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司法試験 傾向と対策 | 短答式試験の出題形式と特徴

 司法試験・司法試験予備試験(予備試験)の短答式試験の出題形式・特徴を説明します。なお,平成27年度から司法試験は,商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法が試験科目から外れ,憲法・民法・刑法の3科目だけとなりました。また,平成26年度までの出題実績では,司法試験と司法試験予備試験の問題は7~8割程度共通していました。
 法科大学院入試では,短答式試験(法学既修者試験)を必須とする大学院とそうではない大学院に分かれるのですが,必須とする大学院を受験される方(あるいは,任意に提出しようと考えている方)にとっても有益な情報となります。

法律基本科目(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法)

単純に記述の正誤を判定させる問題

 司法試験・予備試験の短答式試験では,次のような単純に知識を問う問題が多く出題されています。

〔司法試験平成26年度民事系科目第29問・司法試験予備試験平成26年度民法第12問〕

不法行為に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものはどれか。

1.Aの前方不注意による自動車の運転によってBが重傷を負い,Bを治療したCの過失によってBが死亡した場合において,ACの各行為が共同不法行為となるときであっても,Bの死亡という結果の発生に対するA及びCの寄与の割合をそれぞれ確定することができるときは,Aは,Bの死亡による損害の全額を賠償する責任を負わない。

2.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによってAに損害が生じた場合において,その工作物の占有者であるBが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは,その工作物の所有者であるCが,Aに対し,その損害を賠償する責任を負う。

3.複数の加害者であるABの過失と被害者Cの過失が競合する1つの交通事故において,その交通事故の原因となった全ての過失の割合を認定することができ,A,B及びCの過失割合が順次5:3:2である場合には,ABは,Cに対し,連帯して,その損害の8割に相当する額を賠償する責任を負う。

4.Aの不法行為により未成年者Bが重傷を負った場合において,Bが事理弁識能力を有していなかったときであっても,その損害の発生についてBの親に監督上の過失が認められるときには,Aは,過失相殺による損害額の減額を主張することができる。

[正解は1]

 このタイプの問題の亜種として「1,2問題」と俗称されている,次のようなタイプの問題も出題されています。

[司法試験平成26年度公法系科目第24問,司法試験予備試験平成26年度行政法第15問]
行政裁量に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

ア.処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合でも,当該行政庁は,理由なく特定の個人を差別的に取り扱い不利益を及ぼす自由を有するものではなく,この意味において,行政庁の裁量権には一定の限界がある。

イ.処分を行う行政庁に裁量権が認められる場合には,処分が社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権の濫用に当たるものでない限り,処分の理由の提示に不備があったとしても,そのことを理由として処分が違法とされることはない。

ウ.規制を目的とする不利益処分について,処分の根拠法令が処分を行うか否かの点で行政庁に効果裁量を認めている場合には,処分を行わないという行政庁の不作為が違法となることはない。

エ.処分の根拠法令が,処分要件該当性の判断について行政庁に要件裁量を認めている場合には,事実認定について行政庁に裁量が広く認められる。

[正解は1,2,2,2,]

 この問題は,単純に各記述の正誤を判定するだけですが,全ての記述の正誤が判定できなければ,正解を導くことができません。ただし,この「1,2問題」では,部分点が与えられていることが多いので(例えば,4問中3問正解であれば,3点中2点が与えられる),厳密にいうと,全ての記述の正誤が判定できなければ,0点になるということではありません。

全ての記述の正誤がわからなければ正解が導けない問題

[司法試験平成26年度公法系科目第2問・司法試験予備試験平成26年度憲法第1問]
人権の享有主体に関する次のアからウまでの各記述について,正しいものには○,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.外国人の場合には,我が国との関係が日本国民とは異なるので,日本国民に比べて裁判を受ける権利の保障の程度に差を設けることも許される。

イ.法人は,現代社会におけるその役割の重要性からすると,全ての人権について,自然人と同程度の保障を受ける。

ウ.未成年者は,精神的・肉体的に未成熟なことから,成人とは異なった特別の保護を必要とする場合があり,このような趣旨から,憲法は児童の酷使を禁止している。

1.ア○ イ○ ウ○ 2.ア○ イ○ ウ× 3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ× 5.ア× イ○ ウ○ 6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○ 8.ア× イ× ウ×

[正解は7]

 この問題は,記述ア~ウの組み合わせを選択肢にしているのですが,ありうる組み合わせは全て選択肢になっています。そのため,記述ア~ウ全ての正誤を判定できなければ,正解を導くことはできません。
 その意味で,「1,2」問題と同じタイプの問題ということができます。

全ての記述の正誤がわからなくても正解を導ける問題

 民法・商法・民事訴訟法では,全ての記述の正誤がわからなくても,答えが導き出せる問題があります。

[司法試験平成26年度民事系科目第40問・司法試験予備試験平成26年度商法第17問]
株式に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

ア.他人の承諾を得てその名義を用いて募集株式の引受けがされた場合には,特段の事情がない限り,その名義の使用を承諾した者が株主となる。

イ.株券発行会社が株券として会社法所定の要件を満たす文書を作成した場合には,その文書は,株主に交付される前であっても,株券としての効力を有する。

ウ.会社の承認を得ないで譲渡制限株式を譲渡担保に供した場合には,その譲渡担保権の設定は,契約当事者間においては有効である。

エ.会社と従業員との間で,従業員の退職に際してはその有する当該会社の譲渡制限株式を会社の指定する者に譲渡する旨の合意をした場合には,その合意は,無効である。

オ.新株発行の無効の訴えにおいて,会社法所定の出訴期間の経過後に新たな無効事由を追加して主張することは,許されない。

1.アイ 2.アウ 3.イエ 4.ウオ 5.エオ

[正解は4]

 この問題の記述はアが×,イが×,ウが◯,エが×,オが◯になります。
 実は,この問題を最小限度の労力で解こうと思うと,記述ア・イ・ウ(又はエ)の正誤が分かれば足ります。まず,記述アが×だと判断できれば,選択肢1・2が消去できます。この問題は,「正しいものを組み合わせたもの」を選ぶことを求めていますので,誤っている記述が含まれている選択肢は正解になり得ないからです。同様に,記述イが×だと判断できれば,選択肢3も消去できます。
 ここで,選択肢4と5が残るのですが,4と5に両方とも記述オが含まれていることに着目してください。仮に,記述オが×だとすると,正解がなくなってしまいます。そのため,記述オは◯で確定です。
 後は,記述ウと記述エの正誤をどちらかでも判断できれば,正解を導き出すことができるのです。
 もちろん,記述ウ・オが◯だと判断して,直接正解を導くこともできます。その場合,記述ウ・オの正誤だけ判断できれば足ります。
 他にも,記述ア・エが×だと判断して,消去法で選択肢4を選ぶことも可能です。
 いずれにせよ,全ての記述の正誤が判断できなくても,正解を導き出すことができるのです。
 とはいえ,やはり最低限の記述の正誤の判定はできなければなりませんので,正確な知識は前提となります。

穴埋め問題

 刑法や刑事訴訟法では,文章の空欄を埋めさせる問題も出題されています。このタイプの問題は,全ての空欄を埋めなくとも,選択肢から逆算することで,正解を導くことができます。

[司法試験平成23年度刑事系科目第39問・司法試験予備試験平成23年度刑事訴訟法第26問]
 次の【記述】は,控訴審の権限に関して判断を示した最高裁判所決定の要旨である。①から⑦までの( )内に後記aからiまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合,組合せとして正しいものは後記1から5までのうちどれか。なお,①から⑦までの( )内にはそれぞれ異なる語句が入る。

【記 述】
 第一審判決がその理由中において無罪の判断を示した点は,牽連犯ないし包括一罪として起訴された事実の一部なのであるから,右第一審判決に対する控訴提起の効力は,それが被告人からだけの控訴であつても,公訴事実の全部に及び,右の無罪部分を含めたそのすべてが控訴審に移審係属すると解すべきである。そうとすれば,控訴裁判所は右起訴事実の全部の範囲にわたつて(①)を加えることが可能であるとみられないでもない。しかしながら,控訴審が第一審判決について(①)をするにあたり,いかなる限度においてその職権を行使すべきかについては,さらに慎重な検討を要するところである。いうまでもなく,現行刑訴法においては,いわゆる(②)主義が基本原則とされ,(③)主義はその補充的,後見的なものとされているのである。(②)主義の現われとして,現行法は(④)制度をとり,検察官が公訴を提起するには,(⑤)を記載した起訴状を裁判所に提出しなければならず,(⑤)は(④)を明示してこれを記載しなければならないこととし,この(④)につき,当事者の攻撃防御をなさしめるものとしている。(中略)このように,審判の対象設定を原則として(②)の手に委ね,被告人に対する不意打を防止し,(②)の公正な訴訟活動を期待した第一審の訴訟構造の上に立つて,刑事訴訟法はさらに控訴審の性格を原則として(⑥)審たるべきものとしている。すなわち,控訴審は,第一審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく,前記のような(②)の訴訟活動を基礎として形成された第一審判決を対象とし,これに(⑥)的な審査を加えるべきものなのである。そして,その(⑥)審査も当事者の申し立てた控訴趣意を中心としてこれをなすのが建前であつて,(①)はあくまで補充的なものとして理解されなければならない。けだし,前記の第一審における(②)主義と(③)主義との関係は,控訴審においても同様に考えられるべきだからである。

 これを本件についてみるに,本件公訴事実中第一審判決において有罪とされた部分と無罪とされた部分とは牽連犯ないし包括一罪を構成するものであるにしても,その各部分は,それぞれ1個の犯罪構成要件を充足し得るものであり,(④)としても独立し得たものなのである。そして,右のうち無罪とされた部分については,被告人から不服を申し立てる利益がなく,検察官からの控訴申立てもないのであるから,当事者間においては攻防の対象からはずされたものとみることができる。このような部分について,それが理論上は控訴審に移審係属しているからといつて,(⑥)審たる控訴審が(①)を加え有罪の自判をすることは,被告人控訴だけの場合,刑事訴訟法第402条により第一審判決の刑より重い刑を言い渡されないことが被告人に保障されているとはいつても,被告人に対し不意打を与えることであるから,前記のような現行刑事訴訟の基本構造,ことに現行控訴審の性格にかんがみるときは,(⑦)として許される限度をこえたものであつて,違法なものといわなければならない。

【語句群】
a.職権調査 b.当事者の申立てに基づく調査 c.当事者 d.職権
e.訴因 f.公訴事実 g.事実 h.事後 i.職権の発動
1.①b④e 2.①a⑦i 3.②d⑤f 4.②c⑥g 5.③c⑥h

[正解は2]

論理問題

 刑法では,各学説からどのような結論になるのかという論理操作を求める問題もあります。

[司法試験平成26年度刑事系科目第15問・司法試験予備試験平成26年度刑法第11問]
 次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。

【事 例】
 甲は,乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ,証人尋問期日の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから,証人尋問の日までここにいろ。」と言われ,見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。甲は,自己の生命身体に対する危険は感じなかったものの,証人として出廷したくないと思い,同室に放火して騒ぎを起こし,見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え,同室の壁等に灯油をまいて放火し,同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。

【見 解】
 A説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,当該行為が危難を避けるための一つの方法と認められれば,法益権衡の要件を欠いても過剰避難が成立する。
 B説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが,「やむを得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し,また,「やむを得ずにした行為」であって,法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。
 C説:当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難,過剰避難とも認められず,過剰避難は,「やむを得ずにした行為」であって,かつ,法益権衡の要件を欠く場合に成立する。

【記 述】
 1.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,A説からは甲に過剰避難が成立することになる。
 2.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情がある場合,B説からは甲に過剰避難が成立することになる。
 3.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。
 4.【事例】に,更に「事件当時,部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合,B説からは甲には緊急避難の成立も過剰避難の成立も認められない。
 5.【事例】に,更に「事件当時,甲が部屋から脱出する手段はほかになかった」との事情がある場合,C説からは甲に過剰避難が成立することになる。

[正解は3]

 憲法で出題されている形式として,記述bが記述aの批判や理由になっているかを問う問題もあります。これも論理問題の一種です。

[司法試験平成26年度公法系科目第6問・司法試験予備試験平成26年度憲法第4問]
 憲法第21条第2項前段の「検閲」に関する次のアからウまでの各記述について,bの見解がaの見解の批判となっている場合には1を,そうでない場合には2を選びなさい。

ア.
 a.名誉毀損のおそれのある記事を掲載した書籍の販売等を,裁判所の仮処分により事前差止めするのは,「検閲」に該当しない。
 b.「検閲」の解釈に当たっては,過去に検閲が行政権により濫用されたという歴史的経緯を踏まえる必要がある。

イ.
 a.外国で出版済みの書籍について,輸入禁制品である「公安又は風俗を害すべき書籍」に該当するか否かを税関が検査するのは,「検閲」に該当しない。
 b.「検閲」は,表現の自由に対する制約という側面と,この自由と一体をなす知る権利に対する制約という側面がある。

ウ.
 a.受刑者の逃走防止等を目的として,その発信しようとする信書の内容を刑務所長が事前に検査するのは,「検閲」に該当しない。
 b.「検閲」の禁止は,国民に対する関係では,絶対的に禁止されるが,特殊の法律関係にある者については,異なる取扱いが認められる。

[正解は2,1,2]

一般教養科目(予備試験のみで出題)

 一般教養科目は,人文科学,社会科学,自然科学,英語からの出題です。
 それぞれの分野における正確な知識が要求される問題もありますが,事前知識が必要ない問題も出題されています。一般教養科目は,法律科目と異なり,40問程度の中から20問を選んで解答すればよいので,事前知識不要の問題をうまく選んでいけば,事前準備をしなくても,ある程度の点数が取れます。
 そのため,実際に過去問を解いてみて,ある程度点数が取れる方は,対策は不要でしょう。対策が必要だと感じた方でも,多くの前提知識を必要とする人文科学,自然科学,英語をやるのは現実的ではありませんので,社会科学に絞って対策をするのがよいでしょう。

人文科学

 まず,以下の問題は,事前知識が必要な問題です。日本史の問題ですが,読んでいただければ,非常に難易度が高いことが分かるかと思います(高校時代に日本史を選択していない方には,何が難しいのかさえ分からないかもしれません)。

[司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第1問]
 我が国の歴史上,これまで多くの災害が発生してきたが,中でも大規模な地震によって多くの人命や財産が失われてきた。次のアからエまでの各記述は,いずれも歴史上の大規模な地震についての事例である。これらの記述を年代順に配列したものとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。

 ア.和泉・摂津・山城地域に被害をもたらした地震では,伏見城の天守閣や二の丸が崩壊し,侍女数百人が死亡したとされ,イエズス会宣教師によって堺でも死者が出たことが報告されている。発掘調査に際しても,京都府・大阪府・兵庫県の広範囲の遺跡で,地層を突き破る砂脈が発見され,地震による液状化現象が確認されている。

 イ.駿河―南海トラフ沿いに起きた地震では,三重県伊勢地域から静岡県伊豆地域にかけて大波が押し寄せ,海辺の民家の全てが波にさらわれ,人命に大きな被害が出たことが近衛政家の『後法興院記』に記されている。また,浜名湖では津波によって浜名川の流路が変わり,遠州灘とをつなぐ「今切口」が開いたとされる。

 ウ.巨大地震とそれに伴う津波が陸奥国で発生し,多賀城の城郭・倉庫・門などが倒壊し,城下に押し寄せた津波によって多数の死者と建物・道路などが大きな被害を受けたことが『日本三代実録』に記されている。多賀城の発掘では,被害後間もなく政庁やその周囲の塀・門などが復興されたことが明らかになっている。

 エ.駿河湾―遠州灘―熊野灘の海底を震源域とする巨大地震が発生し,その翌日にも紀伊水道―四国沖の海底を震源域とする同規模の巨大地震が連続して発生した。前者の地震による津波で,下田に寄港していたロシアのディアナ号が津波により大破し,修理のため伊豆半島の下田に向かう途中で荒天により沈没する事件も起こった。

 1.イ ア ウ エ
 2.イ ウ エ ア
 3.ウ ア イ エ
 4.ウ イ ア エ
 5.ウ イ エ ア

[正解は4]

 次は,事前知識が不要な問題の例です。国語の問題ですので,冷静に考えれば,正解が2であることは分かると思います。

[司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第5問]
 以下の文章の空欄(ア)から(エ)までに当てはまる語句の組合せとして正しいものを,後記1から5までの中から選びなさい。

 日本語を教えていると,よく知っていたはずの母語について思わぬ発見をすることがある。例えば,助詞の「は」と「が」の使い分けである。「あれが,スカイツリーですよ。」と「あれは,スカイツリーですよ。」は,どう違うのか。ある人がスカイツリーを知らない人に教えているという点では,二文は一致している。しかしながら,「スカイツリーは,どれですか。」という質問に対して,「あれが,スカイツリーですよ。」は自然だが,「あれは,スカイツリーですよ。」という答えには,多少の違和感を覚える。ただ,この場合,「スカイツリーは,あれですよ。」と答えることはできる。なぜだろうか。日本語学習者用の辞書を見てみると,「は」と「が」の使い分けに関して,興味深い説明が載っている。どうやら,両者の使い分けには,話し手と聞き手の双方にとっての情報の新旧が関係しているようだ。すなわち,「スカイツリーは,どれですか。」という質問に対して,「あれが,スカイツリーですよ。」と答えることができるのは,「スカイツリー」が(ア)だからである。「スカイツリーは,あれですよ。」と答えることができるのも,同じ理由による。一方,「あれは,スカイツリーですよ。」という答えを導く質問は,「あれは,何ですか。」である。この場合は,「あれ」は(イ)であり,「スカイツリー」は(ウ)である。この規則に従えば,「どれが,スカイツリーですか。」という文において,「どれは」と表現しない理由が説明できる。「どれ」「誰」「いつ」などの疑問詞に接続するのは,常に「が」であって,「は」ではない。なぜなら,「が」は(エ)を意味しているからである。こう考えていくと,昔話の冒頭文が,「あるところに,おじいさんとおばあさんがいました。」となっている理由も納得できる。

1.ア 新情報 イ 旧情報 ウ 新情報 エ 旧情報
2.ア 旧情報 イ 旧情報 ウ 新情報 エ 新情報
3.ア 新情報 イ 新情報 ウ 旧情報 エ 旧情報
4.ア 旧情報 イ 新情報 ウ 旧情報 エ 新情報
5.ア 旧情報 イ 新情報 ウ 新情報 エ 旧情報

[正解は2]

 次は,民俗学に関する問題です。方言周圏論というややマイナーな知識に関する出題なのですが,実は,以下の下線部の意味が理解できれば,近畿地方から遠い場所を順に指摘すればよいことが分かると思います。
 その意味で,この問題も事前知識が不要な問題です。

〔司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第6問〕
 民俗学者の柳田国男は,方言研究の上でも大きな足跡を残している。柳田はカタツムリを意味する言葉に幾つかのバリエーションがあることを知り,それらの言葉が日本全土でどのように分布しているかを詳細に調査した。その結果,近畿地方では「デデムシ」,中部地方や四国の一部では「マイマイ」,関東地方や四国の一部では「カタツムリ」,南東北と九州の一部では「ツブリ」,北東北と九州西部では「ナメクジ」と呼ばれていることを突き止めた。これらの言葉を日本地図の上に配置すると,近畿地方を中心に,同じ呼び方が同心円状に広がっていることが分かる。柳田は,これを「方言周圏論」と名付け,1930年に『蝸牛考』という本にまとめて出版した。ちなみに,「蝸牛」とは,カタツムリのことである。柳田によれば,新しい言葉は文化の中心で発生し,その後,古い言葉を次々と周縁へ押し出していく。まるで,水面に小石を投げたように,新旧の言葉の輪が広がっているわけだ。民俗学者として,柳田が諸国の民間伝承の研究を重んじた理由もここにある。

 柳田の説に立脚すると,カタツムリを意味する言葉は,京都ではどのように変化したと推測されるか,古い順に並べたものとして正しいものを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.ナメクジ → ツブリ → マイマイ → デデムシ → カタツムリ
2.デデムシ → マイマイ → カタツムリ → ツブリ → ナメクジ
3.マイマイ → カタツムリ → ツブリ → ナメクジ → デデムシ
4.ナメクジ → ツブリ → カタツムリ → マイマイ → デデムシ
5.カタツムリ → デデムシ → ナメクジ → マイマイ → ツブリ

[正解は4]

 また,人文科学では,論理問題も出題されます。これも下線部を前提に考えれば,5が正解だと分かると思います。

〔司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第11問〕
 ある年の就職状況を調査したデータをまとめたところ,「就職活動をした全ての学生が,応募した企業のいずれかに採用されていた。」という結果が得られたとする。この結果によって論理的に否定されているものとして最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.太郎は全ての就職希望先から採用を断られた。
2.就職活動で応募してきた学生を誰も採用しなかった企業がある。
3.企業に採用されなかった学生がいる。
4.応募した全ての企業に採用された学生がいる。
5.大学4年生の次郎は就職活動で応募した先の全ての企業から採用を断られた。

[正解は5]

社会科学

 社会科学でも,事前知識が必要な問題は,非常に難易度が高いものになります。以下の問題が典型であり,スポーツに関するマニアックな知識が要求されています。

〔司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第13問〕
 スポーツに関する記述として最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。

 1.「スポーツ」という言葉は,元々,「気晴らし(disport)」に由来している。スポーツを,有閑階級の文化と規定したのは,『有閑階級の理論』の著者Th.B.ヴェブレンである。彼は,スポーツが,すぐれて生産的な活動であることを社会学的に賛美した。

 2.一定のルールの下で,暴力の行使を抑制しつつ競技することに,スポーツの特徴はある。N.エリアスは,スポーツを,「文明化(civilization)の過程」の産物と捉える。その一つの原型を,彼は,18~19世紀にイギリスで流行した狐狩りに求めている。

 3.1863年,イギリスで,フットボール協会(Football Association)が設立された。その協会の下で,スポーツとして確立していったものが,現在のサッカーである。「サッカー」という競技の名称は,その協会の初回会合が開かれた,パブの店名に由来する。

 4.国際オリンピックは,1896年の第1回アテネ大会以来,スポーツの理想を高く掲げた祭典であり,運動である。例えば,IOC(国際オリンピック委員会)第7代会長のJ.A.サマランチは,オリンピックにおけるアマチュアリズムの維持に心血を注いだ。

 5.日本では,古来,武器を使わない武術としての「柔術」が行われてきた。「柔道」は,創始者嘉納治五郎が,これに技術的工夫や思想的創意を加えて体系化した武道である。嘉納は,武道のスポーツ化を忌避する立場から,IOC委員就任の要請を固辞した。

[正解は2]

 一方,やはり事前知識が不要な問題も出題されています。次の問題は,経済学から「コースの定理」という専門的な概念に関する理解が問われていますが,その内容については,問題文に説明があるので,「コースの定理」について,事前に勉強していなくても,解答できるはずです。

 試しに考えてみますと,要するに,X-Yが最大になることを効率的といっているわけです。そうすると,甲が乙に補償をしなければならないのであれば,甲にとってみれば,損害Yは自分の損害と同義ですから,甲はX-Yが最大となるように活動するはずで,したがって,効率的な活動を選ぶはずですので,1は正しい記述です。

 一方,記述4を見てください。「甲と乙との間の交渉の費用が小さく,XやYについての情報が双方に明らかである場合,交渉は妥結せず」とありますが,常識的に考えても,交渉費用が少なく情報格差がない場合には,交渉は成立しやすいはずです。「コースの定理」においても,この2つの前提が満たされると効率性が保たれると考えられていますので,この記述が誤りです。
このように,社会科学の分野では,常識的に理解しやすい範囲も多いので,一般教養について,事前に対策をするのであれば,社会科学がお勧めです。

〔司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第18問〕
 権利概念と最適な経済活動の両立は,公害を想起すれば分かるように,必ずしも容易なことではない。
経済主体として甲と乙がいて,甲の経済活動が乙の生活の質を間接的に悪化させているとする。また,その経済活動の水準が高いほど,甲はより大きな便益を受け,乙はより大きな損害を被るとする。
 経済学の余剰分析では,甲の経済活動の水準について,その経済活動がもたらす社会的純便益が最大となるときの水準を効率的と定義する。すなわち,甲の経済活動によって甲が享受する便益Xと,乙が被る損害Yとを通算し,社会的純便益X-Yが最大となる経済活動水準が効率的となる。
 ただし,その効率的水準を実現したところで,乙の権利が依然侵害されたままのこともあれば,甲の経済活動の自由が制限されていることもあり得る。
 これらの権利と経済活動の効率的水準との関係を,主に経済学的観点から論じたのが「コースの定理」である。これに関する記述として誤っているものを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.経済活動水準を自由に決定する権利が全面的に甲にあったとしても,甲と乙との間で補償について交渉がなされれば,交渉の結果として効率的な経済活動水準が実現する。

2.補償を受ける主体が複数いて,交渉結果に「ただ乗り」することが可能な場合には,適切な補償をすることができず,経済活動の水準は効率的にならない。

3.甲と乙との間で補償について交渉がなされる前提として,甲の経済活動を制限する権利が乙にあれば,交渉後の経済活動水準は効率的となる。

4.甲と乙との間の交渉の費用が小さく,XやYについての情報が双方に明らかであると,交渉は妥結せず,経済活動の水準は効率的にならない。

5.経済活動を制限する権利が認められた場合に資産効果が発生するのであれば,交渉後の経済活動水準はその権利が認められるかどうかによって異なる。

[正解は4]

自然科学

 自然科学の分野では,数学,物理,化学,生物といった分野から出題されています。
 したがって,理系の方であれば,ある程度対応できると思います。
 例えば,以下のような物理学の問題が出題されており,高校生の頃に物理を学習していた方であれば(覚えていれば,ですが。)解答できるかもしれません。

〔司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第19問〕
 一定の速さu(≠ 0 )で一様に流れる川の中のある地点Aから出発して,流れの影響を受けながら,流れに対して角度θ( 0°< θ < 90°)をなす方向に等速直線運動を続けて,地点Aより川下にある別の地点Bまで泳いだ。流れがない場合の泳ぐ速さuは一定とすると,AからBまで泳ぐために要する有限な時間が2つ存在する条件は,x<v/u<yという不等式で表せる。
 ( x , y )の組合せとして正しいものを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.( 0, tanθ )
2.( sinθ, tanθ )
3.( sinθ, 1 )
4.( cosθ, 1 )
5.( cosθ, cotθ )

[正解は3]

 また,問題によっては,事前知識がなくても解けるものがあるのは,自然科学も同様です。以下の問題は,生物学からの出題ですが,生物の知識が不要であることが分かると思います。

〔司法試験予備試験平成26年度一般教養科目第23問〕
 被子植物の花は,基本的に,がく片,花弁,おしべ及びめしべが,順に,外側から内側に同心円状に配置されている。花を構成するこれらの器官の形成には,A,B及びCのホメオティック遺伝子が関わる。Aが単独で発現すると,がく片が形成され,AとBの両方が発現すると花弁が形成される。また,BとCの両方が発現するとおしべが形成され,Cが単独で発現するとめしべが形成される。なお,AとCは互いに発現を抑制しており,片方の発現が無くなると,その発現領域までもう片方の発現領域が広がる。以上を前提としたとき,Cの機能が欠損した花を構成する器官の組合せとして最も適切なものを,次の1から5までの中から選びなさい。

1.めしべ,おしべ
2.めしべ,花弁
3.おしべ,花弁
4.がく片,めしべ
5.がく片,花弁

[正解は5]

英語

 英語の問題は,著作権の関係で引用できませんが,TOEIC等の勉強をしている方であれば,選択するとよいでしょう。