宅建試験の農地法の学習について、

「宅建の農地法の条文は似ているため覚えられない」

「出題のポイントが知りたい」

といったお悩みをもつ方は多いのではないでしょうか。

本コラムでは、宅建試験の農地法の概要や出題ポイントを解説し、覚えやすい語呂合わせも紹介します。

また、直近の宅建試験の農地法の解説動画も紹介しています。

農地法の学習ポイントを押さえて、確実に得点につなげましょう。

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宅建試験における農地法とは?法令上の制限?

農地法は、農地の適切な管理と保護を目的とした法律です。

農地は食料の安定供給を支える限られた資源。

農地法は、そうした農地を農地以外のものに転用することを規制し、農地の効率的な利用を促進します。

具体的には、農地の売買や賃借、転用には許可が必要となる場合があります。

農地法によって、耕作者の権利が守られ、農業生産・農地の維持がされています。

宅建試験では、農地法は「法令上の制限」に区分されます。

「法令上の制限」は都市計画法や建築基準法など、土地利用に関する法律を扱う分野。

農地法はそのうちのひとつとなります。

過去5年の出題傾向を見ると、農地法は毎年1問、問21で出題され続けています。

農地法の出題範囲は広くないため、ポイントを押さえて学習すれば得点しやすい分野といえるでしょう。

宅建試験における農地法の出題ポイントについて

宅建試験の農地法の出題ポイントは以下のとおりです。

  • 農地・採草放牧地の定義について
  • 農地法3条(権利移動の制限)について
  • 農地法4条(転用の制限)について
  • 農地法5条(転用のための権利移動の制限)について

各ポイントについて解説します。

農地・採草放牧地の定義について

農地法では「農地」と「採草放牧地」の2種類の土地が定義されています。

以下は、農地法第一章 総則、(定義)第二条の引用です。

”この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。”

引用:農地法 | e-Gov 法令検索

農地とは、人為的に耕したり肥料を与えたりして、作物を栽培する畑や水田を指します。

登記簿の地目や所有者の意思ではなく、実際の利用状況にもとづいて判断される点が特徴です。

休耕地や果樹園も農地に含まれますが、一時的な野菜の栽培や家庭菜園は含まれません。

一方、採草放牧地は、農地以外の土地で、耕作または家畜の事業の採草、家畜の放牧が目的の土地を指します。

採草放牧地も食糧生産にかかわるため農地法の保護対象ですが、農地とは条文の適用範囲が異なるため区別しましょう。

農地法3条(権利移動の制限)について

農地法3条(権利移動の制限)は、農地の所有権や耕作権の権利移動について定めた規定です。

権利移動とは、所有権を移転する行為及び地上権、永小作権、 質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他 の使用及び収益を目的とする権利(使用収益権)を 移転・設定する行為のことをいいます。​​

権利移動があっても、権利者が引き続き農地として利用することが前提となります。

農地の売買や贈与、賃貸借などの権利移動を行う際は、農業委員会の許可が必要。

転売目的の売買などの、農地の農地の適正な管理・利用を目的としない権利移動による農地の荒廃を防ぐためです。

なお、農地法3条の許可なく行われた権利移動は法的に無効となり、保護も受けられません。

場合によっては刑事罰が科される可能性もあります。

ただし、相続や時効取得による権利移転や、国や地方公共団体による公共事業での買収など、一部のケースでは許可は不要です。

農地法4条(転用の制限)について

農地法4条(転用の制限)は、農地をほかの用途へ転用する際の規定です。

転用とは、農地を農地以外にすること、農地の形状などを変更して住宅、工場、商業施設、道路等にすることを​​いいます。

農地の所有者が、宅地や駐車場など耕作以外の目的で利用する場合、都道府県知事の許可が必要となります。

ただし、「採草放牧地」は農地に含まれません。

無計画な転用は、食糧生産の減少を招くだけではなく、周辺の農地の適切な利用を妨げる可能性があるため、農地の権利移動よりも慎重な判断が求められます。

許可を得ずに転用すると、刑事罰の対象となるほか、原状回復の義務が発生します。

なお、公共事業による転用や2アール未満の農業用施設への転用は許可不要です。

また、市街化区域内では、都道府県知事の許可に代えて、事前に農業委員会への届出を行うことで転用が可能となります。

農地法5条(転用のための権利移動の制限)について

農地法5条(転用のための権利移動の制限)は、転用と権利移動が同時に行われる場合について定めた規定です。

転用のための権利移動とは、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く)にするため、これらの土地について所有権を移転する行為及び地上権、永小作権、 質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他 の使用及び収益を目的とする権利(使用収益権)を設定し、又は移転することをいいます。

例えば、農地や採草放牧地を宅地などに転用することを前提に売買するケースが該当します。

農地法第4条と同様に、都道府県知事の許可が必要です。

無計画な売買や転用を防ぎ、周辺の農地の適切な利用を守る、という目的は、農地法第3条、第4条と共通していますが、所有者と用途の両方が変更される点が異なります。

許可なく権利移動と転用を行った場合、刑事罰の対象となる可能性があるほか、契約が無効となり、元の所有者に原状回復の義務が課されます。

ただし、公共事業による売買や転用は許可不要です。

また、市街化区域内では事前の農業委員会への届出が都道府県知事の許可に代わります。

宅建試験の農地法の覚え方・語呂合わせなども

すべからく、法律学習のコツは「その法律の目的を理解すること」です。

目的を理解していれば、仮に知らないことが出てきても、自分の中の常識や消去法を駆使することで正解に辿り着けるからです。

農地法の目的は極めてシンプルです。

①「農地を保護したい」 ②「採草放牧地よりも農地を大切にしている」③農地法にとって「耕す人が変わる(権利移動)より、農地がなくなる(転用)方が重大事件」

以上の3点を意識すれば、暗記も楽勝です。

先ずは、農地法3条・4条・5条の基本知識をおさえましょう(基本と言ってもこの表をマスターするだけでほぼ得点できます)。

 権利移動3条許可転用4条許可転用目的権利移動5条許可
対象農地採草放牧地
Aの農地→Bの農地Aの採草→Bの採草Aの採草→Bの農地
農地

A農地→A宅地A農地→A採草×Aの採草→Aの宅地
農地採草放牧地
Aの農地→Bの宅地Aの農地→Bの採草Aの採草→Bの宅地
許可権者農業委員会都道府県知事等(農業委員会経由)
無許可の場合・契約無効・工事停止命令や原状回復命令ができる・契約無効・工事停止命令や原状回復命令ができる
罰則3年以下の懲役または300万(法人は1億)円以下の罰金
市街化区域の特則なし※許可必要農業委員会への事前届出だけでよい※許可不要
適用除外(許可不要)土地収用法により収用(転用)される場合、他
・国または都道府県が権利を取得する場合・民事調停法による取得・相続、遺産分割、財産分与国又は都道府県が地域振興上又は農業振興上の必要性が高い施設(道路、農業用用水路等)のために取得(転用)する場合
2a未満の農地を農業用施設(温室・サイロ・農業倉庫)に変更する場合 

田畑を耕す人が変わると、その人が真面目に耕してくれるのか心配なので3条(権利移動)許可には、農業委員会の許可が必要です。

とはいえ、農地や採草放牧地自体がなくなる訳ではないので、市町村レベルの機関である農業委員会の許可で足りるとしています。

ところが、農地や採草放牧地が無くなってしまうのは大事(おおごと)なので、4条(転用)・5条(転用目的権利移動)許可の許可権者は都道府県知事等になるのです。

語呂合わせ:3条農業委員会 4条・5道府県知事

      3     回 仕事        許可しよう

ちなみに、抵当権を設定しても、農地の占有は設定者の元に止まり(権利関係の民法で学びますね)現況が変わる訳ではないので3条許可は不要。

このように、農地法以外の分野(特に権利関係)で学んだ知識も農地法の理解・解答に役立ちます!

参照:令和6年(2024年)問21

農地法では、採草放牧地より農地を重要視しています。なので採草放牧地の転用には4条許可は不要としています。

無許可で農地を売買などしても、契約は無効となり、法律上「権利移動」はできません。また、無許可の行為には、罰則(刑事罰)が用意されており犯罪となる可能性があります。それほど、強烈に農地法は農地を守ろうとしているのです。

市街化区域は、農業促進どころか宅地や商業地としての活用を促したいので、4条(転用)・5条(転用目的権利移動)許可は不要ですが、3条(権利移動)許可は原則通り必要です。

農地の所有者が自己所有の農地を2a(アール)未満の農業用施設に転用する場合は4条許可は不要です。

「未満」であって、「以下」ではないので、ひっかけ問題に注意しましょう。

最新令和6年(2024年)度宅建試験の農地法(問21)を解説!

最新令和6年(2024年)度宅建試験の農地法(問21)は、規定の深い理解が必要な細かい内容が出題されました。

資格試験予備校アガルートアカデミーでは、最新令和6年(2024年)度宅建試験の農地法(問21)について小林美也子講師が無料で解説しています。

ぜひ参考にしてみてください!

【宅建試験2024・問21】過去最高レベルの難易度!?受験生を悩ませた農地法の問題を解説【2025年試験に向けてどう対策?】

まとめ

以上、宅建試験における農地法の概要・出題ポイント・農地法の覚え方、および直近の宅建試験の農地法(問21)の解説をしました。

コラムの概要は以下のとおりです。

  • 農地法の目的:農地の適切な管理と保護を通じて、食料の安定供給を確保
  • 農地の売買や転用には許可が必要な場合がある
  • 農地法は「法令上の制限」分野のひとつ
  • 例年、毎年1問(問21)として出題
  • 出題範囲が広くないため、ポイントを押さえれば得点しやすい
  • 出題ポイントは「農地・採草放牧地の定義」「農地法3条(権利移動の制限)について」「農地法4条(転用の制限)について」「農地法5条(転用のための権利移動の制限)」
  • 直近の試験では規定の細かい部分の理解が必要な問題が出題された

近年、農地法は宅建試験で毎年出題されています。

農地法3条・4条・5条の許可をしっかり区別して、正確に覚えましょう。

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この記事の監修者

小林 美也子講師 (講師紹介はこちら


大手資格予備校・地方自治体・企業・教育機関等様々な場所で,長年にわたり公務員試験,宅建試験の受験指導,職員研修を行う。

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