お客様から滅失登記の依頼がありました。

「1棟の建物に2つの区分建物があり、その2つの区分建物を取壊した」との内容ですので、「区分建物滅失登記」となります。

いつもご依頼をいただくお客様のため費用が決まっており、見積書作成が省略されます。 

土地家屋調査士試験・測量士補試験の通信講座・予備校

令和5年度アガルート受講生の土地家屋調査士試験合格率は63.41%(全国平均の6.56倍)

令和5年アガルート受講生の測量士補試験合格率は95.2%(全国平均の2.96倍)

資料請求で対策ができる講義とテキストを無料でプレゼント!
  ・様々な総合講義の一部 3種
  ・講義時間 約10.5時間

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

20日間無料で講義を体験!

区分建物滅失登記の流れ

おおまかな一連の流れとしては下記の通りです。

  1. 必要資料を入手
  2. 資料調査
  3. 現場調査
  4. 登記必要書類の作成・手配
  5. 登記申請
  6. 登記完了後納品
  7. 領収証作成・送付

1. 必要資料を入手

完了までの期間等をお客様に伝え、案件の内容がわかる資料を入手します。

本件では「公図・地積測量図・土地登記事項・建物図面・建物登記事項」を用意します。

2. 資料調査

各種資料の調査です。

まずは当該地を所在地番とする閉鎖されていない建物の登記記録と、第三者の権利の有無を確認。

分筆により建物の所在地番が変更されている場合があります。

登記記録・建物図面上での所在地番と、現在の地番との位置関係を確認します。

本件は所在地番の変更がなく建物図面が備え付けられていたため、現場調査で比較照合がしやすい案件でした。

3. 現場調査

まずは公図・地籍測量図で当該地を確認。

備え付けの建物図面で対象の建物が取り壊されているかを確認し、写真を撮ります。

建物図面が備え付けられていない案件の場合、近隣の他の建物と間違えないよう注意が必要です。

4. 登記必要書類の作成・手配

申請人には委任状を、解体会社には取壊証明書と印鑑証明書を郵送してもらうよう手配します。

5. 登記申請

区分建物滅失登記の添付書類は「代理権限証書(委任状)」です。

委任状・取壊証明書・調査報告書を揃えオンライン申請。

添付書類が少なく本職に調査士報告方式での申請を進言しましたが採用されなかったため、添付書類は郵送します。

6. 登記完了後納品

登記完了後「登記完了証」「閉鎖事項証明書」「請求書」を納品します。

7. 領収証作成・送付

費用の入金確認後「領収証」を作成・送付します。

区分建物滅失登記の注意点  申請する登記の違い

区分建物滅失登記の注意点は、区分建物を滅失した後の「一棟の建物」がどうなるかによって、申請する登記の内容が変わってくることです。

①一棟の建物にある全ての区分建物が滅失した場合

「一棟の建物にある全ての区分建物が滅失した場合」は、「区分建物滅失登記」を申請します。

今回の案件が該当します。

②一棟の建物の一部の区分建物が滅失し、残存する建物が非区分建物となる場合

「一棟の建物の一部の区分建物が滅失し、残存する建物が非区分建物となる場合」には、「区分建物滅失登記」に加え、残存する建物についての「非区分建物への変更登記」が必要となります。

一棟の建物に2つの区分建物があり、1つだけを取壊した場合などが該当します。

③一棟の建物の一部の区分建物が滅失し、残存する建物が引続き区分建物の場合

「一棟の建物の一部の区分建物が滅失し、残存する建物が引続き区分建物の場合」は、「区分建物滅失登記」に加え、「一棟の建物の変更登記」が必要となります。

一棟の建物に3つの区分建物があり、1つの区分建物を滅失し、残る2つの区分建物が一棟の建物を構成しているような場合です。

「登記シリーズ」をふり返って

これまで弊社の仕事の進め方の一端として、建物の登記について紹介してきました。

建物の登記というのは本当に千差万別です。

「建物滅失登記」ひとつをとっても、申請人は個人なのか法人なのか、所有者本人なのか相続人なのか、あるいは利害関係人からの申出なのか、必要書類は揃っているのか、無ければ代わりにどんな書類を用意しなければならないのか、必要な調査・確認項目は何なのか、を把握する必要があります。

分譲地における「建物表題登記」でさえ「全く同じ建物」は経験したことがありませんし、「期日までに登記を完了させなければいけない」ストレスも仕事に含まれます。

記事にしてきた案件ではほとんどの場合必要書類が整っていましたが、「登記申請に必要な書類がない場合はどうしたらいいのか」や、「どこの役所や担当部署で何を調査しなければならないのか」など書ききれなかったことはたくさんありますし、私が経験したことなど大海の1滴にも及びません。

まだまだ経験値を増やしていき、建物の登記について対応できるよう勉強しなければいけないと思っています。

先日とあるガイダンスに参加する機会があり、その中で登記申請について「本人申請が増えていること」による調査士としての仕事量の減少を不安がる質問がありました。

講師の答えは「登記申請は本人申請が原則なのだから健全な方向に向かっているんだと思いますよ。本人ができることは本人がすればいいんです。でも我々プロの力を頼らざるを得ないケースが必ずあります。その時に『プロとしてお客様に対応できる』ように日頃から法律を勉強して実務に励まなければいけませんよね。」というものでした。

国家資格である「土地家屋調査士」として法律の勉強と日々の研鑚に励まなければならないこと、お客様に安心して仕事を任せてもらえるよう努力を続ける必要性を肝に銘じ、自分の将来を真剣に考え今後の仕事に取り組む所存です。


前:【某土地家屋調査士による業務忘備録7】「新築マンションの表題登記」の流れ

土地家屋調査士試験・測量士補試験の通信講座・予備校

令和5年度アガルート受講生の土地家屋調査士試験合格率は63.41%(全国平均の6.56倍)

令和5年アガルート受講生の測量士補試験合格率は95.2%(全国平均の2.96倍)

資料請求で対策ができる講義とテキストを無料でプレゼント!
  ・様々な総合講義の一部 3種
  ・講義時間 約10.5時間

1分で簡単無料体験(※会員登録後お申込みいただくと視聴できます)

20日間無料で講義を体験!

某有資格者による業務忘備録

2019年の12月からアガルート講座の2期生として中山先生の薫陶を受け、2020年の土地家屋調査士試験に合格しました。

現在、関東某所の調査士事務所に所属中で、主に建物の登記を担当しております。

諸般の事情により名を明かすことができませんが、これまで経験した建物の登記申請業務について備忘録として発信していく予定です。

参考にしていただける部分があれば幸いです。あくまで弊社の仕事の仕方ですので各事務所によって方法が異なる部分もあるかと思いますが、その辺りはご容赦頂きたく存じます。

他のコラムを読む