司法書士の独占業務とは?司法書士だけができることについて解説
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司法書士を含む士業には、それぞれの国家資格者でなければすることができない「独占業務」があります。独占業務が認められるのは、高度な知識がある国家資格者として国から認定されていて、重い責任を負うからです。
司法書士の業務には様々なものがあり、全てが独占業務というわけではありません。このコラムでは、司法書士の独占業務にどのようなものがあるのかについて、具体的に解説します。
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司法書士の独占業務とは
司法書士の独占業務とは、司法書士法によって定められている、司法書士以外の人が行うことを禁止されている業務のことを指します。
たとえば、不動産登記・商業登記の申請代理などが司法書士の独占業務となっています。
司法書士に認められた独占業務は、私たちの財産や権利を守ったり、変動させたりする重要な事項にかかわるものが多く、社会経済への影響も大きく、深い知識や高度な専門性が求められるものです。
そのため、誰にでも認めてしまうとトラブルや混乱を招いてしまうことから、国家資格を持つ司法書士のみに業務として行うことが認められています。
独占業務があることのメリットとして、過度な競争にさらされることがなく安定的に仕事を得やすいことがありますが、その分重い責任もあります。
司法書士は、独占業務を与えられている分、依頼者の利益を守るために社会的使命感を持って業務を行う責任を負っています。
なお、単に家族が友人などが本人の代わりに一度だけ手伝いで手続きをすることなどは「業務」には該当しないため、禁止されていません。
司法書士の独占業務一覧
司法書士の独占業務について、具体的に紹介します。
司法書士の独占業務は、司法書士法によって定められており、主に以下の5つに分類されます(司法書士法第3条)。
- 登記又は供託に関する手続きについての代理
- 法務局に提出する書類の作成
- 裁判所や検察庁に提出する書類の作成
- 法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続きの代理
- 上記に関する相談に応じること
それぞれについて、具体的な内容を紹介します。
1.登記又は供託に関する手続きについての代理
不動産登記、商業登記を中心とした登記の手続きについて代理することは、司法書士の独占業務です。
不動産登記とは
不動産登記とは、土地や建物の権利関係や状況をオープンにするための国の登録制度です。
不動産登記の制度によって、その不動産の場所や面積だけでなく、所有者が誰なのか、抵当権などの権利が付いているのかといった情報を誰もが知ることができ、売買等の取引を円滑、安全に行うのに役立ちます。
不動産の権利の登記は、自主的に法務局に申請をしなければ記録されません。
たとえば土地を買っても、不動産登記の申請をしなければ、いつまでも登記されている所有者は前の所有者のままで、第三者に対して自分が所有者だと主張できません。
そのような申請の手続きを自分で行う代わりに代理してくれるのが司法書士です。
売買などによる権利変動の登記手続きにミスは許されません。そのため、素人が自分で申請するのではなく、その道のプロである司法書士に手続きを依頼します。
関連コラム:「不動産登記」とは?司法書士の仕事について具体的に解説
商業登記とは
商業登記とは、株式会社等の各種法人についての重要な情報をオープンにするための国の登録制度です。
商業登記によって、その会社の代表者が誰なのか、事業目的が何なのか、資本金がいくらなのかなどといった情報を誰もが知ることができ、その会社が実在することや内容を確認したうえで取引をすることができます。
会社を作るためには必ず登記しなければならず、会社の登記された内容に変更があれば変更の登記をしなければなりません。
商業登記には高度な専門知識が必要なため、専門家である司法書士が会社代表者から依頼を受けて登記手続きを行います。
関連コラム:「商業登記」とは?司法書士の仕事について具体的に解説
供託とは
供託とは、供託所(法務局など)にお金や物を預ける手続きのことです。
供託が必要となるのは、たとえば大家さんと家賃の増額について揉めていて、大家さんが家賃を受け取ってくれないような場合に、代わりに供託所に家賃を預けるケースなどがあります。
供託することによって、自分の法律上の責任を果たしたことになり、たとえ大家さんが家賃を受け取らなくても、供託することによって家賃を支払ったのと同様の扱いを受けることができます。
このような供託の手続きを司法書士が代理で行うことができます。
2.法務局に提出する書類の作成
法務局に提出する各種書類の作成を司法書士が代理で作成することも、司法書士の独占業務です。
法務局に提出する具体的な書類とは、上述した不動産登記や商業登記の申請の際に提出する書類がほとんどです。
登記の申請には、ケースに応じて様々な提出書類が必要です。
たとえば、不動産の所有者が亡くなって、相続登記を申請するケースで考えてみましょう。
相続登記をする場合、どのような方法で相続をするかによって必要な書類が変わります。
遺言書がある場合、遺言書がなく遺産分割協議をする場合、遺産分割協議をせずに法定相続通りに相続する場合などのケースがあり、それによって必要となる書類が異なります。
相続登記に必要な遺産分割協議書や相続関係説明図、法定相続情報一覧図などを、司法書士が法律の要件を満たす形で作成します。
商業登記を申請する場合も、内容に応じて様々な書類の提出が必要です。
代表的な書類としては、株主総会議事録、取締役会議事録、定款、株主リストなどの書類があります。
これらの書類は、記載すべき内容などが法律や規則で定められているため、専門知識のある司法書士が作成することで、不備のない書類を整えることができます。
司法書士は、会社代表者から綿密な聞き取りを行い、事実関係に即した正しい内容の書類を作成します。
3.裁判所や検察庁に提出する書類の作成
司法書士の独占業務には、裁判所や検察庁に提出する各種書類の作成もあります。
裁判所に提出書類としては、たとえば、相続を放棄するための「相続放棄申述書」、自筆の遺言書を検認するための「遺言書検認申立書」、成年後見人の選任してもらうための「成年後見人選任申立書」、自己破産をするための「破産申立書」など、本人の意思に沿った法律上の効果を生じさせるための様々な申立書類があります。
これらの申し立てには、その人の個別の事情や状況に応じた内容を正確に記載し、法律的な要件を満たしたものにする必要があります。
必要となる添付書類の内容はケースによって異なり、専門的な知識が求められます。
そのため、司法書士が依頼者から事情や意向をしっかりと聞き取り、それに合う内容の申立書等を作成します。
検察庁に提出する書類には、告訴状などがあります。
告訴状は、犯罪の被害を受けた人などが、犯罪の事実を申告して、犯人の処罰を求めるためのものです。
たとえば名誉棄損罪などは、親告罪といって被害者からの告訴がなければ公訴できないため、告訴状が欠かせません。
告訴状には、犯罪の日時や場所、具体的な被害内容などを客観的事実に基づいて記載する必要があり、自分で作成するのは難しいケースがあります。
そのため、専門的な知識のある司法書士に作成を依頼することがあります。
4.法務局長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続きの代理
法務局が行った行政処分に対して不服がある場合、審査請求をすることができます。
たとえば、登記官に登記の申請を却下されてしまった場合などに、不服の申立てとして審査請求をするケースがあります。
審査請求をすると、法務局長により審査官が指定され、審査請求の内容についての調査、審理が行われます。
その審査請求の手続きを、司法書士が代理で行うことも、司法書士の独占業務のひとつです。
5.上記に関する相談に応じること
上述した、登記や供託の手続き、法務局・裁判所・検察庁に提出する書類の作成、法務局への審査請求の手続きについて、司法書士として相談に応じることも独占業務のひとつです。
それぞれの手続きは、誰もが一律の手続きをすればよいのではなく、個別の事情や本人の要望などに応じたものである必要があります。そのため、丁寧に相談に応じて、しっかりとその人に適した手続きを進めていく必要があります。
相談者自身が自分の取るべき手続きが何なのかを理解していないケースも多く、どのような手続きをするべきなのか、そのためにはどのような要件を満たすべきなのか、その手続きをすることによるメリットとデメリットは何なのか、などを丁寧に説明する能力が司法書士には求められます。
まとめ
それぞれの士業にはその士業にしかできない独占業務があり、司法書士の場合は登記を中心とした業務が該当します。
司法書士の独占業務は、私たちの財産や権利を守るなどの重要な役割のあるものばかりで、専門的な知識はもちろん、社会的使命感や高い倫理観が求められます。
司法書士にしかできない独占業務があることで、過度な競争が起こらずに仕事を得やすく経済的に安定しやすいというメリットがありますが、その分責任は重くなります。
専門知識を生かして社会の役に立ちたいという人には、とてもやりがいのある仕事です。
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三枝りょう講師
合格直後から予備校制作スタッフとして受験業界に携わり、翌年にプロ講師としてデビュー。
以来20年以上、プロ合格請負人として各資格スクールから講義を全国に配信し,安定して合格者を輩出。
受験指導総時間1万2000時間のベテラン講師。
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