本コラムでは、40代、50代の方でMBAに進学したいが、自分が合格できるのか?と疑問に感じている方を対象に、40代、50代の方がMBAに合格するための具体的な方法をお伝えします。

そして、40代、50代の方が合格しやすいMBAはどこかという点も紹介します。

また、40代、50代の方が、MBAで学ぶ意義は何か、起業したいがMBAは起業に有効なのかについて具体的に説明します。

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40代・50代からのMBA取得は遅い?MBAを取得する人の年齢は?

40代・50代からのMBA取得は遅いのかについて、以下で詳しく解説します。

40代・50代からのMBA取得は遅くない

40代、50代からのMBA取得は遅くはありません。むしろ、ちょうどいい年齢です。

なぜかといいますと、日本の企業は年功序列という仕組みが機能していますので、40代、50代というのは管理職、執行役員クラスの年齢ということになります。

まさに経営的なポジションに就いている方々でして、MBAで企業経営全般について学ぶには最適な年齢と言えます。

20代、30代の方がMBAで経営を学ぶ動機は、将来経営的なポジションに就いた場合を想定して、早期に企業経営を学んでおこうということです。

将来のためということで、現時点では学ぶ必要性があるかどうかはわからないが、将来に備えるためにMBAで経営を学ぶのです。

それに対して、40代、50代の方は現在経営的なポジションに就いているわけですから、学ぶことの必要性は20代、30代の方よりも格段に高くなるのです。

MBAを取得する人の年齢は?

弊社(アガルート)受講生のうち、国内MBAに合格した方の年齢をアンケート調査したところ、40代・50代の方は全体の約37%いらっしゃいました。

令和6年度国内MBA試験合格者アンケートの結果より

一番多いのは30代ですが、次に40代が多い結果となっています。

20代~60代以上まで、幅広い年齢層の方が学んでいることがわかるでしょう。

経営を動かす立場だからこそ、MBAでの学びが実践に直結する

年功序列が機能する日本では、40代、50代の方でなければ全社戦略や事業戦略に関する意思決定はできません。

この意思決定ができる40代、50代の方には、企業の変革の実践が求められています。

なぜ企業の変革が必要なのかというと、近年の日本企業において多発する不祥事を見れば理解できると思います。

不祥事をなくしコンプライアンスを重視した倫理的な企業に生まれ変わらせるために、経営的なポジションにある40代、50代の方がMBAで経営を学ぶ必要があるのです。

日本企業の「閉鎖性」と「同質性」に風穴を開けるために

変革の必要性を具体的に説明してみます。

日本企業の特徴としてあげられるのは、「閉鎖性」「同質性」です。

日本企業の人材の採用は新卒一括採用による長期雇用が一般的です。また、雇用の流動性は低いです。

ということは、新卒で入社すると、そのまま同じメンバーが長期に渡って組織で働くことになり、中途採用のような外部からの人材の流入は少なくなります。

ここから生まれる特徴が、「閉鎖性」「同質性」です。

このような特徴を有する日本企業では、同調圧力が強いため、仮にある部門が不祥事に手を染めていたとしても、それを指摘することは裏切者とみなされてしまい、不祥事を指摘することはできません。

これは多くの日本の企業に見られる現象だと思います。

これを変革できるのは、権限を持って全社戦略を考え意思決定できる40代、50代の方なのです。

40代・50代からMBAを取得するメリット

40代・50代からMBAを取得するメリットは、主に以下の3つです。

  • MBAでの学びを実践に活かせる
  • 自身の希望に沿ったキャリアチェンジを目指せる
  • 起業に役立つ

MBAでの学びを実践に活かせる

40代・50代がMBAを取得するメリットの一つ目は、MBA進学に対する目的が明確であるため、学んだことを実践に活かしやすいことです。

キャリア論において、「自分がどうしても譲れない価値観や欲求を基準にキャリアを決めていく」という考え方のことをキャリア・アンカー理論と呼んでいます。

同理論は組織心理学者で、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院名誉教授でもあるエドガー・H・シャイン氏が提唱した理論です。

シャインは、キャリア・アンカーとして以下の8つを提示しました。

  • 「専門・職能別能力」型
  • 「経営管理能力」型
  • 「自立・独立」型
  • 「保障・安定」型
  • 「起業家的創造性」型
  • 「奉仕・社会貢献」型
  • 「純粋な挑戦」型
  • 「ライフスタイル」型

40代・50代の方ですと、上記の8つ中で自分の最も大切にしたいキャリア・アンカーは見つかっていると思います。

その実現に向けてMBAに進学するのです。例えば、自分の最も大切なキャリア・アンカーが「専門・職能別能力」型の場合は、MBAでマーケティングに関する知識やスキルを身に付けることになります。

「経営管理能力」型の場合は、全社戦略、事業戦略を立案したり実行するための知識やスキルを身に付けることになります。

「起業家的創造性」型の場合は、起業し新たな価値創造を行うための知識やスキルを身に付けることになります。

このように、40代・50代の方は、MBA進学に対する目的が明確であるため、学んだことを実践に活かしやすいのです。

20代、30代の方は、まだ自分にとって最も大切にしたいキャリア・アンカーは明確になっていない方も多くいます。

そのため、MBA進学の目的意識という点では、40代・50代の方と比較すると弱く、すぐに学びを実践に活かせる状況にはないのです。

自身の希望に沿ったキャリアチェンジを目指せる

40代・50代がMBAを取得するメリットの二つ目は、キャリア・アンカーに従ったキャリア・チェンジができることです。

例えば、今までは会社員として特定の職能の専門性を高める働き方をしてきたとします(「専門・職能別能力」型)。

40代・50代になって、自分が最も実践していきたい生き方は、起業家的な生き方だと気づいたとします(「起業家的創造性」型)。

このような大幅なキャリア・チェンジがMBAで学ぶ知識やスキルがあれば実現します。

MBAは企業経営全般(経営戦略、マーケティング、組織・人材、生産管理、会計、ファイナンスなど)に関する学びの場ですから、特定の職能の経験しかない方でも、起業するための知識やスキルが身に付きます。

起業に役立つ

また、起業したいが、起業するためのネタがないという方もMBAに進学すると起業のネタ自体を身に付けることができます。

それはMBAで学ぶデータ・サイエンス、データ解析の知識・スキルです。

ビッグデータ時代と言われる現代においてデータ・サイエンス、データ解析の知識・スキルを持った人材は労働市場で高く評価されます。

この知識・スキルを売る会社を起業することで高収入を得ることができます。起業でなくとも、転職においても高い価値を持った人材として、市場から年齢に関係なくオファーが来ます。

このように、自身の大切にしたい生き方を実現できる学びの場、それがMBAなのです。

そういう意味では、40代、50代の方こそMBAでの学びは有意義な機会となります。

40歳以上におすすめの国内MBA3選

40歳以上におすすめの国内MBAは、以下の3校です。

  • 中央大学大学院戦略経営研究科
  • 慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)
  • 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

中央大学大学院戦略経営研究科

一つ目は、中央大学大学院戦略経営研究科です。

学生全体の中で40歳以上の方の占める割合が55%となっています(2024年4月入学)。

学生の平均年齢は、40~42歳程度です。

学ぶ内容も、一般的なMBAよりも管理職向けのエグゼクティブMBA的な色合いの濃い内容となっております。

実際、学生の半分以上が管理職の方となっています。

また、忙しいエグゼクティブクラスの方が学びやすいように、平日はオンライン講義、土日は対面講義となっています。

多くのMBAが対面での開講になっていますので、オンラインと対面を組み合わせた授業形態を採用している点も40代、50代の方に人気の理由となっています。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)

二つ目は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)です。

慶應EMBAは、受験資格が、「常勤の正社員として通算15年以上の職務経歴を有する者」となっておりまして、30代後半以上でなければ受験することができない本当の意味でのエグゼクティブMBAです。

学生の平均年齢は45歳となっていまして、平均勤続年数は22年となっています。

学生はほぼ全員が管理職以上となっています。

慶應でも忙しいエグゼクティブが通いやすいように、基本的に土曜日集中講義となっています。

立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

3つ目は、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科です。

学生全体の中で40歳以上の方の占める割合が60%となっています(2021年4月入学)。

立教MBAは、先の2校と比較すると、管理職比率が低く23%となっておりまして、エグゼクティブ層が中心を占めるということはありません。

さまざまな職種やポジションの人が学んでいるMBAとなっています。

まとめ

40代、50代の方でもMBA取得は十分可能です。

40代、50代の方がMBAを目指すのは、現在の日本ではちょうどいい年齢です。

なぜかといいますと、日本の企業は年功序列という仕組みが機能していますので、40代、50代というのは経営的なポジションに就いている方でして、MBAで企業経営全般について学ぶには最適な年齢と言えます。

40代・50代がMBAを取得するメリットの一つ目は、MBA進学に対する目的が明確であるため、学んだことを実践に活かしやすいことです。

二つ目は、キャリア・チェンジができることです。

40代、50代の方が合格しやすいMBAとして、中央大学大学院戦略経営研究科、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(EMBA)、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科があります。

他にも、法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科、立命館大学経営管理研究科は40代以上の方が多く在学しています。

アガルート受講生を対象としたアンケート調査概要

調査期間2024年9月10日~2025年3月31日
調査機関アガルートアカデミー
調査対象アガルート受講生の中で国内MBAに合格した者(令和6年度)
有効回答数(※)87
調査方法アガルートアカデミー内でのアンケート調査(自社調査)
調査対象地域日本国内

※アンケート回答に許諾いただいた一部の方のみ実施

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この記事の著者 飯野 一 講師

飯野 一 講師

1990年に成城大学経済学部、2003年に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(現:経営管理研究科)を卒業。
2003年にウインドミル・エデュケイションズ株式会社を設立し、以降国内MBA試験の受験指導に従事。
2019年からはアガルートアカデミーにて国内MBA受験指導を中心に活動している。
指導課目は、経営戦略、マーケティング、組織論、組織行動学、アカウンティングなど経営学全般。
国内MBAに関する書籍を多数出版し、ベストセラーを生み出すなど、国内MBA受験における人気作家としての側面も持つ。
ウインドミル・エデュケイションズ株式会社で代表取締役を務めながら受験指導をおこない、約20年間にわたる指導経験を有する国内MBA受験に精通したプロフェッショナル講師。
国内MBA修了生としては珍しい学術論文の学会発表、学会誌掲載の実績も持つ。
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