宅地建物取引士（以下、宅建士）は、数ある不動産関連資格の中でも特に人気が高い国家資格。

宅建士を目指している方は、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか。

「宅建士は多すぎて希少価値がないって本当？」

「宅建士はどれくらい増えている？」

本コラムでは、宅建士が多すぎるのかどうかについて解説します。

最近の宅建士の人数や、宅建士としての価値を高めるための方法なども紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

宅建士は多すぎ？希少価値がない？現在の数字と推移を解説！2025年最新

宅建士の人数の推移は、国土交通省の不動産・建設経済局不動産業課が公開している資料で確認できます。

国土交通省の公式サイトでは、例年9月〜10月頃に「X年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」という資料が公開されます。

宅建士に関する情報を数字で確認できるため、参考にしてください。

以下では、令和7年10月3日に公表された令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果をもとに、宅建士や宅地建物取引業者（以下、宅建業者）の数について解説します。

• 宅建士は多すぎ？：登録者数は右肩上がり
• 宅建業者は多すぎ？：同様に増加中
• 宅建士や宅建業者が増えすぎて質が悪化している？

宅建士は多すぎ？：登録者数は右肩上がり

令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果によると、宅建士の登録者は平成26年から令和6年度にかけて右肩上がりで増加しています。

また、同期間の日本の総人口は減少を続けているため、全人口に対する宅建士の割合も増加していると考えられます。

宅建士が多「すぎる」かどうかは一概には判断できませんが、宅建士が多くなっていることは間違いないといえるでしょう。

宅建業者は多すぎ？：同様に増加中

平成26年から令和6年における宅建業者の数は、宅建士の登録者数と同様、右肩上がりに増加しています。

令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果には、過去20年間の宅建業者数の推移が掲載されています。

上記の調査結果から、宅建業者の数は平成17年から平成25年にかけて一時的に減少したものの、最近は増加傾向となっていることが読み取れるでしょう。

宅建業者の数が多「すぎる」かどうかは判断の基準によって異なりますが、少なくとも業者が増え続けていることは事実です。

宅建士や宅建業者が増えすぎて質が悪化している？

宅建士や宅建業者の数は増加傾向にありますが、数が増えたからといって、必ずしも宅建業界全体の質が低下するという訳ではありません。

宅建士や宅建業者が増えると宅建士一人あたりの収益が減少し、それにより質が悪化するのでは？と懸念する方もおられるでしょう。

しかし、宅建業者の質を個別に判断することは困難です。

宅建業界全体における宅建業者の質を判断する際は、「監督処分件数」がひとつの尺度となります。

監督処分された宅建業者の数が少ないほど、宅建業者全体のサービスの質が維持されていると考えられるため、参考にしてください。

令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果に掲載された過去10年間の監督処分件数の推移は、以下の通り。

上記の資料からは、平成27年から令和6年の10年間における監督処分件数が緩やかな減少トレンドにあることが読み取れます。

また、令和6年の監督処分件数は前年より減少しています。

つまり、監督処分件数の観点からは宅建業者の質は悪化しておらず、むしろ改善しつつあるといえるでしょう。

宅建士の数が増える中で、より優れた宅建士になるには？

宅建士の数は増加傾向にあるため、ニーズが一定である場合は業界での競争が激しくなることが予想されます。

宅建士として収入を安定させるためには、ほかとの差別化を図り、優れた宅建士として評価される必要があるでしょう。

より優れた宅建士になるための方法は、以下の2つ。

• ダブルライセンスの取得を目指す
• 適切に転職する

ダブルライセンスの取得を目指す

優れた宅建士になるためのひとつ目の方法は、ダブルライセンスの取得を目指すことです。

例えば、不動産関連の資格を取得し、不動産のエキスパートとして専門性を高めれば、周囲との差別化に役立ちます。

特に、賃貸不動産経営管理士や管理業務主任者、マンション管理士などは宅建業務との親和性が高く、相性の良い資格であるといえるでしょう。

また、宅建と法律関連資格とのダブルライセンスもおすすめです。

宅建試験は出題範囲が広く、不動産や法律に関する知識が問われます。

行政書士や中小企業診断士の資格試験では宅建試験と共通する内容が出題されるため、ゼロから勉強する場合よりも短期間でダブルライセンスを目指せるでしょう。

適切に転職する

優れた宅建士になるための2つ目の方法は、転職することです。

ずっと同じ職場で働いていると、新たな経験を積むことが難しい場合もあるでしょう。

転職によって別の職場でより高度な仕事に携われれば、宅建士として成長できるかもしれません。

宅建士は不動産業界で重宝されやすい資格であるため、転職エージェントなどを活用してより良い条件の転職先を探しましょう。

専門職に特化したアガルートキャリアなら、今後のキャリアを相談しながら転職活動に取り組めます。

また、専門コンサルタントによるサポートを受けられるため、一般的な転職エージェントよりも精度の高い対策が可能です。

将来的に転職を検討している方は、無料相談で最新の求人情報をチェックしましょう。

まとめ

本コラムでは、宅建士が多すぎるのかどうかについて解説しました。

本コラムのまとめは、以下の通り。

• 最近の宅建士登録者数と宅建業者数はいずれも増加傾向にある
• 最近の監督処分件数は緩やかに減少しており、宅建業者の質は保たれている可能性が高い
• 宅建士が増えれば競争率が高まるため、ほかの宅建士との差別化が必要
• より優れた宅建士になるためには、ダブルライセンスや転職がおすすめ

宅建士の人数と宅建業者の数は、右肩上がりで増加しています。

競争が激しい不動産業界で安定して働くためには、周囲との差別化が求められるでしょう。

宅建士としてのキャリアに不安がある方は、アガルートキャリアの無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。