民法上、法律行為が無効や取消となるケースがあります。また、契約の解除という概念もたびたび登場します。

これらの概念は、効果の点からみると似ている制度ですが、それぞれが用いられるシチュエーションは全く異なるものです。そのため、特に初学者の方の「つまずきポイント」になることも少なくありません。

そこで、今回の記事では、無効と取消と、解除にスポットを当てて、これらを混同しないように、わかりやすく解説します。

勉強開始から間もない方や、これから、契約の取消や無効、解除を主張することを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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無効と取消と解除とは?

無効と取消、解除は何が違うのでしょうか?

まずは無効、取消、解除のそれぞれの意味を確認しましょう。

無効とは

無効とは、法律行為にはじめから効果が認められないことです。

ここでいう「法律行為」とは、「売買契約」をイメージしておいてください。

誰も主張しなくても無効なものは無効であり、法律行為が成立しません。

例えば、民法94条1項には、「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする」と書かれています。つまり、お互い売る気も買う気もないのに、売買契約を締結したとしても、その売買契約は初めから何も効果が発生しないということになります。

取消とは

取消とは、法律行為に何らかの問題があったため、これをはじめからなかったことにする意思表示です。

例えば、民法96条1項には、「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と書かれています。

そして、民法121条には、「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」と書かれています。

そうすると、例えば、誰かに騙されて売買契約をした場合、取消の意思表示をすることによって、その売買契約は初めから何も効果が発生しなかったことになります。

逆に言うと、取り消さない限りは、その売買契約は有効ですから、その売買契約から発生する義務(売主なら目的物を移転させる義務、買主ならば代金を支払う義務)を履行しなければなりません。

解除とは

解除とは、法律行為そのものには何の問題もなかったけれども、それに基づいた義務について、相手が履行しないことなどを理由に、その法律行為をなかったことにする意思表示です。

例えば、民法541条には、「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」と書かれています。

そして、解除の意思表示をした場合には、明文はありませんが、その法律行為は初めから無効であったことになると考えられています。

例えば、売買契約は何の問題もなく成立したが、買主が、決められた期日にお金を支払わず、売主がお金を払うように言ってもなお応じないような場合には、売主は解除の意思表示を主張することにより、売買契約を初めからなかったものとすることができます。

解除も、解除をしたい人が解除する旨の意思表示をしなければ、法律行為は無効となりません。なお、契約当事者が合意によって契約を解除することもあります。

無効と取り消しと解除の違いは?

無効の場合、誰も主張しなくても当然に意思表示が無効になります。

無効に時効はありません。いつまででも無効を主張できます。

一方、取消や解除の場合には取消権者や解除権者が主張しなければ法律行為の効果がなくなりません。

取消ができるケースは意思表示に瑕疵がある場合など、法律によって限定されています。

取消権には法定の時効もあります。解除も取消とほぼ同様の制度ですが、意思表示には瑕疵はないが、その意思表示の後に発生した事実が原因であるという点において、取消とは異なります。

また、解除については、合意による解除も可能です。

無効取消解除
効果はじめから無効取消の意思表示があって無効になる解除の意思表示あって無効になる
期限なしありあり
主張できる条件法律で規定されている法律で規定されている法律の規定以外に自分たちでも合意解除できる

民法121条の2 原状回復の義務

民法121条には取消が行われた場合の効果が規定されています。

意思表示が取り消されると、その意思表示は当初から無効であったとみなされます。
そして無効な行為によって債務の給付を受けた場合、原状回復しなければならない(元に戻さねばならない)のが原則です。

ところが無効であることを知らずに給付を受けた第三者がいた場合、原状回復させるのは酷です。

そこで無効であることを知らずに給付を受けた第三者については「利益が現に残っている限度」で返還義務を負うと規定されています(民法121条の2の2項)。

さらに、行為時に意思能力や行為能力がなかった人が取消権を行使した場合には、当事者であっても「現に利益を受けている限度」において返還の義務を負うと規定されています(民法121条の2の3項)。
たとえば未成年者が取消権を行使した場合には、現存利益を返還すれば足ります。

なお、解除については、民法545条1項本文に、「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。」と規定されています。

この場合は、121条のような、「現に利益を受けている限度」というような限定がないことに注意が必要です。

まとめ

上記で見てきたように、無効と取消と解除は似ていますが、全く異なる概念です。

このように、法律の学習においては、似ている制度を比較しながら学習をすることがありますので、条文を確認しながら、表を作成してみたりすることも有益です。

ご自身にもし似たようなトラブルがあった場合、無効を主張するか、取消を主張するか、解除を主張するかを正確に選択するための一助になれば幸いです。

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