今後のキャリアアップ・キャリアチェンジ等を目的として、MBA取得を考えている方は多いかと思います。

ただ、世の中には「MBAは意味がない」という声もあるので、費用や時間のかかるMBA取得を躊躇してしまう方もいるでしょう。

このコラムでは、MBAは意味がないと言われる理由や、MBA取得によるメリットについて解説します。

MBA取得を迷われている方は参考にしていただけたら幸いです。

MBAが意味ないと言われる理由

MBA取得には時間がかかります。

国内MBA取得には1年〜2年、海外MBA取得には1年〜2年以上の履修期間が必要となります。

人によっては、仕事を退職・休職して学ぶこととなり、キャリアの中断・経済的負担が憂慮されるでしょう。

また夜間・休日のMBAを利用して、働きながら学ぶことも可能ですが、学習スケジュールはハードになりやすいといえます。

こういったリスクやデメリットを負ってまで、MBA取得をすることは意味がないと言う意見も多いです。

意味がないとされる理由について、以下で詳しく紹介します。

メリットがわかりづらい

「意味がない」と言われる理由として、メリットがわかりづらいという点が挙げられます。

MBAは資格ではなく、学位です。

弁護士・司法書士などのように独占業務を持った資格だと、取得によって就職・就労状況が改善したり、賃金アップや昇級に結びついたりすることもありますが、学位であるMBAは、取得によって収入・役職アップを保証するものではないため、メリットがわかりづらいのです。

ただMBA取得は、「経営全般の高度な知識を持ち、戦略的かつ論理的思考のできる経営のプロフェッショナルである」という証となり、採用や人事評価において有利になり得るでしょう。

時間がかかる

海外・国内MBAともに、最低でも1年以上の履修期間が必要となることも理由の一つとして考えられます。

大学院受験までの準備期間を入れると最低でも1年半以上の時間が必要。これはフルタイム（全日制）MBAでも、パートタイム（夜間・休日）MBAでも同じです。

	MBA受験にかかる時間	MBA取得にかかる時間	MBA受験から～取得までに かかる時間
海外MBA	半年～1年以上	1.5年～2年以上	2.5年～3年以上
国内MBA	数ヶ月～半年	1年～2年	1.5年～2.5年

フルタイムで学ぶ場合は、退職・休職が必要となり、企業派遣（所属企業が学費を負担するケース）以外は経済的負担も大きくなりやすい点には注意が必要です。

費用が高額だから

海外MBAの費用の目安は2年間で約800万円〜約2000万円、国内MBAは約140万円〜約440万。

海外MBAは渡航費・生活費等も必要になるため、費用はさらに上乗せされます。

参考にフルタイムMBAの全米ランキングTOP3と、国内フルタイムMTB人気校3校の学費を見てみましょう。

2023-2024　全米MBA（フルタイム）ランキングTOP3の学費
2023-2024 Best Business Schools	大学名	費用	日本円
1位	University of Chicago (Booth) アメリカ	77,841ドル	約11,170,000円
2位	Northwestern University (Kellogg） アメリカ	78,276ドル	約11,230,000円
3位	University of Pennsylvania (Wharton) アメリカ	77,500ドル	約11,120,000円

国内MBA（フルタイム）人気校の学費
大学名	費用
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科	初年度2,217,600円 2年間で約4,400,000円
早稲田大学 大学院経営管理研究科	2年制3,826,000円
一橋大学大学院 経営管理研究科	2年制1,567,920円

国内MBAの授業料と比べると、海外MBAの授業料はかなり高額です。

キャリアの継続や金銭的負担を考慮して、国内MBAを選ぶ方は多いでしょう。

実務経験が必要だから

MBAより実務経験の方が重要なのではないか、という考え方もあります。

また、日々の業務で、実務経験を積んでいればMBAに通う必要はないという意見もあるでしょう。

しかし、MBAで体系的に経営学を学ぶことで、現在の業務においても視野が広がり、結果的にマルチタスク能力が向上します。

経済学・マーケティング・経営戦略の高度な知識を身につけることで、キャリアアップ/チェンジのチャンスも増えるでしょう。

MBA取得のメリットは？どんなことに役立つの？

欧米諸国においては、MBAは経営のプロフェッショナルとして認められた証となり、個人の市場価値を高めてくれます。

一方、日本ではMBA取得による、明確なメリットは欧米に比べると感じづらいのが現状です。

とはいえ、近年はビジネスのグローバル化や国際競争の激化によって、MBA取得者を評価する企業も増えています。

MBAを取得するメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

転職に有利

MBAで学ぶことで、さまざまな経営環境の変化に対応できる、高度な経営スキルや論理的思考力が身につきます。

円滑な人間関係を構築する実践的なヒューマンスキルも習得できるので、転職や昇級に有利です。

包括的なビジネスの知識があることで、採用される職種の幅も広がるでしょう。

また、数年かかるMBA取得は、計画力・継続力を含めた目標達成力の高さのアピールにもなります。

経営コンサルに役立つ

MBA取得によって、経営者目線での戦略的思考でビジネスを捉えられるようになります。

また、組織マネジメントスキル・データ分析能力・コーチングスキルなどを活かし、クライアントの抱えるビジネス課題に対して、実現可能な経営戦略を提案できるようになるでしょう。

経営企画に役立つ

経営企画をするうえで、市場分析を踏まえた事業計画を基に、目標を達成するには、戦略的な思考力と課題発見力が必要です。

MBAでは、それらの能力はもちろん、リスクマネジメントスキルや意思決定力が育成されます。

リスクを抑えて最大限の利益を得るための、最短かつ安全な経営計画を立てられるようになるので、新規事業立ち上げ等の際にも活躍できるでしょう。

人脈形成ができる

さまざまな業種・バックグラウンドの人が集まるMBA。通常の就労環境では出会わない人と交流し、視野を広げるチャンスでもあります。

将来のビジネスパートナーや、顧客と出会うことも期待できます。

優秀な同期生たちと授業を受け、グループワークやイベントで協力し合うことで、今後のビジネスに活かせる力やアイデアを得られる可能性も大きいでしょう。

年収アップが期待できる

MBAで学んだ経済学・経営戦略・ファイナンスなどの知識は、既存のビジネススキルや指導力を向上させます。

MBA取得前よりも、職務遂行能力が上がることで社内価値もアップ。人事考課評価も上がりやすくなります。

また、社会における市場価値も高まるので、転職の給与交渉もしやすくなるでしょう。

MBAがおすすめな人

MBA取得は、経営全般の知識が得られ、リーダーシップと論理的思考が身につく、意義のある学位です。

時間とお金がかかりますが、長期的に見てリターンは大きいと言えるでしょう。

MBAをおすすめするのは以下のような方です。

経営・マネジメントに関わる人

MBA取得は、経営・マネジメントに関わる方に大変適しています。

MBAでは経営者に必須となる戦略的思考を支える論理的思考力を、ディスカッションやプレゼンテーションで実践的に学びます。

また、ケースメソッド（実際の実例を用いて生徒間で討議を行い、最善策を決定する教育手法）を行うことで、人材・資材・資金を管理し、組織を効率的に動かすマネジメントスキルが磨かれるため、今後の仕事に大いに役立つでしょう。

独立・起業を考えている人

経営全般の知識・リーダーシップスキル・問題解決能力が身につくMBAは、独立・起業を目指す方にもおすすめです。

ネットワーキング（異業種交流会）で人脈が広がり、コミュニケーション能力も磨かれることは、マネジメントスキルの向上に直結します。

MBAにはさまざまな業界の優秀な人材が集まるので、質の高いビジネスパートナー・顧客も見つけやすいでしょう。

転職・キャリアアップをしたい人

転職・キャリアアップをしたい人にとって、MBAの取得はメリットが大きいと言えます。

MBAでは、市場分析スキル・企画力・推進力・マーケティングスキルなど、戦略思考に欠かせない能力が身につけられるため、転職する際にも市場価値が高まりやすくなります。

また幅広く深い経営知識と、マネジメントスキルがある人材は、どの業界・業種でも需要が高いといえます。

今の勤務先でのキャリアアップを目指す方・転職して年収アップを狙う方は、ぜひMBA取得を目指すことをお勧めします。

まとめ

学位であり資格のように独占業務がないMBAは、意味がないと言われることもあります。

取得することが、直接昇給・昇級に結びつくわけではないのでメリットを感じづらいことが、そのように言われる所以でしょう。

しかし、MBAは時間と費用をかける価値のある学位と言えます。

実務経験だけでは得られない、高度な経営知識・リーダシップスキル・マネジメントスキルなどが身につくことで、社内価値・市場価値が高められるからです。

また、ネットワーキングで培われたコミュニケーションスキルは、多種多様な市場でビジネスを展開する際の推進力となるでしょう。

ご自身の実現したいヴィジョンを叶えやすくなる手段の一つですので、ぜひMBA取得を検討してみてください。