司法修習の給料はいくら?足りない?バイトは可能?
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司法修習生になったら、「給料はいくら支給されるの?」「生活するのに十分もらえる?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
このコラムでは、司法修習生として約1年間過ごす間のお金事情について紹介したいと思います。
司法試験に合格した方や、今勉強中の方で、司法修習生になった後のお金のやりくりについて気になっている方はぜひご覧ください。
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司法修習の給料
司法修習生の給料は月額13万5,000円です。
また、月額3万5,000円の家賃補助がありますが、賞与などはありません。
給付金は、「司法修習生の修習給付金の給付」に関する規則という最高裁判所規則に基づいて給付されています。
給付金の種類には、
①基本給付(司法修習生に一律月額13万5,000円)
② 住居給(月額3万5,000円(修習期間中に住居費を要する司法修習生を対象))
③移転給付(国家公務員に支給される旅費法の移転料基準に準拠して支払)
の3種類があります。
司法修習生は国家公務員に準ずる身分を有するとされていますが、給付金は、労働の対価として支払われる「給与」ではなく、あくまで法曹人材確保の充実・強化の推進等を図るための「給付金」という扱いになります。
通常、国家公務員として勤務していれば支給される通勤手当、時間外手当、地域手当、扶養手当などの手当は支給されません。
給付金が支払われるのはこの3種類のみです。
※参考:司法修習生の修習給付金について
基本給付金.
基本給付金の額は、月額13万5,000円です。
給付期間は、最高裁判所で定められた期間で、約1年間です。
ただし、次の期間を含む給付期間は日割りによって計算した額を支給されます。
(1)通常修習期間の末日の属する給付期間
(2)司法修習生としての身分を保有しない期間
(3)修習停止期間
(4)司法研修所において修習(導入修習、集合修習)をするために住所又は居所の移転をした司法修習生が最高裁判所が設けた寮、自宅等に居住した期間
(5)上記(4)に準ずる期間として最高裁判所が定める期間
78期の場合、2025年3月から2026年3月までの13回払いで、月の途中から修習が始まる2025年3月と、月の途中で終わる2026年3月は日割り計算となります。
※参考:修習給付金案内(第78期)
住居給付金
住居給付金の額は、月額3万5,000円です。
自ら居住するため住宅を借り受け、家賃を支払っている場合で、最高裁判所の定める様式により届出をした場合に、給付期間ごとに支給されます。
つまり、実家から通う場合や、持家で家賃を支払っていない場合などには、支給されません。
基本給付金と同様、修習期間の末日の属する給付期間など定められた期間を含む給付期間については、日割りによって計算した額が支給されます。(以下参照)
(1) 通常修習期間の末日の属する給付期間
(2) 司法修習生としての身分を保有しない期間
(3) 修習停止期間
(4) 司法研修所において修習(導入修習、集合修習)をするために住所又は居所の移転をした司法修習生が最高裁判所が設けた寮、自宅等に居住した期間
(5) 上記(4)に準ずる期間として最高裁判所が定める期間
司法研修所において修習(導入修習、集合修習)をするために、いずみ寮など埼玉県和光市の司法研修所内の寮や自宅等に居住した期間などは支給の対象外です。
移転給付金
修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合で、最高裁判所の定める様式により届出が行われた場合に、最高裁判所の定める路程に応じた定額を支給してもらえる制度です。
最初に司法研修所での導入修習が終わった後、実務修習を行う各地方裁判所の所在地などに引っ越しをする場合に支給する手当です。
旅費ではなく、引越費用に相当するものといえます。
| 区分 | 支給額 |
| 鉄道50km未満 | 4万6,500円 |
| 鉄道50km~100km未満 | 5万3,500円 |
| 鉄道100km~300km未満 | 6万6,000円 |
| 鉄道300km~500km未満 | 8万1,500円 |
| 鉄道500km~1,000km未満 | 10万8,000円 |
| 鉄道1,000km~1,500km未満 | 11万3,500円 |
| 鉄道1,500km~2,000km未満 | 12万1,500円 |
| 鉄道2,000km以上 | 14万1,000円 |
司法修習の給料の手取り
給付金は、司法修習の給付金の手取額は、約12万5,000円程度と見込まれます。
所得税法上の給与所得ではなく雑所得に該当するため、所得税と住民税が課税されるため、支給額に比べて手取りは低くなります。
住居給付金や移転給付金は支給される修習生とされない修習生がいるため、これによっても手取りの金額は異なります。
給付金のうち移転給付金だけは非課税で、所得税などの税金がかかりません。
基本給付金と住居給付金は給与と異なり源泉徴収した上で支給されないため、自ら確定申告をします。
給付金は、給与とは異なり交通費などの必要経費が認められないため、確定申告時に控除できる経費はありません。
決してゆとりある生活ができる金額とはいえないでしょう。
司法修習中はバイトや副業は可能?
修習生には修習専念義務があり、原則アルバイトは禁止です。
ただし、最高裁判所に申請して認められた場合は行うことができます。
司法修習生が許可を受けて行っているアルバイトで最も多いのは、司法試験予備校の答案添削でしょう。
司法試験に合格した後、司法修習開始前から添削のアルバイトを始め、司法修習生の間継続するパターンが多いようです。
ただし、修習中の起案など、司法修習生の課題や試験に支障が出ないようこなす必要があります。
司法修習の給付金は足りない?リアルな生活とは?
多くの司法修習生は、自宅を離れて地方の実務修習地(各地方裁判所所在地)でアパートなどを借りて生活します。
実務修習を行う裁判所に通いやすい場所を借りることが多いです。
家賃の額は様々ですが、住居給付金の3万5,000円以下の物件を借りるのは難しいことがほとんどです。
また、自炊よりも外食が多くなりがちであること、交通費は支給されないことなどを考えると、基本給付金13万5,000円で生活するのは、難しいことも多いでしょう。
著者も司法修習を経験していますが、自宅から実務修習地に通っていたので、住居給付金は支給されず、自宅が遠く、定期代が高かったため、基本給付金だけでやりくりするのは難しい状況でした。
司法修習中は無利息の貸与制度あり!
給付金の他、最高裁判所が司法修習生に対し、月10万円(扶養親族がいる場合12万5,000円)修習専念資金を、無利息で貸与する制度があります(司法修習生に対する修習専念資金の貸与制)。
貸与を受けるには、最高裁判所に「貸与申請書」を提出する必要があります。
また、2人以上の保証人を立てる必要があります。
貸与期間は、通常、修習期間中の最大13カ月です。
返還は、修習終了後5年間は返還を据え置き、その後、10年間の年賦により返還します。
繰上返還も認められます。
返還を遅滞した場合や返還明細書を期限までに提出しなかった場合、提出された書類に虚偽の事実を記載して貸与を受けたことが判明した場合等には、期限の利益を喪失し、残額を一括返還する必要があります。
司法修習生は扶養から外れる?
司法修習生は修習給付金を支給される結果、社会保険の被扶養者から外れることになります。
それに伴い、市区役所又は町村役場の窓口において、国民健康保険及び国民年金に加入するための手続きが必要になります。
基本給付金と住居給付金については、確定申告する必要があります。
各種手続きについては、修習給付金案内をよく読んで確実に進めてください。
※参考:修習給付金案内(第77期)
健康保険の扱いは?
修習生給付金を受け取っている期間は、国民健康保険に加入して、国民年金の第1号被保険者になります。
現在、国民健康保険に加入している方は、採用後も同保険への加入を継続することになり
ます。
勤務先企業の健康保険組合等の被用者保険に加入している人や、家族が加入している保険制度(企業の健康保険組合等)の被扶養者として認定されている人については、国民健康保険への加入等の手続が必要となる場合がありますので、健康保険組合や市区町村等に問い合わせてみてください。
※参考:修習給付金案内(第78期)
司法修習の給料は昔と変わった?給与制廃止の背景は?
かつては、司法修習生には給与制が採用されており、月額20.42万円や諸手当が支給されていました。
その後、司法制度改革により、司法試験の合格者が増加し国家予算をひっ迫させるなどの事情から、2011年~2016年、貸与金制となり実質無給となっていました。
しかし、日弁連や法曹界から、司法修習生の生活困窮や、法曹界離れなどが問題視され、2017年以降、再度制度が変わり、現在の修習給付金が支給される制度となりました。
※参考:東京新聞
まとめ
司法修習生への給付金には、
①基本給付:一律月額13万5,000円
② 住居給:月額3万5,000円(修習期間中に住居費を要する司法修習生を対象))
③移転給付:国家公務員に支給される旅費法の移転料基準に準拠して支払い
の3種類があります。
決してゆとりある生活ができる金額とはいえないため、月10万円の無利息の貸与制度を利用する人も多いようです。
修習生には修習専念義務があり、原則アルバイトは禁止ですが、最高裁判所に申請して認められた場合は行うことができます。
司法修習生が許可を受けて行っているアルバイトで最も多いのは、司法試験予備校の答案添削です。
また、司法修習生は修習給付金を支給される結果、社会保険の被扶養者から外れることになります。
市区役所などの窓口において、国民健康保険及び国民年金に加入するための手続きが必要になります。また、基本給付金と住居給付金については、確定申告する必要があります。
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