弁護士と公務員ならどっちを目指すべき?司法試験と公務員試験の違いは?
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弁護士と公務員のどちらを目指すべきか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
仕事や試験の内容など、どのような違いがあるのかは、キャリアについて考える上で知っておきたいですよね。
このコラムでは、弁護士であり公務員でもある筆者ができるだけわかりやすく解説していきたいと思います。
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弁護士と公務員なら、どっちを目指すべき?
弁護士と公務員のどちらを目指すべきかは、どんな仕事をしたいか、どんな人生を送りたいか、性格や希望によって異なるといえます。
弁護士は依頼者である企業や個人のために訴訟やその他の法的紛争の解決や予防、契約の交渉などに尽力するのが主な仕事です。
一方、公務員は、特定の企業や人というよりも、国や地方公共団体のため、国民、住民のために、公共の福祉に資する業務、公益性の高い業務に従事するのが職務です。
弁護士・公務員のメリット&デメリット
弁護士と公務員のメリット・デメリットを比較してみましょう。
弁護士のメリットは、収入が高く、若くても実力によって独立性や裁量が与えられる傾向にある点です。
また、定年もないため、顧客がいて、体力等が許す限り、働き続けることができます。
デメリットは、資格取得までに相当な勉強時間が必要な上、弁護士になった後も、仕事を期限内にやり遂げるためには、休日や平日夜間なども仕事をする必要が生じるという点です。
また、弁護士は個人事業主であることが多く、公務員と比べて年金制度等の社会保障が充実していないと言う点も挙げられるでしょう。
公務員のメリットは、多くの職員が定年まで働き、条例に定められた給与や手当の支給を確実に受けることができます。
また、時間外労働も一定の範囲内にとどまることが多いですから、家庭やプライベートとのワークライフバランスも取りやすいといえます。
デメリットとしては、配属部署や職務内容の選択や、仕事の裁量が限られることがある点です。
国や地方公共団体などに採用された後、どの部署やどの職務を担当するのかについて希望を伝えることはできるものの、人事発令によって決められた部署に配属され、上司の職務命令に従って担当業務を割り振られることになります。
項目 | 弁護士 | 公務員 |
メリット | ・定年がなく、高収入が得られる可能性がある ・個人事務所の設立や入所する事務所により専門分野の選択が自由 ・社会的信用が高い・仕事の自由度や裁量が大きい | ・定年まで安定した雇用と収入が得られる ・健康保険や年金その他福利厚生が充実している ・社会的信用が高い・ワークライフバランスが保ちやすい |
デメリット | ・競争が激しく、収入が不安定な場合もある ・勤務時間が不規則になることも多い ・資格取得まで少なくとも数年かかり、難易度が高い | ・給与の上昇が緩やかで同期 ・同学歴の職員との差がつきにくい ・転勤や異動が多い職種もある ・配属部署や職務内容の選択や、仕事の裁量が限られることがある |
弁護士・公務員の違い
弁護士と公務員については、やはり年収、仕事内容、試験内容など多くの点で違いがあります。
それぞれの違いについて解説していきましょう。
年収の違い
弁護士の平均年収は、1,119万円です。
大手法律事務所の場合、入所当初から1,000万円以上年収を得られるようです。
また、個人事業主の場合は、確定申告をして諸経費の控除、還付を受ける弁護士も多いです。
※参考:近年の弁護士の活動実態について – 日本弁護士連合会
他方、公務員の平均年収は約684万円です。
人事院勧告に基づいて民間企業の給与水準とのバランスを考慮して給与条例を改正し、月額給与の支給額や、期末勤勉手当(ボーナス)の支給月数(月額給与の何か月分を支給するか)を決めています。
※参考:人事院勧告
仕事内容の違い
弁護士と公務員の違いとしては、弁護士は「紛争の解決を目指す」のに対し、公務員は「国づくり・地域づくり」に従事するという点です。
弁護士の仕事の内容は、「民事の困りごとから企業間の取引まで、紛争の防止や解決に務めること」や、「刑事事件の被告人の権利を擁護すること」です。
刑事事件については、私選から国選まで幅広く活動する弁護士と、基本的に民事事件しか担当しない弁護士がいて、所属事務所の方針や、弁護士自身の考え方で選択しています。
公務員の仕事内容は、一言でいうと、「国づくり・地域づくり」をすることといえるでしょう。
具体的には、外交、国防、災害対策、税金、福祉、自然環境、産業振興、都市計画、道路、消防、水道、下水道、学校、保育所、戸籍・住民基本台帳など、多岐に渡りますが、いずれも国民・市民の生活に関連の深い仕事です。
国家公務員の場合、各省庁ごとに採用されているため、比較的担当する業務の分野は絞られます。
地方公務員の場合、配属部署によって担当する業務の分野が全く異なるため、人事異動によって部署が変わると、転職したのと同じように全く仕事の内容や、やり方が異なるということがあります。
司法試験と公務員試験の違い
司法試験と公務員試験では難易度や合格率、試験内容に違いがあります。
他方で、共通する部分も存在しています。
詳しく見ていきましょう。
司法試験と公務員試験の難易度の違い
司法試験の難易度は文系最難関レベルです。
公務員の難易度は、区分により異なり、国家総合職が最も難しいと言われています。
司法試験合格のために必要な勉強時間は3000~8000時間と言われており、公務員試験合格に必要な勉強時間は、300〜1,500時間と言われています。
勉強時間から見る難易度としては、司法試験の方が難しいと言えるでしょう。
司法試験の試験科目は、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、選択科目の合計8科目です。(予備試験の場合には短答式試験については一般教養、論文式試験については実務基礎科目2科目も必要)
短答式試験、論文式試験(予備試験の場合には口述試験もあり)があり、条文、判例などの基本的な法律知識や、法的三段論法によって論理的に事案の解決ができる能力が求められます。
公務員試験では、基礎的な学力や論理的思考力、適性などが見られます。
司法試験と公務員試験の合格率の違い
司法試験の合格率は、例年30%~40%です。公務員試験は、一般的に15%~30%と言われています。
このようにみると、公務員の方が難易度が高いようにもみえますが、そもそも司法試験には受験資格として、法科大学院の修了(一定の要件を充足すれば在学中の受験も可能)または予備試験の合格が必要であり、このうち予備試験は、近年の合格率が3%~4%です。
そのため、一般的に司法試験の方が難しいといわれています。
司法試験と公務員試験の試験内容の違い
司法試験の試験内容は法律科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、選択科目の合計8科目)を中心に、短答式・論文式(記述)の試験を行います。
公務員試験は、一般に、一般教養・専門科目・論文・面接・適性検査(SPI)などがあります。
近年では、職員を広く募集するために、専門科目を課さない試験区分を設ける地方公共団体も増えており、民間企業の就職対策との両立がしやすくなっています。
司法試験と公務員試験の共通点
国家公務員(総合職)は、公務員試験でも専門科目として法律分野の知識が必要となります。
司法試験も公務員試験も、短答式で基本的な法律知識が求められるほか、論述式の試験があり、論理的思考や文章力が試されます。
地方公務員の場合にも、専門科目を課す試験区分の場合には短答式の法律科目の出題があります。
また、公務員試験には面接試験があり、予備試験には口述式試験があります。
このため、司法試験の勉強と公務員試験の勉強は親和性が高いといえるでしょう。
司法試験と公務員試験対策は両立できるの?
司法試験の法律科目と、公務員試験の専門科目の試験範囲は、司法試験予備試験と公務員試験(特に国家公務員(総合職))で重なる部分があり、親和性が高いため、両方の試験対策を両立させることは可能です。
予備試験・司法試験の勉強をしていれば、公務員試験の専門科目の勉強は兼ねられると考えてよいでしょう。
司法試験と公務員試験を両立する勉強スケジュール
司法試験は例年、論文式試験・短答式試験が7月に行われます。
また、司法試験予備試験は短答式試験が7月、論文式試験が9月、口述試験が翌年1月に行われます。
一方、公務員試験は一次試験(記述式)が3月から6月頃に実施され、地方公務員の場合は4月下旬から6月に一次試験を実施する都道府県、市町村が多いです。
二次試験、三次試験の小論文、面接などは、それ以後に実施され、概ね7月中には試験が完了し8月頃には合格発表をするのが一般的です。
ですから、司法試験を中心に考える場合、そもそも、上記司法試験や予備試験の日程と最終試験までのどこかの試験日が重複している公務員試験は、受験しても意味がないことになりますから注意しましょう。
ただし、公務員の中でも国家総合職試験は試験日が被ることがないため、安心して併願できます。
国家総合職では、春に「法律区分」秋に「教養区分」の試験があります。
教養区分は大学2年生から受験が可能となっているため、先に「教養区分」に合格しておけば、余裕を持って法律の勉強ができます。
▼国家総合職試験と司法試験の勉強を両立するスケジュール
大学2年生 | |
秋 | ・国家総合職の教養区分試験を受験。 ・予備試験の基礎学習 |
大学3年生 | |
秋 | ・国家総合職の教養区分試験を受験。 |
冬〜春 | ・予備試験の短答式試験(7月)+論文式試験(9月)に向けて、対策。 |
大学4年生 | |
4〜6月 | 国家総合職の法律区分試験を受験 |
7月 | 予備試験の短答式試験を受験 |
9月 | 予備試験の論文式試験を受験 |
翌年1月 | 予備試験の口述式試験を受験 |
司法試験と公務員試験を両立する勉強のポイント
まず、司法試験の方がより専門的で難解であることを踏まえると、やはり司法試験・予備試験の勉強を中心に進めるべきでしょう。
司法試験・予備試験の短答式試験の学習をすることによって、公務員試験における専門科目で求められる知識はほとんどカバーできてしまいます。
特に予備試験の短答式試験では、法律基本科目7科目の出題がされますし、条文、判例等の基本的知識が問われることが多いので、まずは予備試験の短答式試験の勉強をするとよいでしょう。
基本書を読む→読んだ範囲の短答式試験の問題集を解くということを繰り返すことをお勧めします。
基本書を読んだだけではわからなかったポイントも短答式試験の問題を解くことで、理解が進むと思います。
また、予備試験の短答式では、一般教養科目も出題されますから、この点でも公務員試験対策と共通する内容があるといえるでしょう。
論述式では、①問題提起→②規範→③あてはめ→④結論という法律答案の型を体得することが肝要です。
弁護士資格を取って公務員として働くことは可能?
弁護士は公務員ではありませんが、検察官や裁判官は国家公務員なので、検察官や裁判官になる場合には、弁護士資格を取って法曹かつ公務員として働くことは可能といえます。
さらに、官庁の法務系職員や自治体の顧問弁護士やコンプライアンス職、法務省や経済省、自治体内弁護士(自治体の法務部門)など、弁護士資格を持った人材が求められるケースがあります。
また、任期付きや任期の定めのない公務員として働く弁護士もいます。
任期付き公務員は、一定の法律的なスキル・経験を持つ人材を、2年~3年の任期付き(最大5年まで)で公務員として登用する制度です。
弁護士側と自治体側の意向がマッチした場合、任期付きから任期の定めのない公務員に採用が切り替えられるケースもあるようです。
弁護士が地方公務員として働くケースも増えつつあり、2025年3月時点で120の自治体で172人の弁護士が働いており、近年、増加傾向にあります。
弁護士と公務員の兼業は可能?
常勤職員として採用されれば、地方公務員法で兼業は禁止されます(地方公務員法38条)。
ただし、勤務する自治体の許可を受ければ兼業をすることは可能です。
一方、非常勤職員や任期付短時間勤務職員としての採用であれば、一般に弁護士業務を行うことは可能ですが、利益相反行為は避けなければなりませんし(弁護士法25条、弁護士職務基本規程27条、28条)、この場合も、後でトラブルにならないよう勤務する自治体からあらかじめ了承を得ておきましょう。
弁護士は公務員なのか?
弁護士は、公務員ではありません。
一方、法曹の中でも、裁判官や検察官は国家公務員です。
裁判官は民事事件や刑事事件などにおいて、事件を審理し、判決をすることを職務とします。
検察官は、刑事事件の捜査を指揮したり、起訴して刑事事件の公判手続を担います。
裁判官や検察官の中には、法務省に所属して、国が当事者となる民事事件、行政事件の代理人となることもあります
公務員として働きながら、司法試験を目指すことは可能?
公務員として働きながら、司法試験を目指すことも可能です。
実際に公務員として働きながら、合格を目指す人も一定数います。
公務員として働きながら予備試験→司法試験に合格する人もいますし、法科大学院(ロースクール)に通い、受験資格を得て司法試験にチャレンジする職員もいます。
筑波大学法科大学院など、社会人向けに休日・夜間に授業を行うロースクールもあります。
公務員を休職して、司法試験を受けることは可能?
公務員の休職は、それぞれの自治体や機関の規定によって異なるため、認められるケースとそうでないケースがありますが、自己研鑽のための研修制度がある自治体では認められることが多いようです。
司法試験合格後に受ける司法修習では、兼業が原則不可のため、基本的には休職はできないことになっています。
ただし、司法修習のために休職が認められた企業や公務員の場合、申請が通れば休職しながら受けることが可能です。著者も地方公務員を休職をして司法修習に行きました。
まとめ
- 司法試験と公務員は、勉強範囲に共通点が多く、両立が可能
- 司法試験は難易度・専門性が高く、公務員試験は安定志向向け
- 弁護士は自由度と収入面で優れるが、公務員は福利厚生とワークライフバランスに優れる
- 弁護士資格を取得してから公務員として働く道もある
司法試験と公務員試験の勉強は重なる部分が多く、戦略的に併願することが可能です。
自身のキャリアやライフスタイルに応じて、どちらを優先すべきか検討しましょう。
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この記事の監修者 谷山 政司 講師
平成23年度に(新)司法試験に合格後、伊藤塾にて主に予備試験ゼミを中心とした受験指導業務を担当。
谷山ゼミ受講者のうち、およそ70名ほどが予備試験に合格。谷山ゼミ出身者で、最終的な予備試験の合格率は7割を超える。
自身の受験経験だけでなく、答案の徹底的な分析やゼミ生への丁寧なカウンセリングの結果確立した論文作成ノウハウをもとに、アウトプットの仕方はもちろん、インプットの仕方までをも指導するスタイルは、ゼミ生の圧倒的支持を受けた。
また、期をまたいだゼミ生の交流会等を定期的に行うなど、実務に出た後のフォローも積極的に行っている。
谷山講師の紹介はこちら
ブログ:「谷山政司のブログ」
Twitter:@taniyan0924