このページでは短答式試験における刑法の勉強法について解説しています。

刑法の短答式試験では似たような問題が繰り返し出題されるので、刑法は得点源になる科目と言えます。

刑法で得点を稼ぎ、短答式試験でのアドバンテージを作りましょう。

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【司法試験・予備試験】短答式試験における刑法の特徴

「判例の立場に従って検討」する問題が多い

予備試験、司法試験の短答式試験においては、何といっても、「判例の立場に従って検討」を求める問題が非常に多いです。

令和3年度の予備試験短答式試験における刑法の問題では、13問中、9問が、また、司法試験短答式試験では、20問中、13問が「判例の立場に従って検討」させる問題でした。

また、そのほとんどが、論文式試験で学習するであろう分野・論点から出題されています。

したがって、「判例の立場に従って検討」する問題を落とさないことが、短答式試験刑法における重要なポイントとなります。

そのため、日ごろの勉強においては,当然ながら、判例がどのような立場であるのかを意識することが大切になります。

ただし、上記のように、そのほとんどが論文式試験で学習するであろう分野の判例から出題がされていますので、判例百選掲載判例を限度として、その判旨を正確に押さえていけば十分といえるでしょう。

条文知識自体の出題は少ないが、条文の学習は重要

短答式試験における刑法の問題では、条文の知識だけで正解することができる問題が出題されることがあります

例えば、平成29年度の刑法の短答式試験では、「未成年者誘拐罪は親告罪である」か否かが問われていますが、この問題は刑法229条で未成年者誘拐罪について親告罪が定められていることを知っていれば瞬時に解くことができます。

もちろん、上記のように、判例知識が問われる問題が多く出題されていますが、そもそも判例は、「条文解釈のお手本」であり、その前提に、解釈対象の条文が必ず存在します。

したがって、判例を勉強することは、条文を勉強することに他なりません。
その意味で、条文の学習を軽視しないようにしましょう。

「論理問題・見解問題・穴埋め問題」が出題される

刑法では、判例知識や条文知識の他に、「論理問題・見解問題・穴埋め問題」が数問出題されます。

令和3年度の予備試験短答式試験における刑法の問題では、13問中、4問が、また、司法試験短答式試験では、20問中、7問が「論理問題・見解問題・穴埋め問題」させる問題でした。

これらは、知識の他に、あてはめ能力や、事務処理能力等が問われるため、判例知識や条文知識を問う問題に比べて、時間がかかってしまうことが通常です。

このような問題は、旧司法試験時代の短答式刑法でも出題されており、受験生の頭を悩ませていたところですが、現在の予備試験、司法試験で出題される問題は、難易度の点において旧司法試験時代の問題よりも低くなっており、落ち着いて説くことができれば、基本知識で正解が出てしまうような問題が多いです。

※関連コラム:司法試験・予備試験の短答式試験の勉強法(総論)

【司法試験・予備試験】短答式試験における刑法の勉強法

過去問を潰す

短答式試験では、過去問を潰すことが重要であることは、全科目に共通していえることです。

なぜなら、過去問の知識そのもの、及び、出題傾向がかなりの確率で踏襲されているからです。
特に、刑法の場合、論文式試験では問われない短答式試験特有の知識(短答プロパー)も問われることがありますが(例えば、執行猶予の条文知識等がそれにあたります)、これらは過去問で何度も出題がされている部分です。

そのため、過去問を何度も解いて出題傾向を把握することが重要です。

また、刑法の問題の中には、「論理問題・見解問題・穴埋め問題」のように、時間をかければ解けるような問題もあるため、ついつい時間をかけすぎて時間不足に陥る人が少なくありません。
そこで、過去問演習を通して時間配分をうまくできるようになることも重要です。

条文を素読する

上述のとおり、短答式試験の刑法の問題の中には、条文知識だけで解くことのできる問題が少なくありません。
特に刑法総論の問題ではそのような傾向が強く見られます。

そのため、時間を作って刑法の条文を素読しましょう。

刑法の条文は多くないので、短答式試験の学習では当然のこととして、論文式試験の学習においても、普段から、条文をこまめに確認することをお勧めします。

判例の立場を日ごろから確認する

先ほども述べたように、短答式試験の刑法では「判例の立場に従って検討」させる問題が多く出題されます。

そのため、自分がどの見解に立つにせよ、学説の対立点を理解した上で、日ごろから判例の立場を意識して勉強することが大切です。

また、上記のように、判例知識問題は、論文過去問や、短文事例問題集の演習を積みかねれば、ある程度正答を導くことができます。

短答式試験の学習において、論文式試験のことを意識することの重要性はいうまでもありませんが、特に刑法においては、論文式試験の学習において、短答式試験のことを意識することも非常に大事です。

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この記事の著者 谷山 政司 講師

谷山 政司 講師

平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。

自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。

また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。

谷山講師の紹介はこちら

ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924

 

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