慶應義塾大学法科大学院(ロースクール)入試(以下慶應ロー)の過去問の出題傾向と対策について、アガルートアカデミーの渡辺悠人講師が解説していきます。

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慶應義塾大学法科大学院の入学試験要項(法学既修者コース 一般選抜(6科目))

募集人員・競争倍率

⑴ 募集人員

約 80 名(3年生3科目入試枠若干名を含む)
※法学既修者コース全体では、特別選抜(5年一貫型)約 45 名(地方枠4名を含む)及び特別選抜(開放型)約 45 名を合わせた 170 名

⑵ 競争倍率

2023年度:2.92倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 311/受験者数909 )
2022 年度:2.81倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 302/受験者数 850)
2021 年度:2.01 倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 320/受験者数 644)
2020 年度:2.01 倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 331/受験者数 665)
2019 年度:2.00 倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 354/受験者数 709)
2018 年度:2.01 倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 354/受験者数 710)
2017 年度:2.01 倍(募集人数約 170 、 入学許可者総数 343/受験者数 688)

評価項目

・論述式試験(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法):80%

・提出書類(志願者報告書、学部成績など):20%

ただし、論述式試験において、その成績が法学既修者として要求される最低限の水準に達しない科目が1科目でもある者は不合格となる。

論述式試験

⑴ 出題形式

憲法・民法・刑法については、問い(事例を用いた問題など)に対してその解答を文章で論述する形式で、各科目の想定解答時間を 50 分として出題する。

商法・民事訴訟法・刑事訴訟法については、問い(比較的簡潔な事例を用いた問題など)に対してその解答を文章で論述する形式で、各科目の想定解答時間を 40 分として出題する。

商法の出題範囲は、商法総則、商行為法(保険・海商法を除く)、会社法、手形法・小切手法とする。

全科目で、本研究科が用意する六法の使用を認める。

法学既修者として要求される基礎的な知識、理解および法的な思考能力を十分に身につけているかを評価する。

⑵ 試験時間

1時限 憲法・民法・刑法 10:00 ~ 12:30(150 分)
2時限 商法・民事訴訟法・刑事訴訟法 14:10 ~ 16:10(120 分)

⑶ 科目の配点比率

憲法・民法・刑法各3:商法・民事訴訟法・刑事訴訟法各2

⑷ 答案用紙の形式について

不見当(ただし、30 行×4頁(120 行)との不確定情報がある。)

※関連コラム:慶應義塾大学法科大学院の特徴・入試情報

論述式試験の傾向と対策

総論

基本的な論点に関する出題、具体的には百選掲載判例や近年の重要判例に関する出題が多い。

(そこで,本講座の解答例においては,サイドコメントとして,関連する(裁)判例の年月日を掲載するとともに,百選掲載判例については,その最新版の判例番号を付することとした。)

ただし、常に判例と全く同じ事案が出題されているわけではなく、事案の異なる問題も出題されている。

そのため、単に判例の判旨だけを記憶するような学習では不十分であり、事案の概要、問題の所在、規範(理由付けを含む。)、あてはめに加え、周辺知識まで含めて、正確に理解・記憶することが重要である。

また、上記のとおり、試験時間が短い上に、特に憲法・民法・刑法については、複数の論点が絡み合った問題が出題される傾向があり(他方、商法・民事訴訟法・刑事訴訟法については、基礎的な問題が出題される傾向にある。)、時間や答案用紙の紙面が大幅に不足することが予想される。

そのため、基本的事項については、正確かつ簡潔に記載できるように、事前に準備しておく必要がある。
加えて、論点の取捨選択や、メリハリをつけた論述も必要になる。

なお、一部応用・発展的な問題が出題されることがあるが、そのような問題についても完答しなければ合格できないという試験ではない。

応用・発展的な問題の前提となっている基本的事項に関し正確な理解を示すことができれば、十分合格することができるであろう。

憲法

内容面としては、外国人の人権享有主体性、新しい人権、平等原則、政教分離、表現の自由(集会の自由)、職業選択の自由(営業の自由)及び部分社会の法理に関する出題が多い。

したがって、これらの分野については、重点的に準備しておくことが必要であろう。

とはいえ、これらの分野以外からの出題も当然予想されるため、どのような出題がされても最低限は「守れる」ような準備をすべきである(以下同じ。)。

形式面としては、従前、いわゆる主張反論型での出題が続いていたが、近時の司法試験・予備試験の傾向の変化を受けてか、2019年度,2021年度及び2022年度はいわゆる意見書型での出題が、2020 年度は原告訴訟代理人弁護士としての主張を問う出題がなされた。

もっとも,問われている本質的な事項には全く変化がない(年度によっては,「反論を踏まえて」論じることが求められることもある。)。
推奨されるのは王道の学習であり、答案表現上の小手先のテクニックを覚えるような学習方法は全く無意味である。

民法

内容面としては、代理、時効、物権総論、抵当権、所有権留保、債権者代位権、詐害行為取消権、受領権者としての外観を有する者に対する弁済、同時履行の抗弁権、危険負担、売買、賃貸借、不当利得及び日常家事債務に関する出題が多いが、それ以外にも全ての分野から満遍なく出題されている。

したがって、特定の分野に偏ることなく、準備すべきである。

形式面としては、近年、「反論を踏まえて」(「反論も想定して」)、請求の当否を問うという形式の出題が多い。

なお、無理に要件事実的な論述をする必要はなく、「請求→法的根拠→要件→効果」という枠組みを守りつつ、その枠組みの中で問題となる論点について法的三段論法で論じるという、法律家としての正しい思考回路を文章にすれば足りる(ただし、要件事実的な発想は、主張反論構造を把握する上で極めて有用であることは言うまでもない。)。

刑法

内容面としては、早すぎた構成要件の実現、因果関係、故意(錯誤)、正当防衛、未遂犯(不能犯、中止犯)、共同正犯(成立要件、射程、離脱)、傷害(傷害致死、同時傷害の特例)、住居侵入、窃盗(不法領得の意思)、強盗(事後強盗、強盗致死傷)、詐欺、占有離脱物横領、放火及び文書偽造に関する出題が多い。

また、罪数処理が必要となる問題も多いため、最後まで気を抜いてはならない。

形式面としては、「○の罪責を論じなさい」といった一般的な出題形式が基本であるが、2019 年度には、簡易な事例について、適用される条文のみを答えさせる問題が、2020 年度以降は、適用される条文を(犯罪が不成立の場合には不可罰と)指摘させた上で、その理由をごく簡潔に(25 文字以内で)述べさせる問題が出題された。

いずれの年度においても、問われている内容自体は通常の事例問題でも問われるような典型論点のため、過度の心配は不要であるが、2020 年度以降の形式の出題については、ある程度訓練しておかなければ現場で即座に対応することは困難であろう。

商法

内容面としては、譲渡制限株式、取締役の義務(説明義務、法令遵守義務、忠実・善管注意義務、監視監督義務)、利益相反取引、取締役会決議の瑕疵、任務懈怠責任、対第三者責任、株主総会決議取消しの訴え、株主代表訴訟及び新株発行からの出題が多い。

形式面としては、私見のみを述べれば良く、論ずべき分量も少ない出題が多い。

なお、一時期、いわゆる一行問題が出題されていたことがあるが、近年は出題されていないので気にする必要はないであろう。
仮に出題されても、条件は他の受験生も同じであるため、焦らずに基本的事項の理解を答案上に表現すれば足りると思われる。

民事訴訟法

内容面としては、一部請求、相殺、訴えの利益、処分権主義、弁論主義、裁判上の自白、既判力(客観的範囲、主観的範囲、時的限界)、訴えの変更、複雑訴訟(通常共同訴訟、固有必要的共同訴訟)及び控訴(控訴の利益)からの出題が多い。

形式面としては、私見のみを述べれば良く、論ずべき分量も少ない出題が多い。

刑事訴訟法

内容面としては、行政警察活動(職務質問における「停止」させる行為、所持品検査)、強制処分該当性と任意捜査の限界、(準)現行犯逮捕、逮捕前置主義、勾留、令状に基づく捜索・差押え、領置、訴因(特定、要否、可否)、伝聞法則(伝聞例外)及び違法収集証拠排除法則からの出題が多い。

形式面としては、私見のみを述べれば良く、論ずべき分量も少ない出題が多い。

なお、2018年度, 2021年度及び2022年度は、行数指定の説明型問題が出題されたが、2019 年度及び 2020 年度は出題されなかった。

このような形式の出題が継続するか否かは不明であるが、簡潔かつ要点をついた論述をする能力は通常の事例型問題においても要求されるため、訓練を積むことが必要である。

※関連コラム:法科大学院(ロースクール)入試の対策・試験科目・勉強方法を解説

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この記事の著者 渡辺 悠人 講師

渡辺 悠人 講師

慶應義塾大学法科大学院既修者コース修了後,平成25年に司法試験合格。

受験生時代,ほぼすべての学習を予備校教材で行うという勉強法により,法科大学院をGPA3.71で修了し,司法試験にも総合4位で合格する。
予備校教材だけで法科大学院において好成績を修めることも司法試験に超上位で合格することもできるということの生き証人。

受験生時代に培ったノウハウと,企業法務の最前線で得た経験を基に,司法試験合格のみならず,合格後の実務にも直結する講義を展開する。

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