行政書士試験に出題される民法は難しいと言われています。事例問題も多く、解く時間がかかるためです。中でも物権の範囲は「対抗要件」「即時取得」「占有」など、間違いやすい箇所もあります。

そこで今回は、行政書士試験における民法・物権について、物権の勉強法、物権の間違いやすい箇所などについて解説します。

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行政書士試験における民法「物権」とは?

民法「物権」とは、財産権の一種で物に対する直接的・排他的支配権のことをいいます。

物権の代表的なものは「所有権」です。物に対して全面的かつ直接に支配する権利であり、消滅時効にもかかりません。つまり、物が存在する限り、永久的に存続するのです。

「用益物権」と「担保物権」

物権には、事実状態に基づいて認められる権利である「占有権」と、所有権に代表される「本権」があります。「本権」の中には制限物権というものがあり、制限物権には「用益物権」「担保物権」があります。

用益物権

用益物権とは、他人所有の土地を一定の目的のために使用収益する権利です。

民法上は、地上権、永小作権、地役権、入会権があります。

特別法には、採石権、鉱業権、漁業権などが規定されています。

担保物権

担保物権とは、債務の履行を担保するために設定される物権です。担保物権は「法定担保物権」「約定担保物権」に分けられます。

法定担保物権は、一定の要件を満たすと法律上当然に発生する担保物権です。

民法上、留置権と先取特権があります。

約定担保物権は、当事者の合意により発生する担保物件です。

民法上、質権と抵当権があります。

ただし、物権は法律で定められているもの以外は自由に設定することができません(物権法定主義)。物権法定主義は民法175条に規定されています。

行政書士試験対策における物権

行政書士試験では事例問題が出題されるケースが多いです。たとえば、Aさん、Bさん、Cさんや甲、乙、丙不動産など、さまざまな登場人物や目的物が出てきます。

実際に図を描くなど、整理しながら問題を解くことがポイントとなります。

民法(物権)基本の勉強法 覚えるべきポイントは?

物権について勉強する上で覚えておくべきポイントを紹介します。

一物一権主義

一物一権主義とは、一つの物権の客体は一つであければならないということです。例えば、一戸建てのA建物の所有権は、一つしかなく、複数の所有権は存在しません。

物権の絶対性

債権は当事者間で生じる権利ですが、物権は誰に対しても請求することができます

不動産物権変動の対抗要件について

不動産物権変動の対応要件については、民法177条に規定されています。

たとえば、土地と建物を購入する場合に自分の物と主張するには、当事者同士であれば土地・建物の所有権が自分であることを主張することができます。あくまでも当事者同士の場合になります。

しかし、不動産の売買では二重譲渡が発生する場合があります。民法が意思主義を採用しているためです。

意思主義では当事者の意思の合致により、契約が成立します。つまり、売主と買主の意思が合致すると契約が成立し、契約書も必要ありません

不動産売買の事例

土地の売主AがBへ2,500万円で売却した後、同じ土地をCに3,000万円で売却し、Cは土地の所有権移転登記を行ったとします。この場合には、土地の所有権を取得するのはCとなります。民法177条を根拠として登記を備えていなければ、第三者に対抗できないためです。

民法177条の第三者とは「当事者もしくはその包括承継人以外の者、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」と過去の裁判で示されています。

上記の事例のような不動産の二重譲渡の場合は、自己の所有権を主張する買主が複数存在することになります(上記事例であればBとC)。その優劣は登記の先後で決することになります(民法177条参照)。登記を経ていない買主(上記事例であればB)は、登記を先に取得した買主(上記事例であればC)に対して自己の所有権を主張することができないのです。

このように自己の権利取得を第三者に主張することができないことを「対抗することができない」といい、第三者に対抗するための要件(上記事例であれば登記)を対抗要件といいます。

民法(物権)間違えやすい「占有権」について

民法 物権に関する、間違えやすいポイントを紹介します。

占有権とは物を支配する権利ですが、所有権と混同する方もいるでしょう。

「本権」「占有権」

物権は、大きく「本権」「占有権」に分けられます。

本権とは、占有について法律上根拠づける権利のことを指します。所有権、賃借権、質権、地上権などが該当します。

一方、占有とは、物を現実に事実上支配している状態です。

占有権は「自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。」と民法180条により規定されています。

「自主占有」「他主占有」

また、占有には「自主占有」「他主占有」にわけられます。

所有する意思をもって物を所持することを「自主占有」といい、所有の意思を持たず、借りたり預かることを「他主占有」といいます。

占有権は、不動産取引に関するトラブルが起きるケースもめずらしくありません。

たとえば、自分の土地や建物の所有権を他人に奪われたり、勝手に土地を使用されたりするケースなどです。

そのため、占有を妨害されている場合や妨害の恐れがある場合に妨害者に対し、行為の停止や損害賠償請求ができる「占有訴権」という権利が民法に規定されています。

占有訴権について

占有訴権には「占有回収の訴え」「占有保持の訴え」「占有保全の訴え」の3つがあります。

占有回収の訴えは、占有者が占有を奪われた際に占有の回復と損害賠償を請求できる権利です。

占有保持の訴えは、現に占有を妨害されている場合に行為の除去や停止、損害賠償を請求できる権利となります。

占有保全の訴えは、占有を妨害されるおそれがある場合に妨害の予防または損害賠償の担保を請求できる権利です。

このように占有権は事実上支配する状況を指すのに対し、所有権は、物の全面的支配ができる権利であり、自由に使用・収益・処分することができます。また、所有権は消滅時効にかかりません。

まとめ

今回は、民法「物権」の仕組みや物権の基本、混同する点などについて、行政書士試験の観点から解説しました。

中でも民法177条の第三者はさまざまな事例があります。判例をふまえ、どのようなケースが第三者にあたるのか、あたらないのかを理解しておくことが大切です。

また、占有権は所有権と混同しやすいため、占有権の問題が生じた際の対処法などを知っておくと良いでしょう。

この他に重点的に学習するべきは、「即時取得」「共有」「抵当権」等があります。もちろん例えば担保物件でいえば、「留置権」「質権」「譲渡担保」あたりも最終的には詰めていく必要がありますが、まずは「抵当権」をしっかりと理解して問題が解けるようになることが第一歩です。

物権については、アガルートの行政書士講座担当 豊村講師によるサンプル動画もぜひ参考にしてください。

関連コラム:【行政書士試験】民法の勉強法とは?科目の特徴と勉強のポイント3つ

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この記事の監修者 豊村 慶太 講師

豊村 慶太講師


行政書士受験指導のカリスマ。早稲田大学3年次にわずか2か月の学習期間で行政書士試験に合格。
大手資格予備校LECで12年以上にわたり、行政書士試験の受験指導を行い、基幹講座・単科講座・全国向け収録講座のみならず、大学学内講座(成城大学・学習院大学)も担当。
LEC時代・アガルート移籍後を通じて、19年以上の講師歴を通じて、のべ1万人以上の受験生を指導(2023年4月時点)。高い合格率に定評がある。

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