独立開業に向いているといわれる職業のひとつである行政書士。

しかし、行政書士を目指している人の中には、「副業で行政書士の仕事ができるか気になっている」「副業でもできるなら、まずは副業から始めてみたい」と思っている人もいるのではないでしょうか。

当コラムでは、行政書士を副業にすることができるかどうかや、副業で行政書士をする場合のメリットと注意点について解説します。副業で行政書士を始める際の流れも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

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行政書士を副業にすることはできる?

会社員などの本業がある人でも、副業で行政書士の仕事をすることは可能です。

行政書士は独立開業に適した資格であり、パソコンなどの設備さえあれば在宅でもできる仕事であるためです。

ただし、副業で行政書士の仕事をする場合、メリットもある一方で難しい部分や注意点もあります。

関連コラム:行政書士とは?仕事内容・なり方・試験概要までまとめて解説!

副業で行政書士の仕事をするメリット

副業で行政書士の仕事をするメリットはたくさんあります。

  1. 収入を増やせる
  2. 独立開業など将来の準備ができる
  3. 視野を広げられる
  4. 失敗してもダメージが少ない
  5. 自宅で仕事ができる

1つずつ解説していきます。

1.収入を増やせる

副業として行政書士の仕事をすることで、収入の柱を増やせることは、大きなメリットといえるでしょう。

一昔前であれば会社員=安定というイメージでしたが、現在は会社員だからといって絶対に大丈夫とはいいきれません。

しかし、本業以外に収入源があれば、本業で会社の倒産や失業の危機に陥ったとしても無収入になるリスクは避けられます。

また、アルバイトをする場合と異なり、行政書士はパソコンやプリンター、電話などの設備が整っていれば自宅でも仕事ができるため、依頼が立て込んでいなければ自分のペースで働けます。

無理のない範囲で働き、本業に響かないよう調節することも可能でしょう。

関連コラム:行政書士の年収とは?平均年収&業務別報酬額の例を紹介

2.独立開業など将来の準備ができる

副業から行政書士を始めた場合、焦らずじっくりと将来に向けた準備ができます。

本業で収入を得ながら実務経験を積めるためです。

独立開業を視野に入れている場合でも、実務経験ゼロの状態で本業を辞めることに対し、不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

実際に、開業後しばらくは依頼がなく、思うように収入を得られない可能性もあります。

また、行政書士試験に合格したあと思いきって独立開業に踏み切ったものの、うまく事務所を経営できず、軌道に乗る前に廃業してしまうケースも少なくありません。

しかし、副業期間を活かし、今後専門分野として取り組んできたい分野を見極めたり、セミナーや研修会、異業種交流会などの集まりに顔を出し人脈を広げたりしておけば、いざ独立開業する際にもスムーズに始められるでしょう。

関連コラム:行政書士が独立開業するには?成功するためにやるべきこと4つ

3.視野を広げられる

副業という働き方によって、視野を広げられるというメリットもあります。

たとえ副業でも、行政書士として自分で依頼を受け事務所を経営していくことは、どこかに雇用されて働く場合とは環境も意識も異なります。誰かに指示されて動くのではなく、自分で考えて自分で責任を持って仕事をしていくことで視野が広がり、経験値が蓄積されていきます。

また、行政書士以外の仕事を経験し、さまざまな視点で物事を考えられるようになることは、行政書士の業務にも役立つかもしれません。

4.失敗してもダメージが少ない

副業として行政書士を始めた場合、もしうまくいかなかったとしても大きなダメージを受けずに済みます。

副業が振るわなくても、本業でこれまでどおり収入を得られるうえ、戻ろうと思えばまた元の生活に戻れるためです。

しかし本業を辞めて独立開業した場合は、すぐに依頼が入るとは限らないため、これまでよりも収入が減少したり、最悪の場合ゼロになってしまったりといったリスクがあります。

また、うまくいかなかったからといって元の職場には戻ることは簡単ではないでしょう

なかなか再就職先が決まらず貯蓄が尽きてしまった場合、生活できなくなってしまう可能性もあります。

独立開業を考えているものの、失敗がこわくて一歩が踏み出せないという人は、副業から始めてみるのもひとつです。

5.自宅で仕事ができる

自宅で仕事ができる環境を整えれば、自宅にいながら行政書士として働けます。

以下の設備があれば、自宅でも行政書士業務が可能です。

  • 事務スペース
  • 接客スペース
  • パソコン
  • プリンター・コピー機
  • 電話・FAX

会社員のように会社に出社するのではなく、在宅で仕事ができる点は大きな魅力であるといえるでしょう。

副業で行政書士の仕事をする際の注意点

副業で行政書士の仕事をする場合のメリットはたくさんありますが、注意しなければならないこともあります。

  1. 会社で副業が禁止されていないか確認する
  2. 行政書士資格で認められている業務の範囲を守る
  3. 本業と官公署の営業時間に注意する
  4. 本業も行政書士の業務も責任を持つ
  5. 確定申告を適切に行う
  6. 行政書士として働ける場所が限られている

1つずつ解説していきます。

1.会社で副業が禁止されていないか確認する

勤めている会社で副業が禁止されていないかを確認する必要があります。

全体的に副業を解禁する企業は増えていますが、すべての企業が副業を認めているわけではないためです。

副業が禁止されている場合、企業側に副業がバレれば減給や懲戒免職などのペナルティを受ける可能性があるため注意が必要です。

なお、バレないよう隠れて副業をしていても、確定申告のあと住民税の課税額が通知されることで副業がバレてしまう可能性があります。

副業として行政書士の仕事をしたい場合は、副業禁止の問題をクリアにしたうえで堂々と始めることをおすすめします。

2.行政書士資格で認められている業務の範囲を守る

行政書士は、行政書士資格で認められている範囲で業務を行わなければなりません

その範囲から外れてしまうと、弁護士法や司法書士法、税理士法などといった法律に抵触してしまうおそれがあるためです。

例えば、多くの行政書士が扱う業務に相続業務がありますが、行政書士は相続に関するすべての業務を行えるわけではありません。

遺産分割協議がまとまった案件の遺産分割協議書を作成することは可能ですが、依頼人の代理人として遺産分割協議を行うことはできず、登記の申請や相続税の申告なども行えません。

たとえ副業でも行政書士を名乗るのであれば、業務として扱おうとしている分野について、行政書士がどこまでできるかを理解しておく必要があります。

3.本業と官公署の営業時間に注意する

官公署の業務時間である平日の8:30〜17:15に、副業の時間を確保できるかどうかも重要です。

行政書士として仕事をする場合、切っても切り離せないのが官公署との関わりであるためです。

例えば許認可申請を行う際、業務によっては役所の各担当部署への問い合わせや申請手続き、補正などを行う必要があります。

問い合わせだけであればメールでも済ませられますが、申請や補正には直接出向かなければならず、官公署の業務時間内に時間を作れない場合は申請が進みません。

手続きが遅れれば依頼主に迷惑がかかり、「仕事が遅い」という印象を持たれてしまえば二度と仕事を依頼してもらえなくなります。

扱う業務にもよりますが、状況に合わせて平日に休みを取れる体制を作っておいたほうがよいでしょう。

4.本業も行政書士の業務も責任を持つ

行政書士の仕事を副業で行う場合、本業にも行政書士業務にも責任を持って取り組む必要があります。

副業を行うことや本業が別にあることは職場や依頼主にとって関係なく、すべて自分の都合であるためです。

たとえ副業でも「副業だから」というようないい加減な気持ちで取り組むのではなく、いち行政書士として真摯に向き合う必要があります。

依頼を受けておきながら「本業が忙しくて着手できない」「依頼主からの電話に出られず折り返しもできない」などもってのほかです。

また、本業でも「副業しているせいで疲れていてミスをしてしまった」などということがないようにしなければなりません。

厳しいようですが、本業と副業を両立できないのであれば副業を行うべきではないでしょう。

5.確定申告を適切に行う

行政書士に限らず、副業で得た所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。

日ごろから帳簿をつけ、備品を購入した際のレシートはすべて残しておきましょう。

また、請求書や領収書などは依頼主に送る前にすべてコピーやスキャンをとり、紙ベースで管理する場合はファイルなどにまとめておきましょう。

確定申告と聞くと複雑で面倒な印象を持つかもしれませんが、行政書士の業務では仕入れが発生するわけではないため内容は非常にシンプルです。

ただし処理を溜めてしまうと確定申告の際に困るため、定期的に処理する習慣を付けるとよいでしょう。

確定申告をすべきであるにもかかわらず怠った場合は、脱税になってしまうため要注意です。

6.行政書士として働ける場所が限られている

行政書士として働ける場所は限られています。

行政書士会への登録が認められているのは、以下の4つの働き方のみです。

  • 自分で個人事務所を開業する
  • 行政書士法人の社員として働く
  • 行政書士の使用人として働く
  • 行政書士法人の使用人として働く

つまり、一般企業に行政書士として勤めることはできません

副業で行政書士の仕事をするためには、自分で個人事務所を立ち上げるか、よその個人事務所や行政書士法人に所属する必要があることを念頭に置いておきましょう。

行政書士 副業で可能な業務内容

行政書士の業務は実に幅広く、多岐にわたります。そのため、ある程度分野を絞って取り組むことをおすすめします。

特に副業として取り組む場合は、副業で扱いやすい業務を選択するべきでしょう。以下のような業務は、比較的副業で扱いやすい業務といえます。

相続業務

相続業務は副業でも扱いやすい業務です。

なぜなら、相続の際に必要な戸籍や附票などの証明書は郵送での請求が可能であり、役所に直接赴かずとも取得できるためです。

また、依頼主との面談も、依頼主が平日働いている人であれば週末のほうがかえって都合がよい場合があります。

そのため、平日動けない人でも扱いやすい業務だといえるでしょう。

ただし、証明書を郵送請求する場合はどうしても日数がかかります

遠方の場合は仕方ありませんが、急ぎの案件で戸籍が近場で揃えられるようなケースは、平日に都合をつけて直接役所に出向く必要があるでしょう。

関連コラム:行政書士の「相続」に関する仕事とは?できること・できないこと・報酬について解説

車庫証明業務

車庫証明業務も、副業で扱いやすい業務のひとつとして挙げられます。

車庫証明業務は、郵送でのやりとりが可能な業務であるためです。

それほど難易度も高くなく、申請書類をミスなく作成できていれば問題なく通るケースがほとんどです。

また、イレギュラーが発生しにくく依頼主との打ち合わせも特に必要ないケースが多いため、依頼主とのやりとりも電話や郵送で完結できます。

そのため、平日の日中は本業がある人やまとまった時間を捻出するのが難しい人でも扱いやすい業務だといえます。

補助金申請業務

副業でも扱いやすい業務のひとつに、補助金申請業務があります。

依頼者からヒアリングする必要があるため、依頼者の都合によっては平日に連絡が取れるように調整する必要がありますが、申請書や経営企画書、事業計画書などの作成が時間や場所を問わず行える点は副業に向いているといえるでしょう。

注意すべきことは、補助金業務の報酬は採択された場合に報酬を受ける成功報酬が一般的であるという点です。

成功報酬の場合は申請が通らなければ報酬が受けられないため、コツを掴むまでは割に合わないと感じるかもしれません。

副業で行政書士の仕事をするまでの流れ

副業として行政書士の仕事をする場合も、行政書士を本業にする場合も、流れは下記の通りです。

試験に合格する→行政書士登録をする→開業届を提出する

行政書士資格は働きながら取得を目指す人が多い資格ですが、本業がある人は、上記を働きながら行う形となります。本業については士業事務所の補助者やまったく異なる業種で働いている人など人それぞれです。

関連コラム:働きながら行政書士合格は可能?社会人が合格するためのポイントとは

行政書士として働くまでの基本の流れについて復習しておきましょう。

試験に合格する

行政書士として仕事をするためには、副業、本業にかかわらず行政書士資格が必要です。

行政書士資格を取得する方法はいくつかありますが、行政書士試験に合格することがもっとも一般的な方法です。

行政書士試験の合格率は10〜15%程度と低く、決して簡単な試験ではありません。しかし、正しく学習すれば合格できる試験でもあります。

関連コラム:行政書士の試験内容とは?試験科目・出題形式・科目別対策法を徹底解説!

なお、弁護士や税理士などの有資格者や、17〜20年以上公務員として行政事務の経験がある人は、行政書士試験を受験することなく行政書士登録が可能です。

関連コラム:公務員なら行政書士試験を受けなくても資格を取得できる?理由と現実性

行政書士登録をする

本業であっても副業であっても、行政書士として働く場合は、行政書士試験に合格後、行政書士登録をする必要があります。

行政書士登録をする際は、開業を予定している都道府県の行政書士会に行政書士登録申請書や必要書類を提出しましょう。

申請後は審査が行われ、無事完了すれば行政書士として名簿に登録されます。

必要書類や入会金については行政書士会によって異なるため、管轄の行政書士会のホームページを確認しておきましょう。

なお、副業として行政書士業務を行う場合は誓約書の提出など、やはり管轄の行政書士会により別途の書類が必要になる場合がありますので、しっかりと確認のうえ準備しましょう。

関連コラム:行政書士登録しないとどうなる?合格後半数以上が登録しない理由

開業届を提出する

行政書士登録が完了したら、事務所を管轄する税務署に開業届を提出します。

たとえ副業でも、開業届は必要です。

所得税法により、提出期限は事業開始から1か月以内と決められているため、期限内に提出するようにしましょう。

ただし、個人の行政書士事務所や行政書士法人で雇用されて働く場合は、開業届を提出する必要はありません

まとめ

以上、副業で行政書士の仕事をする場合のメリットや注意点などについて解説しました。

行政書士の副業まとめ

  • 行政書士を副業にすることは可能
  • 副業のメリットは多いが、注意点も多い
  • 副業として取り組む場合は、副業で扱いやすい業務を選択することがおすすめ
  • 副業であっても行政書士として働くまでの流れは行政書士試験合格→行政書士登録→開業届提出の流れで準備する

副業として行政書士の仕事をしたい人も独立開業したい人も、まずは行政書士試験に合格しましょう。

行政書士試験は合格できない試験ではありませんが、正しく学習しないと合格できない試験でもあります。

働きながら試験合格を目指すなら、通信講座がおすすめです。

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この記事の監修者 東 優 講師

東 優 講師
アガルートアカデミー 行政書士 実務・開業講座担当

経歴
・優(ゆう)オフィスグループ代表。
  行政書士法人優(ゆう)総合事務所  代表社員・行政書士。
・名古屋市社会福祉協議会勤務
・平成17年 個人事務所を名古屋にて開設
・平成25年 行政書士法人化し、池袋、品川、名古屋にて業務を行う。

指導校
2007年~2012年
愛知県行政書士会にて相続・遺言実務研修会講師
2013年~2016年
東京リーガルマインドにて実務家講演会講師
2016年~2021年
Gネット関東にて相続・遺言実務研修会講師
その他、一般市民向けの相続、遺言、後見、終活セミナー講師多数

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