土地家屋調査士試験を目指し、民法をこれから勉強し始めよう、もしくは、既に始めている民法初学者の方にはぜひこのコラムを読んでいただきたいです。

民法は、土地家屋調査士試験に出題される法令の実体であるため大変重要ですが、実は択一の科目の中でも、一番苦労したという受験生が多い科目でもあります。

そこで、民法学習はこれだけ重要なんだ、また、どうやって勉強を進めていけば良いのか、といった情報を提供できればと思っています。

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土地家屋調査士試験の民法は重要?

土地家屋調査士の試験では民法の科目は多肢択一問題で20問中3問出題されます。

100点満点中7.5点(1問2.5点)です。

「えっ、じゃあ捨てても良いじゃん」っていう声が聞こえてきそうですが、それはダメです。

民法はすべての法律の基本となっており、試験範囲の大半を占める不動産登記法に大きく関わってくるため、試験攻略の観点からも民法学習は重要になってきます。

民法は大まかに分けて総則、物権、債権、親族、相続という分野で構成されていますが、総則、物権、相続からしかほぼ出ていません。

一番条文の量が多く難易度の高い債権からは出題されていません。

そのため、初学者にとっては、取り掛かりやすいものになります。

また、実務においても登記手続きなどは出来て当たり前で、プロとして問題を解決する力が重要になっています。

その手段の一つが民法です。

こうなってくると、合格のためにも、さらには今後のためにも民法を学習して、全問正解を目指そうという気になりますよね。

特に、昨今の試験傾向からして、いわゆる「捨問」は存在しません。

民法で点を取るのが難しい理由

民法はただ単に、全問を正解を目指せば良いというわけでもありません。

試験問題の内容としては「AがBに無断で家を建て、登記をした。」や「BがCに対して土地を売却し、登記をした。」等、登場人物がたくさん出てきます。

情報を整理しながら問題を解いていくことになり、解答するのに時間がかかります。

しかし、試験は2時間半という短い時間であり(勉強を重ねていくと、時間との勝負ということを実感していきます。)、時間をかけずに正解を導いていくことが不可欠です。

多くの受験生が、民法を早く解くことに関して頭を悩まされています。

さらに、法律自体の条文の数が多く、難しい言い回しで書かれています。

しかし、身近な出来事に関する法律なので、具体的な例(ネット検索すると、いろんな方が実生活に絡めて説明してくれています。)に結びつけながら理解していました。

土地家屋調査士試験の民法勉強法

まずは、勉強を進める上での注意点

民法を学習する上では、条文をただ暗記するのではなく、理解しながら覚えていくのが重要です。

なぜその制度や条文があるのかを考えながら進めていくと上手くいきます。

例えば、代理という制度があります。

代理とは何ですか?と質問されたら「本人の代わりに他人(代理人)が法律行為をすること」と簡単に返ってきそうですが、ここには、ふたつの意味が含まれています。

今日、経済活動が活発になり、一人で法律行為をするのが不可能になっています。

そこで、他人を利用して活動範囲を広げようという機能が一つあります。

皆さんが目指している土地家屋調査士が行なっている業務もこの代理行為です。

もう一つは、自ら単独で有効な法律行為ができない者(制限行為能力者など)のために代理人(後見人など)がそれを補充するといった機能があります。

こういった制度趣旨を知ることで、知識の基礎を固めていきます。

民法の全体的なイメージを掴むことも重要な事項です。

学習は条文の順番通りに進めていくと思います。

最初は、総則から入り、それが終わったら、物権を学んで行く。

ここで注意してもらいたいのが、法律の構成上、民法の共通ルールが規定されている総則が一番最初にあり、その後、物権、債権、親族、相続といった個別の規定が置かれている構造になっています。

総則を勉強している中で、どうしても理解できない箇所が出てきます。

ここで挫折してしまう受験生も実際、多くいらっしゃいます。

こういった法律の構成を知っていたら、総則で深みにはまらず(分からない箇所は飛ばす)、スラスラと効率よく勉強できていたかもしれません。

全体的なイメージを把握するための一つの手段として、自分が今どの事柄を勉強しているのか、テキストの目次を使うと効率的です。

例えば、「今、物権の中の所有権を勉強しているんだ」という感じで自分の立ち位置を確認することで、「あれ、そもそも物権って何だっけ?」とか「他の権利との違いは?」などの疑問を感じながらフィードバックすることができます。

そうすることによって、全体的な民法の骨組に肉付けしていくことが出来ます。

試験問題の解き方

問題の解き方として登場人物A、B、Cが出てきたら、「A→B→C」といった図示するクセを付けた方が良いです。

試験は時間との勝負なので、図を描かずに頭の中で考えて、正解を導いた方が良いんじゃないかと思うかもしれません。

しかし、関係図を描いた方が正確ですし、見直す時間も短縮できて、結果的に早く解けます。

過去問の活用法

民法のテキストや講義動画を見て、知識を深め、過去問や問題集を使ってアウトプットを行なっていきますが、土地家屋調査士試験における民法は、試験範囲として平成17年から3問づづしか出題されていませんので、過去問としての問題のストックは多くありません。

そこで、おすすめは(もちろん土地家屋調査士の過去問を全部やった上です。)、同じ法務省管轄の司法書士試験の民法です。

問題数が多いので、土地家屋調査士試験で出題される総則・物権・相続をセレクトされると良いでしょう。

ただ、勘違いして欲しくないのが、最終的に戻ってくるのは土地家屋調査士用の民法のテキストです。

過去問、問題集はあくまでもツールに過ぎず、その元となっている知識をしっかりとアウトプットすることができるというのが重要です。

関連コラム:土地家屋調査士試験の問題をマスターしていく順番&各問題ごとの解くコツ

関連コラム:土地家屋調査士試験の不動産登記法勉強法!多肢択一対策

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この記事の監修者 中山 祐介 講師

中山 祐介 講師

独学で土地家屋調査士試験全国総合1位合格の同試験を知り尽くした講師。

「すべての受験生は独学である」の考えのもと、講義外での学習の効率を上げ、サポートするための指導をモットーに、高度な知識だけでなく、自身の代名詞でもある複素数による測量計算([中山式]複素数計算)など、最新テクニックもカバーする講義が特徴。日々、学問と指導の研鑽を積む。

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