難関MBA法政大学ビジネススクール入試の傾向と対策について解説しています。

法政大学ビジネススクールの特長

法政ビジネススクールには、2つのコース(研究科)があります。

一つは経営学研究科で、もう一つがイノベーション・マネジメント研究科です。

経営学研究科の特長1 修士論文を課している

まず経営学研究科の特徴から説明します。

経営学研究科は、ビジネススクールでありながら修士論文を課しており、これは他のビジネスクールとの大きな違いになっています。

このアカデミックな研究に力を入れているという点で、筑波MBAや横浜国立MBAと同じだとお考えいただいて問題ないかと思います。

修士論文において、学生は、指導教員のきめ細かい指導の下で、問題意識に沿ったテーマについて主要な学術成果を学び、フィールド研究、データ収集、データ解析等を行って論考を深めます。

修士論文は、企業で普段書いているレポートや簡単なリサーチペーパーとは異なります。

それは純然としたアカデミックな論文であり、過去の研究成果をくみ上げながらそこに新たな知見を付け加えようとするものです。

経営学研究科の修士論文の水準は高く、少なからぬ修士論文が学会で報告されたり、学術雑誌に掲載されたり、論文集として出版されています。

かなりアカデミックな論文指導に力を入れているMBAだとお考えください。

経営学研究科の特長2 3つの専門コースを設けている

二つ目の特徴は、3つの専門コースを設けている点です。

「企業家養成コース」「人材・組織マネジメントコース」「マーケティングコース」の3つのコースが設けられておりまして、自分が特に学びたいコースを選ぶ形になっています。

※「国際経営コース」は2023年度より、「アカウンティング・ファイナンスコース」は2024年度より募集停止しています。

MBAというと、ゼネラリスト養成が目的ですから、特定の分野を重点的に学ぶというよりも、全体的な学びが奨励されていますが、法政ビジネススクールの経営学研究科では、より踏み込んだ勉強が可能なコースが提供されているのです。

イノベーション・マネジメント研究科の特長1 中小企業やベンチャー企業の経営者を育成

次が、イノベーション・マネジメント研究科ですが、大きな特徴は、中小企業に精通し、起業を見据えたアジアの経営管理修士(MBA)を育てるMBAという点です。

同じ傾向の国内MBAとして明治大学ビジネススクールがあります。

一般のビジネススクールは大企業志向が強い傾向がありますが、しかし現在、そしてこれからアジアに展開する多くの有力な中小企業が、日本にはあります。

日本経済は極めて優れた中小企業の技術と方法で支えられているのです。

そのためイノベーション・マネジメント研究科では、中小企業やベンチャー企業の経営者を育成するようなプログラムを用意しています。

イノベーション・マネジメント研究科の特長2 英語力を高められる

二つ目の特徴は、日本人と留学生が同じ教室で学ぶことで、日本人が世界のどこでも働けるようになり、留学生が日本でその能力を発揮できるようになるよう、プログラムを作っている点です。

2015年9月に開設した1.5年制グローバルMBAプログラムは英語で授業を行いますが、日本語の授業も受講できるバイリンガルプログラムを行っています。

そのため英語力を高めたいと考えているが、英語力が現状はそれほど高くない日本人の方には最適なMBAとなっています。

イノベーション・マネジメント研究科の特長3 起業時に必要なリソースを獲得できる機会がある

三つ目の特徴は、現実のビジネス課題を解決するイノベーティブなビジネス・モデルの構築をする「プロジェクト」の存在です。

MBAに起業目的で進学しても実際に起業する学生は少ないです。

そこで本「プロジェクト」では、ビジネスプランの作成、資金調達、インキュベーション施設の貸与と起業時に必要となるすべてのリソースを獲得できる機会を与えているのです。

現実のビジネスでは、課題や新規事業に対して革新的な構想を構築できる能力が求められます。

この「プロジェクト」は、一般の大学院における修士論文に相当するもので、担当教授の指導の下で、机上の空論ではなく、現実のビジネス課題を解決するイノベーティブなビジネス・モデルの構築を行います。

この「Project-based learning」を通じて、ビジネスにおける具体的な問題を複合的な視点で検討し、それを解決する革新的な事業の概念を構想し、それを実現する計画を立 案・構築する能力を養うことになるのです。

修了前に、アドバイザリーの客員教授もいれて、ビジネスプラン・コンテストを行い、上位入賞者には、奨学金の形で賞金が与えられます。

ビジネスを立ち上げたい成績優秀者には、修了後1年間、インキュベーションのための部屋を無償で貸与する制度もあるのです。

起業志望の方には最適なMBAと言えると思います。

イノベーション・マネジメント研究科の特長4 中小企業診断士の登録養成課程を受講できる

最後の特徴は、中小企業診断士の登録養成課程を受講できる点です。

イノベーション・マネジメント研究科は、中小企業診断士第1次試験合格等の有資格者に対し、指定した全科目を入学年度1年間で修得した方について中小企業庁の定めるガイドラインに沿った修得水準審査を行うことで、中小企業診断士登録に 必要な科目を修得したことを証する「修了証明書」を発行します。

過去にアガルートの受講生も、この中小企業診断士の資格取得が目的で法政ビジネススクールに進学した方がおりました。

関連コラム:中小企業診断士の養成課程まとめ 機関一覧・費用も解説

法政大学MBAの倍率と難易度は?

法政大学MBAの2024年度の試験は志願者169名に対して合格者は92名でした。

法政大学の2024年度の試験の受験倍率は1.84倍です。

志願者合格者倍率
2024年度169名92名1.84
2023年度146名94名1.55
2022年度120名95名1.26
2021年度100名75名1.33
2020年度98名75名1.31
2019年度97名71名1.37

MBAの難易度として倍率が2倍を超えてくると人気があり、難易度が高い傾向にあります。

ちなみに、入学者の平均年齢は、40.7歳、男女比は男6.6:女3.4となっています。

法政大学MBAに夜間はある?社会人が働きながらでも通える?

法政大学のコースはどちらも平日の夜間と土曜日の通学で修了できるので、社会人が働きながら通えるコースになっています。

法政大学MBAのスケジュール

法政大学MBA(イノベーション・マネジメント研究科)には、年4回出願できます。
2025年度の例では、以下の日程となります。

第1回:2024年9月18日から
第2回:2024年11月6日から
第3回:2025年1月8日から
第4回:2025年1月29日から

1年制の場合には1年間で48単位以上、2年制の場合には2年間で48単位以上を履修することが卒業要件となります。

時間割

時間割は、昼間「1時間目から5時間目」、夜間「6時間目、7時間目」が用意されており、いずれのコースでも基本的に全時間帯の科目を履修できるため、社会人の方でも夜間と土日の授業で、修了を目指すことができます。

1時限8:50~10:30
2時限10:40~12:20
3時限13:00~14:40
4時限15:00~16:40
5時限16:50~18:30
6時限18:35~20:15
7時限20:20~22:00

法政大学MBAの講義形式

法政大学MBAの講義形式は対面講義が基本ですが、法政大学ハイフレックス講義(対面講義と遠隔講義の併用)も可能となっています。
通学が難しい場合、遠隔での履修が可能です。

講義スタイルは、科目によりますが、一方向の講義ではなく、議論を含め、インタラクティブな講義が中心となります。
また、科目によってはグループワークが多用されることもあります。

法政大学MBAの入試対策は予備校を推奨

MBAの中でも中小企業診断士登録養成課程は非常に人気のあるプログラムで、倍率が高く難易度の高いプログラムです。

「志望理由書」「研究計画書」は答えがあるものではないので、他の受験生と差をつけるためには添削が重要になってきます。

また、国内MBA対策に予備校を利用されている方も増えているのが現状です。

受験で落ちてしまった方、本気で志望校のMBAに合格したい方には予備校の利用を強くおすすめします。

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入試内容

経営学研究科

経営学研究科(修士課程・夜間コース)の社会人入試は2回あり(11月、2月)、研究計画書の提出と面接によって行われます。(以前は英語の筆記試験がありましたが、廃止されました)。

イノベーション・マネジメント研究科

イノベーション・マネジメント研究科の入試は、「筆記(小論文)」「志望理由書」「職務経歴書」の提出と面接によって行われます。なお、AO入試の場合は、筆記(小論文)は免除されます。

入試は年4回で9月、11月、1月、2月に行われます。

※参考:入試要項・過去問題集・研究科パンフレット

入試対策

経営学研究科

経営学研究科の入試対策ですが、こちらは研究計画書の作成が主な準備です。

経営学研究科はアカデミックな研究をおこなうMBAです。

そのため、ある程度でいいのですが、アカデミックなテーマ設定をする必要があります。

先行研究を読み込んだり、研究方法を調査したりして書く必要があります。

そのため出願の2か月前くらいから準備を開始するとゆとりをもって出願できると思います。

面接は研究計画書に基づいて行われますので、研究計画書がしっかり書けていれば問題ないと思います。

イノベーション・マネジメント研究科

イノベーション・マネジメント研究科では、小論文、志望理由書、面接が課せられています。この3つに関して、以下で対策法を説明します。

まずは小論文です。小論文は経営学に関する論述問題が出題されます。

例えば、「日本企業がESG戦略に取り組む上での課題と解決策を論じなさい」「サブスクリプションとは何かを説明しなさい」といった問題です。

その中で、頻繁に出題されているテーマは、イノベーション・マネジメント研究科という研究科名の通り、「イノベーション」に関することです。

例えば、「イノベーションには2種類あるが、その2種類を説明しなさい」「日本企業において、イノベーションの基盤を確立するには何が必要か」「経済活性化を担うスタートアップを生み出すためには、どのような施策が有効か説明しなさい」といった問題です。

小論文の対策法ですが、頻繁に出題されるイノベーションに絞って対策をおこなうということが有効です。この場合、イノベーションと関連の深いアントレプレナーシップの対策も行ってください。対策に有効な本は以下です。

・清水洋(2022)『イノベーション』有斐閣

・清水洋(2022)『アントレプレナーシップ』有斐閣

イノベーションとアントレプレナーシップだけでは不安な方は、ビジネス誌を読むことをおススメします。「日経ビジネス」です。上であげた「ESG戦略」「サブスクリプション」は、どちらも時事的な経営学用語でして、これらは学術書というよりもビジネス誌を読む方が効果的な対策です。

以上の対策をしておけば小論文試験は合格点が取れます。

次は志望理由書です。この志望理由書の対策が受験上は最も重要になります。志望理由書は、以下の2つの設問となっています。

(1)イノベーション・マネジメント研究科の志望理由について述べてください。その際にあなたが本研究科修了後にどのようなキャリアデザインを考えているのか、その実現の為に本研究科での経験や学びがどのように役立つと考えているのかも示してください。

(2)本研究科において何を学びたいと考えていますか。「プロジェクト」で取り組みたいテーマを含めて具体的に述べて下さい。

まず(1)ですが、修了後のキャリア計画を提示します。その上で、そのキャリア計画実現には、どのような知識やスキルが現在の自分には欠けているのかを明記します。

この自分に欠けている点を、イノベーション・マネジメント研究科での学びによって埋めることができるというストーリーを作って記述するのです。

このストーリーを作るには、自身の弱みの分析をし、その上でイノベーション・マネジメント研究科での学びの内容を知る必要があります。

イノベーション・マネジメント研究科での学びの内容に関しては、大学院のシラバスや大学院で開催されるオープンキャンパスに参加して情報を集めることをおすすめしています。

(2)に関しては、イノベーション・マネジメント研究科で取り組みたいプロジェクトについて記載することになります。

ここでいうプロジェクトとは、起業するための事業計画であったり、自分が所属する組織変革のための組織計画であったり、自分が担当している新製品の開発・導入にあたってのマーケティング戦略であったりと、実際のビジネスの場で自分がやりたいと考えていることを、イノベーション・マネジメント研究科の教授や他の学生の力を借りながら計画して実行していくことです。

入学前の現時点で、自分が取り組みたいと考えているビジネス上の課題を具体的に記述するのです。

例えば、起業するための事業計画では、どのようなビジネスモデルを策定し、それを実現するためのマーケティング戦略、資金計画など現時点で具体化できる部分をプロジェクト計画として記載すればいいのです。

最後が面接対策ですが、面接は志望理由書に書いたことが質問されます。ですから、志望理由書がしっかり書けていれば問題ありません。

法政大学の専門実践教育訓練給付金について

法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント専攻は、厚生労働省の教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練給付)の対象講座に指定されています。
教育訓練給付金制度とは、キャリア形成支援のため、教育訓練を修了した際に厚生労働省より、受講にかかった費用の一部が支給される制度です。

これにより、2年間で最大112万円の給付を受けることができます。
教育訓練給付金制度の申請手続きは、お住まいの地域を管轄するハローワークに対し、受講開始日の一か月前までに行う必要があります。
法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント専攻の受験を検討されている方は参考にしてみてください。

法政大学MBA合格者の声

法政大学MBAの入試に合格された方の合格者の声です。

どんな志望動機で入学したのか、MBAの入試対策にどんなことをしたのかなどを記載しています。

法政大学MBAの評判や入試の取り組み方が気になる方は参考にしてみてください。

法政大学MBA中小企業診断士養成課程合格者の声|中小企業診断士を実践的に学びつつMBAカリキュラムも同時に進められる法政へ【2021年】

法政ビジネススクールでも修了生、現役生の声が見れるので、参考にしてみてください。

アガルートではあなたの法政大学MBA入試を応援します

国内MBAは人気が出ており、ここ数年で倍率が上がっており、入試難易度も上がってきています。

また、国内MBA対策に予備校を利用されている方も増えているのが現状です。

法政大学MBAの入試はプログラムによって変わりますが「出願書類」、出願書類をもとにした「面接」が行われます。

曖昧な志望動機では合格は難しく、書類選考で落とされてしまいます。

出願書類の「研究計画書」は答えがあるものではないので、他の受験生と差をつけるためには添削が重要になってきます。

アガルートでは法政大学MBAの入試傾向を把握し、毎年合格者を排出しています。
令和5年の合格実績は5名、合格率は100%でした。

法政大学 (2年制コース)4人
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この記事の著者 飯野 一 講師

飯野 一 講師

ウインドミル・エデュケイションズ株式会社で代表取締役を務めながら受験指導をおこない、約20年間にわたる指導経験を有する国内MBA受験に精通したプロフェッショナル講師。

国内MBAに関する書籍を多数出版し、ベストセラーを生み出している国内MBA受験に関する人気作家としての側面も持つ。

国内MBA修了生としては珍しい学術論文の学会発表、学会誌掲載の実績を持つ。

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