資格試験において合格率というのは、その試験の難易度を推し量るのに重要な要素のひとつです。

測量士補試験は過去問さえすれば合格できるといった易しいイメージがあるかと思います。

たしかに測量士補試験は、過去問が繰り返し出題されるのが特徴ですが、本当にそんなに簡単なのでしょうか?

合格率の推移や最新の傾向を分析しつつ、効率的に学習すれば難易度は決して高くないことを説明できればと思います。

関連コラム:測量士補とは?仕事内容・何ができるかや正式名称・読み方など解説

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測量士補試験の難易度と合格率

アガルートアカデミー測量士補試験講座の中山祐介講師が、難易度や合格率、独学で合格できるかなどについて動画でも解説しています。

※現在、講師による受講相談は実施しておりませんのでご注意下さい。


測量士補の受験資格として、年齢・性別・学歴などは必要ありません。

実務経験も必要ないため、誰でも試験を受けることができますので、受験のハードルは低いです。

また、国家資格の中では比較的合格率が高い傾向にあり、約30%の方が毎年合格している試験となるため、難易度は低いと言えます。

では、どういった試験なのか、情報を以下にまとめていきます。

試験時間 試験科目
3時間
(13:30~16:30)
8科目
合計28題
1 測量に関する法規
2 多角測量
3 汎地球測位システム測量
4 水準測量
5 地形測量
6 写真測量
7 地図編集
8 応用測量

となっています。

配点は1問25点の700点満点で合格基準が450点以上です。

つまり、28問中18問(約65%)の正解で合格となります。

令和6年の測量士補試験は、2024年5月19日(日)に実施されました。

国土地理院『令和6年測量士補試験の合格者を発表』によると、令和6年の受験者数は13,633人で合格者数は4,276人となり、合格率は31.4%という結果になっています。

以下は、測量士補試験の合格率の過去の推移です。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和6年 13,633人 4,276人 31.4%
令和5年 13,480人 4,342人 32.2%
令和4年 12,556人 5,540人 44.1%
令和3年 12,905人 4,490人 34.8%
令和2年 10,361人 3,138人 30.3%
令和元年 13,764人 4,924人 35.80%
平成30年 13,569人 4,555人 33.60%
平成29年 14,042人 6,639人 47.30%
平成28年 13,278人 4,767人 35.90%
平成27年 11,608人 3,251人 28.00%
平成26年 11,118人 4,417人 39.70%
平成25年 10,596人 2,248人 21.20%
平成24年 10,551人 4,289人 40.70%
平成23年 10,233人 2,192人 21.40%
平成22年 10,387人 2,757人 26.50%

ある点以上を取れば全員合格の絶対的評価なので、問題の難易度により各年で上下しており、平均の合格率は20~40%と幅が大きい試験となります。

また、受験者数は増加傾向にあります。

それでは、令和5年の測量士補試験を分析してみましょう。

まず、今年の大きな特徴として、試験後に「今年は難しかった。」という声が多く聞こえた点が挙げられます。

分析してみると、例年同様、過去問をしっかりやっていれば合格点を余裕で超える点数であるのは違いありませんでした。新問の割合も例年同様です。

ですが、今年は特に「難しく感じた」その理由はどういう点でしょうか?それは、前半に新問が連続した点であると分析しています。

全体としては例年同様の新問の割合であったのに関わらず、試験開始から新問が続いたが故に、後半の何度も解いた過去問の類問でも調子が出なかった方が多くいらっしゃったようです。

そして、その新問にも特徴がみられました。それは、測量士試験の問題が焼き直しして出題されていた点です。

兄弟資格である測量士試験で実績ある問題が、測量士補試験で新問として登場しました。

リスクなく新問を増やせるわけです。(実は、逆に測量士補試験でよくでる問題が測量士試験で新問としても出されていました。)

新問に話題が傾きましたが、新問を除く頻出問題のみで合格点に達するという特徴は、変わりません。

間違えて欲しくないのは、決して測量士補試験が過去問だけでは受からなくなっている訳ではない。ということです。

新問の難易度が上がることで平均点が下がることになるので、新問以外の問題(つまり、過去問の焼き直しの問題)の重要性が上がっていると言えます。

関連コラム:測量士試験の難易度は高い!その理由と学習を有利に進める方法

合格率でみる測量士補の難易度ランキング

「合格率」の点で、直近の合格率を並べてみると以下のようになりました。

資格名合格率(例年)
司法書士3~4%
マンション管理士8~9%
土地家屋調査士8~9%
測量士10%前後
行政書士11~15%
管理業務主任者20~30%
測量士補30%前後

上記資格の中では比較的合格率は高い資格であることがわかります。

管理業務主任者と合格率は近いですが、令和6年の測量士補の合格率は31.4%となり、高い合格率になっています。

測量士補の資格取得をする目的として、土地家屋調査士の午前免除を受ける場合が多くあるため、通過点として取得される方もいらっしゃいます。

「簡単」と言われる難易度のわりに合格率が低い理由

合格率からすると3人に1人、測量士補試験に受かります。

測量士補試験は、過去問をこなすことができれば十分合格できるのですが、難しいポイントもあります。

合格率が低くなる理由1 計算問題がある

ひとつは計算問題の壁です。

測量士補試験の試験内容は、大別すると文章問題計算問題です。

28問中10問近く(約30%)は計算問題が出題されます。

計算自体は高校生レベルの数学が要求されますが、パターン化されていますので、一度壁を越えると次々と解くことができます。

ですが、数学が苦手な方や、長らく数学から離れていて公式等を忘れてしまっている方にとっては難しく感じられるでしょう。

関連コラム:測量士補試験に必要な数学は?出題範囲と求められるレベル

合格率が低くなる理由2 出題範囲の広さ

もうひとつは出題範囲です。

試験内容として、8つの科目から同じ割合で約3~5問出題されます。

全科目まんべんなく出題され、各科目間での知識の繋がりもあまりなく、全体の知識を網羅しないといけません。

そのため、不得意分野があると合格が遠のいてしまいます。

また、測量の知識がない人にとって写真測量や応用測量といった分野は、イメージしづらく理解が難しいです。

受験者の属性も合格率が低い要因に

測量士補試験は、高校や専門学校などの学生の受験者も多く、学生にとっては未知の分野であるため合格率が低くなっているではないかと考えられます。

また、大学の土木学科など測量法に記載する分野に該当する者で測量に関する科目を履修していれば試験を受けなくても、測量士補として登録することができます。

つまり、大学で測量を専門に学習している人は測量士補試験をわざわざ受けることはありません。

そのため、測量士補試験を受ける方は他分野からの参戦が多くなります。

関連分野の知識や前提知識がない受験者の割合が多いことも合格率の低さにつながっているのです。

測量士補試験の勉強時間は30時間

測量士補試験は絶対評価の試験となるため、全28問中18問以上(64%)の正解で全員合格することができます。

そのため、受験生間の競争はなく、一定の勉強を行うことで合格することができます。

また、測量士補試験は過去問が繰り返し出題されるという傾向があります。

平均約10年分の過去問を演習する場合、1年度あたり平均1時間で演習すると勉強時間は10時間となり、それを3周すると30時間ほどになります。

測量士補の試験概要

測量士補試験には受験資格ははなく誰でも受験することができます。

また、測量士補の試験は年に1回開催され、令和5年の試験概要は以下となります。

試験方法筆記試験
試験日令和6年5月19日(日曜日)
受験地北海道、宮城県、秋田県、東京都、新潟県、富山県、愛知県、
大阪府、島根県、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県
試験手数料2,850円
合格発表日令和6年6月27日(火)午前9時

測量士補の試験概要について知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:測量士補の試験日や試験内容など解説

計画的に勉強すれば合格できる!

受験する方々の中には、測量の仕事に興味がある学生や、測量の仕事に携わっている社会人など、それぞれの受験動機があると思います。

「測量機器を触ったこともなく実務経験もないが合格できるのか?」
「計算問題では、三角関数などの数学の知識が問われるが、高校生以来、勉強していないが合格できるのか?」

など疑問に感じている受験生はいると思います。

合格者のなかには、勉強時間が足りなかったり、自信がなかった方もいるはずです。

それでも、3人に1人は受かる試験です。

しっかり計画を立てれば必ず合格できる試験だと私は思っています。

独学でも十分合格できますが、計画性に不安があれば、測量士補講座の検討もしてみてください。

それでは、合格を勝ち取りましょう。

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この記事の監修者 中山 祐介 講師

中山 祐介 講師

独学で土地家屋調査士試験全国総合1位合格の同試験を知り尽くした講師。

「すべての受験生は独学である」の考えのもと、講義外での学習の効率を上げ、サポートするための指導をモットーに、高度な知識だけでなく、自身の代名詞でもある複素数による測量計算([中山式]複素数計算)など、最新テクニックもカバーする講義が特徴。日々、学問と指導の研鑽を積む。

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