【行政書士試験】行政法の勉強法を解説!分野別学習のポイント&おすすめ問題集・テキスト3選
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出題数の多さから、行政書士試験において最重要科目といわれる行政法。行政法の攻略なくして本試験を突破することは難しいでしょう。
しかし、苦手意識がある人やどのように学習すればよいのかわからない人、思うように得点が伸びない人も中にはいるのではないでしょうか。
このコラムでは、行政書士試験における行政法の勉強法や行政法対策におすすめの書籍について解説します。
行政書士試験対策講座担当講師による動画解説もあるので、コラムとあわせて参考にして、ぜひ行政法の攻略に役立ててください。
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【行政書士試験】行政法とは
行政法は、行政書士試験の科目の中でもっとも出題数が多い科目です。
配点は全体の37.3%を占め、5肢択一式では民法の9問をゆうに超える19問、多肢選択式は2問、そして記述式が1問と、全科目中唯一すべての形式で出題されます。
5肢択一式では、15問以上取ることが理想です。
多肢選択式は1問以上、記述式もたった1問ですが20点と高配点であるため、獲得できるよう繰り返し学習し、知識をつけていきましょう。5肢択一式では最低でも15問、できればそれ以上を狙いましょう!
行政法は大きなウェイトを占める科目であるぶん、得点源にできるかどうかが合否を分ける非常に重要な科目です。
ぜひしっかりと対策し、得点源にしていきましょう。
※行政書士試験全般の勉強法はこちら:行政書士試験の勉強法
「行政法」という法律は存在しない
行政法とは、行政に関する規則や法令の総称です。
民法や憲法のように「行政法」という名の法律があるわけではなく、以下の6つの規則や法令をまとめて行政法と呼んでいます。
- 行政に関する法律…行政事件訴訟法、産業廃棄物処理法など
- 行政に関する政令…食品衛生法施行令など
- 行政に関する省令等…種苗法施行規則など
- 行政に関する条例…岐阜県青少年健全育成条例など
- 行政に関する規則…職員採用試験規則など
- 行政に関する不文法…緊急避難など
以上のように、行政に関する規則や法令にはさまざまなものがあります。
その中から、行政法科目として出題されるのが以下の4つの分野です。
- 行政法総論
- 行政手続法
- 行政救済法(行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法)
- 地方自治法
【行政書士試験】行政法 分野別勉強法
ここでは、行政書士試験における行政法の勉強法について分野別に解説します。
分野ごとに学習ポイントを押さえ、効率よく学習しましょう。
行政法総論の学習のポイント
行政法総論は、行政法全体に共通する一般的な法理論です。
基本的なルールや行政機関、公務員などといった行政の仕組みについて問われます。
5肢択一式では、例年19問中約3問が行政法総論から出題されます。
行政法総論は抽象的な部分が多いため、一度で理解するのは難しいかもしれません。
しかし、だからといって苦手だと決めつけてしまうのではなく、そういうものと割り切って、前向きに学習を続けてください。
行政手続法や行政救済法、地方自治法など、ほかの分野を学習したあとで戻ってくると、初回よりも理解できるようになっているはずです。
行政法総論は、講義・テキスト・過去問をやった後は、テキストをメインに据える学習が効果的です。
あとは何度も繰り返し、知識を定着させることが重要です。
行政手続法の学習のポイント
行政手続法は、事前の権利保護の手続きについて定めた法律です。
5肢択一式では、例年19問中約3問が行政手続法から出題されます。
合格を目指すなら、行政手続法は落とせません。
ぜひ、この3問すべてを取るという気持ちで学習に取り組んでください。
本試験では、主に条文知識が問われます。
そのため、手続きの流れを押さえながら、条文をしっかり学習していく必要があります。
重要なのは、行政手続法は行政機関が処分を行う際の事前のルールを定めたものであるという点です。
行政救済法より前の段階であることを意識しましょう。
行政救済法の学習のポイント
行政救済法とは、違法・不当な行政行為があったあとの手続きを定めた法律のことで、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法が該当します。
5肢択一式では、例年19問中約7問が行政救済法から出題されます。
行政不服審査法は、行政機関が行政手続法に基づいて行った処分に対して、直接行政庁に救済を求めていくための制度を定めた法律です(法律用語を離れてざっくり言えば「お役所に文句を言う」ようなイメージです)。
行政事件訴訟法も目的は行政不服審査法と同じですが、行政庁ではなく裁判所に対して救済を求めます。
そして国家賠償法は、行政活動によって受けた損害を金銭などで救済するための法律です。
行政不服審査法、行政事件訴訟法は似ていますが異なる点も多いため、違いをしっかり理解していないと肝心なところで迷いが出ます。
それぞれの性質を掴んだうえで、丁寧に学習を進めていく必要があるでしょう。
行政救済法では、条文知識に加え判例知識も問われます。特に行政事件訴訟法の訴訟要件ビッグ3(処分性・原告適格・狭義の訴えの利益)の判例は超重要です!国家賠償法は条文数が少ないため、1条・2条に関連した判例が頻出する傾向にあります。
また、記述式では行政事件訴訟法が問われやすいため、制度自体をしっかり理解して、要件をしっかりと記憶しておく必要があるでしょう。
地方自治法の学習のポイント
地方自治法は、地方自治制度に関する総合的な法典です。
5肢択一式では、例年19問中約3〜4問が地方自治法から出題されます。
頻度は少ないものの記述式でも問われることがあるため、おろそかにできない分野です。
地方自治法の特徴は、なんといっても膨大な条文数です。
しかし、試験合格に必要なポイントは限られているため、全体をまんべんなく学習するのではなく、的を絞って効率的に学習していく必要があります。
テキストや過去問の中で出てきたところを中心に、前後を膨らませて条文を読み込んでいくとよいでしょう。
中でも、住民監査請求や住民訴訟、公の施設、議会と長との関係などはよく出ます。そういった頻出のポイントを分野ごとに押さえておくことが重要です。
地方自治法は苦手意識を抱く人が多いのですが、ご自身がお住まいの地方公共団体の市議会・市議会議員・市長等を思い浮かべれば学習のイメージがしやすいはずです。
【行政書士試験】行政法の対策におすすめテキスト・問題集
ここでは、行政法の対策におすすめなテキストや問題集を3つ紹介します。
ぜひ行政法の対策に役立ててください。
出る順 行政書士 肢別過去問題集(東京リーガルマインド)
出る順行政書士 良問厳選 肢別過去問題集(東京リーガルマインド)は、大手資格予備校LECから出版されている問題集です。
過去30年以上の本試験問題から厳選した2500肢が収録されていいます。
本書籍のメインは過去問ですが、オリジナル問題も収録されています。行政法では近年新しい最高裁判例からの出題が増えていることから、今後出題される可能性のある条文・判例に関するオリジナル問題が追加されています。
全科目の底上げをしながら、特に行政法を得意科目にしていきたいという人におすすめしたい一冊です。
この問題集は、民法の学習にもおすすめの一冊です。
START UP判例50! 行政法(有斐閣)
行政法判例50! (START UP)(有斐閣)は、行政法の重要判例50個を新進気鋭の行政法学者が解説している判例集です。
厳選された50個の判例を「事案をみてみよう」「読み解きポイント」「判決文を読んでみよう」「この判決が示したこと」「解説」の5ステップで分かりやすく教えてくれます。
①事案をみてみよう→判例学習はともすれば結論を暗記して終了になりがちですが、実際の判例は生身の人間が必死に争ったわけです。その具体的な事案を嚙み砕いて解説してくれます。
②読み解きポイント→その判例で何が争点だったのかを端的に示してくれます。言ってみれば「Q」の部分です。
③判決文を読んでみよう→実際の判決文を提示しつつ、重要部分は青字+アンダーラインを引いてビジュアル的に分かりやすくしてくれています。
④この判決が示したこと→判例が示した結論を端的に示してくれています。言ってみれば「A」の部分です。
⑤解説→その判例を理解する上でのポイントを解説してあります。欄外の記載も勉強になります。
普段は本書の全部を学習して、直前期は②と④のみを使ってQ&Aとして何度も回転させれば行政法の判例学習は盤石です。
ただ過去問を解いていくだけではなく、判例の「使い方」が身につくため、判例の知識が深まるとともに応用力も養われます。
本格的に判例について学びたい人や、いつもと違う角度から判例の学習をしたい人におすすめの一冊です。
なお、同シリーズの憲法版は、憲法の対策用が欲しい時におすすめです。
みんなが欲しかった!行政書士の40字記述式問題集(TAC出版)
みんなが欲しかった!行政書士の40字記述式問題集(TAC出版)は、記述式問題に特化した問題集です。
記述式問題の解き方がマニュアル化されているため、正しい解き方や考え方が一から身につき、身についたテクニックを過去問題や予想問題ですぐに試せます。
この問題集を繰り返し解くことで、問題が何を求めているのか、どう記述すべきなのかを問題文から読み取れるようになり、自信を持って記述できるようになるでしょう。
記述式問題が苦手、どのように書けばよいのかわからない人にぜひおすすめしたい一冊です。
まとめ
行政法の学習ポイントや行政法対策におすすめな書籍について解説しました。
行政法は、5肢択一式問題が19問出題される最重要科目です。合格を掴むために、ぜひ15問以上の正解を目指しましょう。
行政法総論は頻出分野を中心に、問題集で知識の確認をしていくことが大切です。
また、行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法は条文での学習を中心に行うことが重要です。
行政事件訴訟法については、取消訴訟の訴訟要件を頭に入れておきましょう。
特に特に訴訟要件ビッグ3(処分性・原告適格・狭義の訴えの利益)は判例をよく押さえておく必要があります。
そのほか、国家賠償法は繰り返し判例学習を行い、本試験に対応できるレベルになっておくことが理想です。
地方自治法は重要な条文にポイントを絞って、メリハリのある学習を心がけましょう。
以上のように、分野によって攻略法が異なります。
そのため、独学ではどうしても対応しきれない部分や、非効率なやり方になってしまうことがあります。
無理に独学にこだわるよりも、行政書士試験の通信講座を活用した方が効率よく学習をすすめられるでしょう。
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豊村 慶太講師
行政書士受験指導のカリスマ。早稲田大学3年次にわずか2か月の学習期間で行政書士試験に合格。
大手資格予備校LECで12年以上にわたり、行政書士試験の受験指導を行い、基幹講座・単科講座・全国向け収録講座のみならず、大学学内講座(成城大学・学習院大学)も担当。
LEC時代・アガルート移籍後を通じて、19年以上の講師歴を通じて、のべ1万人以上の受験生を指導(2023年4月時点)。高い合格率に定評がある。
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