行政書士と日商簿記1級(以下、簿記1級)はほぼ同じ難易度で、合格率・勉強時間のいずれにも大きな差がありません。一方、日商簿記2級(以下、簿記2級)は行政書士より明確に取得しやすい資格です。

本記事では、行政書士と簿記1級・2級の難易度を詳しく比較します。

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行政書士と簿記1級・簿記2級の難易度をまとめて比較

行政書士と簿記1級・簿記2級の難易度をまとめて比較

行政書士・簿記1級・簿記2級の3資格は、合格率・勉強時間を比べると難易度の差が一目で分かります。

特に簿記2級だけが、他の2資格より明確に易しい位置付けです。

資格合格率勉強時間
行政書士10~15%600〜1,000時間
簿記1級15%前後500〜700時間
簿記2級20%前後200時間程度
※一次情報:一般財団法人行政書士試験研究センター
※一次情報:商工会議所の検定試験(簿記1級受験者データ)
※一次情報:商工会議所の検定試験(簿記2級受験者データ)

3資格の中でどれを選ぶかは、この一覧をもとに次章から詳しく見ていきます。

行政書士と簿記1級はどちらが難しい?

合格率・勉強時間の3つの観点で比較すると、行政書士と簿記1級の難易度はほぼ同水準です。

計算が得意か、法律の読解が得意かによって感じ方が変わります。

合格率で比較

行政書士試験の合格率は10~15%なのに対し、簿記一級の合格率は15%前後となっており、合格率だけを見ると行政書士と簿記1級の間に大きな差はありません。

また、行政書士試験は年1回しか実施されないため、1回の受験機会にかかる重みが大きい試験です。簿記1級は年2回の受験機会があり、1年で2回チャレンジできる点が異なります。

この受験機会の多さは、簿記1級を再受験する際の負担を軽くします。

合格率の数値だけで判断すると、試験の性質の違いを見落としかねないため注意してください。

必要な勉強時間で比較

行政書士の合格に必要な勉強時間の目安は600〜1,000時間、簿記1級の合格に必要な勉強時間は500〜700時間とされており、簿記1級の方がやや短く済む傾向があります。

行政書士は法令科目の学習範囲が広く、条文理解に要する時間が長めです。憲法・民法・行政法・商法・会社法など、覚える法律の数自体が多い試験となっています。

一方、簿記1級は2級までの計算力が土台にあれば、学習時間を圧縮できることが要因です。

簿記の学習経験が無い人は、2級・3級の内容から積み上げる時間も加味しましょう。

簿記の実務経験がある社会人にとっては、簿記1級の学習時間はさらに短縮できる場合がありますが、反対に法律の学習経験が無い人にとっては、行政書士の暗記量が最初の壁になりやすい傾向です。

簿記1級と行政書士はどっちが難しいか

合格率・勉強時間のいずれも大差が無いことから、簿記1級と行政書士の難易度はほぼ同水準です。

法律の条文や長文の読解が得意な人には、行政書士の方が易しく感じられる傾向にありますし、計算や数字の処理が得意な人には、簿記1級の方が易しく感じられる傾向にあります。

行政書士と簿記1級の難易度は、一方的な優劣では語れません。自分の得意分野を軸に、どちらの試験が向いているかを考えることが判断の近道です。

なお、受験経験の有無や職務経歴によっても、感じる難易度には個人差があります。

どちらの資格も、独学での合格には相応の学習計画が求められる難関資格です。迷った場合は、次章の試験内容の違いも判断材料に加えるとよいでしょう。

行政書士と簿記1級の試験内容・出題形式の違い

行政書士と簿記1級は、出題形式そのものにも違いがあります。

数値だけで難易度を判断すると、実際に学習を始めたときの負担感を見誤ります。

行政書士試験の特徴

行政書士試験は、法令等46題と基礎知識(旧・一般知識等)14題で構成されています。

法令等は憲法・民法・行政法・商法・会社法など、幅広い法律分野から出題され、基礎知識は政治・経済・社会や情報通信・個人情報保護、行政書士法等の諸法令を含む構成です。

また、記述式問題は3問出題され、各問の解答は約40字程度です。択一式だけでなく、自分の言葉で条文の趣旨を書く記述力も求められます。

試験は年1回、11月第2週の日曜日に実施されます。

行政書士試験は、法律の条文理解と長文の記述力が問われる試験です。出題範囲が広いため、暗記量の多さが学習の壁になりやすい試験となっています。

足切り点があるため、不得意な科目があると不合格になりかねません。

簿記1級試験の特徴

簿記1級試験は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目で構成されています。商業簿記・会計学は企業の財務諸表を扱い、工業簿記・原価計算は製造業のコスト計算を扱う科目です。

さらに、各科目は25点満点で、合格ラインは100点満点中70点以上です。

1科目でも40%未満の得点だと、不合格となる足切り制度があります。得意科目で高得点を取っても、苦手科目が1つでもあると合格が難しくなる仕組みです。

試験は年2回、6月と11月に実施されます。試験時間は商業簿記・会計学90分、工業簿記・原価計算90分の合計180分となっています。

簿記1級試験は、高度な計算力と会計理論の理解が問われる試験です。計算のスピードだけでなく、連結会計など理論の理解も問われる点が2級までとの違いといえるでしょう。

行政書士と簿記2級はどっちがおすすめ?

行政書士と簿記2級は、難易度の差が大きく、選び方の基準も異なります。

難易度を比較

行政書士は合格率10~15%・勉強時間600〜1,000時間なのに対し、簿記2級は合格率20%前後・勉強時間200時間程度と、簿記2級は行政書士より明確に取得しやすい資格です。

また、簿記2級は商業簿記・工業簿記の2科目で、行政書士のような法律科目はありません。学習範囲の広さの違いも、両資格の難易度差につながっています。

初めて資格取得に挑戦する人にとって取り組みやすい部類の試験で、働きながらでも数か月程度の学習で合格を狙える点が簿記2級の特徴です。

簿記2級はネット試験にも対応しており、統一試験より受験機会が多い点も特徴となります。

目的別におすすめなのはどっち

独立開業や法律実務に関わりたい人には、行政書士がおすすめです。

また、経理・会計の実務スキルを短期間で習得したい人には、簿記2級がおすすめです。会社設立の相談を受ける機会が多い人は、決算書を読む力の土台として簿記2級が役立ちます。

両方に関心がある場合は、先に簿記2級を取得して基礎を作るのがおすすめ。簿記の基礎知識があれば商法・会社法の理解も深まるため、行政書士試験の学習負担を分散できるでしょう。

行政書士と簿記のダブルライセンスは実務で役立つか

ダブルライセンスは必須ではありませんが、業務の幅を広げる効果があります。

行政書士業務では、取引先や依頼者の決算書を読む場面があります。事業計画書の収支計画を作成する場面も少なくありません。

その際、簿記の知識があると、決算書の数値を正確に読み取れます。事業計画書の作成支援でも、説明の精度が上がるでしょう。

また、会社設立支援では、資本金や資金計画の相談を受ける場面が多くあります。簿記の知識があれば、資金計画の数値を具体的な根拠とともに説明することが可能です。

相続関連業務も、簿記の知識が財産目録の作成で活きる場面の一つです。許認可申請の書類作成でも、事業者の財務状況を把握しておくと説明がスムーズになります。

このようにダブルライセンスを取得することで、活躍の場を大きく広げることができるでしょう。

行政書士・簿記どちらを取得すべきか判断基準

行政書士と簿記のどちらを取得すべきかは、次の3パターンで判断可能です。

  1. 法律の仕事で独立・活躍したい人は行政書士を選ぶ
  2. 経理・会計分野で実務スキルを積みたい人は簿記を選ぶ
  3. 両方の強みを活かしたい人は簿記2級から行政書士の順で選ぶ

まず1つ目は、開業して法律の専門家として活動したい人向けの選択です。

2つ目は、企業の経理職や会計事務所での実務スキルを重視する人向けの選択となります。簿記であれば、簿記2級からのステップアップという進め方も可能です。

3つ目は、行政書士の業務範囲を会計面からも広げたい人向けの選択です。簿記2級から行政書士へ進むと、易しい資格から難しい資格へ段階的に学習できます。

どのパターンでも、独学か講座かの学習方法選びが合格までの期間を左右します。自分が目指すキャリアと照らし合わせて選ぶとよいでしょう。

まとめ

行政書士と簿記1級は、合格率・勉強時間のいずれも大差が無く、難易度はほぼ同水準です。簿記2級は行政書士より易しく、取得しやすい資格となっています。

ダブルライセンスは、決算書の読解や資金計画の説明など、実務の幅を広げます。目的に応じてどちらを選ぶか、あるいは両方を目指すかを検討するとよいでしょう。

まずは本記事の比較表を参考に、自分の得意分野から検討を始めてみてください。

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