司法試験・予備試験は、合格までの道のりが長く、多くの受験生が途中で「挫折」の壁に直面します。

学習方法への不安、時間の制約、モチベーションの維持など、挫折の要因は人それぞれですが、これらはあらかじめ適切な対処法を知っておくことで克服できます。

司法試験・予備試験で挫折しないためには、「正しい勉強方法を確立すること」「勉強時間を確保すること」「モチベーションを維持する仕組みを作ること」の3つが重要です。

この記事では、受験生に忍び寄る「挫折」の正体を探り、その主な原因や継続のコツまで詳しく解説します。


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司法試験・予備試験受験生に忍び寄る「挫折」

司法試験・予備試験受験生に忍び寄る「挫折」

司法試験・予備試験の受験勉強中に「合格できないかもしれない」という不安から挫折しかける受験生は少なくありません。

「法曹になろう!」司法試験・予備試験の受験勉強を開始されている全ての方々に、受験勉強を開始しようと決意した日があると思います。

その日のことを思い出してみてください。

多くの方は、希望、勇気、覚悟に満ち溢れていたことと思います。

ところが、司法試験・予備試験という魔物(本当は「見かけ倒しの魔物」なのですが)を前に、様々な事情が積み重なり、それらが複雑に絡み合う結果「このままで本当に自分は合格できるのだろうか」という不安に突如襲われることがあります。

このような不安から、何をどうすればいいのか、何から手をつければよいのかが全くわからなくなってしまう…そんな状態のまま無為に時間が過ぎてしまう…その結果、防戦一方のままに「もう無理だ」とあきらめてしまう。

これが、司法試験・予備試験の受験勉強を開始した方々にしばしば忍び寄る「挫折」の正体なのではないでしょうか。

これを読まれている皆さんの中にも、もしかしたら自分は「挫折」しかけているかもしれないと思い当たる方も少なくないと思います。

もっともそれ自体何も心配することはありません。

短くとも1年以上はかかる長丁場の司法試験・予備試験受験生活で、そのような感覚を抱くことはむしろ通常なのですから。

大切なことは、このように忍び寄る「挫折」の影に対して、自分はどのように対峙するのかを(予め)考えておくことです。

仮に上記のようなプロセスを経て、「挫折」が生じるのであれば、このプロセスをきめ細やかに分析することによって、「挫折」は予め解消することが可能なのです。

以下でそのことについて詳しく見ていきましょう。

司法試験・予備試験に挫折する主な3つの原因

司法試験・予備試験の受験勉強における主な挫折の要因は「方法論を確立できていない」「可処分時間の確保ができない」「モチベーションの維持ができない」という3つです。

この3つについて適切な対処を知っていれば、「合格できないかもしれない」と不安になって挫折する心配はなくなります。

「挫折」の第一歩目の原因は「このままで本当に自分は合格できるのだろうか」という疑念が生まれてしまうことにあります。

このような疑念は、司法試験・予備試験の受験対策として予備校を利用していない人にはもちろん、予備校を利用している方にも生まれてしまいがちです。

司法試験・予備試験合格の有無は、3要素の掛け算(足し算ではありません)の数値によって決まるといっても過言ではありませんが、実は上記疑念が生まれてしまう原因はこの合格の3要素と表裏の関係にあるのです。

(1)「方法論を確立すること」

(2)「可処分時間の確保」

(3)「モチベーションの維持」


それぞれの要素について具体的に見ていきましょう。

(1)方法論を確立できない

司法試験・予備試験で挫折する最大の原因の一つは、効率的に学習を進めるための「方法論」を確立できないことです。

司法試験・予備試験は、昔と比べると合格に至る方法論が確立されてきたといえます。

しかしそうは言っても、他の国家試験に比べると依然として勉強しなければならない範囲は膨大です。

したがって、司法試験・予備試験合格のためには「膨大な範囲の知識を合理的にインプット・アウトプットするための方法論の確立」が必須です。

ところが、受験生の多くが上記方法論の確立をすることができていません。

これは独学の方はもちろん、本来そのような方法論を伝授し、最終的に自学自習ができるようにすべき役割を担っているといえる予備校を利用されている方にも共通しています。

むしろ近時は予備校を利用されている方に、予備校を利用したが故に方法論を見失ってしまっている方が多く見受けられるように思います。

例えば以下の例が挙げられます。

例1】
予備校のインプットテキストが膨大で、かつインプット講義も長時間にわたるためある特定の科目のインプットだけで何か月もかかり、気づけばインプット講座を受講するだけで1年ほどかかってしまう結果、全科目インプットが終わるころには、最初のころにインプットした知識が全部抜けてしまっている(ふつう人間は1年以上前に勉強したことを覚えていません。)。

例2】
インプット講義がようやく終わったけれども、その後初めてアウトプット講座に入り、答案を作成するときに今まで学んだ知識をどのように使って、何をどの程度どの順番で書いたら良いのか全く分からない、かつそれを誰にも聞くことができない。

こうなってくると、せっかくインプット講座、アウトプット講座を受講していても、その後「何を・いつまでに・どの程度・どのように」進めていけば良いのかという方法論を確立できず、その修正の機会も与えられない結果「このままで本当に自分は合格できるのだろうか」という疑念に駆られてしまうのです。

また、最近はSNSの発達により、Twitterやブログ等で合格者の勉強方法等が多く公開されています。

その中にはもちろん有益なものもありますが、真似ができないような方法論やそもそも本当にそのようなことを行ったのか疑問になってしまうような方法論なども含めて、アクセスできる情報が昔に比べ飛躍的に増大しました。

ところが、それがために、特に独学者の方は情報の過剰摂取となり「結局、何を信じたらよいのだろう」と悩みだしたり、あるいは新しい情報に触れるたびに勉強方法をコロコロと変えていく結果、「このままで本当に自分は合格できるのだろうか」という疑念を抱いてしまったりする受験生がいることも事実です。

(2)時間が取れない

司法試験・予備試験で挫折する原因として、勉強時間を十分に確保できないことも挙げられます。

こちらは特に社会人受験生に多くある悩みの一つです。

いわゆるカレンダー通りにお勤めをされている方を想定すると、1週間の可処分時間はおおよそ15時間〜30時間程度であることが多いです。

このように、大学生や専業受験生に比べて、ただでさえ可処分時間が少ないのに、これに加え、残業や会社の飲み会、あるいは家庭を持たれている方は家庭での仕事や家族サービス等で、勉強への可処分時間が削られていきます。

そうするとやはり、「このままで本当に自分は合格できるのだろうか」という疑念が生まれてきてしまいます。

(3)モチベーションが上がらない・維持できない

司法試験・予備試験で挫折する原因の一つは、勉強を続けるためのモチベーションを上げられないことや、維持できないことです。

こちらは全ての受験生に当てはまる部分です。
受験勉強とは、決して楽なものではありません。それでもなぜやるのか。

それは、苦しいことを乗り越えた先に得られるものがあるからだと思います。

逆に言うと、人はその先に得られるものがなければ、よほどのことがない限り苦しいことはそもそも行わないし、行ったとしても続かないのです。

「得られるもの」に優劣はありませんし、それは人それぞれ違うものであり、違っていてよいものであると思います。

ただ、「得られるもの」に向けたモチベーションが持てなかったり、維持できなかったりすると「自分は何のために今苦しい思いをしているのだろう」という状態を招きやすく、そこに「このままで本当に自分は合格できるのだろうか」という疑念が入り込む余地を与えることになります。

司法試験・予備試験で挫折しないようにするためのルール

司法試験・予備試験での挫折を防ぐには、方法論の確立・時間確保・モチベーション維持という3つのルールを意識することが重要です。

正しい方法論を確立する〜対象の限定と反復〜

司法試験・予備試験で挫折しないためには、学習範囲を絞り込み、同じ教材を繰り返し学習する「対象の限定と反復」を徹底することが重要です。

合格するための正しい方法論は一つではありません。

合格者によって様々です。

しかしながら、近時の予備試験合格者についていえば、その方法論の幹として採用しているシステムはほぼ共通しています。

それは「対象の限定と反復」です。

すなわち、「信頼でき、かつ、分厚過ぎないインプットテキスト・アウトプットテキスト(過去問含む)を決めて、それを分かるまで繰り返す」というものです。

受講生の多くが悩みを抱えている「記憶ができない、論文が書けないという原因」の9割以上が、対象を限定して反復することのいずれかもしくはいずれもが出来ていないことにあるといっても過言ではありません。

原因はとてもシンプルなのです。

この方法論に対しては、ある部分が確実に理解できてからでないと、次の部分も理解できないのではないかという懸念を持たれる方がかなり多いのですが、そのような方は発想を逆転させる必要があります。

ある部分が分からなくても、とにかく先に進みましょう。

なぜなら、法律というのはある分野を勉強したことにより、それ以外の分野の理解が深まる、あるいは、ある科目を勉強したことにより他の科目の理解が深まることがよくあるからなのです。

言い換えると、分からないことを理解するために先に進むのです。

このように対象を限定して反復を無数に繰り返し、それでも分からない部分については、時間をかけて調べたり、あるいは合格者や講師に聞いたりすれば良いのです。

独学の方はこのような観点からスケジュールを組むべきです。

また、予備校に通われている方は、まずもってこのような観点から予備校を正しく利用するということを心がけましょう。

これから予備校の利用を検討されている方は、その予備校が本当に自分が合格するために現時点で足りないものを埋めてくれるものであるかどうか、無駄な情報が記載されていないか、無用な講義時間となっていないか、疑問を確実に事前にリサーチする必要があります。

現に短期合格者の方々は、予備校の利用前にHPや受講相談を利用した徹底的な予備校リサーチと比較を行っている人が多いです。

また、現時点で既に予備校に通われている方も、一度対象の限定と反復ができるカリキュラムになっているかという点からスケジュールや方法論を検証する必要があるでしょう。

なお、このことはネットの情報についても同様のことが言えます。

ネットの情報は、いわば無数の各論的な記事が多いと思います。

ですから、その記事を見た際に、その本質は何であるのかをしっかりと考え抜いたうえで取り入れるべき情報かそうでないかを判断してみましょう。

いずれにせよ、判断に迷ったらすぐに身近な合格者に相談したり、受講相談などを利用して意見を取り入れてみることが大事です。

可処分時間をできる限り確保する

司法試験・予備試験で挫折しないためには、限られた時間を有効活用し、できる限り多くの可処分時間を確保することが重要です。

時間は皆に平等に与えられていますが、その使い方によって大きく差が出てしまうものです。

仕事の場面においても、勉強の場面においても、いわゆる要領の良い人とは、方法論をしっかりと確立した上で、時間をうまく作りあげて、使うことのできる人だと思われます。

時間の作り方は、意識をしないと上達しません。

月単位・週単位・1日単位で、ここまでに何をすべきで、そのためにはどのくらいの時間が必要かをしっかりと分析し、計画を立てることです。

そして、その計画を時間内に遂行できたのかを常にチェックし、計画に修正が必要か否かをその都度考えてみましょう。

勉強時間をストップウォッチで計測してみることも大事です。

ここで大事なのは、机に向かっている時間ではなく、机に向かっている中で実際に勉強している時間を計測することです。

この意味で6時間勉強することは本当に大変なことが分かります。

ただ、ストップウォッチで時間を管理できるようになると、逆に「45分以内でここからここまでのテキストを読もう」とか「30分以内に答案構成を終わらせよう」などという縛りをかけて勉強することに慣れてきます。

こうなると集中力も高まってきて、効率的な勉強ができるようになってきます。

モチベーションを維持するための方法を考える

司法試験・予備試験の勉強を継続するためには、モチベーションを維持できる環境づくりが欠かせません。

目標の見える化や仲間との交流、適度な休息を取り入れながら、無理なく学習を続けられる仕組みを作りましょう。

モチベーションの「見える化」

まずは、目標を紙に書き出してみましょう。

モチベーションの「見える化」です。

内容としては、法曹を志望した動機や合格後の目標から始まり、月単位・週単位・日単位の「ノルマ達成によるご褒美」などを書き出すことです。

これを勉強開始前に毎日必ずやってみると良いと思います。

仲間・ライバルを作る

仲間・ライバルを作ることもモチベーション維持の有効な方法です。

確かに、受験生とは本来孤独なものです。試験の合否という結果に対しては、最終的に自分が責任を負わなければなりません。

しかしこのことは、試験合格に向けた勉強も自分ひとりで行わなければならないことを意味しているわけではありません。

過剰に孤独を背負い込むことはないのです。

現に短期合格者の中には、勉強仲間や自主ゼミを組んだり、受講生交流会等に参加したりして、勉強仲間・ライバルを見つけている方が多いように思います。

ただし、無理やり作る必要はありません。あくまで自分と同じ目的を持った方を見つけられると良いと思います。

全力で勉強し、全力で休む

司法試験・予備試験で挫折しないためには、全力で勉強するだけでなく、全力で休むことも意識することが重要です。

全力で勉強しなければならないこと自体には疑いの余地がありません。

他方、全力で休むという点に意識があまり向いていない受験生の方も多いです。

休むことは悪という強迫観念に駆られることがありますが、どんな職業、どんなスポーツでもパフォーマンスの最大化のために休息は必要不可欠であり、このことは当然勉強にも当てはまります。

休息の取り方も試験対策の重要な一部と位置付けてください。

全力で休むことによって、その後の勉強に対するモチベーションがどんどん高まっていきます。

司法試験・予備試験に挫折しやすい理由や挫折を乗り越えるためのマインドセット、挫折をしない学習の進め方については、下記動画で詳しく説明しています。

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またバーチャル校舎では自習室利用ができるほか、講師やほかの受験生との交流、不定期イベントの開催も予定されています。

これにより「挫折」せずに学習を継続することができるでしょう。

これから学習を開始し、予備試験を目指す方にはとてもおすすめです。

まとめ

司法試験・予備試験の受験勉強では、多くの受験生が「挫折」の壁に直面します。

挫折の主な原因は「方法論を確立できない」「時間が取れない」「モチベーションが維持できない」の3つであり、あらかじめ対処法を知っておくことで克服することができます。

各原因への具体的な対策は以下のとおりです。

  • 信頼できるインプット・アウトプットテキストを1冊に絞り、分からない部分があっても立ち止まらず、繰り返し反復する「対象の限定と反復」を徹底する
  • 月・週・日単位で学習計画を立て、ストップウォッチで実質的な勉強時間を計測しながら、可処分時間をできる限り確保する
  • 目標や志望動機を紙に書き出して「見える化」し、勉強仲間やライバルを作ることでモチベーションを維持する。また、全力で休むことも学習継続に欠かせない要素と捉える

挫折は珍しいことではなく、長期の受験生活では誰もが経験しうるものです。

原因を正しく理解し、適切な対策を講じることが合格への近道となるでしょう。

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この記事の監修者 富川 純樹 講師

富川 純樹 講師


2010年 神戸学院大学法学部卒業
2013年 関西学院大学法科大学院(未修コース)卒業
2017年~2018年 関西学院大学法科大学院にて指導

関西学院大学法科大学院(未修)を卒業後,平成27年に司法試験に合格(69期)。
アガルートアカデミーでは,ラウンジ(個別指導)や受験生の受講相談も担当している。

富川講師の紹介はこちら

Twitter:@dsx79079

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