転職を考えている知人に、公務員への転職を勧めると、
「え?今から公務員になんかなれるの?」
「公務員になるのは、難しいんじゃないの?」
必ずこんな答えが返ってきます。

ですが、民間企業への転職も決して一筋縄ではありません。

社会人の転職先・再就職先として、「公務員」があることと、「公務員」になることは決してハードルが高くはないことを知っていただくだけで、選択肢は飛躍的に広がります

このコラムでは、公務員への転職方法について、経験者採用(社会人採用)と一般採用の2ルートがあることを解説しますので、「公務員への転職は難しい」といった先入観をぜひとも無くしてください。

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社会人が公務員に転職することはできる?

公務員は、民間企業からの転職者を相当数採用しています。

まず、公務員の採用は一括採用なのは民間と同じですが、新規採用にこだわりません。

なぜなら、どの公務員試験も採用時の年齢要件に幅があるからです。
受験可能年齢の上限は様々ですが、39歳と高めに設定しているところもありますし、低くても25歳までと、どこも明らかに新卒採用にこだわっていません。

ですから、民間企業から公務員に転職する方が相当数いるわけですし、採用する側も民間企業での経験を活かせる人材採用を予定しているわけです。

しかも、ほとんどの公務員試験は学歴制限を設けていません。

つまり、既卒職歴なしであっても、フリーターであっても、受験できるのです。
実際、筆者の教え子の中には、大学中退者や高卒で「大卒レベル」の公務員に就職した方が多くいます。

つまり、大卒レベルと受験資格にあっても、あくまでも「レベル」であって、筆記試験に合格すれば、大卒レベルの知識があるとされるのです。
出身大学・学部・学歴にとらわれることなく、非常に公平に採用試験が実施されているので、真の意味での実力主義なのが公務員試験なのです。

では、どうすれば公務員へ転職できるのでしょうか。
次章から具体的に解説していきたいと思います。

社会人が公務員に転職する2つの方法

公務員へ転職するルートには、主に2パターンあります。

一般採用枠での受験と、経験者採用枠での受験です。

1 一般採用枠で受験する

転職者であっても、受験資格を満たすのであれば、新卒者と同様に一般採用枠で受験することができます。
特に、後述の経験者採用枠で要求される社会人経験年数が足りないようであれば、一般採用枠の受験を考えるべきです。

「そうは言っても新卒の方が有利で、結局、既卒者の合格は難しいのでは?」と不安に思われる方もいるかもしれませんが、心配は全く無用です。

一般採用枠で受験資格の年齢に幅を持たせているのは、様々な経歴の人が受験するのを想定しているわけです。
ここまでの経験を、面接でしっかり自己PRすれば有利になれこそ不利になることはありません。

このあたりは民間企業への転職となんら変わりはないのです。

ある自治体の人事担当者にお話を聞いてみると、「面接すると、やっぱり社会人経験のある人の方がマナーや考え方がしっかりしている人が多く、結果的には社会人経験者を採用する率が高くなる」という声も聞かれました。

ただ、一般採用枠だと、教養択一、専門択一、論文と筆記試験の受験科目が多くなる傾向があるので(どこを受験するかによって異なりますが)、受験準備に一定の時間を確保する必要があることに注意する必要があります。

2 経験者採用(社会人採用)で受験する

社会人経験者採用試験とは、年齢制限以外にも一定の社会人経験を受験し資格に加えることで、採用後の地位・給与も一般採用よりも高く設定さている採用枠のことです。

例えば、国家公務員の「経験者採用試験(係長級(事務))」の場合、採用時の給与は、採用者の経験年数と同程度の経験年数を有する総合職(いわゆるキャリア官僚)の職員が受ける給与と同程度です。

多くの自治体では、毎年、経験者採用試験が実施されていますし、ここ数年でその割合は増加傾向にあります。

試験内容も、教養試験(択一式)、経験者論文、小論文、面接の組み合わせが多いのが特徴です。
一般的には筆記試験のウエイトを低くして、プレゼンや論文、面接重視とするのがほとんどで、より民間企業の採用試験に近くなっています。

さらに、受験資格の年齢上限を引き上げた自治体が多く、定年年齢まで(59歳まで)受験可能な自治体が増加しています。
公務員試験における年齢制限は、形式的なものではなく、どの職種・採用枠でも年齢制限ギリギリで採用されている人は少なくありません。

どちらで受験するか

職種にもよりますが、一般採用枠と経験者採用枠とで、両方の受験資格を満たす場合もあります。

その場合は、ご自身の職務経験の内容、採用試験の内容などからご自身にあたる方で受験されるといいです。

ただ、経験者採用の方が、採用後の地位や給与が上になるのが通例なので、その辺りも調べて検討されるといいでしょう。

本稿では、この経験者採用枠を中心に説明をしていきます。

就職氷河期世代採用さらに、雇用環境が極めて厳しい時期に就職活動を行い、正規雇用の機会に恵まれなかった就職氷河期世代の方を対象とした採用試験が国家公務員、地方公務員ともに実施されています。受験資格のポイントは年齢(2020年現在30代後半〜40代後半)で、試験の難易度はおしなべて低めですが、倍率の高さが特徴です。詳細は受験案内で確認するようにしてください。

その他のルート

その他にも、司法試験に合格して、検察官・裁判官といった公務員に転職するルートもあります。

また、医師・看護師・保育士として公立の施設の就職するのも公務員への転職方法でもあります。

経験者採用(社会人採用)の試験内容は?

経験者採用の試験内容について代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

なお、さらに詳しい情報、ここに掲載されていない自治体の情報については、採用機関のサイトなどで調べるようにしてください。

また、年度によって、募集官庁、募集人数、受験資格、試験時期などは変動することがありますので、必ず最新情報を入手するようにしてください。

東京特別区 経験者採用・事務(2023年)

スケジュール日程
告示令和5年6月22日(木)
申込受付期間令和5年6月22日(木)~令和5年7月13日(木)
一次試験令和5年9月3日(日)
一次発表令和5年10月20日(金)
二次試験令和5年10月28日(土)、29日(日)
令和5年11月4日(土)、5日(日)
最終合格発表令和5年11月17日(金)
令和4年度経験者採用試験
採用区分 採用予定数 年齢制限 職務経験 試験内容
1級職 126名程度 60歳未満 4年以上 教養試験(択一式)、経験者論文、
課題式論文、個別面接
2級職 57名程度 8年以上
3級職 12年以上

東京都キャリア採用・事務(2023年)

スケジュール日程
採用選考案内公表日令和5年6月1日(木曜日)
申込受付期間令和5年6月1日(木)10:00~6月28日(水)15:00まで
※受信有効
一次試験令和5年8月13日(日曜日)
一次試験合格発表※未公開(6月1日公表)
二次試験※未公開(6月1日公表)
三次試験※未公開(6月1日公表)
最終合格発表※未公開(6月1日公表)

※二次試験、三次試験は選考日のうち指定する1日

選考区分 採用予定数 年齢制限 職務経験 試験内容
資金運用 1人 60歳未満 ・区分に応じた職務経験

・学歴に応じた一定以上の年数
書類選考、教養試験(択一式)、専門試験(記述式)、課題式論文、プレゼンテーション、個別面接
※一定の有資格者は専門試験免除
財務 5人
不 動 産 4人

国家公務員経験者採用試験(係長級(事務)) (2022年)

スケジュール日程
申込受付期間令和4年7月25日(月)9:00~5月15日(月)※受信有効
一次試験令和4年10月2日(日)
一次試験合格発表令和4年10月27日(木)9:00
二次試験令和4年11月5日(土)または11月6日(日)で指定する1日
最終合格発表令和4年11月18日(金)9:00
採用予定数 年齢制限 職務経験 試験内容
会計検査院①
内閣府②
金融庁③
デジタル庁③
外務省①
財務省②
文部科学省①
厚生労働省③
農林水産省①
経済産業省⑤
国土交通省③
環境省①
大学等を卒業した日から起算して2年を経過した者 2年以上 教養試験(択一式)
経験者論文
政策課題討議(グループ討議)
個別面接

※省庁別の採用の要件は異なります。また、どの省庁で採用があるかは年度によって異なります。

転職活動のポイントは情報収集と計画性

公務員に転職するには、情報収集と計画的な学習が必要です。

押さえておくべきポイントが5つあります。

1 職種が豊富である

一口に「公務員」といっても、国家公務員か地方公務員か、国家公務員でも総合職か一般職、専門職か、地方公務員でも都道府県か市区町村かなど、働く場所、仕事内容など数え切れないほどのバリエーションがあります。

民間企業への転職同様、業界研究、官庁や自治体研究(民間企業でいう企業研究)をしっかり行うことが必要です。

2 試験日程

国家総合職は4月末〜5月初旬、東京都と東京特別区は5月初旬、国家一般職は6月中旬、都道府県と政令指定都市は6月末、政令指定都市以外の市役所の多くは9月中旬と、概ね毎年の試験日程は一定です。

ですが、年によって変化することもありますし、特別枠や経験者採用枠はさらに別日程です。

したがって、受験したい職種の試験がいつ実施されるのかは最新情報をマメにチェックする必要があります。

また、試験日程が異なれば併願は全く自由です。
同じ自治体であっても、異なる試験区分を併願できる場合もあります。

ちなみに、受験料は不要です。

3 受験資格

一般採用枠の受験資格はごく例外を除いて、年齢制限しかないのが基本です。

大卒レベルと受験資格にあっても、あくまでも「レベル」であって、最終学歴に関係なく受験できます。
筆記試験に合格すれば、大卒レベルの知識があるとされるから心配は無用です。

他方、経験者採用枠の受験可能年齢や社会人経験年数には、自治体や採用区分によって異なります。
例えば、「社会人経験」と一言でいっても、アルバイト、パートタイマーを含めるところもあれば、含めないところもあります。

<具体例>

・埼玉県の経験者採用試験(令和4年試験情報)
民間企業の従業員等として、常勤で6か月以上継続して就業していた期間が該当し、公務員及び非常勤のアルバイト、パートタイマーとしての職務経験は含みません。

・横浜市の社会人採用試験(令和3年試験情報)
「民間企業等における職務経験」には、会社員、自営業者、アルバイト、パートタイマー、公務員等としての経験が該当します。また、財団法人、社団法人、NPO法人等の経験も含まれます。

・岡山市就職氷河期世代(令和4年試験情報)
学歴・職務経験は問いません

ですから、経験者採用の受験を考えている方は、情報収集し、ご自身のキャリアや年齢に照らし合わせて受験先を考えられるといいと思います。

4 筆記試験のハードルは決して高くない

筆記試験が実施されるからといって、公務員試験は就職試験であって資格試験ではありません。

もちろん、公務員として必要な最低限の知識と教養、文章作成能力は問われます。

ですが、重視されるのは人物です。

面接試験を受けるためには、筆記試験を突破する必要はありますが、合格ラインは決して高くありません。
落ちない勉強を心がければ、筆記試験のハードルは決して高いものではないと考えて間違いありません。

人物本位、面接重視なのは民間企業と同じです。

5 計画性

どの職種を受験するにせよ、試験内容にあった準備が必要になります。

公務員試験の大きな特徴のひとつが、択一や論文といった筆記試験が実施されることです。
受験する職種では、どういった筆記試験が課されるのか調べて、早めに学習を始めることが必要です。

ただ、公務員試験は試験日程が異なりさえすれば併願できるのが基本ですし、筆記試験の内容や難易度は職種によって大きく異なるわけではありません。

したがって、科目の多い職種の受験勉強は大変ですが、逆に併願の可能性が高くなるメリットもあります。

受験する職種、出題科目、日程を考えて、受験計画を立てることが公務員への転職では重要になります。

最後に

最後に、筆者が広島県下の市役所職員を集めた研修を担当した時に、40代で民間から市役所に転職された方からお聞きした言葉を添えておきます。

「転職してよかったですよ。民間にいた時にできなかった、住民を助ける仕事ができますから」

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この記事の著者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

難解な法律用語は平易な表現とたとえ話でかみ砕き,理解しにくい内容はオリジナルの挿絵でわかりやすく説明する。

テンポの良いメリハリの効いた講義で多くの合格者を輩出。時間が限られる受験生のために,エッセンスが詰まった学習効率が高い講義を展開する。

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