「宅建試験は過去問だけでも合格できますか?」

宅建講座の講師をやっていると、このようなご質問を受験生の方から毎年いただきます。

毎年いただくということは、受験生であれば誰もが気になる話題だということなんでしょうね。

そして、「過去問だけ」というこの言葉は、受験生の方たちの間で相当誤解された形で広がっているのではないかと個人的には思っています。

この「過去問だけ」という言葉を正しく理解しているか誤解したままでいるかは、宅建試験の合格に極めて重大な影響を及ぼします。

「誤解していた」ことを試験が終わった後に気が付いた……なんていうようなことがないよう、今回は「宅建試験は過去問だけで受かる?」という話題についてお話ししたいと思います。

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宅建試験の問題及び正解番号表(令和5年~令和2年)

令和2年~令和4年の過去問をまとめました。

年度試験問題正解番号表
令和5年問題試験問題の正解番号 
令和4年問題試験問題の正解番号 
令和3年
(12月試験)
問題試験問題の正解番号 
令和3年
(10月試験)
問題試験問題の正解番号 
令和2年
(12月試験)
問題試験問題の正解番号 
令和2年
(10月試験)
問題試験問題の正解番号 

宅建試験における過去問の位置づけ

※過去問の頻出ポイントについて動画でも解説されています。

まず、メインの話題の前提として、宅建試験における「過去問」の位置づけを確認しておきましょう。

「過去問」とは、過去に実施された宅建試験の問題たちのことです。

「過去」の「問」題だから「過去問」です。

なお、この過去問を学習する順番に沿って掲載する等した問題集のことを「過去問集」と呼びます。

宅建試験の合格を目指すうえで、過去問を用いた学習をすることは必須です。

合格するには過去問の利用は必須であると言ってもよいくらいです。

「過去問の利用は必須である」と言う理由は、大きく3つあります。

①何を、どこまで勉強すればよいかを把握するため(学習範囲の目安)

宅建試験では、様々なことが出題されます。

だからといって、私たちには、何でもかんでも勉強できるだけの時間はありません。

限られた勉強時間のなかで、合格するために必要となる力を身に着ける必要があります。

そこで、何を、どこまで(どのくらい)勉強すればよいかを正確に把握しなければなりません。

その把握のための手段が、過去問になります。

宅建試験は、かつて出題された問題と似たようなものが再び登場することが割とあります。

そのような、一種の“サイクル”のようなものを逆手にとって、日々の勉強に落とし込んでいこうというわけです。

また、そのような“サイクル”があるわけですから、余計な(試験と無関係な)勉強をしてしまう時間を削減することにも役立ちます。

余計なことをせず、合格に向かって一直線に突き進むためにも、過去問の活用は極めて重要なのです。

②かつてどのような問題が出題されたのかを把握するため(出題形式の把握)

暗記

宅建試験では、様々な形式の問題が出題されます。

同じことを問われているのに、出題の形式が異なるだけで途端に解けなくなるという話は、実は思ったよりも多いです。

そのため、出題形式が異なっていたとしても、きちんと正解することができるように練習しておく必要があります。

そこで、過去問を活用していきます。

過去の宅建試験において実際に出題された問題を使って練習することにより、どのような形式で出題されたとしても、きちんと正解することができるように仕上げていくわけです。

なお、このような話をすると「模擬試験でもできるでしょ」という意見が出てくることがあります。

しかし、模擬試験は過去問の出題形式を踏まえて作成されることや、模擬試験は実施時期が遅いことや費用に対する問題の数が少ないこと等を踏まえると、模擬試験が過去問の代わりになるとは思えません。

③現時点の勉強の到達度を確認するため(実力判定の手段)

テキスト(教科書)を使って勉強していると、「この内容って、本当に頭に入っているのかな?わかっているのかな?」と思いませんか?

ただテキストを読んでいるだけだと、これで本当に問題が解けるようになっているのかどうかが分かりません。

そこで、手っ取り早く「本当に頭に入っているのか」「理解しているのか」を把握するための手段となるのが、過去問なわけです。

過去の宅建試験において実際に出題された問題を解いてみることで、自身の勉強の進捗状況をすぐさま把握することができるわけです。

解くことができた(正解できた)のなら、「本当に頭に入っている」「理解している」ってことですし、解くことができなければその逆です。

以上のような理由から、「過去問の利用は必須である」と言えるわけです。

宅建試験は過去問だけでも合格できる?

過去問

さて、「過去問」の重要性はご理解いただけたかと思います。

では、次の話として、本コラムのメインの話題である「宅建の試験は過去問だけでも合格できる?」という問いについて解説していきましょう。

ネットで試しに調べてみると、「宅建の試験は過去問だけでも合格できる?」という問いに対しては、「Yes」と「No」という2つの考え方(説)が出てくるのではないかと思います。

私自身は「Yes」なのですが……実は、この考え方については、講師(プロ)と受験生との間で大きな「考え違い」が存在します。

そしてこの「考え違い」が、毎年多くの誤解を生み出すという“悲劇”を招いているのだと私は考えています。

皆さんは、「過去問だけで合格できる!」というフレーズを見た場合に、次の①または②のどちらの意味だと考えるでしょうか。

①問題演習で用いる素材は「過去問だけ」でよく、過去問集とは別にテキストを用意する必要がある(「過去問だけ」とは、アウトプットだけに限った話である)

②宅建試験の合格に必要な素材・教材は「過去問だけ」でよい(用意する教材は、過去問集だけでよいという話である)

私を含め、宅建試験の受験指導をしている講師たちは皆、①の意味で語っています。

しかし、受験生の方の中には、②の意味であると捉える方がいらっしゃいます。

つまり、同じ言葉でも、捉える側の事情によってその意味が変わってしまっているというわけです。

ですから、改めて「宅建の試験は過去問だけでも合格できる?」という問いに対して、正確にお答えしましょう。

「はい、合格できます。

ただし、あくまでも『用意する問題集』は過去問だけでよいという意味です。

宅建試験の合格を目指すには、教材が過去問集だけでは足りません。」

では、なぜ「教材が過去問集だけでは足りない」のでしょうか。

その理由は、次のとおりです。

①過去に出題された問題だから

上記のとおり、過去問とは、過去に実施された宅建試験の問題たちです。

なので当然ですが、新しく誕生したルールや制度に関する問題は、過去問の中には登場しません。

宅建試験の場合、(特に宅建業法は)新しく誕生したルールや制度を積極的に出題してくるという傾向があります。

そのため、合格を目指すうえでは最新の情報に触れておく必要があります。

そのような傾向があるにもかかわらず、過去問集しか使わずに勉強すると、新しく誕生したルールや制度に一切触れることなく本番に臨むことになります。

これで果たして合格できるか?というと……正直難しくなりますよね。

②知識の“穴”が生まれるから

近年の宅建試験の出題内容を見てみると、これまであまり積極的に問われてこなかった内容を問うようになる等その出題範囲は明らかに変化してきています。

この変化は、権利関係に特に見られるものです。

そのため過去問だけに頼っていると、変化した出題範囲に対応することができなくなります。

「え、そんなこと過去問で出たことありましたっけ?」という状態です(知識に“穴”がある状態です)。

宅建試験の合格点は、近年上昇傾向にあります。

合格点が上昇しているということは、他の受験生の方たちから出遅れているものがあると、より一層不利になってしまう(他の受験生ができない問題で、より多く正解を稼がなければならなくなる)ことを意味します。

知識の“穴”は、近時の宅建試験においては致命傷になりかねません。

以上のような理由から、用意する教材(勉強する素材)が「過去問だけ」ではダメなのです。

過去問(過去問集)は、必ずテキストと併せて使うものとし、勉強するときもこまめに過去問集とテキストを“行ったり来たり”するようにしてください。

面倒な作業にはなってしまうのですが、知識の“穴”をなくすうえで最もよいやり方です。

関連コラム:独学経験者が紹介!宅建試験の独学におすすめの問題集・過去問題集

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宅建の合格者がやっていた過去問の活用法について

資格試験予備校アガルートアカデミーの宅建講座では、毎年多くの合格者を輩出しています。そして、そうした合格者にインタビューをしています。

以下の動画では実際に宅建試験に合格した方のインタビューの中でも、過去問の活用法に関する部分をまとめて紹介しています。

過去問の活用法について悩んでいる人は是非ご覧ください。

動画の視聴はこちらからも可能。

過去問以外にやったほうがいいこと

上記のとおり、「過去問だけ」とは、アウトプット(問題演習)のための素材は過去問だけでOKという話でした。

とはいえ、他に何かやる必要はないのでしょうか?

アウトプットとして他にやる必要のあることと言えば、やはり模擬試験でしょう。

模擬試験は本番のシミュレーションも兼ねており、今年の試験に合格するうえで極めて重要なものです。

模擬試験に関する解説は別コラムに詳しくまとめていますので、そちらも併せてご覧になってみてください。

関連コラム:宅建試験の前に模試を受けた方が良い?理由と活用のポイント

まとめ

「宅建試験は、過去問だけで合格できますか?」

「はい、合格できます。

ただし、過去問集だけでなくテキストもしっかり読み込みましょうね。」

そんな話でした。

本コラムを通じて、今まで誤解されていた方が正しい認識を持ち、今年の宅建試験の合格を見事に勝ち取ることを祈っています。

テキストと過去問集を駆使して、絶対に合格しましょうね!

関連コラム:宅建を独学で勉強する際の勉強時間は?難しい?おすすめの勉強法も解説

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この記事の著者 林 裕太講師

2007年に行政書士試験に合格し、大手資格予備校で長年行政書士試験の受験指導を行う。

初学者向けの入門講座から、受験経験者を対象とした上級講座まで幅広く講座を担当。

本試験の出題傾向を緻密に分析した上で、初学者・受験経験者問わず、少しでもわかりやすく、点をとりやすくなるような講義とテキスト作りに心血を注ぐ。

また、様々な資格試験に精通する「資格マニア」でもある。

アガルートアカデミーでは、行政書士試験だけでなく、公務員試験(法律系科目,社会科学等)、

宅地建物取引士試験、司法試験(一般教養科目対策)、ビジネス実務法務検定®試験の指導も行う。

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