法科大学院の留年率まとめ!留年率が高いロースクールの注意点とは
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法科大学院の留年率はどれくらいなの?と気になっている方もいるのではないでしょうか。
あまりに留年率が高いと、卒業までに年数がかかってしまう恐れもあるため、これから法科大学院を選ぶ方はチェックしておきたいところですよね。
このコラムでは、法科大学院の留年率や留年率の高いロースクールの注意点について、詳しく説明します。
目次
法科大学院の留年率とは?意外ときつい?
法科大学院の留年率とは「年度当初に在籍した学生数の内、次年度に進級しなかった人数の割合」のことを指します。
文科省が行う「法科大学院関係状況調査」では1年次から2年次への進級の際の留年率、2年次から3年次への進級の際の留年率について、それぞれ区別して記されています。
各法科大学院の留年率については、後述しますが、大学院での留年はどの法科大学院でも一定程度あり、無条件で進級できるというわけではないことがわかります。
各法科大学院の留年率一覧
各法科大学院によって留年率の割合に違いはあるものの、平均すると全体で3割〜4割程の割合となっています。
大学院名 | 在籍人数(1年次・未修) | 進級しなかった人数(1年次・未修) | 留年率(1年次・未修) | 在籍人数(未修・既修1年) | 進級しなかった人数(未修・既修1年) | 留年率(未修・既修1年) |
北海道大学 | 23 | 11 | 47.8% | 27 | 5 | 18.5% |
東北大学 | 16 | 4 | 25.0% | 64 | 14 | 21.9% |
筑波大学 | 53 | 31 | 58.5% | 36 | 11 | 30.6% |
千葉大学 | 10 | 2 | 20.0% | 32 | 7 | 21.9% |
東京大学 | 77 | 27 | 35.1% | 214 | 55 | 25.7% |
一橋大学 | 17 | 1 | 5.9% | 93 | 14 | 15.1% |
金沢大学 | 10 | 8 | 80.0% | 15 | 6 | 40.0% |
名古屋大学 | 20 | 5 | 25.0% | 39 | 11 | 28.2% |
京都大学 | 41 | 14 | 34.1% | 171 | 48 | 28.1% |
大阪大学 | 42 | 24 | 57.1% | 97 | 22 | 22.7% |
神戸大学 | 17 | 6 | 35.3% | 75 | 20 | 26.7% |
岡山大学 | 14 | 6 | 42.9% | 14 | 5 | 35.7% |
広島大学 | 9 | 3 | 33.3% | 28 | 14 | 50.0% |
九州大学 | 20 | 2 | 10.0% | 41 | 4 | 9.8% |
琉球大学 | 17 | 6 | 35.3% | 13 | 3 | 23.1% |
東京都立大学 | 8 | 5 | 62.5% | 23 | 6 | 26.1% |
大阪市立大学 | 23 | 13 | 56.5% | 20 | 10 | 50.0% |
大阪公立大学 | 0 | 0 | 0% | 0 | 0 | 0% |
学習院大学 | 14 | 10 | 71.4% | 15 | 10 | 66.7% |
慶応義塾大学 | 45 | 18 | 40.0% | 157 | 32 | 20.4% |
上智大学 | 19 | 11 | 57.9% | 18 | 11 | 61.1% |
専修大学 | 19 | 12 | 63.2% | 15 | 4 | 26.7% |
創価大学 | 11 | 6 | 54.5% | 11 | 1 | 9.1% |
中央大学 | 43 | 20 | 46.5% | 94 | 29 | 30.9% |
日本大学 | 22 | 20 | 45.5% | 33 | 6 | 18.2% |
法政大学 | 11 | 10 | 36.4% | 34 | 19 | 55.9% |
明治大学 | 12 | 4 | 41.7% | 61 | 21 | 34.4% |
早稲田大学 | 46 | 13 | 28.3% | 207 | 52 | 25.1% |
愛知大学 | 14 | 7 | 50.0% | 6 | 5 | 83.3% |
南山大学 | 6 | 1 | 16.7% | 8 | 2 | 25.0% |
同志社大学 | 23 | 13 | 56.5% | 46 | 12 | 26.1% |
立命館大学 | 16 | 1 | 6.2% | 60 | 5 | 8.3% |
関西大学 | 19 | 6 | 31.6% | 33 | 5 | 15.2% |
関西学院大学 | 23 | 13 | 56.5% | 27 | 11 | 40.7% |
福岡大学 | 18 | 10 | 55.6% | 7 | 0 | 0% |
※参考:文部科学省「令和4年度法科大学院関係状況調査令和3年度留年率」
また、1年次から2年次への留年率と、2年次から3年次への進級率を比較すると、1年次から2年次への留年率がやや高いことがわかります。
これは、1年次は法学未修者という形で入学し、1年間で法学の基礎を学び、2年次進級時点では、既修者と同程度のレベルを有していることが求められることが、一定程度影響しているといえます。
1年次の学習は非常に高度かつスピード感を持ってなされる傾向があり、未修者にとって勉強のペースについて行くことができないケースもあるようです。
ですので、未修者として入学を考えている方は、法科大学院で1から法学を勉強すればよいという考え方を持つのではなく、未修者であるからこそ、法科大学院入学前にある程度は自学自習をすることで、法科大学院での授業について行けるような準備をしておかなければいけないでしょう。
他方で、法科大学院の留年率を考えるうえで、単に留年率の高低だけで進級の容易さを判断することはできません。
法科大学院の規模(在籍人数の大小)やレベルを総合的に考慮したうえで、留年率を見る必要があるでしょう。
また、司法試験の合格率も、法科大学院を選ぶ上で重要な要素となります。
1つの指針としては、
①在籍人数が多く、司法試験の合格率も一定程度ある法科大学院で、留年率が4割以下であること
②在籍人数が少なく、司法試験の合格率も一定程度ある法科大学院で、留年率も2割から3割程度であること
といった法科大学院は大変魅力的な法科大学院といえます。
まず、①については、在籍人数が多くなると、必然的に留年率も一定程度高くなることは避けられませんが、それでも留年率が4割を下回っているということは、在籍人数が多いにもかかわらず、1人1人の学習に対するフォローがある程度充実しており、合格レベルに到達しやすいといえます。
②について言うと、留年率が2割から3割に抑えられているということは、在籍人数が少ない法科大学院の特徴でもある1人1人に対する手厚いフォローがきちんと実現されていることが裏付けられているといえます。
これらのことが、各法科大学院の留年率の一覧を分析することでわかります。
各法科大学院の修了率一覧
全体的を平均すると、6割以上の方が標準修業年限以内に修了しています。
一方で、法科大学院の留年率は一定程度あることが裏付けられます。
大学院名 | 修了率 |
北海道大学 | 76.9% |
東北大学 | 55.8% |
筑波大学 | 42.4% |
千葉大学 | 77.3% |
東京大学 | 62.0% |
一橋大学 | 82.0% |
金沢大学 | 12.5% |
名古屋大学 | 69.4% |
京都大学 | 78.8% |
大阪大学 | 62.0% |
神戸大学 | 68.2% |
岡山大学 | 52.6% |
広島大学 | 29.4% |
九州大学 | 61.0% |
琉球大学 | 44.4% |
東京都立大学 | 82.1% |
大阪市立大学 | 36.4% |
大阪公立大学 | 0% |
学習院大学 | 52.2% |
慶応義塾大学 | 78.8% |
上智大学 | 37.5% |
専修大学 | 25.9% |
創価大学 | 66.7% |
中央大学 | 69.3% |
日本大学 | 73.2% |
法政大学 | 62.5% |
明治大学 | 38.0% |
早稲田大学 | 62.6% |
愛知大学 | 10.0% |
南山大学 | 66.7% |
同志社大学 | 58.1% |
立命館大学 | 62.7% |
関西大学 | 54.3% |
関西学院大学 | 31.4% |
福岡大学 | 54.5% |
※参考:文部科学省「修了認定の実施状況および標準修業年限以内の修了率 」
上記一案を見ますと、各法科大学院によって、その割合の差に大きな違いがあることがわかります。
法科大学院の規模にもよりますが、注目すべき点は、多くの在学生を抱えている法科大学院であるにもかかわらず、修了率が平均の6割を超過している大学院が複数あるということです。
このことは、在学している学生の質が平均して高いうえに、法科大学院での授業内容にもついていくことができていることを意味します。
法科大学院の規模が大きいにもかかわらず、修了率が高い法科大学院は、司法試験の合格率の関係でも一定の成績を残しています。
逆に、法科大学院の規模が小さく、修了率が5割を下回っている法科大学院は、個々の学生の力量にばらつきが大きく、法科大学院の授業内容についていけてる学生とのついていけない学生との差が大きいといえるでしょう。
法科大学院の留年率を考えるうえで、上記内容を参考にすることも重要であるといえるでしょう。
留年率が高い法科大学院の注意点
次に、留年率が高い法科大学院の注意点について、ご紹介します。
1 進級のハードルが高い可能性がある
留年率が高い法科大学院は、進級のハードルが高い可能性がある点には注意が必要です。
このような大学院は、そもそもが司法試験合格率が低く、進級のハードルを高く設定している可能性があります。
というのも、法科大学院は、第三者委員による認証評価(法科大学院として存続する意味があるかどうか、問題点はないかどうか等について調査)を受ける際、客観的な結果として、司法試験の合格率がよく着目されます。
そのため、法科大学院側としても、卒業生の司法試験合格率は非常に気にしており、広く多くの学生を卒業させるのではなく、司法試験に合格するであろう見込みのある学生のみを卒業させ、力不足の学生は司法試験を受験するまでもなく、学内で留年させ、ある程度の力がついたと判断したら、進級・卒業をさせるという方針にしているケースも考えられるでしょう。
2 進級のための学習が中心となり、司法試験対策がおろそかになる可能性がある
留年率の高い法科大学院では、司法試験とは直結しない(又は優先度が低い)学習が中心となり、十分に司法試験対策ができないおそれもあります。
例えば、司法試験では「商法」よりも、「会社法」が主題傾向としては高く、勉強をすべき優先度や密度も「会社法」の方が高いです。
ですが、法科大学院の科目として「商法」がある場合、必要以上に商法についての学習をせざるを得ない場合もあり、本来の司法試験対策がおろそかになってしまう可能性もあるでしょう。
3 留年すると、就活に影響を及ぼす可能性がある
留年をすることで就職活動に悪影響が及ぶ可能性もあります。
留年をしたからといって、直ちに悪影響が生じるというわけではありませんが、法科大学院を留年するということは、その時点で法的知識・理解が不足しているということであり、その後の成績などで挽回をしなければ、やはり能力が不足しているとの印象を抱かれかねません。
また、法科大学院を留年するのは、全体としても3~4割程度という少数派ですので、その点も就職の際の印象としてプラスには作用しないでしょう。
4 留年すると、学費が高くつく
留年をすることで、学費がかさむことが想定されます。
半額などの措置がある学校はあるものの、基本的にはストレートで卒業するより、高くなるケースがほとんどです。
法科大学院の学費は決して安いものではありません。時間もそうですが、費用も必要以上に費やすのは得策ではありません。
よくある留年の原因とは?
以下では、よくある留年の原因を紹介したいと思います。
1 勉強時間が足りない
法科大学院の留年のよくある要因は、まず物理的に勉強時間が不足しているということです。
法科大学院に入学後、司法試験に合格するまでは、基本的に「勉強」するのみと考えておいた方が良いです。
大学生の頃は、授業後にアルバイトをしたり、休日や長期休暇の際にはどこかへ出かける等をしていたかとは思いますが、法科大学院では基本的にそのような時間はないと思っておいたほうが、ギャップが少ないでしょう。
さらに、多くの法科大学院生は、終日、自習室にて勉強をしています。
そのリズムや環境に慣れず、勉強時間が他の学生に比べて不足した場合には、留年の原因になる可能性が非常に高いです。
2 基本知識に誤解や抜け漏れがある
法科大学院の発展的な授業に気を取られて、基礎的な知識が不十分になることが留年のよくある原因の一つと考えられます。
法科大学院では、基礎的な知識は理解していることを前提に、発展的な議論が展開されますので、基礎的な知識に誤解や抜け漏れがあると、発展的な議論も全く理解できず、体系的な理解ができないままになってしまいます。
3 時間内に答案を書く練習ができていない
インプットするばかりで、時間内に答案を書く練習ができていないということも、留年の要因の一つとなります。
法科大学院では、1から丁寧に答案の作成方法を教えることはありません。ましてや、限られた時間内に答案を書く練習も、法科大学院の授業で行うことはないでしょう。
そのため、ご自身で時間を計り、時間内で初見の問題を解くという練習をしなければいけません。
4 条文選択の判断を大きく間違える
条文選択の判断を大きく間違えてしまうと、致命的なミスになります。
条文選択は慎重にしなければいけません。
争点のあてはめを的確にできるよう意識して学習しましょう。
留年を回避したい!後悔しないために、入試前からできること
では、留年を回避するために、法科大学院入試前からできることは何でしょうか。
1 基礎固めを徹底すること
入試前の段階で、基礎的な知識と理解をきちんと固めておくことをおすすめします。
法科大学院に入学後は、授業の予習・復習に忙殺され、基礎的な学習をする時間は限られてしまう傾向にありますので、入学前から基礎学習を進めておくことをおすすめします。
多くの方は、自分は基礎ができており、より発展的な議論に飛びつきがちです。ですが、法科大学院の試験はもちろん(教授の性格上、一部かなり発展的な問題が出題される場合もあるかもしれませんが)、司法試験や予備試験においても、常に問われているのは基礎的な知識と理解です。
基礎的な理解があっての発展的な学習であることを忘れないようにすることが重要です。
2 司法試験や予備試験のレベル感を掴んでおくこと
司法試験や予備試験のレベル感を把握しておきましょう。
今後、勉強を進めていく中で、ゴールとなる司法試験合格に必要な知識はどれくらいかを知ることで、日々の学習進捗を感覚的につかむことができます。
また、今の時点でどこまで理解すべきかどうかということも判断しやすくなるでしょう。
このような感覚を事前に身につけておくことで、法科大学院の授業においても、ある程度自らが情報の取捨選択をすることができるようになり、効率よく、法科大学院の授業を活用することができるようになります。
まとめ
以上をまとめると以下の通りです。
- 法科大学院の留年については、全体で3割~4割前後の割合
- 法科大学院を選ぶ時点で、留年率について把握すべきである
- 留年をしないためにも基礎的な知識・理解を徹底して行うこと等の対策をしておくことが重要
法科大学院を選ぶ上で、このコラムを参照して頂き、法科大学院の留年率について、把握したうえで大学院選びを進めることをおすすめします。
そして、留年を回避するための対策を今のうちから行うようにしましょう。
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