行政書士の主要業務「許認可申請業務」とは?具体的な実務内容を紹介
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行政書士の許認可申請業務は、「複雑な手続きを代行し、顧客の事業立ち上げをサポートする」行政書士の主要な業務です。
運送業や建設業、飲食店など、世の中のさまざまな事業は、行政からの「許可」や「認可」がなければスタートすらできません。
専門知識がない顧客に代わって無事に開業へと導くのが行政書士の大きな役割です。
この記事では、許認可申請の基本的な仕組みから、具体的な事業の種類などについて解説します。
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「許認可申請」とは、個人や会社が特定の事業をスタートするために、都道府県や市町村などの行政機関に対して「営業のお墨付き」をもらうための手続きのことです。
すべての事業に必要なわけではなく、法律で定められた特定の業種にのみ必要となります。
手続きは、大きく「許可」「認可」「届出」の3種類に分けられ、それぞれ以下のような違いがあります。
| 手続きの種類 | 特徴と難易度 | 具体例 |
| 許可 | 本来禁止されていることを、特別に認めてもらう手続き。要件を満たしていても、行政の判断で不許可になる可能性がある。 | ・飲食店の営業 ・建設業 ・運送業 ・薬局の営業 ・旅館の営業など |
| 認可 | 法律上の効力を完成させるための手続き。必要な要件が整っていれば、基本的には認められる。 | ・警備業(認定になります) ・保育所運営 ・自動車運転代行業(認定になります) |
| 届出 | 行政機関に対して、単に事業内容を「通知」する手続き。許認可とは異なり、正しく提出すれば拒否されることはない。 | ・理美容業 ・クリーニング業 ・深夜酒類提供 |
許認可申請は、書類を出せば必ず通るわけではありません。
要件の確認不足や書類の不備で申請に失敗すると、いつまでも事業をスタートできません。
また、万が一無許可で営業してしまうと、営業停止処分や刑事罰を受ける可能性があります。
こうしたリスクを避け、確実かつ迅速に許認可を取得してビジネスをスタートさせるために、プロである行政書士のサポートが求められているのです。
行政書士の主要業務「許認可申請業務」が必要な事業
許認可申請が必要な事業は多岐にわたりますが、代表的な分野として運送業、建設業、飲食店、不動産仲介業、NPO法人の5つがあげられます。これらの事業は、求められる要件が厳格で手続きも複雑なため、プロである行政書士のサポートが特に必要とされる分野です。
- 運送業
- 建設業
- 飲食店
- 不動産仲介業
- NPO法人
- その他の業種
運送業
事業用の車両を使って、荷主から報酬をもらって荷物を運ぶためには、貨物自動車運送業許可が必要です。
貨物運送業の中にも種類があり、大きく分けて①一般貨物自動車運送事業、②特定貨物自動車運送事業、③貨物軽自動車運送事業の3つがあります。
①は不特定多数の荷主から荷物を預かり、報酬をもらって運送する事業です。
②は①と異なり、荷主が1社のみとなります。
③は軽自動車で荷物を運ぶ事業です。
運送業許可は、営業所の所在地を管轄する運輸支局に申請を行い、許可を受ける必要があります。
許可を受けるための主な要件として、下記が必要です。
- 資金を確保していること
- 従業員を確保していること
- 「運行管理者資格」のある従業員がいること
- 営業所の場所の条件をクリアしていること
- 運送車両の条件を満たしていること
運送業許可は、必要な要件も多く許可を取得するのが比較的難しいと言われています。
自分で申請するのはハードルが高く、行政書士に依頼する人も多いです。ただし、以前よりは要件が緩和されて取りやすくなりました。
建設業
建設業を営む場合、多くの場合建設業許可が必要です。
建設業許可の対象となる業種は29種類あります(土木工事業・建築工事業・大工工事業等)。
例外的に建設業許可が不要なのは、請負金額が少額の場合です。具体的には、建築一式工事については1500万円未満または木造住宅で延床面積150㎡未満の場合、その他の工事については500万円未満の場合には許可は不要です。
それ以上の工事を請け負う場合には、建設業許可が必要です。
建設業許可は、2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合は大臣許可、1つの都道府県に営業所を設置する場合は知事許可を取る必要があります。
建設業許可を取るための主な要件として、下記があります。
- 経営業務管理責任者がいること
- 専任技術者がいること
- 財産的な基準を満たしていること
- 欠格要件に該当していないこと
- 契約について誠実であること
1.と2.の人に関する要件で苦戦するケースも多く見られます。
行政書士に依頼することで、要件をもれなくチェックして対応策を考えるなどしてスムーズに申請することが期待できます。
飲食店
飲食店を開くためには飲食店営業許可が必要です。
飲食店営業許可は、保健所に申請します。
許可を取るための主な要件として、下記があります。
- 食品衛生責任者がいること
- 保健所の施設検査をクリアすること
2.の施設検査は実際に保健所の職員が飲食店の施設を視察に来て、設備の要件などを満たしているかをチェックします。
そのため、施設の検査で引っかからないように、内装工事に着手する前に保健所に事前に相談に行くのが望ましいです。
また、テイクアウトを提供するお店や、深夜0時を超えてお酒を提供するお店などは、別途他の許可申請や届出が必要となります。
行政書士が手続きすることで、事前相談や許可申請がスムーズに進み、お店を予定日通りにオープンさせることが期待できます。
不動産仲介業
不動産の売買、交換、それらの仲介業を営むためには、宅地建物取引業の免許が必要です。
なお、不動産の賃貸や管理業については宅建業免許は必要ありません。
宅建業の主な要件は、下記です。
- 事務所の要件をクリアしていること
- 専任の宅地建物取引士がいること
- 欠格事由に該当しないこと
2.については、その事務所に常勤して、宅建業に従事できる人でなければならず、他の事務所ですでに取引士登録している人の兼業は認められません。
宅建業免許の申請は、2以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣、1つの都道府県に事務所を置く場合は都道府県知事に行います。
通常、審査には4~6週間程度かかります。
その後、営業保証金の供託の手続きもあります(業界団体に加入し一定の手続きを取ると、営業保証金供託が免除になります)。
営業開始までの各種手続きには時間がかかるため、計画的に準備を進めるなら行政書士に依頼するとスムーズです。
NPO法人
NPO法人とは、株式会社などのように利益を追求するのではなく、非営利の社会貢献活動をするための組織です。
NPO法人を作るためには、所轄庁から認証を受けなければなりません。
NPO法人の認証を受けるための主な要件は、下記などがあります。
- NPO法で掲げられた活動内容に該当する活動を行うこと
- 理事、監事、社員の人的要件を満たすこと
- 営利を目的としないこと
- 宗教活動や政治活動を主目的としないこと
認証を受けるためには、多くの書類が必要で、事業計画書や設立趣旨書、活動予算書など普通の会社では必要ない書類が多々あります。見本通りに記入すればよいというたぐいの書類ではありません。
これらの書類を自分たちだけで用意するのは手間や時間がかかるため、行政書士に依頼することでスムーズに認証を受けやすくなります。
その他の業種
許認可の種類は非常に多く、上述した以外にも、産業廃棄物処理業、旅館業、酒類販売、古物商、薬局、美容院、旅行業、風俗営業など様々な業種で許認可や届出が必要です。
また、許認可は一度取ったら未来永劫有効というわけではなく、有効期限があるものも多く、その場合は一定期間ごとに更新申請などが必要になります。
うっかり更新申請を忘れてしまうと、またゼロから新規許可申請が必要となってしまいます。
そのため、新規で許認可申請をサポートしたお客さんに対しては、更新時期が来たら行政書士から連絡してあげると親切で、それによりリピーターを増やすことにもつながります。
更新とは別に、許認可を取った後、年一回など定期的に「事業報告書」などの提出が求められることもあり、その作成を毎年行政書士に依頼されるケースも少なくありません。
許認可の種類によって、取得する難易度や必要な書類は大きく異なります。
不慣れな人にとっては、ゼロから自分で要件を確認し、必要な書類等を揃えて申請するのはハードルが高く、それをサポートし、お客さんがスムーズに開業するまで見届けることができるのが行政書士です。
行政書士が行う許認可申請業務の報酬
令和7年度の日本行政書士会連合会の報酬額の統計によると、許認可申請業務の平均報酬額は以下のとおりです。
- 建設業許可申請(個人・新規)知事:132,040円
- 建設業許可申請(個人・更新)知事:70,716円
- 建設業許可申請(法人・新規)知事:151,341円/大臣:199,972円
- 建設業許可申請(法人・更新)知事:82,408円/大臣:143,739円
- 宅地建物取引業免許申請(新規)知事:122,219円/大臣:170,503円
- 宅地建物取引業免許申請(更新)知事:83,399円/大臣:148,626円
- 有償貸渡許可申請(レンタカー):116,519円
- 一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請(タクシー):506,875円
- 一般貨物自動車運送事業経営許可申請:457,675円
- 飲食店営業許可申請:56,851円
- NPO法人設立認証申請:217,656円
- 古物商許可申請:53,688円
- 薬局開設許可申請:305,000円 など
取得の難易度が高いもの、手間や時間がかかるもの、専門性の高いものであるほど報酬は高額になるのが一般的です。
専門性を持って、ある分野の許認可申請に特化している行政書士も多数います。
まとめ
今回は、行政書士の「許認可申請業務」について解説しました。
- 許認可申請業務=都道府県や市町村などの許可や認可が必要な事業
- 運送業、建設業、飲食店、不動産仲介業、NPO法人などが対象
- 行政書士が許認可申請業務で受け取る報酬は5~50万円ほど
許認可申請は行政書士にとっては一番メインの業務です。その種類は非常に多岐にわたっており、新たな許認可事業ができたり、要件が見直されたりすることも頻繁にあります。そのため、常に最新の情報を入手して、知識をアップグレードしていくことが大切です。
常に新しい仕事にチャレンジするチャンスがあり、マンネリ化することなくやりがいを感じられることが多いでしょう。
自分での取得を難しく感じるお客さんから依頼されることが多いため、無事に許認可が下りると深い感謝を直接受け取れる、非常にやりがいのある仕事です。
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この記事の監修者 東 優 講師
アガルートアカデミー 行政書士 実務・開業講座担当
2005年に個人事務所を名古屋にて開設。
2007年より、愛知県行政書士会にて相続・遺言実務研修会講師を担当。
2013年に行政書士法人化し、池袋、品川、名古屋にて活動。同年より東京リーガルマインドにて実務家講演会講師を担当。
2016年より、Gネット関東にて相続・遺言実務研修会講師を担当。
その他、一般市民向けの相続、遺言、後見、終活セミナー講師多数。
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