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宅地建物取引士(宅建士)とは

宅地建物取引士(宅建士)とは

宅建士は不動産の取引のスペシャリストです。具体的には,土地や建物の売買や賃貸借などの契約をする際に,『購入者などの利益を保護するために,重要事項の説明等』の宅建業法に定める業務を行う方をいいます。従来,宅建士は,宅地建物取引主任者と言われていましたが,2014年の宅建業法改正により,法律上,宅建士という士業として扱われるようになりました。宅建士との違いが分かりにくいものとして,宅地建物取引業者(宅建業者)が挙げられますが,これらは役割が明確に異なるものなので注意が必要です。簡単に言えば,宅建業者は不動産取引を行う業者(またはそこで働く方のこと)のことをいいますので,必ずしも宅建士の資格は必要ありません。しかし不動産取引の契約には,宅建士にしかできない業務(独占業務)がある為,宅建業者内には宅建士が必ずいます。

宅建士の独占業務と設置義務

宅建士の独占業務は,『重要事項説明』『重要事項説明書(35条書面)への記名・押印』『契約書(37条書面)への記名・押印』の3つです。これらの業務は,不動産取引を行う上で特に重要なものであり,宅建士はそのような重要な取引を任されるのです。

◆重要事項説明

不動産に関する契約(売買,賃貸借)を締結する際,売主や賃貸人(貸主)は,契約に関する様々な重要事項を,買主や借主に対し契約を結ぶ前に説明する義務を負っています。 これは不動産取引では,高額な金銭や様々な権利のやり取りがされるため,事後にトラブルが発生することを防止するためです。

◆重要事項説明書(35条書面)への記名・押印

重要事項は多数かつ広範囲になる為、事前に説明書を作成し、それに沿って口頭で説明を行います。また説明した内容に責任を持つという事で宅建士が記名・押印をし,それを買主・賃借人(借主)に交付します。

◆契約書(37条書面)への記名・押印

重要事項に関する説明や説明者の交付が済むと,契約になります。この時,宅建士は契約に誤りがないか否かを確認して,契約書へ記名・押印をします。金銭や引き渡し時期などの契約内容を事前に詰める方が,実際の取引では先になる方が多いですが、重要事項説明が済んでからでないと契約書の取り交わしをすることはできません。

宅建士の設置義務

宅建業者には5人に1人の割合で宅建士を設置しなければならないという設置義務が課されています。そのため,宅建事業者にとって,宅建士は事業を継続するための不可欠な存在となっています。

宅建資格の魅力

宅建資格は,簿記資格と並び,受験者の多い,非常に人気のある国家資格です。これは,宅建資格を持っていれば,業務未経験でも,就職&転職&再就職に有利であると言われていることが大きな理由であると考えられます。宅建業者には,宅建士の設置義務が課されています。その為,不動産業界などの不動産取引を行う会社において,宅建士は重宝されます。求人票を見ても,宅建資格に対する資格手当を出している会社が少なくありません。

宅建士になるには

宅建試験に合格する

宅建士になるためには,まず宅建試験に合格することが必要です。宅建試験は,例年10月の第3日曜日に開催され,試験時間は2時間です。試験の内容は,四肢択一のマーク式の問題で,全部で50問あり,約7割取れれば十分に合格可能であると言われています。試験範囲は,大きく,権利関係,宅建業法,法令上の制限,税その他から出題されます。合格発表は,11月最終水曜日か12月の第一水曜日にあります。宅建試験の合格率は,約15%です。このように,宅建試験は,合格率が高くなく,難しい試験であると思われるかもしれません。しかし,問題自体はそこまで難易度の高い出題がされているものではなく,正しい試験対策をすれば,十分合格可能な試験であります。

登録資格を得る

宅建試験に合格しただけでは,宅建士となることはできません。宅建士となるためには,さらに,次のいずれかに該当することが必要です。

①宅地建物取引業の実務(一般管理部門は除く。)の経験が2年以上ある者

②国土交通大臣の登録を受けた宅地又は建物の取引に関する実務についての講習(登録実務講習)を修了した者

③国,地方公共団体又はこれらの出資により設立された法人において宅地又は建物の取得又は処分の業務に従事した期間が通算して2年以上である者

このうち,②登録実務講習は,宅建試験に合格した者だけが受けられる講習で,当該講習を修了することにより「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」と認められ、資格登録の要件を満たすことができるようになります。

受験した試験地の都道府県に登録する

受験した試験地の都道府県に登録することにより,宅建士としての資格が得られます。資格登録は任意であり,資格登録をしなくとも,試験合格の効果が失われることはありません。資格登録をすることによって,宅建士証の交付を受けることができます。宅建士証は,宅建士としての業務を行う上で,必要なものです。なお,宅建試験に合格した者を宅建士試験合格者,資格登録をした者を宅建士資格者,宅建士証の交付を受けた者を宅建士と呼びます。

登録後も更新が必要

宅建士証は,有効期限が5年間と定められており,引き続き宅建士として業務を行おうとする場合には,登録の更新をしなければなりません。なお,登録の更新は任意です。登録の更新手続は,宅建士証の有効期限の6か月前から,法定講習会というものを受講することができ,それを受講することによって行うことができます。法定講習会のお知らせは,各宅建士が更新手続を失念しないよう,ハガキでお知らせが来ることとなっています。ここで注意しなければならないことは,住所を変更した場合には,必ず資格登録簿の変更をしなければならないことです。これを怠っていると,法定講習会のお知らせハガキが来ないおそれがあるのみならず,法令違反となってしまいます。

宅建資格とのダブルライセンスを目指す

相乗効果のある資格

宅建士におススメの資格がFP(ファイナンシャルプランナー)です。宅建とFPのダブルライセンスを所有することによって,宅建士としての業務の幅が広がります。宅建士は,不動産取引における法律的な側面をカバーする職業です。そのため,FPを取得することによって,不動産取引の際に,資金面でもプランニングまですることが可能となるからです。

また土地家屋調査士もとっておくと良い資格に挙げられます。特に,独立開業を希望される方にお勧めです。土地家屋調査士とは,不動産の登記をするために必要な土地や家屋に関する調査や測量を行うことや,不動産の表示に関する登記手続の申請業務等を行うことを業務の内容とする専門家です。試験科目との関係でも,土地家屋調査士とは,民法や宅建業法,区分所有法,不動産登記法が重なっており,対策がしやすい科目であるといえるでしょう。

宅建試験の勉強が活かせる資格

宅建の資格勉強が活かせるものとしては,まず,行政書士試験が挙げられます。特に民法の出題範囲が重なるため,宅建試験合格者にとって,行政書士試験は取り組みやすい試験であるといえるでしょう。もっとも,行政書士試験は,合格率が約10%と低く,宅建試験よりも難易度が高いため,それなりの対策が必要になります。

また,さらに難易度が高い資格試験として,司法書士や不動産鑑定士が挙げられます。これらの試験とは,民法や,不動産登記法の試験範囲が重なります。特に,不動産鑑定士の資格を取得することができれば,不動産業者にとって,とても重宝される存在となることができるでしょう。もっとも,司法書士や不動産鑑定士は,法律系の資格の中でも特に難しい部類に入るため,たとえ宅建試験に合格していたとしても,十分な学習時間をとることが必要不可欠となります。

さらに,マンション管理士は,試験科目の多くが重複しているのみならず,出題集や出題形式も同じであるため,宅建試験に合格した者にとって,特に資格勉強が活かせる資格であるといえるかと思います。

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