「難易度が高い」という意見の多い社会保険労務士(以下、社労士)試験ですが、一方で「簡単だった」という意見も散見します。

これから社労士試験を目指す方で、
「社労士試験は簡単なのか?」「具体的な難易度が知りたい。」
という疑問や要望をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

このコラムでは、社労士試験の実際の難易度を含め、「簡単」と言われる理由、そして1ヶ月で合格可能なのかについて解説します。

また、第57回(令和7年度)の社労士試験の結果を基に、科目別の難易度も検証。
初学者の方だけでなく、受験経験者の方にも興味深い内容をお届けします。
社労士資格取得への挑戦を検討している方は、ぜひご一読ください。

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社労士試験は簡単だった、誰でも受かるって本当?

結論から言うと、社労士試験は今も昔も難関資格です。
決して、誰でも簡単に合格できる試験ではありません。

年度によっては、例年より解きやすかったという場合はあるかもしれませんが、勉強しなくても誰でも受かる、というような試験ではないことだけははっきりとしています。

社労士試験は膨大な知識量を問われるため、しっかりとした学習計画と集中力が求められます。

なお、アガルートが令和5年に行ったアンケートの結果によると、全受験生の中で社労士試験に1発合格できるのは約1%程度、つまり100人に1人くらいだと推測されています。
この数値からも社労士試験は難易度の高い、十分な勉強が必要な試験であることがわかるでしょう。

社労士試験に合格するには、地道で継続的な学習が欠かせないことを十分に理解しておく必要があります。

社労士試験の実際の難易度は?

社労士試験の実際の難易度を理解するために、公的資料を用いたアガルートの独自調査を基に、合格率・平均受験回数・勉強時間・偏差値について見ていきましょう。

社労士試験の合格率

厚生労働省が公表した2025年度(第57回)社会保険労務士試験の合格者発表によると、社労士試験の合格率は5.5%でした。

さらに2011年〜2025年の平均合格率も6.2%と低く、年度によって多少の変動はあるものの、100人受けてたったの6人しか受からない難関資格と言えるでしょう。
準備なしでは合格が難しく、十分な勉強時間と対策が必要です。

社労士試験の平均受験回数

社労士試験の平均受験回数は3〜4回と考えられ、中には10回や20回受けている人もいます。
軽い気持ちで受けて合格できるような試験ではないということが、ここからでもわかっていただけるでしょう。
社労士試験は長期的な学習計画と粘り強さが必要とされる難関試験です。

社労士試験の勉強時間

社労士試験に合格するために必要な勉強時間は、最低でも800時間〜1,000時間と言われています。
1年から数年かけて勉強して合格する人が多く、短期間での合格は難しい試験です。
学習量が多く、膨大な知識を身につける必要があり、計画的かつ継続的な勉強が欠かせません。
充分な準備期間を設けることが、合格への第一歩と言えるでしょう。

社労士試験の偏差値は?

社労士試験を偏差値で表すと、60〜64くらいと言われています。
これは大学入試で例えるならMARCHと同等のレベルです。
偏差値60以上は、全大学入試の中でおおよそ上位15%に入るレベルであり、決して簡単に達成できるものではありません。

特に、社労士試験は働きながら受験する人が多い試験です。
仕事の合間や通勤時間を活用し、効率よく学習を進めることが求められます。

社労士試験が簡単と言われる3つの理由

社労士試験は、法令や制度に関する深い知識が問われる難関資格です。
しかし、なぜか一部では「社会労務士は簡単だった」と言われることもあります。
その理由を以下の3つの観点から見ていきましょう。

  • 暗記が中心だから
  • 問題がすべてマークシートだから
  • 正答率7割で合格できるから

暗記が中心だから

社労士試験は、試験範囲が非常に広いものの、暗記中心の試験内容です。
作文能力や計算能力、文章能力はほとんど求められません。
そのため、重要な条文や数字、用語を暗記することが合格の近道となります。

暗記を完璧にすれば、合格のボーダーラインを超えることは比較的容易です。
この「暗記中心」という特性が、社労士試験が「簡単」とされる一因と言えるでしょう。

問題がすべてマークシートだから

社労士試験は、選択式、択一式ともに、すべてマークシート方式で行われます。
この点も「簡単」とされる理由の一つです。

マークシート方式の最大のメリットは、分からない問題が出題されても、「正解するチャンスがゼロではない」こと。
選択肢が複数用意されており、知識が不十分であっても、運良く正解を選べる可能性があります。

また、マークシート方式は回答の手順がシンプルであり、手書きの記述や作文といったものが求められません。
計算問題であっても、ある程度の理解さえあれば、選択肢の中から正しいものを選ぶことができるため、誤解やミスを減らすことができます。
このように、マークシート方式は回答がスムーズにしやすいため、「簡単」と感じる要因となっているのでしょう。

正答率7割で合格できるから

社労士試験の合格基準点は以下の通りです。

選択式試験総得点40点中28点以上(12年度平均点25.9点)
※満点の7割以上
各科目5点中3点以上
択一式試験総得点70点中49点以上(12年度平均点35.1点)
※満点の7割以上
各科目10点中4点以上
引用:社会保険労務士試験の合格基準の考え方について 1 合格基準点

社労士の合格基準点はその年によって異なりますが、概ね満点の7割に設定されています。
具体的には、選択式試験で40点満点中28点以上、択一式試験で70点満点中49点以上が合格基準点となります。

この基準は、受験生にとっては精神的なプレッシャーを軽減する要素となり、「満点(高得点)を目指す必要はない」という安心感を与えてくれます。

社労士試験を1ヶ月で合格できた人はいるのか

結論から言うと、初学者が社労士試験を1ヶ月で合格するのはほぼ不可能です。

1ヶ月を時間で換算すると720時間、つまり社労士の勉強時間として最低限必要な800時間さえクリアすることはできません。

参考として、第57回(令和7年度)社労士試験に合格した、アガルートの講座受講者のアンケート結果を見ると、合格した人の学習期間は13ヶ月以上が最も多いという結果になりました。
以下は、「第57回(令和7年度)社会保険労務士試験にアガルートの講座を使って合格した人の学習期間」を集計したグラフです。

アガルートの講座を使った学習期間

※令和7年度社会保険労務士試験合格者向けアンケート結果の社会保険労務士試験合格者の学習期間から引用

このデータからもわかるように、社労士試験に合格するためには、十分な学習期間が必要です。
初めて受験する場合、このような短期間での合格は非常に難しいでしょう。

社労士試験の最大の特徴は、その膨大な暗記量です。
法令や制度の詳細な知識を覚える必要があり、特に初学者にとっては1ヶ月どころか、4ヶ月で合格するのも非常に難しいというのが現実。
こういった専門知識は短期間で習得できるものではなく、繰り返し学習することが求められます。

加えて、過去問やテキストを使って、演習を行い、実践的な理解を深めることも大切です。
そのため、社労士試験を目指す場合、早めに学習を始めることが重要となります。
目安として、試験の10ヶ月前〜1年以上前から学習を始めるのがおすすめです。

第56回(令和6年度)の社労士試験は簡単だった?

2024年実施の第56回(令和6年度)社労士試験は、全体的に択一式の難易度が高く、基礎知識をしっかり定着させて臨むことが重要な試験となりました。

特に判例の出題が多く、白書対策が大きなカギを握る結果となりました。
科目別の難易度の変化は、以下の通りです。

試験科目選択式配点難易度
昨年比
択一式配点難易度
昨年比
労働基準法1問(5点)10問(10点)
労働安全衛生法
労働者災害補償保険法1問(5点)7問(7点)
雇用保険法1問(5点)7問(7点)
労働保険の保険料の徴収等に関する法律出題なし出題 なし6問(6点)
労務管理その他の労働に関する一般常識1問(5点)10問(10点)
社会保険に関する一般常識1問(5点)
健康保険法1問(5点)10問(10点)
厚生年金保険法1問(5点)10問(10点)
国民年金法1問(5点)10問(10点)
引用:社労士試験で難しい科目は?科目別の難易度を解説

選択式は、前年と比較して大きな変動は、ほぼありませんでしたが、択一式は難化しており、特に「労働基準法」や「健康保険法」などで難易度が上昇しました。

昨年に比べて難易度が上がった択一式ですが、救済措置はなし。

一方で、選択式の「一般常識」の難しさを指摘する声が多く挙がり、実際、労一では救済措置が取られました。
合格点基準点は、選択式・択一式どちらも前年に比べて1点下がる結果となりました。

まとめ

以上、社労士試験の難易度について、さまざまな角度から解説してきました。
「社労士試験は簡単だった、誰でも受かるって本当?1ヶ月で合格できるのかも解説」の概要は以下の通りです。

  • 社労士試験は「簡単」と言われることがあるが、実際には難関資格であり、決して誰でも簡単に合格できるものではない
  • 社労士試験の2025年度の合格率は5.5%。2011年〜2025年の平均合格率も6.2%とかなり難易度が高い
  • 合格に必要な学習時間は800~1,000時間で、合格するまでの平均受験回数は3~4回。1ヶ月や短期間での合格は非常に難しい
  • 社労士試験を偏差値で表すと60〜64程度。大学受験のMARCHレベルと同程度の難易度である
  • 簡単といわれる理由は「暗記中心の試験」「マークシート方式」「合格基準点は概ね満点の7割」だから

社労士試験は、暗記中心でマークシート方式のため、「簡単」という声も聞かれますが、実際の合格率は6%程度。
試験範囲が広く、学習内容もハイレベルなため、短期間で簡単に合格できる試験ではありません。
働きながら社労士試験を目指す方も多く、継続的な学習が求められる難関試験です。
効率的に学び、最短で合格を目指すのであれば、通信講座の利用を検討しましょう。

特にアガルートの社会保険労務士(社労士)試験講座は、初学者の方におすすめ。
必要十分なオンライン講義、合格に必要な内容を凝縮したテキストで効率的に合格を目指せます。
また、学習経験者向けのコースも充実しており、それぞれのレベルに合わせた最適な学習環境を提供。
自分のレベルに合った学習カリキュラムで、最短で合格できるサポート体制が整っています。

【令和7年】社労士試験に合格した人のアンケート調査概要

アンケート概要社会保険労務士試験合格者のアンケート
調査期間2025年10月1日~2025年10月22日
調査機関自社調査
調査方法アガルートアカデミー内でのアンケート調査
調査対象アガルートの講座を利用して令和7年度社会保険労務士試験に合格したユーザー
有効回答数(※)87
調査対象地域日本国内
※アンケート回答に許諾いただいた一部の方のみ実施

アンケート回答者の属性

年代20代30代40代50代60代以上
割合14.9%33.3%31.0%17.2%3.45%

社会保険労務士試験合格者の学習期間

学習期間割合
1ヶ月0%
2ヶ月0%
3ヶ月1.0%
4ヶ月0.5%
5ヶ月1.4%
6ヶ月2.8%
7ヶ月3.3%
8ヶ月7.0%
9ヶ月3.3%
10ヶ月10.2%
11ヶ月6.51%
12ヶ月5.12%
13ヶ月以上59.1%

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