重要判例解説の内容と司法試験に向けた勉強での使い方
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「判例百選と重要判例解説は何が違うんですか?」
「重要判例解説まで手を出したほうがいいのでしょうか?」という疑問をよく耳にします。
結論からいいますと、近年の司法試験や予備試験の出題の傾向からして重要判例解説を読み込むことの重要性は高まっています。
そこでここでは重要判例解説の特徴や判例百選との違いを踏まえて、なぜ近年重要判例解説が司法試験との関係で重要度を増してきているのかを、解説します。
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重要判例解説の内容・特徴
重要判例解説は、多くの受験生に使用されている人気の高い判例集です。
基本7法に加え、租税法、労働法、経済法、知財法、国際法、国際私法の13法につき各年度に公開された最新の重要判例を10個前後ピックアップし解説がされています。
本書の構成としては、上記13法それぞれについて「当該年度の判例の動き」として1年間の判例の流れを俯瞰した後、ピックアップした各判例について「個別解説」がされています。
個別解説では、①事案の概要②判旨に加えて学者の先生や弁護士の先生が各判例の特徴や意義について解説する➂解説が掲載されています。
以上のとおり本書の構成は「判例百選」に類似しています(「判例百選」の構成については別でコラムがありますのでそちらを参照してください)。
判例百選との違い
判例百選との違いは2点あります。
ひとつは、判例百選はある1法について100個程度の判例が解説されている一方、重要判例解説は1冊で13科目すべての解説が最新判例に絞って各科目10個程度掲載されているという点です。
2点目は、判例百選が明治期~現在までの歴史の中で重要といえる判例をピックアップしている一方、重要判例解説はある年度に公開された最新の判例に絞っている点が挙げられます(したがって判例百選には掲載されていないような最新の判例まで掲載されています)。
重要判例解説の勉強への使い方
判例百選に掲載されていない最新の重要判例を確認する
重要判例解説の役割は「最新判例の確認」になります。
司法試験、司法試験予備試験ともに過去数年以内に判示されたような最新判例を題材とした問題が出題されることが非常に多いです。
例えば、平成31年(令和元年)の予備試験商法では平成29年の裁判例(東京地決平成29年9月26日)が題材として採用されていますし、同年の司法試験商法では平成30年の判例(京都地決平成30年3月28日)が題材になっています。
これらの判例は最新の判例百選が出版されて後に判示されたものなので判例百選には掲載されていません。
そのため判例学習との教材として判例百選のみを使用している受験生は知らない知識からの出題となったでしょう。
一方、上記裁判例はいずれも平成30年重要判例解説には掲載されています。
したがって判例学習として重要判例解説まで読み込んでいた人は余裕をもって解答することができたのではないでしょうか。
このように重要判例解説は判例百選に掲載されていないような最新の重要判例を確認するために使用するべきです。
重要判例解説のお勧めの使用方法
重要判例解説は先のとおり13法について各法10個前後の判例が掲載されています。
そのすべてを読み込もうと思うと100を超える判例を読み込まなくてはならず時間がかかってしまいます。
そこで重要判例解説を使用するときは範囲を絞って判例を読み込む必要があります。
近年の司法試験で最新判例が聞かれる傾向が強い科目は、①商法②刑法➂労働法です。
そこで重要判例解説を用いて最新判例の学習を進める際には13ある法律のうち①~➂の3法について読み込んでおくといいでしょう。
また個別判例の解説を読み込む時間がないという人は各法の解説の冒頭にある「当該年度の判例の動き」の部分だけでも目を通しておくことをおすすめします。
重要判例解説の評価
先のとおり重要判例解説は司法試験や司法試験予備試験の出題可能性が高まっている最新判例が掲載されている点が強みの教材になっています。
学習初期から最新判例の判旨や解説を読み込むという勉強をしても内容が理解できず苦しい勉強になっています。
そこで、重要判例解説は、各法の基礎が身についてすでに答練や過去問を通して問題演習をこなしている中~上級者向けの教材になっているといえます。
判例百選レベルの判例はもう十分に読み込んだという人や、司法試験や司法試験予備試験で上位合格を目指している人には是非手に取ってみるといいでしょう。
※関連コラム:【司法試験・予備試験】正しい判例集の使い方とおすすめ本7冊
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