土地家屋調査士をはじめ、資格試験にはそれぞれ受検資格や就業条件が存在します。

土地家屋調査士を目指している方の中には、「高卒でも目指せる?」「自分の学歴や経歴でも大丈夫?」など不安に思っている方もいるでしょう。

当コラムでは、高卒の方が土地家屋調査士を目指すことの可否や、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

主なキャリアパスについても併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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高卒でも土地家屋調査士になれる! 

土地家屋調査士は学歴などに関係なく受験が可能なため、高卒・中卒の方でも受験や就業が可能です。

土地家屋調査士試験には、学歴だけでなく年齢や実務経験などの条件もありません。

希望すれば誰でも受験し、合格すれば土地家屋調査士として仕事をすることができます。

したがって、もちろん大学を出なければならないということもありません。

早いうちに進路が決まっている場合は、大学生や高校生のうちから受験に挑戦する方もいます。

学歴は関係ないが、学力は必要

土地家屋調査士の受験に学歴は必要ありませんが、試験に合格できるだけの学力は当然必要です。

土地家屋調査士は取得難易度の高い難関国家資格のひとつに数えられ、例年の合格率は9〜10%ほど。

十分な知識を備えていたとしても簡単に突破できる試験ではありません。

土地家屋調査士合格に必要な知識は広く、主だったものだけでも以下のようなものが挙げられます。

  • 土地家屋調査士法
  • 不動産に関する法律
  • 測量・作図能力
  • 計算力 など

土地家屋調査士は法律知識だけでなく、フィールドワークによる測量業務や計算も行います。

文系・理系の知識がバランスよく必要になる業種といえるでしょう。

特に、職業的な核となる土地家屋調査士法や不動産に関する法律は最重要項目。

耳慣れない法律用語や専門用語が多数含まれるため、粘り強く学習を続ける姿勢が問われます。

土地家屋調査士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は、1,000時間ほどといわれています。

仮に、平日1.5時間+休日3時間でコンスタントに勉強を進めると、1年半ほどかかる計算。

実際には雑務や予定の変動などでもっと時間がかかる可能性が高く、モチベーションを維持しながら学力を高める工夫が必要になるでしょう。

高卒で土地家屋調査士になるメリットとデメリット 

ここでは、高卒の方が土地家屋調査士になるメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

高卒から土地家屋調査士を目指すメリット

高卒状態から土地家屋調査士を目指すメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

  • 大学の学費がかからない
  • 早期にキャリアをスタートできる

土地家屋調査士になることを早めに決めた場合、大学進学のための学費を払う必要がなくなります。

大学の学費は、国公立であっても年間で50万円ほど必要です。

高校を卒業した段階で自身のキャリアをしっかりを定めて「土地家屋調査士になる」と決めている場合、不要なコストをかけずに目標に邁進できるでしょう。

また、高卒から土地家屋調査士になると早期にキャリアをスタートできるため、同年代の土地家屋調査士よりも早く高収入を得られるようになる可能性大。

さらに、20〜30代の若手のうちから独立開業を目指すこともできるでしょう。

土地家屋調査士は学歴や経歴がネックになりにくいため、スタートが早ければ早いほど純粋にキャリアを積めることになります。

高卒から土地家屋調査士を目指すデメリット

高卒から土地家屋調査士を目指すと、キャリアチェンジが難しいというデメリットがあります。

土地家屋調査士自体は学歴関係なくキャリアを積める職業ですが、万が一別の業界へ転職したくなった場合は転向が難しい可能性があるでしょう。

特に、業界や業種によっては一定以上の学歴・経歴が重視されることも。

「大学以上」の学歴が求められる資格や仕事に就きたくなった場合、高卒以上のキャリアは不利になるでしょう。

高卒で土地家屋調査士になった後のキャリアパス 

高卒で土地家屋調査士になった後のキャリアパスとしては、以下のようなパターンが考えられます。

  • 法人の土地家屋調査士事務所
  • 個人の土地家屋調査士事務所
  • 建設コンサルや建設会社
  • 測量会社
  • 独立開業

法人の土地家屋調査士事務所

法人の土地家屋調査士事務所は、高卒で土地家屋調査士になった後の代表的なキャリアパスのひとつです。

事業所の規模が大きくなるほど多くの土地家屋調査士が在籍している可能性が高く、測量と登記で分業体制が取られていることもあります。

個人事務所と比較すると事業規模が大きく、官公庁や企業からの案件に関われる機会も多いでしょう。

また、福利厚生や収入の安定感など、盤石な基盤のうえで仕事ができるメリットは大きいです。

ただし、ひとりが担当できる業務範囲が限られがち・常にチームプレイが求められるといった点は考慮すべき。

ひとりで黙々と作業したい場合はやや不適です。

個人の土地家屋調査士事務所

個人の土地家屋調査士事務所は、少数精鋭で業務を回している可能性高め。

複数の案件・業務をひとりで担当させる事務所も多いでしょう。

調査から測量、登記まで通して担当できる可能性も高く、土地家屋調査士として早く成長したい場合にはうってつけのキャリアパスといえます。

ただし事務所の状況次第では、ひとりで捌ききれない業務量がいきなり回される可能性も。

法人系の事務所と比較して、研修や給与面などが十分に整っていない場合もあるでしょう。

待遇や職場環境は事務所によって大きく異なるため、面接時に就業条件などをしっかり確認しましょう。

建設コンサルや建設会社

建設コンサルや建設会社から土地家屋調査士の求人が出されることも。

土地家屋調査士は営利企業に所属できないため、形式上は建設会社が立ち上げた調査士事務所に所属する形になります。

建設会社は民間企業や官公庁から大規模な建設工事を請け負うことが多く、工事の過程で土地家屋調査士による測量や登記が必要になります。

求人数は土地家屋調査士事務所と比較して少ないですが、建設業界に興味があれば応募してみましょう。

測量会社

測量会社は土地家屋調査士の代表的なキャリアパスのひとつです。

測量会社には専属の「測量士」が就業している可能性が高く、土地家屋調査士として採用された場合は登記業務がメインになるでしょう。

フィールドワークよりもデスクワークを中心に仕事をしたい方におすすめできます。

自治体や公共団体からの大規模な依頼を請け負うことも多いため、やりがいは十分に感じられるはず。

不動産登記は土地家屋調査士の独占業務にあたります。

法律の知識を活かした業務に従事したい場合には最適な職場となるでしょう。

独立開業

土地家屋調査士になって1〜2年ほど経験を積んだあと、独立開業をすることも可能です。

独立した場合、仕事のペースや受注する案件の選定は完全に本人の裁量次第。

一から顧客を開拓する必要があるなど課題はありますが、自由度は抜群です。

従業員を雇用する余裕がない場合はなんでも自分ひとりで解決する必要があるため、独立を目指す場合はなるべく多くの業務を経験しておく必要あり。

調査士業務だけでなく、運営に関わる手続きやお金周りの知識も求められます。

個人事務所で多くの業務の実務経験を積む・簿記の勉強をするなど、段階的に準備を整えるとよいでしょう。

土地家屋調査士の年齢層は? 

高卒・中卒でも土地家屋調査士として就業することは可能ですが、実際に調査士業務に従事している方の年齢層をデータで確認してみましょう。

土地家屋調査士の年齢層

出典:土地家屋調査士白書2024

土地家屋調査士として現役で仕事をしている方の年齢層は、約95%が40代以上で構成されています。

さらに、約50%が60代以上という点も特徴的。

2人に1人がシルバー世代で業界全体の高齢化が進む一方、20〜30代は全体の5%ほどしかいません。

他業界であれば中堅扱いされる30〜40代であっても、土地家屋調査士の中では「若手」の位置付けになります。

土地家屋調査士は独立開業が可能な資格のため、本人の体力的に問題がなければ生涯現役で働けることがデータ上からもわかります。

高卒で資格を取り、土地家屋調査士一本で何十年も働くといったキャリアプランも可能でしょう。

土地家屋調査士新規登録者の年齢層

出典:土地家屋調査士白書2024

新規登録者数に注目すると、40代が40%ほどで最多です。

次いで、30代が30%ほど。

20代は10%ほどしかおらず、ある程度社会人経験を積んだ段階で土地家屋調査士になるパターンが多いことがわかります。

20代よりも30〜40代の中堅社会人の参入が多い点に土地家屋調査士業界の特徴があります。

若年者の新規登録者は少ないため、例えば新卒向けの求人であれば定員割れの可能性も。

高校生や大学生のうちに資格を取得して若年層向けの求人に応募すれば、未経験からでも土地家屋調査士デビューのチャンスは十分にあります。

独学と通信講座ならどっちがおすすめ? 

土地家屋調査士の試験対策を行う際、まったくの初学者であれば通信講座を強くおすすめします。

土地家屋調査士は法律や測量知識、計算スキルなど文理両方の知識をバランスよく習得する必要のある難易度の高い資格です。

市販のテキストも限られるため、条文理解や計算問題への対策、電卓などのツールの使い方などを自力で学ぶことはかなり難しいでしょう。

さらに、土地家屋調査士試験には口述試験も含まれます。

通信講座は「何を聞かれるか」「どう答えるべきか」を効果的に対策でき、合格にぐっと近づけるでしょう。

すでに学習や受験の経験があれば独学でも合格は不可能ではありませんが、時間効率の悪い学習に終始する可能性は高め。

学習コストがかからないメリットがある一方、時間ばかりかかって必要な知識が十分につかない恐れもあります。

まとめ

当コラムでは、高卒の方が土地家屋調査士を目指す場合について、以下の内容で解説しました。

  • 土地家屋調査士は学歴や経歴不問の資格のため、高卒・中卒でも就業可能。
  • 学歴関係なく土地家屋調査士にはなれるが、相応の学力や知識は必須。
  • 高卒で土地家屋調査士になると、大学の学費がかからない・早期のキャリアスタートなどのメリットがある。
  • 高卒で土地家屋調査士になると、学歴が重視される業界へのキャリアチェンジが難しいデメリットがある。
  • 高卒で土地家屋調査士になった場合、法人・個人の調査士事務所や建設コンサル、測量会社などがキャリアパスのメインとなる。独立開業も可能。
  • 土地家屋調査士全体の年齢層は95%ほどを40代以上が占める。新規登録者も30〜40代が最多。

土地家屋調査士は40代以上の登録者が多い業種のため、高卒で合格できれば「超若手」として早期にキャリアをスタートできる可能性大。

万が一キャリアチェンジしたくなった場合に不利になりやすいデメリットはあるものの、早くベテランになって長く活躍できるなどメリットも大きいです。

土地家屋調査士は幅広い知識が求められる難関資格のため、特に初学者の場合は通信講座がおすすめ。

効率よく学習できるカリキュラムによって、高校生や大学生のうちから無理なく合格を目指せるでしょう。

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