合格者インタビュー

受講されていたカリキュラム

行政書士試験を目指した理由・契機

先年、親族に、国家資格停止の重い行政処分を受けた者が出ました。結果、その親族の積み上げてきた人生は、破却されたに等しいこととなりました。

聴くところによれば、審査の過程や処分結果に、周囲の人間は憤りを感じていたものの、具体的な対応が分からなかったとのことでした。

さらに致命的なことに、行政に不服を申し立てれば、却って重い処分が下るという誤った懸念を私の親族は抱き続けていました。

そうした一連の事情を聴くにつけ、せめてこのような場合に自分が的確な助言を行えればと考えたのが、行政書士を目指し始めた契機です。

アガルートアカデミーの講座を受講しようと思ったきっかけ

受講代金が相対的に安く、かつ最初に受講した平成28年度は、著名な柴田講師の講義が受けられるというのも大きな魅力に感じました。

演習総合講義の感想・ご利用方法

入門総合講義は、あえて薄いテキストで覚える内容を最小限にしてあることが特徴的でした。

これは特に行政法初学の私にとっては助かりました。覚えるポイントがかなり絞られたぶん、諸法から成り立つ行政法全体の仕組みや繋がりを、常に意識していられたからです。

また、過去問を使ったアウトプットが講義に取り入れられていたことも、大変役立ちました。

満遍なく覚えてから解く、ではなくて、より良く解くために、効率的に覚えるのだと、徹底して体感することができました。

2年目に受講した演習総合は、講義動画は視聴せず、テキストだけを自習しました。

他資格試験の重要問題が散りばめられた演習テキストは非常に有益で、繰り返し間違ったところを見直しました。

試験形式は異なっても、出題思想は意外に似たり寄ったりなことにも気づかされました。

2年目になると、過去問だけでは演習不足に感じる時もあるはずですが、もし独習であれば、決してこのように他資格試験の問題に手を出す発想は持てなかったと思います。アガルート独自の強味だと思います。

また、講義テキストは、入門総合講義と一転して分厚いのですが、これが恐ろしく優れものです。

図式化に長じており、記憶に残りやすく感じました。特に行政法は、入門総合講義のテキストから鞍替えし、試験直前まで愛用しました。

カリキュラムに含まれる他の講座の感想・ご利用方法

全て受講しました。テキストの自習で留めるつもりでしたが、林先生の時折毒を吐く講義には何故かクセになる成分が含まれており、倍速ながら結局全て視聴しました。無駄ではなかったと思います。

また、模擬試験は民法の記述以外は適切な難易度のように感じ、とても助かりました。

個数問題も一つもなく、近年の本試験の傾向に沿ったものでした。対して某L校のように、徒らに個数問題を連発する、嗜虐趣味の行き届いた模試も一興ですが、私見では、模試は受験生の結果的な意欲向上を第一義として、作問されるべきように思います。

合格体験記・学習上の工夫

私が受験勉強中に常に考えていたことは、至ってシンプルです。それは、「何で得点しても同じ4点である」という試験の特質に基づいた、薄く広く満遍なく、という心掛けに他なりません。

受験生活2年目は、勉強はどうしても演習中心となりましたが、その場合、必ず1日に全科目を偏りなく学習するようにしました。

たとえば、私は行政法なら地方自治法分野、民法なら法定地上権や債権分野がはっきりと苦手でした。

同じ問題を何度も間違う自分に苛立ち、苦手克服のために、1日どころか、ありったけの時間を使ってでも、これらの分野を集中的に学習したい気分に何度も駆られました。

しかし、そうはしませんでした。それは「何で得点しても同じ4点」という試験の特質に反するという意味で、非効率な勉強法に思えたからです。

具体的には、1日の勉強時間を地方自治法20問、債権分野20問というように、集中させることを避け、予想問題があまり威力を発揮しない基礎法学や一般知識に至るまで出題全科目を1日に可能な限り満遍なく学習するようにしました。

ただし、民法と行政法は基幹科目ですから、もちろん、これら2科目のウェートは一番重くしましたが、憲法や商法に全く触れない日を作りませんでした。

総じて、本試験と可能な限り似た状況を作り出すべく、普段の勉強から意識して学習計画を立てるべきだというのが、私の受験勉強に対する、基本的な思想となります。

この思想を貫徹するために、毎週毎週、綿密に学習計画を練り直していたことが思い出されます。

もちろんこれには、計画を立てることが割合に好きであるという、私の性格も関連しているとは思います。

行政書士試験合格を目指す方へのメッセージ

よく言われるように、勉強法は様々です。従って一義的な正解は求められません。

しかし、3時間という試験時間の中でしか気づくことのできない事柄が沢山あることは、行政書士受験生の全員が重々了知すべき事柄だと思われてなりません。

現代日本の試験において、マークセンス方式の試験が主流となり約30年が経とうとしています。

行政書士試験だけに限らず、これは大学受験でもそうなのですが、マーク試験の攻略には、スピードこそが命です。

①読むスピード、②理解するスピード、③決断するスピード、何一つスピードに劣るものがあっては、試験攻略は難しくなるというのが改めての実感であり、このスピード感覚は、模試の現場では当然に、普段の学習においても十分に意識されるべきものというのが、私見です。

その他メッセージ

私のように、非法学部出身であり、かつ、法律の勉強が嫌いで仕方ないと周囲に幾千回も言い続けた人間ですらも、やるべきことをやれば、合格点は超えられます。

ちなみに私は行政法の条文は一度も素読したことはありませんし、何が何条かさっぱり分かりませんが、体系が理解できた上で細かい知識も整頓して暗記すれば、十分に得点できます。

さらには、法律の勉強が嫌で仕方のない余りに、10分間講義動画を見ては1時間YouTubeで「白い巨塔」を全話視聴した不届き者の私に対して、本試験は一般知識で、まさしく白い巨塔を正解肢として出題したりします。

もちろん、異様に不思議な出来事であり、神懸かりに近い出来事でしたが、こういうことも起き得るのが、本試験です。

畢竟、「どのような経緯で得点したものでも同じ4点なのだ」という私の考え方の、小さな証と言えるのではないでしょうか。

行政書士試験において、戦略的意味ではなく、本質的な意味では、無駄や捨て問は1問たりともないというのが私の実感です。

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