の学びがそのまま試験準備に直結する点で、法学部や経済学部には大きなアドバンテージがあります。

技術職や資格免許職など、専攻が受験資格や業務に直結する場合

理系分野を中心とした技術職や、資格免許職を目指す場合は、学部選びが合否に直結することがあります。

たとえば、建築職や土木職を希望する場合は、大学で建築学科や土木工学科などの専門分野を履修していなければ、そもそも受験資格が得られません。

さらに、業務内容自体が専門知識を必要とするため、試験科目や実務との相性も問われます。

同様に、保健師・薬剤師・管理栄養士・獣医師といった資格免許職も、対応する学部・学科で必要な国家資格を取得することが前提です。

文系職とは異なり、「どの学部に進むか」が公務員への第一歩となるため、早期の進路設計が極めて重要です。

公務員志望の仲間や対策講座が集まりやすい環境的優位性がある場合

公務員志望者が多く集まる学部や大学には、自然と「勉強しやすい環境」が整っていきます。

たとえば法学部では、同じ試験を目指す仲間と情報交換をしたり、勉強会やゼミで切磋琢磨したりする機会が多くなります。

周囲の雰囲気が受験モードであることで、自分のモチベーションも維持しやすくなり、孤独を感じることなく継続的な学習が可能です。

また、公務員対策講座や専門ゼミが充実している大学も多く、環境面でのサポートが強みになります。

大学がキャリア支援や公務員試験対策に特に注力している場合

大学によっては、公務員志望の学生を強力にバックアップする体制を整えているところもあります。

具体的には、公務員ガイダンスや対策講座、模擬面接、合格者による体験談の共有など、試験対策から進路支援まで一貫したサポートを提供しています。

公務員を目指す学生向けの特別カリキュラムを設けているケースもあり、組織的な支援体制は志望者にとって大きな安心材料となるはずです。

このように、大学や学部によっては、制度・環境の両面で受験生を力強く後押ししてくれるため、結果として試験の合格可能性も高まると言えるでしょう。

【公務員】文系・理系別おすすめ職種

公務員の職種は非常に多岐にわたり、あなたの専攻や興味によって適した分野が異なります。
ここでは、文系・理系それぞれにおすすめの主な職種をまとめたうえで、具体的な特徴を解説します。

文系出身者におすすめの主な職種

職種名	分類	活かせる知識・特徴
地方上級（行政職）・市役所職員	地方公務員（行政事務系）	法律・経済・行政学などの基礎知識、地域住民対応力
国家一般職（大卒行政）	国家公務員（行政事務系）	中央省庁での政策サポート、法・経済・政治の専門性
特別区Ⅰ類（東京23区）	地方公務員（行政事務系）	企画・政策立案など文系職務が中心
国税専門官・財務専門官	国家公務員（専門職）	会計・法律・経済の専門知識を活用
裁判所事務官（一般職）	国家公務員（司法府）	法律系科目が中心、法学部出身者に人気
国家総合職（法律区分）	国家公務員（総合職）	キャリア官僚ルート、高度な法的思考力が必要

法学・経済・政治・行政などを学んだ文系出身者は、行政系の職種に強みを発揮します。

特に地方上級（行政）や市役所職員などは、地域住民との関わりや政策の立案・運用が中心で、法的知識とコミュニケーション力の両方が求められます。
また、国家一般職や特別区Ⅰ類では、中央省庁や東京23区内での政策業務に携わる機会も多く、公共政策や経済学のバックグラウンドが活きる職場です。

さらに、国税専門官・財務専門官・裁判所事務官などの専門職は、法律や経済の知識がより高度に問われるため、法学部・経済学部出身者には特に人気があります。

文系職の中でも最難関にあたる「国家総合職（法律区分）」は、政策の企画立案を担うキャリア官僚の登竜門であり、高度な論理的思考力と専門性が問われます。

理系出身者におすすめの主な職種

職種名	分類	活かせる知識・特徴
技術系公務員（建築・土木など）	国家／地方公務員（技術職）	理工系の専門知識が試験・実務に直結
資格免許職（看護師・薬剤師など）	地方公務員（専門職）	医療・栄養・福祉分野の国家資格が必須
公安系（消防官・警察官）	地方公務員（公安系）	体力や責任感、理系資格（救命士など）が有利
食品衛生監視員	国家公務員（専門職）	食品・衛生・生物系の専門知識が必要

理系出身者の進路としては、技術系公務員や専門資格が必要な職種が中心となります。

技術職では、建築・土木・電気・機械・化学など、大学での専門がそのまま試験科目や業務内容とリンクします。

大学で専門知識をしっかり身につけていれば、筆記試験でも高得点が期待できるでしょう。

また、保健師・薬剤師・管理栄養士などの資格免許職では、大学で指定された学部・学科を修了することが受験資格の前提となるため、専攻選びが極めて重要です。

公安系公務員（警察官・消防官）は理系に限らず受験できますが、体力や人命救助の場面で理系資格（救急救命士など）を持っていると評価が高くなることもあります。

公務員を目指すならどんな大学を選ぶべき？失敗しない大学選びのポイント

公務員試験の合否に大学名は原則関係ありませんが、どの大学・学部を選ぶかによって、試験対策の効率やサポート環境に差が生まれることもあります。

公務員を志す学生にとって、大学選びは「合格までの道のりを左右する重要な判断」です。

以下のポイントを押さえましょう。

• 筆記試験の専門科目の対策を効率よく進められる学部（法学・経済学）を優先する
• 技術職や資格免許職を目指すなら専攻が受験資格や業務に直結する学部を選ぶ
• 公務員試験対策の講座や支援制度が充実している大学を選ぶ
• 官公庁との連携やインターンシップが可能な大学を検討する

筆記試験の専門科目の対策を効率よく進められる学部（法学・経済学）を優先する

法律や経済科目は、多くの公務員試験で専門科目として出題されます。

法学部や経済学部では、これらの科目を体系的に学ぶことができるため、試験対策と大学の学びを並行して進めやすく、学習効率が大幅に向上します。

たとえば、憲法・民法・行政法・経済原論・財政学などは主要な試験項目です。

これらを授業で扱う学部に進学していれば、日々の講義内容がそのまま試験対策につながります。

他学部でも独学や講座の活用で対策は可能ですが、法学・経済学部は「自然に得点源が増える」という点で非常に有利です。

技術職や資格免許職を目指すなら専攻が受験資格や業務に直結する学部を選ぶ

理系の技術職や医療・福祉系の資格職は、大学の専攻がそのまま受験資格に結びついています。

たとえば、建築職を志すなら建築学科、薬剤師を目指すなら薬学部など、受験条件として学科の修了や資格取得が必須です。

そのため、これらの職種を志望する場合、対応する学部・学科に進学していないと、そもそも受験すらできないことになります。

進路選択の時点で職種をある程度絞っておくことが、時間と労力の無駄を防ぎ、確実なキャリア設計につながります。

公務員試験対策の講座や支援制度が充実している大学を選ぶ

大学によっては、キャリア支援センターや学部主導で、公務員試験に特化した対策講座やサポート体制を整えているところがあります。

たとえば、学内で模試やガイダンスを実施していたり、公務員合格者による報告会を開いたりする大学では、情報面でも精神面でも安心して受験準備を進められるでしょう。

また、公務員向けの特修コースを設けている例もあり、計画的かつ戦略的な学習が可能になります。

こうした大学では、勉強に集中しやすい環境が整っており、モチベーションの維持にも効果的です。

官公庁との連携やインターンシップが可能な大学を検討する

人物試験（面接）では、「なぜ公務員になりたいのか」「どんな公務員になりたいのか」が頻繁に問われます。

その答えに説得力を持たせるためには、実際の職務を体験し、具体的な志望動機を固めておくことが重要です。

近年は、官公庁との連携授業や自治体でのインターンシップを実施している大学も増えてきました。

大学在学中に公共の現場を体感できるこれらの機会は、面接対策としても非常に有効で、他の受験者と差をつけるポイントになります。

体験に基づいた志望動機は、どんな講座よりも強力なアピール材料になるでしょう。

まとめ

公務員試験の合否は、大学名や学部によって決まるものではありません。
筆記試験での得点力と、面接での熱意・適性こそが、合格を左右する本質的な要素です。

ただし、試験科目と専攻分野の一致や、支援体制の充実といった点では、大学や学部の選び方が受験準備に少なからず影響を与えることもあります。
文系であれば法学部や経済学部、理系なら技術職や資格職に直結する専攻を選ぶことで、よりスムーズな対策が可能です。

また、公務員試験は長期間の学習が必要であり、モチベーションの維持や学習の質を高めるためには、大学の環境だけでなく、信頼できる試験対策講座の活用も効果的です。

アガルートの公務員試験講座では、基礎から応用まで段階的に学べるカリキュラムを用意しており、独学では難しい部分も徹底的にサポート。
効率的に合格を目指したい方は、ぜひ活用をご検討ください。

将来の目標を明確にし、あなたに合った準備で、公務員試験の合格を勝ち取りましょう。