司法試験・予備試験受験生が行政書士試験を受けるメリットは主に3つあります。

  • 行政書士試験に合格すれば自信につながる
  • 試験科目がほぼ重なっている
  • 司法試験を諦めた場合でもこれまでの学習が役に立つ

本記事では、これらのメリットに加えて両試験の違いや逆に行政書士から司法試験を目指す方法、受験に関するよくある疑問も解説します。

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司法試験・予備試験受験生が行政書士を受けるメリット

司法試験・予備試験受験生が行政書士を受けるメリット

司法試験・予備試験受験生が行政書士を受けるメリットは以下のとおりです。

  • 行政書士試験に合格すれば自信につながる
  • 試験科目がほぼ重なっている
  • 司法試験を諦めた場合でもこれまでの学習が役に立つ

1.行政書士試験に合格すれば自信につながる

行政書士試験は法律系資格の中でも難関であり、合格することで自分の実力を客観的に証明できます。

難関資格を目指す受験生にとって、合格実績による精神的な安定は司法試験・予備試験の本番でも大きなアドバンテージになるでしょう。

難関資格を目指す人にとって、精神状態が安定していることは非常に重要です。

2.試験科目がほぼ重なっている

行政書士試験の試験科目(憲法・民法・行政法・商法・一般知識等)は司法試験・予備試験の学習内容とほぼ重複しており、得点配分の約80%(300点中236点相当)をカバーできます。

そのため、司法試験受験生はほぼ追加負担なく行政書士試験の対策が可能です。

実際に、行政書士試験をより上位の資格へのステップとして受ける人は一定数います。

アガルートの受講相談に寄せられた声を見ると、約4%(4.1%)が「司法書士や予備試験など、上位資格への足がかりにしたい」と回答しており、試験科目の重なりを活かして次の資格へ挑戦しようと考える人もいます。

※出典:アガルート行政書士講座 受講相談データ

また、難易度も司法試験と比較すれば易しいといえるでしょう。

一方、行政書士試験と比較されることの多い司法書士試験の場合、不動産登記法や商業登記法といった主要科目を新たに学ばなければならないため、司法試験受験生にとっては負担が大きくなります。

難易度についても、司法書士試験は合格率5%程度なので、司法試験受験生にとっても決して易しいものではありません。

以下の動画では、アガルート講師が司法試験受験後に、行政書士試験を受けるのがおすすめな理由を紹介しています。

3.司法試験を諦めた場合でもこれまでの学習が役に立つ

行政書士試験は司法試験の受験科目と大きく重複するため、司法試験から撤退した場合でも、これまでの学習がそのまま行政書士合格という形で結実します。

行政書士資格を取得すれば独立開業という具体的な進路も開けるため、気持ちを切り替えて新たなキャリアを歩みやすくなるでしょう。

司法試験と行政書士試験の違いは?

司法試験は弁護士・裁判官・検察官になるための最難関国家試験であり、行政書士試験は官公署提出書類の作成を業務とする行政書士になるための国家試験です。

両者は目的・難易度・業務範囲の点で大きく異なります。

合格後の進路の違い

司法試験合格後は、弁護士、裁判官、検察官のいわゆる「法曹三者」になるのが基本的な進路です。

弁護士の進路には、法律事務所への勤務や独立開業という選択肢以外にも、企業内弁護士として活躍する人が近年増加しています。

また、司法試験合格後に必ず法律家になるとは限らず、その知識や経歴を生かして政治家や実業家、ジャーナリスト、コンサルタントなどになる人もいます。

行政書士試験合格後は、独立開業、行政書士事務所勤務、一般企業勤務などの進路が考えられます。

独立開業しやすいことが魅力の資格であるため、社会人経験がある場合には資格取得後にすぐ独立開業する人も比較的多いといえます。

一方、スキルアップのために資格を取得するものの、行政書士業務を行わない人も多く、会社員などを続ける人もいます。

弁護士と行政書士の仕事内容の違い:行政書士が代理人になれる範囲

弁護士は、あらゆる事件において代理人となり、訴訟や交渉などを通して紛争解決を図ることができるため、業務範囲が非常に広いといえます。

一方、行政書士は官公署などに提出する書類の作成、代理等が主な仕事であり、紛争性のある事件では代理人となることはできません。

そのため、行政書士が行う仕事は、弁護士が紛争解決であるのに対して、紛争を予防するための手続きとなる場合が多いでしょう。

行政書士は弁護士のように裁判業務を行うこともできません。

ただし、行政書士のメインの仕事である許認可申請業務は1万種類以上あるとされており、業務は多岐にわたります。

「行政書士は代理人になれない」と誤解されることがありますが、正確には代理人になれる範囲が法律で決まっています。行政書士は、官公署に提出する書類の提出手続の代理、聴聞・弁明の機会の付与の手続における意見陳述の代理、契約書などの書類を代理人として作成することができます(行政書士法第1条の4)。また、所定の研修を修了した特定行政書士であれば、許認可等に関する審査請求などの不服申立て手続の代理も可能です。

一方、訴訟の代理人になることはできません。紛争性のある法律事件の代理は弁護士だけに認められた業務であり(弁護士法第72条)、ここが弁護士と行政書士の最も大きな違いです。

弁護士と行政書士のなり方の違い

弁護士になるためには、司法試験に合格する必要があります。

司法試験を受ける前提として、法科大学院で法学未修者は3年間、法学既修者は2年間の課程を修了するか、予備試験を受験して合格する必要があります。

方、行政書士になるためには行政書士試験に合格する方法が原則です。

その他、試験が免除される方法もあります。

公務員として通算17年(高卒の場合は20年)以上の行政事務の職務経験がある場合や、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士のいずれかの資格を持っている場合です。

これらの資格を取得すると、自動的に行政書士資格も取得できるため、他士業との兼業者も多く存在します。

行政書士から司法試験・予備試験に挑戦して弁護士を目指せる!

ここまでは司法試験受験生が行政書士試験を受けるメリットを解説しましたが、逆に行政書士(試験合格者・有資格者)から司法試験に挑戦して弁護士を目指すこともできます。行政書士試験の学習で法律の土台ができている分、ゼロからのスタートよりも有利に挑戦できるルートです。

行政書士から弁護士になるルートは2つ

司法試験には受験資格があり、行政書士資格の有無にかかわらず、次のいずれかを満たす必要があります(司法試験法第4条)。

  1. 予備試験ルート:司法試験予備試験に合格する。受験資格の制限がなく、働きながら最短で弁護士を目指せるルートです
  2. 法科大学院ルート:法科大学院の課程を修了する(所定の単位を修得し1年以内に修了する見込みがあれば、在学中に受験できる制度もあります)

いずれの受験資格も、取得から5年間という受験期間の制限があります。社会人として行政書士業務を続けながら目指すなら予備試験ルート、腰を据えて学習に専念できるなら法科大学院ルート、という選び方が一般的です。

行政書士試験の学習はどこまで活きる?新たに必要な科目

行政書士試験の主要科目である憲法・民法・行政法・商法(会社法)は、予備試験・司法試験でも出題される中核科目です。特に配点の大きい民法と、多くの受験生が苦手とする行政法を学習済みであることは、大きなアドバンテージになります。

一方で、新たに学習が必要になる科目・対策もあります。

  • 刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法:行政書士試験にはない科目です
  • 論文式試験:知識を答案として構成する訓練が必要で、択一中心の行政書士試験とは求められる力が異なります
  • 法律実務基礎科目(予備試験):要件事実や法曹倫理など実務寄りの内容です

「知識ゼロの科目を潰しながら、論文の書き方を身につける」のが行政書士合格者の主な課題になります。詳しい勉強法は「司法試験予備試験に1年合格する勉強法とスケジュール」も参考にしてください。

行政書士資格を持ってパラリーガルとして働く選択肢

「いきなり開業や司法試験ではなく、まず法律の現場で働きたい」という方には、法律事務所でパラリーガル(法律事務職員)として働く選択肢もあります。

パラリーガルになるために必須の資格はありません。そのうえで、行政書士試験の合格は法律の基礎知識の証明になるため、応募時のアピール材料の一つになります。ただし、パラリーガルの業務は訴訟手続のサポートが中心で、行政書士試験では扱わない訴訟法の知識が重視される点は押さえておきましょう。

パラリーガルとして働きながら予備試験を目指せば、弁護士の仕事を間近で見て実務感覚を養いつつ学習を続けられます。行政書士登録をして実務経験を積む道と並ぶ、「働きながら弁護士を目指す」現実的なルートの一つです。

司法試験と行政書士試験Q&A

司法試験受験生から多く寄せられる疑問は以下のとおりです。

  • 行政書士試験の勉強をしなくても合格できる?
  • 行政書士になる気はなくても受験すべき?
  • 弁護士を諦めて行政書士になる人は多い?

Q1.行政書士試験の勉強をしなくても合格できる?

A.合格できる人もいますが、そうでない人もいます。

行政書士試験の受験科目は、司法試験の学習歴があればほぼカバーでき、難易度も司法試験よりは易しいです。ただし、出題形式や傾向には独自のものがあるため、過去問を解くなどの対策は必要です。

Q2.行政書士になる気はなくても受験すべき?

A.メリットがあると感じる人にとっては受験を検討することをおすすめします。

行政書士試験に合格しても、必ず行政書士になるとは限りません。

自分の実力を試すため、スキルアップを目指すために受験する人も多数います。

司法試験受験生にとっては、行政書士試験に合格することで自信につながったり、将来のための保険ができたりというメリットはあるでしょう。

Q3.弁護士を諦めて行政書士になる人は多い?

A.比較的多いといえます。

弁護士を目指していた人は、法律に関わる仕事をしたいと望んでいることが多く、法律系資格の中では比較的合格しやすい行政書士になるケースは多いといえます。

同じ理由で司法書士を目指す人も多いものの、司法書士試験は司法試験受験生になじみのない不動産登記法、商業登記法が主要科目に入っていることもあり、新たに真剣に勉強に取り組まなければ合格することはできません。

これ以上時間を無駄にはできないという人には、行政書士の方が短期間で合格しやすいといえるでしょう。

Q4. 行政書士の資格があると司法試験・予備試験で有利ですか?

A. 試験制度上の優遇(科目免除など)はありませんが、憲法・民法・行政法・商法の学習経験はそのまま活き、大きなアドバンテージになります。刑事系科目や論文式の対策を上乗せすれば、ゼロからの受験生より有利に戦えます。

Q5. 行政書士はパラリーガルとして働けますか?

A. 働けます。パラリーガルに必須の資格はなく、行政書士試験の合格は法律知識の証明としてアピール材料になります。ただし実務では訴訟法の知識が重視されるため、資格だけで採用が決まるわけではありません。

Q6. 行政書士は裁判の代理人になれますか?

A. なれません。訴訟代理は弁護士の業務です(弁護士法第72条)。行政書士が代理人になれるのは、官公署への提出手続や聴聞手続、契約書の代理作成など行政書士法第1条の4に定められた範囲で、特定行政書士であれば不服申立て手続の代理も可能です。

まとめ

今回は、司法試験・予備試験受験生が行政書士試験を受けるメリットを解説しました。

  • 行政書士試験に合格すれば自信につながる
  • 試験科目がほぼ重なっている
  • 司法試験を諦めた場合でもこれまでの学習が役に立つ

司法試験受験生にとって、精神的に安定していることは非常に重要です。

行政書士試験に合格することで、努力が報われる経験をして自信につながればアドバンテージになるのではないでしょうか。

行政書士になることが最終目標ではない人にとっても、受験を検討してみる価値は高いといえるでしょう。

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この記事の監修者 相賀 真理子 講師

北海道放送・テレビ神奈川の元アナウンサー。

家業の不動産業にも深く関わり、現在、不動産専門行政書士としても活動中。

元アナウンサーの表現力で「つまらない・わかりづらい」を「面白い・聴きやすい」に変え、最小の努力でしっかり合格を目指す「リケ女ならではの」合理的な講座を提供します。

Twitter:@marikoaiga
ブログ:相賀 真理子のブログ

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