大阪公立大学法科大学院(ロースクール)入試の過去問の出題傾向と対策について、アガルートアカデミーの小林達雄講師が解説していきます。

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大阪公立大学法科大学院の入学試験要項

(1)試験時期

例年の傾向としては、12 月上旬に論文式試験が行われる。2024 年度入学の一般選抜(2年短縮型)は 2023 年 12 月 2 日、3 日に行われる。

(2)募集人員(2年短縮型)

特別選抜(5名)と一般選抜合わせて20名程度。3年標準型と併せて30名程度。

(3)試験形式

一般選抜(2年短縮型)は、法律科目試験(論文式)が行われる。

(4)試験科目、試験時間

一般選抜(2 年短縮型)の試験科目は、憲法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の 6 科目。

2024 年度入学試験の時間割は以下の通り。

・2023 年 12 月 2 日(土) 
10:00~12:00(120 分)   民法(120 点)
13:30~15:00(90 分)    商法(80 点)
15:40~17:10(90 分)    民事訴訟法(80 点)

・2023 年 12 月 3 日(日)
9:10~10:40 (90 分)    憲法(100 点)
11:20~13:00(100 分)   刑法・刑事訴訟法(70 点、50 点)

※商法の出題範囲は、会社法と商法総則。

※法律科目試験には基準点が設けられ、それを下回る場合は他の科目の成績の如何にかかわらず不合格となる。具体的には、①憲法、民法、刑法のいずれか 1 科目の試験成績が基準点に達しない場合、②商法及び民事訴訟法の 2 科目の試験成績がいずれも基準点に達しない場合のいずれかに該当すると不合格となる。

科目別の傾向と対策

以下は、2021~2023 年度についてのものである。

(1)民法

・2023 年度・・・第三者の詐欺による意思表示の取消しの要件、詐欺取消し前の第三者、詐欺取消し後の第三者、債務不履行に基づく損害賠償請求における免責事由、使用者責任

・2022 年度・・・代理権授与表示による表見代理、無権代理人の本人相続(単独相続の場合及び共同相続の場合)、債権譲渡における譲渡人に対して生じた事由、善意占有者の果実収取権、占有者の必要費償還請求権

・2021 年度・・・賃貸借契約と転貸借契約の関係、賃貸人による転借人に対する直接履行請求、賃貸人たる地位の移転、転借権の対抗、保証契約の有効要件(書面性)、権限外の行為の表見代理(「正当な理由」)

比較的長めの事例が提示され、複数ある設問への解答を要求する出題。

総論分野から債権各論分野にまで多岐にわたる出題がされており、民法一般についてある程度深掘りして勉強しておかなければ対応が難しい。

一般の教科書類にはそのまま載っていないような未知の問題点が出題されることもしばしばある。

典型論点の出題のみで構成されている問題はほとんどなく、適切な条文を選択してその文言に事実をあてはめさせるだけの出題や多くの受験生が考えたことのないような論点について考えさせる問題が必ず出題される。

論点について解答できるようにすることはもちろん、条文の文言に事実をあてはめて、どのような法律効果が発生しているのかを分析する等民法についての思考の仕方も確立しておく必要がある。

(2)商法

・2023 年度・・・株式会社と合同会社の相違点、募集株式発行の効力を争う手段(効力発生前及び効力発生後)

・2022 年度・・・一株一議決権の原則とのその例外、自己に関係のない瑕疵を主張する株主の株主総会決議取消しの訴えにおける原告適格、説明義務の有無、議長の秩序維持権限

・2021 年度・・・議決権を代理行使できる者を株主に限定する定款、取締役権利義務者(会社法 346 条 1 項)、否決決議に対する株主総会決議取消しの訴えの適法性、株主総会決議取消しの訴えの本案勝訴要件

一行問題やそれに近い問題を1問、比較的長めの事例問題を1問出題することが多い。いずれの問題も基本的な知識をシンプルに問うことが多い傾向にある。

一行問題は、典型論点というより、会社法上の規律の意義やその趣旨、類似の制度の比較や原則的規律と例外的規律の説明等会社法上の手続を理解しておかないと説明に難儀する問題である。

ただ、出題される条文は会社法を一通り学んでいれば必ず目にする基本的な条文なので、短文事例問題の演習をしていく中で条文に立ち返る作業を徹底し、その手続の趣旨を確認する作業をしっかり行えば対処可能である。

事例問題については、条文操作と典型論点をバランスよく問うてくる。出題される判例も判例百選掲載の判例レベルである。基本的な短文事例問題を使った事例演習を繰り返し行って基本知識の定着を図りたいところ。

(3)民事訴訟法

・2023 年度・・・債務不存在確認の訴訟物、既判力、重複起訴の禁止、訴訟上の相殺の抗弁の法的性質、相殺上の相殺の再抗弁の適法性

・2022 年度・・・立証責任、弁論主義第一テーゼ、評価的要件の主要事実、権利自白、一部請求と相殺(外側説)、既判力、明示的一部請求の一部認容後の残部請求の適法性に関する最判平成 10 年 6 月 12 日の理解

・2021 年度・・・立証責任、弁論主義第一テーゼ、主張共通の原則、遮断効

基本的な論点についての事例問題が出題されることがほとんどである。
判例百選に掲載されるレベルの重要判例をストレートに問う。

処分権主義や弁論主義、既判力等の基本的な概念や各領域の典型論点を押さえておけば十分に対応できると思われる。

(4)憲法

・2023 年度・・・職業選択の自由、最高裁判所の規則制定権

・2022 年度・・・自己決定権、会期不継続の原則及び一事不再議の原則

・2021 年度・・・表現の自由、天皇の公的行為

設問が2つに分かれており、第1問で人権分野に関する事例問題、第2問で統治分野に関する一行問題が出題されている。

人権分野からの出題は、判例百選掲載の判例と関連する事案について憲法上の問題点を検討させる問題が多い。

判例百選掲載の判例に似たような事例というよりも、それに掲載されている基本判例の延長にある近年の重要判例や問題意識を共有する判例がモデルになっていることが多い。

近年の重要判例にまで目を通していれば比較的容易に解ける問題もあるが、題意としてはそれを求めているのではなく、基本的な判例の理解があることを前提に、当該事例のどこに問題意識を持ったのかを試したいが故の出題形式であると思われる。

対策するとしても、まずは判例百選掲載の判例の理解を徹底することから始めるべきだろう。

統治分野の一行問題は、やや不意打ち的出題のように見えるものの、基本書には必ず載っている、よく考えてみれば典型的な論点だというものがほとんど。

手持ちの基本書や短文事例問題等で統治分野に関する基礎知識を確認しておく必要がある。基礎知識を固めたうえで、事例に応じて何とか頭を捻って解答すれば十分に対応可能と思われる。

(5)刑法

・2023 年度・・・住居侵入罪(住居権者の承諾)、詐欺罪と窃盗罪の区別(処分意思の有無)、強盗致傷の成否、因果関係

・2022 年度・・・不作為の実行行為性、故意、不法領得の意思、過失致死罪

・2021 年度・・・強盗罪(「暴行又は脅迫」該当性)、恐喝罪の成立範囲、権利行使と恐喝、傷害罪、共同正犯ないし幇助犯の成否

長めの事例が与えられ、その事例における罪責の検討を要求する出題となっている。総論関係の論点と各論関係の論点とが両方含まれる事例がほとんどである。

特に近年の出題では、財産犯が頻出。基本知識が定着していれば難なく説明できる問題ではあるが、事案の分析や事例を法規範にあてはめた説明はやや歯ごたえがある。

難易度になっており、論証を暗記するという付け焼き刃的学習では対処が難しい。

構成要件要素の定義や処罰根拠等の本質論の理解はもちろん、論点学習をするにしても、その論点を論じる実益(問題の所在)をしっかりと確認して、その論点の位置づけを意識しながら学習されたい。

(6)刑事訴訟法

・2023 年度・・・事前の令状なき逮捕、再逮捕の可否

・2022 年度・・・宅配業者を装った立ち入り、令状事前呈示の例外、捜査官の暴行が差押えの適法性に影響を与えるか否かの検討

・2021 年度・・・「捜査」(刑事訴訟法 189 条 2 項)の意義、おとり捜査の限界

ある程度の長さの事例が示され、基本的な論点を素直に問うてくる出題となっている。

捜査分野からの出題が多い傾向にあるが公判分野からの出題もないわけではないので注意が必要である。判例百選掲載の判例を下敷きにしているような基本的な問題が出題される傾向にあるため、短文事例問題を使った演習を繰り返し行い、基本知識や判例百選掲載の判例の理解を深めることが試験対策上有益である。

※関連コラム:法科大学院(ロースクール)入試の対策・試験科目・勉強方法を解説


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この記事の著者 小林 達雄 講師

小林 達雄 講師

中央大学法科大学院修了後、平成29年に司法試験合格。

法律事務所での実務経験を活かし,司法試験・予備試験の指導においても,法律の知識だけではなく実務に通じる「分かりやすい説明・説得力ある文章」を心掛けた指導を行う。

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