行政書士を目指している人にとって、「行政書士になるにはどうすればよいのか」「いくらかかるのか」といったことは非常に気になることなのではないでしょうか。

行政書士になるには、行政書士会への「行政書士登録」が必要です。また、登録の際には登録料や会費など、30万円前後の費用がかかります。

当コラムでは、行政書士登録に必要な費用や登録の流れについて解説します。また、会費を滞納した場合に受ける影響や登録抹消について、登録しない場合についても解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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行政書士になるには行政書士登録が必須

行政書士登録とは、行政書士会に「行政書士として」登録されることです。

行政書士を名乗ったり行政書士として業務を行ったりするためには、単に試験に合格するだけでなく行政書士会への登録が必要です。

まず都道府県の行政書士会に申請書類を提出し、そのあと日本行政書士会連合会で審査が行われます。

審査が完了し、名簿への登録が完了すると申請者に対して登録通知が発行されます。

なお、「日本行政書士会連合会」とは、行政書士名簿の登録に関する手続きや行政書士の指導を行う組織です。

縮めて「日行連」とも呼ばれます。

行政書士会の登録料・会費

行政書士登録には多くの費用が必要です。

金額は地域にもよりますが、登録手数料や入会金、会費など、合計で30万円前後かかることが多いです。

そのため「高すぎる」という声も少なくありません。

ここでは行政書士会への登録手数料や会費、入会金など、登録の際に必要な費用について解説します。

登録料(登録手数料・入会金)

登録手数料・入会金がいくらかかるかは、所属する行政書士会(単位会)によってまちまちです。

例えば以下のような違いがあります。

登録手数料入会金合計
東京都
25,000円
200,000円225,000円
栃木県150,000円175,000円
大阪府250,000円275,000円
熊本県250,000円275,000円

※上記は2024年3月3日時点の金額です。

このように、単位会によってまちまちです。

また、支払方法も単位会ごとに異なります。

例えば東京都では登録申請前に振り込む必要がありますが、栃木県では登録申請の際に現金を持参します。

金額や支払方法については、開業を考えている都道府県の行政書士会に確認したほうがよいでしょう。

なお、所属する単位会は住所地ではなく事務所の場所で決まります。

例えば事務所が東京都にある場合、千葉県に住んでいても所属は東京都行政書士会です。

会費

会費には以下の3種類があります。

行政書士会会費会報の発行や研修といった行政書士会の運営のために使われる
政治連盟会費政治連盟に加入した場合に発生する
支部会費支部によって金額は異なり、徴収しない支部もある

行政書士会会費は行政書士である以上支払い続ける必要がありますが、政治連盟への加入は任意であり、加入しなければ政治連盟会費は発生しません。

また、支部によっては支部会費を徴収されるところもあります。

「支部」とは、単位会とは別に存在する、さらに細かい単位の行政書士会です。

例えば東京都なら千代田支部や中央支部など、33の支部があります。

「日本行政書士政治連盟」とは、行政書士制度に理解のある政党や国会議員などと協議し、行政書士法を充実させるための活動をしている団体です。

会費は登録申請のタイミングで納付することが多いですが、中には登録完了後に納付するところもあり、申請時に何月分必要かは単位会にもよります。

例えば東京都なら申請時にそれぞれ3か月分持参しますが、栃木県では行政書士会費は6か月分、政治連盟会費は登録月から3月までの分が必要です。

単位会別の金額は以下のとおりです。

単位会行政書士会費政治連盟会費
東京都18,000円(6,000円×3か月)3,000円(1,000円×3か月)
栃木県42,000円(7,000円×6か月)350円×3月までの残り月
大阪府16,500円(5,500円×3か月)
※登録月が4、7、10、1月の場合
2,250円(750円×3か月)
※登録月が4、7、10、1月の場合
熊本県13,000円(6,500円×2か月)2,000円(1,000円×2か月)

※上記は2024年3月3日時点の金額です。

その他

ほかにも以下のような費用がかかります。

  • 登録免許税:30,000円
  • 諸経費:約10,000円〜15,000円

登録免許税は現金ではなく、収入印紙で用意します。

申請書に貼りつけず、そのままの状態で持参しましょう。

また、バッジや領収書、職印などが諸経費としてかかります。

行政書士登録の流れ

行政書士登録の流れは以下のとおりです。

  1. 書類を集める
  2. 申請書と必要書類を提出する
  3. 各行政書士会にて現地調査が行われる
  4. 日本行政書士連合会にて審査が行われる

順番に解説します。

1.必要書類を集める

まずは申請に必要な書類を集めます

必要書類は、単位会ごとにホームページで紹介されています。

プリントアウトし、漏れがないよう順番に用意していくとよいでしょう。

必要書類には、以下のようなものがあります。

  • 登録申請書(収入印紙は貼らずに持参)
  • 履歴書(規定の様式あり)
  • 誓約書(規定の様式あり)
  • 行政書士会入会届
  • 事務所写真(使用人の場合は不要)
  • 行政書士政治連盟加入・不加入届
  • 行政書士資格を証明できるもの(合格証の原本など)
  • 住民票(発行から3か月以内)
  • 身分証明書(発行から3か月以内)
  • 顔写真
  • 戸籍謄本(発行から3か月以内)
  • 事務所の使用権を証明できるもの
  • 行政書士事務所と他士業事務所が同一であると証明できる書類

必要書類はどの単位会でも似たようなものですが、異なる可能性もあるため事前に確認しておきましょう。

2.申請書と必要書類を提出する

書類が整ったら、所属予定の行政書士会に提出します

多くの場合事前予約が必要であるため、突然書類を持ち込まないようにしましょう。

例えば東京都では、事前予約専用のサイトで予約を入れたうえで訪問します。

ただし単位会によっては、本申請前に事前チェックが設けられているところもあります。

その場合、事前チェックの予約を入れる必要はありませんが、チェックが完了し本申請に進む際は、決まった日時に訪問しなければなりません。

所属予定の単位会がどのような受付方法を採用しているのか、事前に確認したほうがよいでしょう。

3.各行政書士会にて現地調査が行われる

申請後、各行政書士会で現地調査が行われます

ただし、単位会によっては現地調査を実施しないところもあります。

実施する場合は調査員が事務所に訪れて面談や視察が行われますが、実施されない場合は、代わりに写真で判断されるケースが多いです。

登録申請の際に事務所写真を求めない=調査を行う可能性が高いと思っておいたほうがよいかもしれません。

調査が実施されるかどうか知りたい時は、各行政書士会のホームページを確認するか、電話などで問い合わせるとよいでしょう。

4.日本行政書士会連合会にて審査が行われる

各行政書士会から日本行政書士会連合会に連絡がいき、審査が行われます

以下のうちいずれかに該当していると審査に通らないため注意が必要です。

  • 未成年者
  • 成年被後見人または被保佐人
  • 自己破産したあと復権していない
  • 禁固以上の刑を受け、刑期を終えてから3年が経過していない
  • 公務員で懲戒免職処分を受けてから、3年が経過していない
  • 行政書士登録の取消し処分を受けてから、3年が経過していない
  • 行政書士業務禁止の処分を受けてから、3年が経過していない

審査は約1か月〜1か月半で完了します。

各行政書士会から電話で登録完了の連絡が入り、そのあと登録証の交付式について書面で通知されます。

開業や就職の時期がすでに決まっているなら、余裕をもって申請するようにしましょう。

会費を払わなければどうなる?

行政書士登録後は、毎月会費を支払っていかなくてはなりません。

もし会費を滞納してしまったら、いったいどうなるのでしょうか。

ここでは、会費を支払わなかった場合に考えられる影響について解説します。

行政書士会から催告を受ける

期限までに会費を支払わなかった場合、まず所属している行政書士会から書面で催告を受けます

書面に記載されている期限までに支払えば問題ありませんが、「あの先生はいつも会費の支払いが遅い」というイメージがついてしまうことはあまり望ましくありません。

できるだけ早めに支払ったほうがよいでしょう。

会員資格を停止される

一定期間会費を滞納すると、行政書士会の会員資格を停止されてしまいます

「資格の停止」といっても、資格を剥奪されるわけではないため行政書士として仕事ができなくなることはありません。

ただし、行政書士会主催の研修やセミナーを受講できなくなったり会報が届かなくなったりといったペナルティを受けます。

廃業勧告を受ける

会員資格の停止からさらに何年も滞納を続けると、廃業勧告を受けます

「廃業勧告」とは、行政書士を辞めるようすすめられることです。

滞納している会費をすべて納付することで勧告は解除されますが、一度廃業勧告を受けると実名や会費を滞納している事実が世の中に公表されてしまうため、信用は大きく失われます。

また、少額訴訟を提起される可能性もあります。

行政書士登録を抹消するケースもある?

行政書士を辞める時や亡くなった場合など、行政書士を廃業する際は登録抹消の手続きが必要です。

登録抹消をしないと、いつまでも会費が発生し続けます。

ここでは、登録抹消の流れや必要書類について解説します。

行政書士登録抹消の流れ

行政書士登録を抹消する際の流れは以下のとおりです。

  1. 行政書士会に「行政書士登録抹消届出書」を提出し、登録証などを返却する
  2. 未払金を精算し未収金を回収する
  3. 税務署に「廃業届」「青色申告の取りやめ届出書」を提出する
  4. 課税事業者の場合は消費税の還付申請を行い「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する

そのほか、年の途中で廃業した場合でも確定申告が必要です。

忘れずに行いましょう。

行政書士登録抹消の必要書類

登録抹消を行う際は、以下の書類を所属している行政書士会に提出します。

  • 行政書士登録抹消届出書(廃業用)
  • 届出済証明書返還届(入管業務を行っている場合)
  • 社労業務取扱証明書返還届出書(社労業務取扱の証明を受けている場合)

また、届出書提出の際に以下のものを返還します。

  1. 行政書士登録証
  2. 行政書士証票
  3. 各行政書士会の会員証
  4. 職務上請求書(統一用紙)
  5. 届出済証明書
  6. 社労業務取扱証明書
  7. 後見人候補名簿登載証明書
  8. 著作権相談員カード

4〜8は該当者のみ対応が必要です。

職印や表札、バッジの返却は必要ありません。

なお、上記は東京都行政書士会の必要書類です。

単位会によっては異なる場合があるため、廃業手続きの際は所属している行政書士会のホームページを確認することをおすすめします。

行政書士登録をしないとどうなる?

行政書士に登録しない場合にはどのように扱われるのか、注意点等を解説します。

1.行政書士業務ができない

登録をしていない合格者は、行政書士の仕事をすることはできません。

合格者ではあっても、行政書士ではないため行政書士と名乗ることも当然できません

登録していないのに、行政書士業務を行ったり行政書士を名乗った場合には、違法行為となり処罰の対象となります。

2.名刺や履歴書の記載に注意が必要

登録していない場合、名刺に「行政書士」という肩書を記載することはできません

もし行政書士試験について記載したい場合には、「行政書士試験合格者」と記載しましょう。

なお、「行政書士有資格者」という表現は誤解を招きやすくグレーなので避けるべきでしょう。

履歴書の資格欄に、「〇年度行政書士試験合格」と記入するのはもちろん問題ありません。
ただし、行政書士であると誤認されないよう、(未登録)などと追記しておく方がよいでしょう。

3.法改正や実務の情報が入手しにくい

行政書士会は、会員である行政書士に対して研修会を行ったり、法改正や実務における注意点などについての情報提供を随時行っています。

登録していない場合、当然そういった情報提供を受けることはできません。

合格した後も法改正や実務上の取り扱いの変更等は頻繁に行われますが、自力で常に最新の情報を入手することは容易ではないので注意が必要です。

4.士業同士の交流ができない

士業は他士業との協力が不可欠なため、士業交流会に参加するなどで人脈づくりをするのが一般的です。

ただし、登録していない場合には行政書士ではないため、通常は士業交流会に出席したり他士業の人と接点を持つ機会はなかなか得られにくいでしょう。

そのため、独立開業を目指している人は、早めに登録をして人脈づくりに励む方がよいでしょう。

行政書士登録をしない人が多い理由は?メリットはあるの?

行政書士試験に合格しても登録しない人が多い理由やメリットについて解説します。

1.登録料・年会費が高い

登録しない人が多い理由で多いのが、金銭的な負担が大きいことです。

登録するときにかかる費用の総額は、所属する都道府県によっても異なりますが、おおむね30万円程度です。
多くの人にとって気軽に払える金額ではないでしょう。

登録した後も、毎年の年会費がかかります。所属する都道府県にもよりますが、年間10万円程度はかかります。

登録時だけでなく、永続的に費用がかかるため、登録を躊躇する人が多いのが実情です。

2.登録するための手間がかかる

登録するためには、多くの書類をそろえたり、事務所の体裁を整えたりしなければなりません。

所属する都道府県により書類が一部異なりますが、たとえば事務所が賃貸の場合には、貸主の同意書なども必要となることがあります。

書類をそろえるために数か月かかる場合もあり、多くの手間がかかることから登録を諦める人も一定数います。

3.合格から登録までには有効期限がない

試験に合格してから登録をするまでの期限はありません

そのため、合格してから10年後やそれ以上経ってからであっても登録することはできます。定年退職後に登録するという選択肢もあります。

慌てて登録する必要はないため、いざ必要となったときに登録すればよいと考えている人も多く、合格してすぐに登録する人は少ない傾向があります。

4.一般企業への就職希望者も多い

行政書士試験を受験する目的は様々で、必ずしも行政書士になりたい人ばかりではありません。

難関資格を取得することで自信をもって就職・転職活動に臨みたい人、企業等に所属したまま資格を取得してスキルアップを目指したい人なども多数います。

そういう人にとっては、行政書士業務をすぐにやりたいわけではないため、登録するメリットが特にないというケースも多いでしょう。

行政書士試験に合格しても半数以上が登録しない現状

行政書士試験に合格しても、それだけで行政書士と名乗ることができるわけではありません。
試験合格後、行政書士会に登録が完了して初めて行政書士を名乗り、行政書士業務を行うことができます。

行政書士になるためには、行政書士会への登録は、任意ではなく必須なのです。

逆に言えば、行政書士業務を行う予定がない場合には、行政書士会に登録する必要はありません
合格者が必ず登録しなければいけないわけではないからです。

実際に、合格者のうちで登録している人は半数以下です。
少し古いデータですが、平成30年度の新規登録者数は1,977人です。
平成30年度に登録するのは平成29年度合格者が中心となると考えられますが、平成29年度の合格者数は6,360人です。
6,360人合格した内、すぐに登録しているのは3割程度だということです。

参考:総務省

登録しないのに試験を受けるのはあり?メリットは?

上述のとおり、登録するためには意外とハードルが高いことがわかりますが、登録をしない場合でも試験を受けるのは決して無駄ではありません

行政書士試験に合格することで、いざという時に行政書士として独立開業できるという保証があることは、大きな安心感や自信につながります。

自分に合ったタイミングで登録をすればよいので、登録費用などが無駄になると思っているうちは無理に登録を急ぐ必要はありません。

また、多くの職場では多かれ少なかれ何かの形で法律知識を求められることも多く、法律知識を身に付けることは多くの仕事や日常生活でも役に立ちます

行政書士試験に合格することで、独りよがりではない正しい法律知識が身についているという自信が生まれるでしょう。

さらに、就職・転職活動においても難関国家資格に合格していることは有利に働くでしょう。

以上のように、すぐに登録することを考えていない人であっても、行政書士試験に合格することはいずれ何かしらの形で役に立つでしょう。

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