社会福祉士と行政書士のダブルライセンスは、キャリアの幅を大きく広げられるためおすすめです。

行政書士資格を取得することで、社会福祉の観点だけでなく法律の観点からも依頼者をサポートできるようになり、これまでよりさらに踏み込んだサービスが可能になります。

当コラムでは、社会福祉士と行政書士のダブルライセンスについて、試験の難易度や仕事内容の違いを解説します。さらなるキャリアアップを狙いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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社会福祉士と行政書士のダブルライセンスはおすすめ?

社会福祉士と行政書士のダブルライセンスはおすすめ?

社会福祉士と行政書士は、ダブルライセンスにおすすめの資格です

実際に、行政書士に他資格を掛け合わせるダブルライセンスを検討する人は、一定数います。

アガルートの受講相談に寄せられた声を見ると、6.7%が「他資格と組み合わせて活躍の幅を広げたい」という志向を持っています。

※出典:アガルート行政書士講座 受講相談データ

特に、現在社会福祉士の資格をもっている人がさらにほかの資格を取得したいと考えた場合、行政書士は相性のよい資格といえます。

社会福祉士と行政書士を「相性がよい」といえる理由は以下のとおりです。

  • 行政書士試験は受験に年齢制限がないためいつからでも挑戦できる
  • 行政書士資格を取得することで、これまで以上に専門的な相談業務が行える

行政書士は、何歳からでも目指せる資格です。
40代以降の合格者が多く、令和7年度の本試験では半数以上が40代以上というデータもあります。

たしかに、法律を学んだことがない人にとってはハードルが高いかもしれません。しかし、「若くないと合格できないのではないか」「勉強しても覚えられないのではないか」といった心配は不要です。

また、行政書士の業務は書類作成がメインですが、相談業務も大きなウェイトを占めています。

社会福祉士は高齢者とかかわる機会が多いため、自然と成年後見制度や家族信託、相続といった相談をされることもあるでしょう。

行政書士資格を取得し行政書士登録を行えば、より踏み込んだ相談も可能になります。

社会福祉士が行政書士を取得すると何ができる?

社会福祉士が行政書士資格を取得することで、さらに独立しやすくなるでしょう。

社会福祉士の資格だけで開業する場合、なかなか収入が安定せず、経営が難しい可能性があります。社会福祉士が独立して成功するためには、「付加価値」が必要です。

社会福祉士が行政書士を取得することで、下記のような業務をできるようになります。

  • 社会福祉に関する問題だけでなく、法的な問題についても対処できるようになる
  • 社会福祉に関する手続きや申請をスムーズに行えるようになる
  • 法律にも明るくなるため、福祉・法律2つの観点からサポートできる

「社会福祉士であり、法律の専門家でもある」ことは、顧客にとって安心できる要素です。

「行政書士資格とのダブルライセンスであれば必ず成功する」というわけではありませんが、大きな付加価値になる点は大きな魅力といえるでしょう。

行政書士が福祉分野・介護分野でできる仕事

「行政書士は福祉や介護の分野でどんな仕事ができるのか」を具体的に見てみましょう。行政書士の中核業務は官公署に提出する書類の作成・手続きの代理(行政書士法第1条の3・第1条の4)であり、許認可や指定申請が多い福祉・介護業界はまさに行政書士の専門性が活きる分野です。

福祉分野の業務:障害福祉サービスの指定申請・成年後見など

福祉分野では、次のような業務があります。

  • 障害福祉サービス事業の指定申請:就労継続支援(A型・B型)、グループホーム(共同生活援助)、放課後等デイサービスなどの事業を始めるには、障害者総合支援法等に基づく指定を受ける必要があります。この指定申請書類の作成・手続きは、要件確認が複雑で専門家への依頼ニーズが高い業務です
  • 成年後見・家族信託・遺言相続:高齢者や障がいのある方の財産管理・生活を法的に支える業務です。行政書士は任意後見契約や遺言書の作成支援、相続手続きなどを担えるほか、日本行政書士会連合会が主導して設立した公益社団法人コスモス成年後見サポートセンターを通じて、成年後見人等として活動する行政書士もいます
  • 福祉系法人の設立支援:NPO法人や一般社団法人など、福祉事業の受け皿となる法人の設立手続きも行政書士の業務です

社会福祉士として培った相談援助の経験や福祉制度の知識は、これらの業務で依頼者の状況を理解し、適切な手続きへつなげる大きな強みになります。

介護分野の業務:介護事業所の指定申請・介護タクシー許可など

介護分野では、次のような業務があります。

  • 介護事業所の指定申請:訪問介護やデイサービス(通所介護)などの介護保険サービス事業を始めるには、都道府県や市区町村から介護保険法に基づく指定を受ける必要があります。人員基準・設備基準の確認から申請書類の作成まで、開業支援の中心となる業務です
  • 介護タクシーの許可申請:福祉車両で高齢者等を送迎する介護タクシーの開業には、道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可が必要です。許可要件の確認や申請書類の作成を行政書士が支援します
  • 法人設立+開業のワンストップ支援:介護事業は法人格が指定の要件となるため、株式会社・合同会社などの設立から指定申請までをセットで支援できるのが行政書士の強みです

なお、介護事業所で働く職員の労働保険・社会保険の手続きは社会保険労務士の業務であり、行政書士は扱えません。実務では社労士や税理士と連携して開業を支援するケースが多くあります。

福祉・介護分野は行政書士の中でも将来性のある専門分野

高齢化の進行により、介護・障害福祉サービスの事業所数は増加傾向にあり、指定申請や更新・変更届などの手続き需要も継続的に発生します。一方で、介護保険・障害福祉の申請実務は制度が複雑で、対応できる行政書士はまだ多くありません。

だからこそ、福祉の現場を知る社会福祉士が行政書士資格を取得すれば、「制度と現場の両方がわかる専門家」として差別化しやすいのです。冒頭で解説したダブルライセンスの価値は、この分野の専門特化と組み合わせることで最大化します。

社会福祉士と行政書士の難易度を比較

結論から述べると、社会福祉士試験よりも行政書士試験のほうが難易度が高いといえるでしょう。

資格名社会福祉士行政書士
合格率30~60%11~15%
勉強時間300時間程度1,000時間程度

合格率

社会福祉士国家試験の直近5年間の合格率は以下のとおりです。

年度受験者数合格者数合格率
令和7年度25,430人15,438人60.7%
令和6年度27,616人15,561人56.3%
令和5年度34,539人20,050人58.1%
令和4年度36,974人16,338人44.2%
令和3年度34,563人10,742人31.1%
参考:社会福祉士国家試験の受験者・合格者の推移|厚生労働省第 38 回社会福祉士国家試験の合格発表について | 社会福祉振興・試験センター

続いては、行政書士試験の直近5年間の合格率です。

年度受験者数合格者数合格率
令和7年度50,163人7,292人14.5%
令和6年度47,785人6,165人12.9%
令和5年度46,991人6,571人13.9%
令和4年度47,850人5,802人12.1%
令和3年度47,870人5,353人11.2%
参考:最近10年間における行政書士試験結果の推移|一般財団法人行政書士試験研究センター

試験の合格率だけでいえば、行政書士のほうが圧倒的に「難易度が高い」といえるでしょう。

しかし、社会福祉士国家試験には「福祉系大学等4年+指定科目履修」「一般大学等4年+一般養成施設等(1年以上)」といった受験資格がありますが、行政書士試験は「誰でも受験できる」試験です。

受験資格がなく、年齢・学歴・国籍関係なく受験できます。
例えば、行政書士は中卒や高卒の人でも受験でき、合格すれば行政書士資格を取得できます。

参考:試験の概要|一般財団法人行政書士試験研究センター

しかし、社会福祉士は中卒・高卒では受験できません。

合格率だけを見れば難易度に大きな差があるように思えますが、社会福祉士は受験のハードルが高く、行政書士試験は試験内容自体の難易度は高いものの、取り組みやすい試験であるといえます。

参考:社会福祉士国家試験|公益財団法人社会福祉振興・試験センター

合格に必要な勉強時間

行政書士試験に合格するためには、社会福祉士の2〜3倍の勉強時間が必要です

社会福祉士国家試験と行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、それぞれ以下のとおりです。

  • 社会福祉士国家試験:約300時間
  • 行政書士試験:約600〜1,000時間

行政書士の試験科目は社会福祉士の23科目と比べて少ないものの、出題範囲が広く、選択式だけでなく文章で回答する「記述式」の問題もあるため、時間をかけて繰り返し勉強する必要があります。

また、トータルで合格点に達していても、基準を満たせないと不合格になる「足切りライン」が設けられている点も、合格率が低い原因のひとつです。

この足切りによって、合格を逃す受験生は少なくありません。

行政書士試験の試験科目
行政書士の業務に関し必要な法令等行政書士の業務に関し必要な基礎知識
・憲法
・行政法
・民法
・商法、会社法
・基礎法学
・一般知識
・行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令
・情報通信、個人情報保護
・文章理解

▼足切りライン(合格基準)

  • 法令等で満点中122点以上
  • 基礎知識で満点中24点以上
  • 全体で180点以上

なお、勉強法別の必要な勉強時間は通信講座や予備校を利用する場合で600時間、独学で800〜1,000時間といわれています。

社会福祉士と行政書士の仕事内容

社会福祉士は高齢者や障害者などを対象とした相談・支援業務が中心で、行政書士は官公署への書類作成・申請代理が主な仕事です。

ダブルライセンスを持つことで、福祉的支援と法的手続きの両面からクライアントをサポートできるようになります。

社会福祉士の仕事内容

社会福祉士の仕事内容は以下のとおりです。

  • 身体的・精神的・経済的なハンディキャップを抱えており、日常生活に支障がある人の相談に乗ること
  • 福祉施設や医師、保健医療サービスの提供者などと連携し、社会福祉サービスが必要な人を支援すること

中心となる業務は、相談業務です。
高齢者や障害者、ひとり親家庭といった社会福祉サービスが必要な人に対し、相談、助言、指導を行います。

社会福祉士はさまざまな場所で求められており、例えば以下のような施設で活躍しています。

  • 医療機関
  • 養護施設
  • 児童福祉施設
  • 乳児院
  • 児童相談所
  • 母子生活支援施設
  • 学校
  • 介護施設
  • 地域活動支援センター
  • 福祉事務所
  • 市区町村役場
  • 民間企業

なお、どこで働くかによって以下のように職名が異なります。

  • 福祉施設:生活相談員・支援相談員
  • 病院:ソーシャルワーカー
  • 福祉事務所:ケースワーカー
  • 地域包括支援センター:社会福祉士

行政書士の仕事内容

行政書士の主な仕事内容は以下のとおりです。

  • 官公署に提出する書類の作成・代理
  • 権利義務に関する書類の作成・代理
  • 事実証明に関する書類の作成・代理
  • 相談業務

「官公署に提出する書類」とは、都道府県や市区町村などに提出する書類のことです。

主に許認可申請に関するものをいい、例えば建設業を営む際の「建設業許可申請」、飲食店を開業する場合の「飲食店営業許可申請」などがあります。

「権利義務に関する書類」には、例えば亡くなった人の相続財産をどのように分けるかについて記載する「遺産分割協議書」や、契約書が該当します。

契約書にはさまざまな種類があり、中でも作成する機会が多いものは以下のとおりです。

  • 売買契約書
  • 贈与契約書
  • 使用貸借契約書
  • 賃貸借契約書

そのほか、念書や示談書、内容証明、定款なども行政書士が作成できる書類です。

「事実証明に関する書類」とは、実地調査に基づいて作成する位置図や案内図、現況測量図などの図面関係、議事録などをいいます。

会計帳簿や貸借対照表、損益計算書といった財務諸表を作成することもあります。

相談業務をこなしながら、上記のような書類作成や申請代行などを行うことが行政書士の仕事です。

まとめ

社会福祉士と行政書士のダブルライセンスについて解説しました。

このコラムのまとめ

  • 社会福祉士と行政書士は相性のよい資格であるため、ダブルライセンスがおすすめ
  • 合格率だけを見ると行政書士のほうがはるかに難易度が高いが、受験資格がなく「誰でも受験できる」ため、取り組みやすい資格である
  • 社会福祉士合格のために必要な勉強時間「300時間」に対し、行政書士試験合格には「600〜1,000時間」の勉強が必要であるといわれている
  • 社会福祉士が行政書士資格を取得することで、さらに独立しやすくなる

行政書士資格を取得することで、社会福祉の観点だけでなく法律の観点からもサポートできるようになります。

活躍できるフィールドが広がり、より依頼者の心に寄り添った対応が可能になるでしょう。

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