行政書士の「入管業務」とは?業務内容・報酬・やりがいについて解説!
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入管業務は、在留資格認定証明書の交付申請や在留資格変更許可申請などを行う仕事で、「申請取次行政書士」の資格を取得すれば書類作成から提出まで一貫して対応できます。
申請取次行政書士になるには、日本行政書士会連合会などが主催する事務研修会を受講し、届出済証明書(ピンクカード)の交付を受ける必要があります。
報酬は事務所ごとに異なりますが、在留資格認定証明書交付申請で平均11万〜12万円程度と、行政書士業務の中でも単価が高めです。
少子高齢化による外国人労働者の増加を背景に将来性が高く、依頼者から直接感謝される機会も多い、やりがいのある業務といえます。
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行政書士が扱う「入管業務」とは?

入管業務において、行政書士が行える業務はどのようなものがあるのでしょうか。
具体的に、主な業務内容としては以下が挙げられます。
- 在留資格認定証明書(短期滞在以外の目的で入国する外国人に交付される証明書)の交付申請
- 在留資格変更許可(現在の在留資格から別の在留資格に変更の許可を得ること)の申請
- 在留期間更新許可(現在の在留資格のまま国内滞在をするための更新許可を得ること)の申請
このほかにも、永住許可を得るための申請や再入国の許可申請など、個々の外国人の状況によって手続きの業務内容は多岐に渡ります。
そもそも入管とは?
「入管」とは出入国在留管理局の略であり、法務省の外局として位置づけられています。
元々は入国管理局と呼ばれており、法務省の内部部局として機能していましたが、出入国する外国人が増えた影響で、2019年4月1日から法務省の外局という位置づけとなり、新しく出入国在留管理庁として新設されました。
入管は、国際的な交流をより一層促進させるために関係する省庁と連携をとりながら必要な政策を行っています。
例えば、外国人の出入国を審査・確認したり、長期的に滞在できるようにするための手続きなどを行ったりすることで日本人と外国人が安心して日本でともに生活できるように支援しているのです。
一方で、不法滞在など、日本での滞在を認めてはならないような外国人を国外に強制送還することで、日本国民の安全・治安や利益を守ることも入管の重要な役割のひとつとなっています。
日本が安心・安全であると海外からも高く評価されているのは、入管がしっかりと機能していることが大きな理由となっているのです。
入管業務ができる「申請取次行政書士」とは
ここで押さえておきたいのは、前提として入管業務に関わる申請書類について、本人による申請が原則であるという点です(これを「本人出頭の原則」と言います。)。
通常の行政書士は依頼を受けて報酬を受け取り、入管業務に関する申請書類の作成を行うことはできますが、本人に代わって申請書類を提出してはならないこととなっています。
ただ、日本語の読み書きが不慣れな外国人や、そもそもまだ日本に滞在していない外国人が難しい申請を自分でしなくてはならない酷な話です。また、本人が申請のたびに入管に足を運ばなければいけないのは、非常に面倒でしょう。
そこで、申請取次制度というものがあります。この「申請取次行政書士」となることで、外国人の本人出頭が免除され、行政書士が入管業務の取次を行い申請に携われるようになっているのです。
申請取次行政書士になれば、申請書類の作成から提出まで一貫して入管業務を行えるため外国人にとってはメリットが大きく、通常の行政書士と比較して提供できるサービスの差別化を図れるでしょう。
申請取次行政書士になるには
申請取次行政書士を名乗るには、「届出済証明書」というカード(通称:ピンクカード)を発行してもらう必要があり、そのために申請取次の事務研修会を受講しなければなりません。
届出済証明書は事務研修会を受講後に交付される修了証を入国管理局へ届けることで発行されるもので、どの期間が主催する研修を受講するかによって取得ルートがやや異なります。
- 日本行政書士会連合会(日行連)の研修を受ける
- その他の実施機関(入管協会など)の研修を受ける
行政書士の方にとっては日行連の研修を経て証明書を発行してもらう方が手続きの手間が少なく、おすすめです。
まず前提として、行政書士が入管から届出済証明書を受け取るには行政書士会を経由する必要があります。
※参考:出入国管理および難民認定法施行規則|第6条の2 第4項
日行連が主催の研修は最初から行政書士の有資格者向けに届出済証明書の取得ルートが最適化されているため、必要書類などがすべてセットになっています。
一方、入管協会などの外部機関の研修は行政書士以外の方も受講するため、研修の修了証を所属の行政書士協会へ届け出るところから自分で手続きしなくてはなりません。
【日行連のルート】
研修→修了後はそのまま必要書類を行政書士会へ提出→入管で届出済証明書(ピンクカード)を発行
【外部機関のルート】
研修→研修の修了証を受け取る→修了証と必要書類を自分で揃えて行政書士会へ提出→入管で届出済証明書(ピンクカード)を発行
日行連の研修は年に数回(令和8年度は「新規」「更新」ともに4回ずつ)しかない点がデメリットですが、初めて申請する方でも事務手続きがスムーズに進められるでしょう。
日行連の研修はVOD方式で実施され、自宅のパソコンやタブレットから受講できるなど利便性も高いです。
令和8年度の研修会の日程については、日本行政書士連合会のホームページに詳細が記載されています。
※参考:令和8年度申請取次関係研修会の開催について(受講期間・申込期間等) | 日本行政書士会連合会
事務研修会の最後には、理解度を確認するための効果測定が実施され、マークシート方式の試験やレポート課題などが課されます。
ビデオ研修の内容に沿った出題がされ、参考資料も見ることができるため、落ちる人はほとんどいません。
万が一、効果測定の結果「入管業務を適正に行う知識を著しく欠く者」に該当してしまった場合は届出済証明書を受け取ることができないので注意しましょう。
また、一度届出済証明書を発行すれば永久に申請取次業務を行えるわけではないという点にも注意が必要です。
届出済証明書には3年の有効期限があり、有効期限が過ぎる前には再度研修を受ける必要があります。
有効期限が切れてしまうと更新できず、再度「新規」で取得する必要があります。当然、申請取次行政書士としての資格を喪失するので、新たに届出済証明書を取得するまでは取次業務はできません。
そして、取次行政書士となってからも、日々の勉強を怠ることはできません。入管業務は法律の改正や申請書類の改定なども多く、過去の知識だけでは対応できないこともでてきます。また、入管当局の取り扱いも状況に応じて頻繁に変わります。
そのため、定期的な研修によって日々行政書士として知識をインプットしていく必要があるのです。
入管業務の報酬
入管業務の報酬は案件の種類によって異なりますが、在留資格認定証明書交付申請(就労資格)の平均は約12万円、在留資格変更許可申請(居住資格)の平均は約9万5千円です。
※参考:令和7年度 日本行政書士会連合会調べ
行政書士業務の中でも報酬単価が高い部類に入ります。
報酬額の統計調査から、具体例をいくつか挙げてみましょう。
- 415:在留資格認定証明書交付申請(居住資格):1万〜33万円(平均:113,708円)
- 416:在留資格認定証明書交付申請(就労資格):5千〜50万円(平均:120,174円
- 419:在留資格変更許可申請(居住資格):1万〜25万3千円(平均:95,432円)
- 420:在留資格変更許可申請(就労申請):5千〜33万円(平均:103,167円)
上記以外の業務では平均額が2万程度のものから25万程度のものまであり、前述したように、入管業務は多岐に渡るため、申請内容によっても報酬の平均額に大きな差が生じているのが特徴です。
行政書士が携わることのできる他の分野と比較しても、報酬単価が高いことが入管業務のもうひとつの特徴ともいえるでしょう。
申請が難しいといわれる入管業務ですが、同じ種類の申請であっても申請者によって提出する書類の枚数や内容が異なってきますし、一度に複数名の申請依頼があることも多いので、その分、報酬も高くなっていきます。なお、請求の仕方として、着手金と成功報酬を分けているところが多いようです。申請から許可が出るまで1~3か月(長いものだと6~8か月ということもあります。)くらいかかるので、コンスタントに案件を受注できれば、経営が安定しやすいというメリットがあります。
入管業務を専門分野として掲げ、外国人を主な顧客とした事務所経営を行っていくのもいいかもしれませんね。
入管業務のやりがい・魅力
入管業務のやりがいは①将来性の高さ(外国人労働者・在留外国人数が増加傾向)と②依頼者から感謝されやすい点の2つが特に大きいです。
在留資格は外国人の生活に直結するため、業務の社会的意義も高い分野です。
1.将来性がある
まず、入管業務は将来性のある業務であると言えるでしょう。
日本は少子高齢化に伴う労働人口の減少などによって、昔と比較しても外国人労働者の需要が高い状況にあるといえます。
実際に、出入国在留管理庁の報道発表資料によると、令和4年6月末の在留外国人数は、296万1,969人で、前年末に比べ20万1,334人(7.3%)増加しています。
※参考:令和4年6月末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁
外国人にとっては入管の申請取次を行ってくれる第三者の存在はとても大きいものですし、日本に滞在している最中に別の申請が必要になったことで、同じ外国人から再度依頼がくる可能性も大いにあるでしょう。
なお、技能実習制度が廃止される見込みであり、それに代わる新たな在留資格が創設されること、特定技能(2019年4月から創設された新しい在留資格です。)の分野の幅が広がることから、日本に入国しようとする外国人の数は今後も増えていくことは間違いないものと思われます。
インターネットの普及したこの世の中であっても、日本語の読解が困難な外国人による申請の取次などは今後も必要不可欠な業務になってくる可能性は高いと思われます。
2.依頼者から感謝されることが多い
そして、一番のやりがいとしては、依頼者から感謝をされることが多いことです。
行政書士に入管業務を依頼をする方は、大きな不安を抱えながらやってくることがほとんどです。
日本に入国することができるのだろうか、このまま滞在するにはどんな申請をしたらよいのだろうか…。
それぞれの想いや不安を聞き取り、ひとりひとりの夢や目標を支援することで得られる感謝の言葉は、行政書士が入管業務に携わることで感じることのできる大きなメリットでしょう。在留資格(いわゆる「ビザ」)は、外国人にとって命の次に大事なものと言っても過言ではありません。中には、人生を賭けて日本に来ている人もいます。そのような人たちのお手伝いができる入管業務は、行政書士にとって、とても魅力的に感じられます。
まとめ
入管業務は専門性が高く難しい分野ですが、その分報酬単価が高く、依頼者から直接感謝されるやりがいのある仕事です。
外国人労働者の増加により今後も需要が見込まれるため、行政書士として専門性を高めたい方にはおすすめの業務といえるでしょう。
まずは行政書士試験の合格を目指し、その先のキャリアとして入管業務への挑戦も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者 安達 暁宏 講師
アガルートアカデミー 行政書士 実務・開業講座担当
法務局及び法務省で約12年間勤務後、2015年退官。
その後、行政書士事務所に入所し、初めて行政書士業務、入管業務と出会いました。
年間約400件の外国人ビザの申請業務に従事する中で、失敗をしつつも入管業務のイロハを勉強することができたことは貴重な経験となり、この経験が今の実務に活きています。